機動戦士ガンダム進藤   作:ドロップ&キック

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アクション皆無の第1話です(^^




第001話:”カガリ、太陽の都に立つ”

 

 

 

Cosmic Era 71.1.25

オーブ所有コロニー ”ヘリオポリス”

 

「そろそろかな……」

 

()()()こと”カガリ・ユラ・アスハ”は、この時代の感覚だとオールドファッションに分類されるらしいデザインのダイバーズウオッチを見ながらそう独り言を呟く。

いいじゃないか。”フロッグマン”とか好きなんだから。特にアナログモデル。

とりあえず、

 

(打てる手は全て打った……はずだよな?)

 

根回しは終わってる。

あの、”クソッタレな愉快犯(ケナフ・ルキーニ)”が、”破滅志向の変態仮面(ラウ・ル・クルーゼ)”にオーブと大西洋連邦が共同開発している”G兵器”の情報を流した時点でヘリオポリス襲撃は回避できないだろう。

 

ケナフにこの世から消えてもらうって選択肢も無くはなかったけど……

 

(その場合、物語がどう流れてゆくかわかったもんじゃないからなぁ)

 

ヘリオポリス襲撃は”ガンダムSEED”の最重要イベントの一つ、物語全ての出発点だ。

それが万が一にも起きなかったら、どんなバタフライ効果が起こるか知れたもんじゃない。

 

(まあ、それでも襲撃されるのをただ座して待つ筋合いはないけどね)

 

この時期、MSを根幹とするザフトの戦力は圧倒的で、現状ではヘリオポリスに駐留してる軍事力で正面から戦うのはどう足掻いても不可能、対MSドクトリンが確立されないうちは被害が増えるだけだ。

 

ならどうするか?

 

(襲われるのは仕方ないにしても、被害は最小限に、)

 

「そして被害から生じる利益は最大限に……」

 

ワタシはそう呟きながら、カトウ教授のラボへと急いだ。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

今更だけど、このワタシことカガリ・ユラ・アスハは、”転生者”だ。

とは言っても残念ながらトラックにひかれた記憶もなければ、神様に出会ったこともない。

どうせなら、エリス様辺りに会ってみたかったものである。だがアクア、てめーはダメだ。

 

とはいえ、前世と呼ばれる時代の記憶は部分部分が酷く曖昧で、自分の名前やどんな人物だったのか……どころか、その時の性別すらもよく思い出せない。

今生では、胸は比較的薄くとも間違いなく女の体だが、言動とか思考とかがイマイチ女っぽくないのは、もしかしたらTSした影響かもしれないと少し考えている。

 

性別なんて些末的なものはどうでもいいとして、問題なのは鮮明に覚えているのは自分が、趣味嗜好や持っている知識や記憶の断片から考えて、こことは違う地球の20~21世紀にかけて生きていた”日本人”であろうということ。

そして、今生に酷似した世界を「()()()()()()()()()()()()()()()()()()」ということだろう。

 

語弊のある言い方だが、「観客だったはずなのに気がつけばキャストとして舞台に立っていた」というのがワタシの素直な感想だ。

 

 

 

だが、私自身は自分はさほど運が悪いとは思っていない。

むしろ、朧げな記憶の中にある各種”転生系主人公”と比べるなら、比較的()()な境遇とさえ思っている。

 

少なくても00の世界でガンダムマイスターやったり、鉄華団の一団員として生きるよりは人生イージーモードだろう。

死傷率もいくらか低いだろうし、何より人外変化もしないと思う。多分。

それに転生特典「()()()()()」もいくつか思い当たると言えば思い当たる。

自分の異能(チート)を懇切丁寧に説明してくれる存在はいなかったので、またしても感覚的な表現になってしまうのはご愛嬌だ。

 

中でも明確にチートと言えるのは、赤ん坊の頃……いや、より正確に言うなら「生まれ落ちた瞬間から転生者としての自我と記憶があった」ということだろうか?

 

だから、言葉をしゃべれるようになるまでに自分が何者なのか認識できたのは、我ながら大きな人生のアドバンテージだと思う。

まあ、同じベビーベッドで隣に寝ていたのがキラ・ヒビキ、後のキラ・ヤマトだと判明したときは、流石にビビったけどさ。

 

まあ、幼年期は実はそれほど大きな原作乖離はしてないはずだ。

規定通りにテロに遭遇した両親は生死不明の行方不明。そして、オーブ五大氏族の一つのアスハ家に無事引き取られた……と、そこまでは良かった(?)のだが、どうも厳密にはここは「ワタシが保持しているガンダムSEEDの世界」とは少なからず差異があるようだった。

 

例えば、ワタシが引き取られ新たな母国となった”オーブ連合首長国”だが、私の記憶の中にあるオーブはソロモン諸島を国土とするこじんまりとした島嶼国家だったが……この世界では、驚くべきことに面積だけで言うなら数十倍の国土を有する。

そう、ソロモン諸島が縄張りだった”()()”と違い、今生のオーブは「旧英連邦のフィジー諸島やバヌアツがあるシェパード諸島を除くメラネシアの大部分」を国土として有するのだ。

 

もっと具体的に言うなら、オーブの首都がある”オノゴロ島(この世界ではオーブ本島とオノゴロ島は同じ島)”の旧名、再構築戦争の前までの呼び名は「ニューギニア島」……グリーンランドに次ぐ島としては世界二位の面積を誇る島で、ニューギニア島の面積だけで約78.6万平方km、前世の日本の国土面積の約2倍の面積を誇る。

この巨大島に加えて、前出のソロモン諸島にビスマルク諸島を加えた物が、大雑把に言えばオーブだ。

 

ついでに言えば現状だと近場のフィジー諸島とシェパード諸島が英国からの流れで大西洋連邦の勢力圏、ニューカレドニアとニュージーランド、そしてオーストラリアが”大洋州連合”だ。

 

 

 

聞いただけで分かると思うが、今のオセアニア地区はちょっとした火薬庫だ。

 

大洋州連合は開戦以来、明確な親プラント路線を打ち出してるし、大西洋連邦直轄のフィジーやバヌアツ、そしてややこしいのはオーブだ。

オーブは確かに「大西洋連邦寄り」ではあるが、必ずしも「親地球連合()()()()」。

 

地球連合とは要するに、再構築戦争後に擁立した大西洋連邦、ユーラシア連邦、東アジア共和国などの寄り合い所帯で、再構築戦争以前の西暦時代の確執……歴史的背景から、オーブはユーラシア連邦をあまり好いてるとは言えずに距離を取りがちで、東アジア共和国はむしろ明確に嫌っている。

 

まあ、あまり細かく言う気はないが……オーブの公用語が日本語で、日本という国家が歴史用語になり、現在ある東アジア共和国が「どの旧国家が盟主となって成立したのか?」から察して欲しい。

ついでに言えば東アジア共和国の公用語は、”日本語()()()()”。

それはかつて、「日本と呼ばれた地区」でも同じだ。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

そんな歴史と世界情勢だからこそ、オーブは真面目に国防に取り組んできた。

原作より人口学的には国土面積ほど倍加したわけではないが、それでも「南太平洋の大国」と称されるにふさわしいだけの、国力に見合った戦力を有せるよう努力してきた。

 

ワタシもできる限りの尽力はしてきたつもりだ。

転生者としての前世記憶(チート)を存分に生かし、遺伝子操作を受けていないナチュラルでありながら並のコーディネイターを凌駕する、進藤……じゃなかった”神童”と呼ばれる程度には、だ。

 

そして、特に大西洋連邦に強いコネを持つ国防を司るサハク家や、オーブきっての金権主義者であるセイラン家とは、間違いなく原作より良好な関係を築けてるはずだ。

 

その結果が、”今”だ。

 

 

 

襲撃が避けられない以上ヘリオポリスの崩壊は、おそらくもう防げないだろう。

正直、プラントの軍事組織、Z.A.F.T(ザフト)は人類史上初のコーディネイターのみで編成された軍隊だけあって、練度や士気は高いかもしれないがモラルは軍隊と考えるなら最底辺。ぶっちゃけ前世の記憶をなぞるのなら、南米で麻薬畑の用心棒やってるような民兵組織と大差ない。

確かに戦闘訓練は受けているだろうが、「軍人とは何ぞや?」というような軍や軍人の在り方を根本から問うようなまともな軍人教育を受けてるようには思えない。

つまり、スペックは高くとも常識だの良識だの人間性だのには、残念ながら上から下まで全く期待できないのだ。

 

(まあ、スペックごり押しで生まれた促成栽培の国家()()()に軍隊()()()だ。当然といえば当然か)

 

そんな連中が、民間施設や民間人の被害を考慮して戦うとは思えない。

例えば、オーブは地球連合にまだ加盟しておらず、如何に大西洋連邦よりで今もこうしてMSを共同開発してようと、形の上ではまだ辛うじて”中立国”だ。

 

ラウ・ル・クルーゼはその意味を理解した上での確信犯だろうが、他のザフトは兵卒から将軍クラスまで、「辛うじて中立を維持してる国の民間人が大量に居住するコロニー」を攻撃する意味など深く考えていないだろう。

 

連中にとっては、「中立を口にしながら敵であるナチュラルとMSを共同開発してるオーブは攻撃して構わない。民間人がどれほど死のうが、コロニーが崩壊しようが知ったことではない。我々はユニウスセブンに核を撃ち込まれ同胞を殺されたのだから、これは当然の権利だ」とでもなるんじゃないだろうか?

 

(前世の記憶、アニメの中のザフトと大差のない動きをしてる以上、)

 

「短絡的で恣意的な軍事行動は変わらないだろうな……」

 

今のザフトは所詮、「ユニウスセブンの怨念」で衝動的に動く武装組織に過ぎない。

その代表格がパトリック・ザラというのだから笑えない。

 

(連中はもはや国防という意識で動いてるわけじゃない……)

 

連中を突き動かしているのは報復心……つまり、怨嗟と憎悪だ。

理性や知性や打算ではなく、感情やら衝動やらより本能的な部分で動いてる以上、厄介なことこの上ない。

 

(そういう連中は、後先考えずに行動するからな~)

 

ともあれ、

 

「オーブの辿る悲劇は、止めてみせる……」

 

そう簡単に国土を焼かせてたまるかっての!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 




とりあえず、久しぶりに仕事以外の文章を書いた気がします(挨拶

どうも、社畜です(泣
お久しぶりです。あるいは初めまして。

コロナ禍がいったんは納まり、出社再開になった途端、愛用のパソコンが壊れて途方に暮れてましたが、また細々とでも作品を書きたくなり投稿しました(^^

どこまで執筆続けられるかわかりませんが、とりあえずこのシリーズではカガリはヒロイン枠ではなくヒーロー枠ですw

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