機動戦士ガンダム進藤   作:ドロップ&キック

10 / 60
・ω・`)ノ □ ヒョイ
誰も読まないかもしれないけどコソーリ深夜アップです(^^

崩壊はあっさりと、そして原作では書かれなかった”事後処理”なんかを。

そして、遂にあの男が……





第010話:”カガリと尻拭いと金と赤”

 

 

 

数時間後……遂にヘリオポリスは()()()()()()()()()()()()()()()崩壊の時を迎えた。

 

そして、まるで予定調和のようにアークエンジェルは逃走し、ザフト……クルーゼ隊がそれを追いかけた。

無論、ザフトはヘリオポリスの戦争被害者を救難するような挙動は一切しなかった。

バッチリその模様を見えなくなるまでカメラで納めながら、

 

『てっきり仕掛けてくるかと思ったが……思いの外、つまらん連中だ』

 

とボヤいてるのは、念願のMBF-P01”ゴールドフレーム”のコックピットからの中継してるギナ兄ことロンド・ギナ・サハクだ。

 

まあ、ギナ兄としてMSパイロットデビューとして華々しく初陣を飾りたかったんだろうけど、それは残念ながらそう遠くはないだろぷ次の機会(ドンパチ)を待ってほしい。

第一、アークエンジェルを追いかけつつ早々とザフトが撤収したのは、現状を考えればありがたい。

それにしても、

 

(予想以上に勘の鋭い奴だな……)

 

”ラウ・ル・クルーゼ”

ヘリオポリスの残骸から現れたイズモの姿を視認した途端、原作に比べても早々にこの宙域から離脱することを決めたのは、間違いなくあの男だ。

 

(単純な警戒か、あるいはこちらの戦力を読んだか……)

 

イズモ自体が戦艦だけの殴り合いに限定すれば、クルーゼ隊麾下の全艦……ナスカ級×1とローラシア級×3を正面から相手取り、単艦で打ち破れるだけの強力な打撃力を持つ宇宙戦艦だ。

 

それに加えて、今は鉄火場が去ってしまったため残念そうな顔をしているギナ兄が乗り込むアストレイ・ゴールドフレームに、ソキウス・シリーズが座乗するP0シリーズの開発に大いに参考した鹵獲ジンの改造(カスタム)モデル、ブラッドオレンジと黒と白のオーブ国防トリコロールに塗られた通称”オーブ・ジン(なんか酒の銘柄みたいだな……)”が5機だ。

実はこのオーブ・ジン、P0シリーズやGAT-Xシリーズに搭載される予定調和の新型スラスターやらなにやらの性能評価試験のテストベッドとしても使われていたから、素の性能はもしかしたらまだ前線に姿を現してないジン・ハイマニューバに匹敵するかもしれない。

 

これを最初のソキウスこと”ザ・ワン”、ワタシ直轄のコンビニ・コンビことセブンとイレブン、サハク家預かりのフォーとシックスが操るんだから、いくらガンダムをゲットしたクルーゼ隊だって、相当に苦労するんじゃないかな?

 

あっ、ちなみに残るソキウス達も『()()()()()()()員数外(ノーナンバー)』を除いて、オーブ本国やら軌道ステーション(アメノミハシラ)やらで元気に留守番してるはずだぞ。

 

 

 

話は戻すが、勘にしてもこちらの戦力やら思考やらを読んだにしても、可愛げないことこの上ないな。

何せザフトからちょっかいかけてこない限り、今の所こちらから追撃なんぞできないのだ。

なぜって?

逆に聞くが、自国民が危機に瀕してるのに救わない国軍がどこにあるんだ?

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

(想定したとはいえ、いざこうなってしまうと歯痒いものだけどな)

 

ギナ兄のゴールドフレームやソキウス達のオーブ・ジンは既に発艦し、最優先で脱出ポッドを兼ねたシェルターの回収に入ってる。

そこ、露骨な点数稼ぎとか言わない。

無論、録画はきっちりしてるけどさ。

 

ワタシはワタシで、まだ自分がその器にない事を自覚しながらもイズモの艦長席に尻を収めている。

まあ、戦闘じゃないとはいえギナ兄がせっかく楽しそうにMSを動かしてるんだ。

妹分としちゃあ、それを邪魔するのは野暮ってもんだろ?

 

言っておくが、ヘリオポリスに秘密裏に停泊していた軍艦はイズモだけじゃない。

戦闘艦だけに限定しても大西洋連邦から売却されたネルソン級を改装した防空巡洋艦とドレイク級×2もあるし、軍用の輸送艦も数隻用意してある。

 

また、今は傭兵集団(サーペントテール)にそれとなく護衛してもらってるが、『建前的には』ザフトの襲撃が予想される中、緊急出港させ安全圏まで退避させていた”()()()()()()()”がダース単位でこの宙域に戻ってきている。

 

さて、デブリ舞う中で妙に手慣れた動きで小器用に飛び回る作業用MA(ミストラル)……というか、やけに大きなアーム(もしかしてMS用のアームかな?)を取り付けてるなら正確には、その”改造機(キメラ)”か?がいた。

何となく誰が乗ってるのか分かったかもしれないが、ハチマキバンダナがトレードマークのみんな大好きトサカ頭の、

 

「流石にいい腕してるな? ロウ・ギュール

 

『そいつは光栄だな? ”オーブの姫さん”よ』

 

距離が近いせいだからだろうか? ニュートロン・ジャマーの影響下にあるはずなのに思いの外クリアな音声が入る。

 

「姫さんはやめてくれ。ガラじゃない」

 

誰が姫だっつーの。かと言って王子ってのもガラじゃないだろうけど。

プリンスって二つ名は、やっぱギナ兄とかのが似合うだろうし。

 

とまあそれはいいとして、前にもちょっと話したかもしれないが……ジャンク屋組合に話を通し、ヘリオポリスの残骸の回収手伝いを『()()()()()()()()()へ正式に指名依頼』として出したのだ。

 

契約は「レッドフレームを含めて報酬をきっちり払う分、無許可で回収物を持ち逃げしないこと」だ。

そして、その契約を反故にすれば、その時点で即座に「オーブ宙域内での悪質な海賊行為」として警察権を発動するとも。

 

(実はそのあたりはあまり心配してないんだけどな)

 

ジャンク屋組合全体を見るなら、デブリ回収にかこつけて半ば強奪じみた真似を平気でやるその他大勢のジャンク屋も、その後ろ盾のマルキオ導師も込みでかけらほども信用してないが、まあロウ・ギュールの在り方はその貴重な例外だと考えている。

 

ワタシの持つ前世知識(チート)……必ずしも全てが今生のリアルと一致してるわけじゃないが、幸いにしてロウは、彼の場合漫画で読んだ時の印象と大きくかけ離れてはいないようだ。

自分の仕事にプライドを持ち、契約を遵守しようとする姿勢は評価していいし、それなりに好感が持てる。

 

(これはこの先のナチュラル用OS開発も期待できるかもな)

 

まあ、そのために原作みたいに偽名を使ってこそこそ接触させるんじゃなくて、公明正大にジュリたちをジャンク屋組合に出向(具体的にはロウ一味に預ける)させるのであるが。

 

『それにしても』

 

「ん? なんだ?」

 

『遺体の回収は本当に手伝わなくていいのか?』

 

「いいさ。亡骸(なきがら)はジャンク屋が回収すべきデブリじゃない」

 

我ながら感傷だとは思うけど、

 

「ここはオーブの土地だったんだ。なら、可能な限りオーブ人が弔い、故郷へ戻してやるのがスジってもんだろ?」

 

例え全て拾ってやれないとしても。

 

『……アンタ、今時珍しい考え方するんだな?』

 

「そうか?」

 

元日本人としちゃあ、割と普通だと思うんだけどな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




どんなもんでも後始末って大変だよね(挨拶

原作と違って酷くあっさりめのエンカウントを果たした(正確にはまだ顔を合わせてませんが)ギナ兄とロウのアニキの回でした(^^
まあ、この世界のギナ様って、今の所特にロウに興味持つ理由ないしね。

次回あたりに”トカゲのしっぽ”とか出てくるかな?


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