Armored Core Eastern War 作:ちょっとだけ別口
雇われといえば、組織から独立しながらも、その報酬次第で恨みを持った相手にも協力する、そんなイメージを持つ者もいる。しかし、それは幻想郷にとっては間違いであると言える。特に傭兵でも最高クラスの実力者の一人である博麗霊夢、その人においては。
「………はぁ。最近はこんな仕事ばかりね」
文句を言いながら、手に持った携帯端末のメールボックスに届いた依頼を読み通す。どれもこれも、敵勢力の排除、破壊、制圧……。
くだらなくなって布団の上に端末を放り投げるが、布団に着弾したような音はしなかった。その方向を見やると、空間から手が生えてきており、その手が端末を上手くキャッチしていた。
手は次第に腕に、腕は次第に身体に、という具合に
「紫……ずっと聞いてたの?」
「ふふっ、ごめんなさいね。でも霊夢、文句言わないの。貴女は調和者ではあるけれど、食べ物が無いと生きていけない『生物』でもあるのよ?」
紫が顔を傾けながら霊夢に近付き、手に握った端末を霊夢に差し出す。霊夢は端末を受け取り、机の上に優しく置いた。そして紫に向き直って自分の意見を述べる。
「そうかもね。それでも、私は幻想郷の力の均衡という天秤を、常に保たせる責務や役割を負っているの。私の目で明らかに偏っていると確認できない限り、絶対に仕事は受けないわ」
そう言って霊夢は神社を出て、少し離れた倉庫の中に入る。ホコリにまみれた雑多な道具を退かすと床下へ続くドアがある。それを開いて中の梯子を下りていくと、その更に地下にガレージがあるのだ。
いつの間にこんなものが、と最初の頃は絶句していたが、その犯人が紫である事と、これがACのアセンブルを行う為の施設だと理解してからは、有効に活用させてもらっている。
「ねえ、紫。貴女はこのACが幻想郷に入ってきた時、何か対策を講じようとはしなかったのかしら?」
いつだったか、ふと紫に対して、霊夢は疑問をぶつけた事がある。それを受け取った紫の表情は、あまり良いものではなかった。
「難しかったわね。妖怪の力だけではきっとあの鉄の暴力兵器には勝てないし、私が直接出ても、あの時には既に人里も妖怪もACを
「貴女が直接干渉しても手遅れだった訳ね。ならこれ以上は特に言うことも無いわ」
「弁明のしようもないわ。どっちにしろ、幻想郷で果てなき戦争が起きるのも、時間の問題だったのよ」
「
そう言って霊夢はふわりと宙を浮き、地上階へ戻っていった。ACには錆を除いて未だ真新しい傷はなく、戦いの中であまり被弾した事がない事の証明でもあった。
「…霊夢」
紫は霊夢の名前を呟き、そのまま自らスキマを生み出してその中に消えていった。
「……」
無言で境内に座り、団子をかじってから緑茶を啜る。まだ熱かったが、それでも一息に飲み込むと、体が生き返った様な気分になる。熱い空気を吐き出す様に溜息をついてから深呼吸すると、冷たい空気が一挙に入り込んできて、暖かくなった体を内側から冷やして、とても心地よい。
今の幻想郷は、冬景色だった。
だが、積もる雪は今や戦場には降り積もらず、誰も襲わないような『魔法の森』や『博麗神社』ぐらいでしか銀の絨毯に
そもそも、自然が淘汰されてしまう様な、耳を澄ませばそこかしこで銃声がこだまするこの世界じゃあ、鳥のさえずりも聞こえやしない。それに寝ている時でさえ爆発音が鳴り止まない日さえあるのだ。いつかは死ぬだろうと、霊夢もある程度の諦観を抱いていた。
「また、戦っているのね」
今でも木々に隠れて見えないが、葉と葉の擦れる音に混じって物騒な連射音が耳に響いている。ライフルレベルの口径と威力を誇る
そしてこの幻想郷で好き好んで防衛用のタンク型ACに乗り込むのは、向日葵畑……もとい『太陽の畑』を守る『
それを狙って多くの『組織』からの回し者の防御用AC*1やACが向日葵畑に押し寄せているのだろうが、無駄な事だ。
風見幽香の防御は絶対だ。何故なら、向日葵畑を守るのは一人だけじゃない。隣接する鈴蘭の畑を守るACの存在もあるからだ。連射音の中に時折鋭い射撃音が響く。間違いなく鈴蘭畑の守主『メディスン・メランコリー』のものであるだろう。
風見幽香のタンク型とメディスンの四脚型のタッグは、今まで一度たりとも突破されたことは無い。それだけ守りと互いのカバーに適している事の証明でもあった。
やがて銃声も爆発音も聞こえなくなってきた。
その内二種類の銃声しか聞こえなくなる。幽香とメディスンが、生き残った敵対者に止めを刺しているところだろう。それすらも聞こえなくなった後の幻想郷は、霊夢が二杯目の茶を飲み切るまで静寂が支配した。
やがて夜になると、太陽が沈んだぶん風が異様に冷たくなってくる。寒さに身を震わせて神社の中に入る。そこにはいつの間に入ってきたのか、妖怪の賢者、八雲紫がそこにいた。
「お邪魔してるわよ」
「また、いつの間に───」
入ってきたの。そう聞く前に紫が霊夢に問う。
「それよりも、貴女また
戦いの音を聞く、とは、霊夢の日課だ。銃声や爆発音、ACの吹き飛ぶ音や機動兵器の破壊音を聞く事。そうしなければ───。
「そうでもしないと、私は調和者としての役目を忘れてしまいそうだから。それだけは、絶対に許されないから」
そう言って3杯目の茶を淹れ、団子の置かれていた皿には醤油で味付けされた煎餅が乗せられていた。「あちっ…」少しずつ熱湯のような茶を啜る。
「調和者、ね………。 ………霊夢。貴女だけ逃げ出す事も出来るのよ。『組織』の殆どはマヨヒガや私の家のような、亜空間に手は出せないのだから。私を頼ればすぐにでも戦いの無い場所へ連れて行くことも出来るわ」
紫は霊夢の頬に手を当て、慈しむような表情を見せる。それはずっと昔に無くした、母親の温もりのようであり、しかし調和者である霊夢にとっては悪魔の囁きでもあった。
「とても嬉しい。………だけど、でも私は逃げる訳にはいかないわ。この役目は、私達博麗の一族が、貴女から直接譲り受けたものなんだから。役を授かっておいて、今更逃げるなんて虫が良すぎる」
そういう霊夢の眼は曇りなく紫を見つめている。それはある一つの決意にも取れ、そして決意とは大抵固く破れないものだ。相手が頑固者なら尚更である。
「覚悟は決まってる、そういう事ね。なら私からはこれ以上何も言わないわ。でも覚えておいて。仲間は、きっといる。貴女とどのような理由であれ共闘する人は必ず現れる。だから、人を頼りなさいな」
「......わかった。ありがとう、紫。私は寝るわね。………明日もきっと戦いはあるもの」
「そうね。おやすみ、霊夢」
そうして、巫女の一日は終わった。
明日になればまたどこかで戦いの火種が生み出され、抗争に至るはずだ。巫女は、その火種を潰し、潰して、それでも争いが起こってしまえば、均衡を保つ為に弱者へ着くのだ。
それこそが、巫女の、
AC、ギムレット
パイロット、霧雨魔理沙
破壊され、詳細不明。
データによると、迎撃能力の高い装備と威力の高い装備を使い分け、中距離から遠距離における射撃戦に対して優位性を維持していた。
パイロットは生存しており、傭兵として再度の活動が待たれるところであるが、復帰の目処は立っていない。
どの話を優先的に完結させるべきか?
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射命丸文編(アリーナ編)
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霊夢・魔理沙編(機械化八人衆編)
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メインストーリー(オムニバス)