Armored Core Eastern War 作:ちょっとだけ別口
霊夢が死んだあの日からずっと放置されていた戸棚を漁ると、古くなった替えの服や記念品以外に行き先のない、博麗の名がしたためられた札の下に埋もれるように、一つの映像装置があった。
Relics word《Again》
まさか本当に見つけるとは。
戦闘を終え帰ってきた私は、そう呟いた。
私はにとりと手分けして遺品の整理整頓に当たっていた。そんな時に、こんな掘り出し物を見つけるとは、思ってもいなかったのだ。年代物......とは言っても私には価値がわからないものだが、にとりから言わせれば幻想郷に現存するビデオデッキの中でも、製造年月日から見て最も古いものだという。
「で、これが一番古いんだよな?肝心のビデオテープは?」
「安心して。ここにあったよ」
にとりが一番下の段の棚から、一本のビデオテープを取り出した。それをにとりから受け取ってビデオデッキに挿入し、再生ボタンを押す。押し込んでカチリと鳴ると、テレビモニタに今は亡き博麗霊夢その人が写った。
『おはよう。またはこんばんは?......まあ、あなた達でなくとも見て分かると思うけど、霊夢よ』
テレビの中の霊夢は、普段と変わらない様子で無愛想に答えた。違いはそこにいない事と、話が一方的という事だけだったが、それを除けば彼女は私たちが見知った霊夢と全く同じだった。
『私が死んだ後に結界が緩むようにしていたから、私が死ぬまでコレの入っていたタンスは開けられないの。裏を返せば、これを見ているということは、私は間違いなく死亡している。恐らくは、戦いの中に斃れたのでしょうね』
そう言って画面の中の霊夢は前髪をかきあげる。
『嫌な物よ、自分の死が間近だと感じるのは。魔理沙もその時が来たらきっとわかる、どうしようもなく、死の影が近付いてきていると本能的に悟ってしまうの。一種の予知能力に近いわね』
にとりがそこまで聞いて、一時停止ボタンを押してから私に向き直り、聞いた。
「じゃあ、霊夢は死ぬとわかっていて戦っていたの?...........それこそ、魔理沙や私にも悟らせないように?」
「どうだろうな......どちらにせよ、いつ死ぬかわからないまま戦うのは私も......霊夢も嫌だろうぜ」
にとりの言葉に答える。再生ボタンを押すと、霊夢はまた話し始めた。
『そういう事だから、私はこのカメラを使って急遽映像に残そうとしたわけ。手紙じゃ寂しいでしょ?決して、声の方が考えるより楽って訳じゃないわ』
「はっ......霊夢らしいよ」
面倒臭がりの霊夢が確実に言うセリフだ。
『......まあ...........そんな感じだから、今何を話そうかとかは特に考えてなかったわ。けどこれだけは言えるわ。私はただで死ぬつもりはない。きっと何か、するはず。生き延びて戦うために』
そう言って霊夢は口角を上げニヤリと笑った。
「......魔理沙、これって......!」
にとりがビデオを一時停止させ、私も画面の中の霊夢が発した言葉に驚き、そして笑みを隠せなかった。彼女の発したその言葉は、すなわち生きている可能性がゼロではない事の証明なのだから。
「そうと決まれば、やる事は一つだ。普段通りに行こうぜ。霊夢が帰ってくる時までさ」
「よし、わかったよ。電波を復旧させるから、依頼が来たら受けよう」
そう言ってにとりは神社を出て地下室に入り、ジャミングシステムのスイッチをオフにした。心做しか明かりが強くなった気がする。にとりが戻ってくるまで、私はビデオの中で不敵に笑う霊夢の顔を見続けていた。
「霊夢......会えるなら、どこかでまた会おうぜ」
そう言って私は茶の間を出て地下ガレージに向かう。タンスから、黒焦げた一枚の札が剥がれ落ちた。
どの話を優先的に完結させるべきか?
-
射命丸文編(アリーナ編)
-
霊夢・魔理沙編(機械化八人衆編)
-
メインストーリー(オムニバス)