これにてアークエンジェル・サイドのエピソードは一旦終了です。
まあ、オチ回みたいなもんです(^^
そしてオチ担当と言えば……
さて、和やかな空気の中(会話内容は幾分物騒であったが……)キラと親睦を深めている最中、唐突にマリューにブリッジからの呼び出しが入る。
キラに断りを入れてから急ぎ足で戻ってみると、待っていたのはブリッジの中で一番大きなソリッドステート・スクリーンに映る、容姿や顔立ちはいっそ不自然なほど整ってはいるが、鋭すぎる目つきのせいで魅力値が幾分スポイルされてくる黒髪ロングの青年……
画面の端にあるアイコンは『秘匿回線にてライブ通信中』であることを示していた。
そして、マリューのブリッジINを確認すると、その青年はどこか挑発するように小さくフフッと笑い、
『会いたかったよアークエンジェルの諸君』
沖田十三コスなのに、何故かデスラームーブをかましてくるロンド・ギナ・サハクがそこにいた。
いや、確かに
☆☆☆
初っ端からかましてくれたが、ギナからの通信内容自体は比較的まともだと言えた。
要約すれば、
”次の攻撃でザフトの阿呆どもは、後先考えずになりふり構わぬ装備でやって来るだろう。おそらくその攻撃にヘリオポリスは耐え切れず瓦解する。その時は脇目もくれずさっさと逃げろ”
という通達だった。
「いえ、ですが……」
何とか言葉をつなごうとするマリュー。
他意があるわけではない。ましてや恩を売りたいわけでもない。
ただ、彼女は軍人としては「人として善良すぎる」きらいがある。
だから、この状況を「
そして、ギナはそれを許容する人間では当然なく、
『ここは
そうバッサリと切り捨てる。
その正論すぎる物言いに、マリューだけでなくアークエンジェルのブリッジ要員全てが二の句が継げなくなるが、
『良いか?
「サハク国防委員……」
事実のみを告げるようにしてるが、決して冷たいだけではない言葉に感じるものがマリューにあった。
『私のことは国防委員ではなく、今はサハク艦長とでも呼んでほしいところだな』
ロンド・ギナ・サハク、どこまでもブレない男であった。
『ラミアス大尉、
「あっ、待ってください! 実はご報告しなければならない事が……!!」
☆☆☆
マリューの話は、
『民間人扱いでありながら、オーブ軍から援助を受けてる少年とその仲間を保護していること』
『強奪を阻止するためとはいえ、成り行きでその少年を開発中のGAT-X105に乗せ、操縦させてしまったこと』
などを可能な限り詳細に伝えた。
その情報、ブリッジにいるナタル・バジルールにとってもムウ・ラ・フラガにとっても見事なまでの初耳学(当然だ。マリューだって聞きたてのほやほや情報なのだから)で、思わず唖然としてしまう。
ギナは少し考えると、その”保護した民間人”のリストを送るように伝え、それを受け取ると「直ぐにまた通信をつなげる」と言い残しいったん通信を切る。
無論、マリューはナタルから情報共有を図るように詰め寄られた。
そして、その後……
『確認した。先ずはキラ・ヤマトの処遇に関して告げる』
そして一端言葉を切り、
『キラ・ヤマトは現状、軍人ではないが”軍属”ではある。なので「本人が継続して開発中のMSに搭乗を望む」場合に限り、臨時任官で本人をオーブ軍技官、技術少尉とし”GAT-X開発協力者”として大西洋連邦への出向扱いとする』
「えっ!?」
だが、マリューの驚きはまだ序の口。なにしろ、
『ああ、それと詳しくは言えんが……キラ・ヤマトは”
とんでもない爆弾を放り込んできた!
まあ、実際は”遠い縁者”どころか双子の弟なのだが。
『一応言っておくが、私の可愛い国民に無理強いは許さんぞ? あくまで本人がMSの継続搭乗を望んだ場合のみだ』
そう釘を刺すギナに、
「は、発言の許可をっ!!」
慌てて挙手するのはナタルである。
ちゃんと発言の許可を求めるあたり、急展開に驚いてはいても、理性は蒸発してないらしい。
『
「大西洋連邦軍
原作より実は1階級上のナタルである。
まあ、別に不思議な話ではなく士官学校出て任官して程なくプラントと開戦。初期において大量の戦死者が発生し、特に士官の欠乏が深刻だったためにその影響でまだ軍服がフィットしきれない内に階級章だけが少尉から中尉に代わってしまったのがナタルであった。
まあ、彼女だけに限らず大西洋連邦どころかこの時代の地球連合全体に散見していた「開戦昇進」であった。
もっとも25歳で中尉というのは、平時でもさほど珍しくはないが。
そう25歳……実は、原作とはマリューと年上年下が逆転してしまっている(マリューは現在24歳。つまり”年下の上官”。しかも民間出身の技術畑……)。
軍は階級が絶対とはいえ、今後の展開にそれがどう影響するか未知数だ。
『発言を許可しよう。で、なんだ?』
「いえ、その全体的に非常事態とはいえ……そのご判断は、些か無理があるのではと愚考いたします」
一応、目上の者に対する発言の体裁を守るナタルだが、
『ふふん。確かに愚考だな。それにキサマはまだ
ギナは楽しげに鼻で笑うと、
『その無茶や無理を通すのが、軍隊であり政治家であろうが? 戦時となれば尚更だ』
「しかし……!」
なおも食い下がろうとするナタルに、
『私の権限で必要な書類は用意してやろう。すべて私の印鑑が押された本物の公文書だ。特例的措置に必要な手続きや根回しも手配しよう。そういうのが得意というか好きなのが、ちょうど身内にいる』
ニヤリと笑い、
『何の問題がある?』
軍人、ザフトのようなゲリラやテロ組織と大差ない民兵組織はいざ知らず、現代軍は基本的に公務員(正確には”特別職国家公務員”)だ。
なので必要な書類を用意して、手続きを踏めば案外どうとでもなってしまう。
「ぐっ……」
『バジルール中尉とか言ったか? キサマは少々「軍人の何たるか」という教練が足らんようだな?』
ギナは楽しそうに、
『戦後にでも、軍の人材交換留学制度を利用してオーブ軍へ招聘してやる』
「へっ!?」
『なんなら私が直々に鍛えてやろう。楽しみに待っていろ』
それはロンド・ギナ・サハクのその場限りの冗談だったのかもしれないが……だが、ナタルという名がギナに名を覚えられたのは紛れもない事実であった。
しかし、物は考えようだ。
もしかしたら彼女の死亡フラグは……いや、この先は言わぬが花だろう。
ギナ兄は有能なドS(挨拶
原作では最後は”炭素人間”なんて怪しさ大爆発な存在になってしまいましたが、道を踏み外さねばギナって滅茶苦茶有能だと思うんですよ。
優れたMSパイロットであると同時に、原作でも大西洋連邦相手に政治交渉とか普通にやってましたしね(^^
そして、そんなんに目をつけられてしまったバジルール中尉(25歳)……死亡フラグ×死亡フラグの行く末は果たして?
さて、次回からは後始末の顛末と、心はエブリデイ両性具有さんが、またしてもろくでもないこと考えるみたいですよ?