Armored Core Eastern War 作:ちょっとだけ別口
魔理沙がAC乗りに復活するお話
『……ぃ、おい! ……くそっ、おい応答しろ!生きてたら返事をしろ!防御型部隊はどうなった!?応答するんだ!!』
「隊長! 助け───」
『おい、どうした!?応答しろ、何があったんだ!?』
通信兵を務める天狗がデバイスを耳にあてがっていると、突如何かを破壊するような物音と同時に声が聞こえてきた。破損しかかっていた無線からの声のせいで、不安感が拭えなかった。
「こちら『───イザー』。貴方達の勢力は、こ───郷において重大な均衡性の崩壊を生み────よってこれより破壊対象と────覚悟しておくこ──────」
『つ………通信途絶!! 解析不能ですが、音声から推察するに、博麗の巫女かと……!』
河童との通信を担当していた天狗の慌てる声を聞いて他の天狗や河童も慌て始める。
『落ち着け、これより巫女と交戦する事になる。AC乗りは全員出撃!あるだけ出せ!これからもあの巫女を雇う事が有り得たかもしれんが、今回に限っては話は別だ!我らの道を阻むならば、巫女すらも潰してしまおうぞ!』
『了解!』
─────。
「……チッ」
無線通信機からの音声が途絶えた。苛立たしさを隠そうともせずに通信機を放り捨てて、自分の搭乗するACに乗り込む。そうする前に、後ろから声が聞こえた。
「な、なぜ私を殺さないの……?」
その問いに、霊夢は肩を竦めて答えた。
「抵抗を止めたその時点で、あなたを殺す価値はなくなったという事。帰って天狗に報告しなさい。『死にたくないならこれ以上の力は持つな』」
そう返してから巫女は、コクピットに乗り込んだ。
その姿を、河童はただじっと見つめている事しか出来なかった。MTは動かないが、互いに生身だった以上、個人で携行する拳銃なりなんなりで攻撃できた筈。それなのにしなかった。
……いや、出来なかったのだろう。並のAC乗りでは相応の苦戦を強いられるであろう防御型AC5機編成の部隊を五つ、計25機の防御型を、あの巫女はものの二分で叩き潰したというのだから、畏怖の念を抱くのもありえない話ではない。
何より、彼女の機体に傷が着いていなかったのが、彼女が絶対的強者たる証拠でもあった。
ふう、と溜息をついてコクピットから飛び降りると、神社の境内では元ACパイロットだった霧雨魔理沙が、霊夢の帰還を待っていた。残っていた煎餅を全て食べ切ってしまうと、霊夢の搭乗していたハーモナイザーに駆け寄り、機体の点検を始めた。
「あのね、魔理沙。別にチェックなんて要らないわ。そりゃ錆びを塗装で誤魔化してはいるけど、今日も一度も当たらなかったのよ?必要ないって」
「あのなぁ、そうは言うけど錆っていうのは一瞬で金属を駄目にしちゃうんだぜ?戦ってる時に腕がポロッと取れたらどうするんだよ。ブレードとか使えなくなるんだぜ?」
「それはその時よ。どうにかならなかった事は無いんだから、今日だって必要無いわよ」
そう言って境内に戻っていく霊夢を後目に、魔理沙は尚も説教を続ける。既に霊夢はいなかったのだが。
「おいおい、あんまり錆を舐めちゃ駄目だぜ。ただでさえオンボロのパーツが多いっていうのに、壊れる度に新しいものに取り替えてたらお金が無くなっちゃうぜ………霊夢?」
魔理沙が後ろを振り向いた時には、霊夢は彼女の説教なんか耳にも届かないような場所で、いつもの暖かいお茶を飲んでいた。その後ろに佇むのは、魔理沙が博麗神社でよく寝泊まりするようになってからは同居人のような感覚で迎えていた八雲紫だった。
「紫、霊夢のやつにガツンと一言、言ってくれよ。下手したら霊夢がオンボロメカに乗ってそのままドカンなんだぜ?頼むから整備に興味を持つように説得してくれよ」
「だって、霊夢?」
紫がニヤニヤ笑いながら霊夢に振り向くが、当の霊夢本人は全く興味を持とうとはしていなかった。煎餅を頬張るその姿に魔理沙が呆れていると、追い打ちをかけるように霊夢が続けた。
「そこまで言うなら魔理沙がやってよ。私は面倒だからここでお昼寝でもしてるわ。じゃ、後はよろしく」
「まったく……仕方の無いヤツ」
「またまたそんな事言って、自分を打ち負かしたハーモナイザーを、自分の手で点検できるのが嬉しい癖に、素直じゃないんだから」
そう言って紫はスキマを使って魔理沙の後ろに回り込み、肩を軽く叩きながら彼女を揶揄った。
「ばか、そんなんじゃないぜ。私は純粋に、あいつの身を案じているだけ。だって私はあいつの技に救われたんだし。だったら河童のところの不完全なガレージ施設よりも、ここ幻想郷で、一番ACに詳しいこの魔理沙が見てやるってのが筋ってものじゃあないか」
「本当に、素直じゃないのね?」
「フン、なんとでも言うがいいさ。私は借りを貸しにして返すだけだし、私の損得で物事を考えてるだけだぜ」
そう言って紫は扇子を広げて笑う。
「ふふふ、それなら今魔理沙がやってる事は無駄ね?」
パタパタと風を仰ぎながら魔理沙を揶揄うように話す。魔理沙はレンチを回して腕部のジョイントを繋ぐ、緩んでいたボルトを締めながら言い返す。
「霊夢は借りたものは借りっぱなしだしな」
「いつかの貴女みたいにね」
「はっ、その話は勘弁してくれ......」
そう言った直後に、博麗神社を笑いが包んだ。
時は変わって深夜。あと数十分で夜も明けるという時に、何やら表がうるさかったので、目を覚ました霊夢が見に行くと、魔理沙が高機動型ACを起動させようとしていた。
「...........ちょっと、魔理沙?あなたなんでこんな夜更けに外に出てるのよ。帰るの?」
「......?あ、ああ、霊夢か。いやな、ギムレットは壊れちゃっただろ?だから新しいパーツを探しに行こうと思ってさ。作業用のレッカーとかはあるから、これでサルベージでもしようと思って」
そう言って魔理沙は高機動型に乗り込んだ。メインセンサーが赤く光り、それと一緒に魔理沙の声が聞こえてきた。
『それじゃ、幽香の所に行ってくるぜ』
「ちょっと、幽香のとこの畑はこの前襲われてたばかりでしょ?機嫌を損ねたら殺されるわよ?」
『まあまあ、私にも考えはあるんだ。ひと月もすれば『二代目ギムレット』が完成するんだぜ、軽い軽い』
「さっきから何の話を……まあいいわ。行くなら気を付けてね。最近機嫌悪そうにしてたし」
『おー、十二分に気を付けるぜ』
そう言うのと同時に魔理沙の登場する高機動型のブースターが作動し、不安定な山道を下っていった。その様子を遠巻きに眺めていたが、そのまま興味も失せたのか、冬場には特に暖かい毛布にくるまりに戻っていった。
明朝の事だった。足元にスナイパーキャノンの大口径弾による大穴が開いたのは。魔理沙が太陽の畑の敷地内に入り込んですぐだ。撃たれてすぐ広域無線によって相手の通信機からの声が聞こえてきた。
『誰だか知らないけれど、ここが私の住む場所だと知らなかったのかしら?とっとと立ち去りなさい』
「ゆ、幽香!ちょっと待てって。話をしに来たんだよ!」
『...........魔理沙?どうして高機動型なんかに乗っているの?ギムレットは一体どうしたのかしら?』
太陽の畑の奥地、もはや数少ない向日葵を守るようにフェンスや鋼鉄の防壁があり、その前にどっしりと構えるタンクAC、そのパイロットである風見幽香が、魔理沙の声を聞いて警戒を緩めず質問する
「実は霊夢と最後に戦った時に潰されてさ。話っていうのは、ここでACのパーツを集めさせてもらえれば私も無償で、しばらく畑を守る手伝いをするって事を言いたかったんだよ。人手が増えれば単純に助かるだろ?」
『………本当にパーツを渡すだけで良いの? 確かに人手があれば助かるけど』
「もちろん!私は『貸しはきっちり返す』女だぜ?」
『…わかったわ。メディスン、もう良いわよ』
そう声がしたかと思うと、巨大な向日葵畑の陰から二機のACが姿を現した。一機でも勝てるかわからない相手だ、このコンビを相手に回した妖怪の山のMT部隊は憐れの一言に尽きる。
「ご理解どうも。そしたら早速サルベージに取り掛からせて貰うかな。幽香、手伝ってくれ」
『はいはい......』
ブーストを使って気持ち早めに移動する。幽香について行った先には大きな穴が空いており、そこから覗く大量のパーツが魔理沙を歓迎していたのだった。
『太陽の畑』
風見幽香とメディスン・メランコリーが守る土地。
幻想郷有数のパーツ埋没地として名高く、太陽の畑の支配を目論んで度々他の組織や徒党を組んだ傭兵崩れが襲撃してくる。しかし彼女らの防衛術は徹底されており、7年間もの間、無敗を誇る。
パーツだけでなく、弾薬のような戦闘には欠かせないような軍需品も大量に存在しているとされる。
近年、攻撃が激しくなってきている事もあり、時折傭兵を雇う事もあるものの、風見幽香が彼らを信用することはない。
それが叶うのは大抵、霊夢や魔理沙の様な実績を持ち且つ古くより親交のある雇われか、命蓮寺の様な中立を貫く組織ぐらいなのである。
どの話を優先的に完結させるべきか?
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射命丸文編(アリーナ編)
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霊夢・魔理沙編(機械化八人衆編)
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メインストーリー(オムニバス)