例えそこが戦場であったとしても、青春ってのはやっぱりある訳でして(^^
あと、少し伏線回収。
「えっ? キラって地球連合に志願したの!?」
「いや、違うよ。ミリー、実はね……」
ここは現状では決して満席になることはないアークエンジェル内の士官用食堂。
その日、キラではなくマリュー・ラミアス名義で、トール・ケーニヒ/ミリアリア・ハウ/サイ・アーガイル/カズイ・バスカークの四人はここに集められていた。
「つまり、キラは軍から奨学金とか色々もらってたから、非常事態って事でオーブ軍に臨時編入されて、書類上はオーブ軍から地球連合に出向ってこと?」
ミリアリアに苦笑しながら、
「厳密には、”
「どっちも、友好国とは
「こら、トール」
ぱこんとミリアリアに小突かれてタハハと笑うトール。
オーブの建国に至る歴史的背景と、それに裏打ちされた国民感情的には正解の反応だろう。
「いや、それはいいんだけどさ……」
メガネをくいっと直しながら、困ったような顔をするのはサイだ。
「あっ、それと僕は実は、その……コーディネーターなんだ」
一世一代の告白のつもりだったキラだったが、
「あっ、やっぱり」
これはトール。
「ええ。そうじゃないかと思ったわ」
ミリアリアに、
「うん。それが?」
サイ……
「ちょっとみんな!? 演技でもいいからもう少し驚いてあげよっ!? ねっ!?」
そして、オチ担当のカズイ。
いや、彼はちゃんと驚いてくれたが……他三名にはあっさり流された。
「いや、だってなあ? キラって別に力をひけらかしたりはしてないけど、あんまコーディネイターだって隠してる感じなかったし」
「うそっ!? 僕はこれでも必死で隠してたつもりだったんだけど……」
「あれで? ああっ、分かったわ……キラって肉体的にはコーディネイターでも、性格が
「おっ! ミリー、上手い! 座布団一枚!」
「んー……座布団より、トールの膝枕を所望かな?」
「いいぞー。膝枕でも抱き枕でもドンと来いだ!」
公然とイチャつきだすトールとミリアリアにサイはコホンと咳払い一つ。
カズイは達観したような……全てを諦めたような眼をしていた。
「いや、キラがコーディネイターだって事は、心底どうでもいいとして……」
「ちょっ!?」
サイ・アーガイル……割といい性格をしていた。
「キラ、俺のメガネがおかしな方向へ進化したんじゃなければ、お前の隣に手をつなぎながら座ってる綺麗な女性は……」
「うん。マリューさん♪」
「やっぱり見間違いじゃなかったか……ラミアス艦長は、その、どうしてこんな場所に?」
「えっと……それはね、」
「いいよ。マリューさん、これは男の僕から言うべきことだ」
「キラ君……」
見つめ合う二人……もう、サイ達四人には、そろってオチは見えていた。
見えていたが、それでも友人の見せ場を奪うのは無粋だと思う優しさがあった。
「僕、キラ・ヤマトと」
「私、マリュー・ラミアスは」
”きゅ”
繋ぐ手に僅かに力がこもり、
「「正式にお付き合いを始めました♪」」
「キラがコーディネイターってより、そっちが驚きだよっ!!」
自分の仕事はきっちりこなすカズイ・バスカークは、将来いい男になるかは不明でも、きっといい社会人にはなるだろう。
☆☆☆
「年上の彼女ゲットだなんて、キラもやるじゃない♪」
「ありがとう。ミリー」
友人(紅一点)の祝福に素直に可愛らしいと形容できる……マリューが一発KOされたと噂される微笑みで返すが、
「んー、でもキラが軍人かぁ……正直、似合わなくね?」
「トール、僕自身も実はそう思ってるから、もうちょっと言い方を手加減して」
正直すぎる感想に、今度は凹んだ表情のキラ。
マリューの影響は偉大と言うべきか?
この世界のキラ・ヤマトという少年は、実に表情豊かでおまけに
肌や髪の色艶もよく、可愛い系美少年っぷりに拍車がかかっていた。
「でも、特別職枠とはいえ、国家公務員は国家公務員か……しかも階級は
オーブ軍の階級は、特に士官が自衛隊のそれを多く引き継いでいて、三尉=他の国の少尉という感じだ。
他国の軍人と話すときは面倒臭いんで「三尉、三佐」と呼ぶより普通に「少尉、少佐」のように呼称することも多い。
例えば、アークエンジェルの面々と話した時のギナなんかがいい例だ。
「ちょっとトール。キラだって別に好きでそうなった訳じゃないでしょ?」
「それに士官学校出身者と同じスタートだろ? 一般的な国立大学出のキャリアとはちょっと比べにくいな」
と冷静に答えるサイ。
「でもさー、国家公務員だぜ? エリートの。戦争無けりゃ将来安泰じゃん?」
「いや、今戦時中だし」
カズイの鋭いツッコミが冴え渡る。
「ケーニヒ君ってもしかして軍人になりたいの?」
ちょこんと首を傾げるマリューに、
「ああ、その……軍人っていうのに特別な憧れはないですけど、国家公務員には正直惹かれます」
「じゃあ、やってみる? 国家公務員」
「へっ?」
「約束したから、ここで名前はだせないけど……」
マリューはニッコリ微笑み、
「実はオーブのすごーく偉い人から申し出があってね、」
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「へっ? アークエンジェルに乗り込んでる民間人、カレッジの学生が”短期下士官養成コース”を受講していた事にする……と?」
「うむ」
あー、カガリ・ユラ・アスハだ。
今は、ちょっとギナ兄に用があって、いつものオーブコックピットがある区画とは別のブロックに来ている。
「キラ・ヤマトに感化されて軍艦で仕事をしたいと言い出したら、そういう風に処置してくれとな」
「はあ……」
ま、まあ学生向けの「短期下士官養成カリキュラム」は義務教育以上なら受講できるコースとして実在する(本来は短大生や四大生がメインターゲットだが)し、原作より扱いは良くなりそうだから、これはこれで結果オーライか?
「それより愚妹」
「誰が愚妹だ。いや、別にいいけど」
ギナ兄は鎮座するMSを見上げ、
「この生まれ変わった”
「いや、どうだと言われてもなぁ」
後に出てくるだろう一連の”
「まだ、カスタムし始めたばっかって感じ?」
「グッ……」
あっ、その反応だとギナ兄もまだ満足してなかったってわけね?
ただ、ワタシにはギナ兄の黒髪と”安全第一”とお馴染みの四文字が書かれたヘルメットの組み合わせの方が、シュールすぎてインパクトあったのは確かだ。
マリュー・ラミアス(24歳)、少年少女たちに混じり只今青春真っ盛り(挨拶
誰もが予想していたかもしれませんが……キララクフラグ、完全消滅で。
最早、原作乖離は阻止限界点を超え、大気圏突入を開始しました(^^
そして、なぜかカズイの見せ場が急増してる謎w
なんか、同時に色んなフラグが立った気がしますが……主にギナ兄のせいで。
そして、カガリサイドのある意味フラッグシップMSが出てきましたね~。
次回は、そこらへんの話になりそうです。