機動戦士ガンダム進藤   作:ドロップ&キック

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ちょっと初代ED風のサブタイでw

例えそこが戦場であったとしても、青春ってのはやっぱりある訳でして(^^

あと、少し伏線回収。




第027話:”あんなに一緒だったから……つないだ手は離さない”

 

 

 

「えっ? キラって地球連合に志願したの!?」

 

「いや、違うよ。ミリー、実はね……」

 

ここは現状では決して満席になることはないアークエンジェル内の士官用食堂。

その日、キラではなくマリュー・ラミアス名義で、トール・ケーニヒ/ミリアリア・ハウ/サイ・アーガイル/カズイ・バスカークの四人はここに集められていた。

 

「つまり、キラは軍から奨学金とか色々もらってたから、非常事態って事でオーブ軍に臨時編入されて、書類上はオーブ軍から地球連合に出向ってこと?」

 

ミリアリアに苦笑しながら、

 

「厳密には、”()西()()()()()”だよ。地球連合だと東アジア共和国とかユーラシア連邦とかも入ってくるし」

 

「どっちも、友好国とは()()()()()()()()()()からなぁ~。正直、カオシュンが陥落した時、『ざまぁ!』って思ったし」

 

「こら、トール」

 

ぱこんとミリアリアに小突かれてタハハと笑うトール。

オーブの建国に至る歴史的背景と、それに裏打ちされた国民感情的には正解の反応だろう。

 

「いや、それはいいんだけどさ……」

 

メガネをくいっと直しながら、困ったような顔をするのはサイだ。

 

「あっ、それと僕は実は、その……コーディネーターなんだ」

 

一世一代の告白のつもりだったキラだったが、

 

「あっ、やっぱり」

 

これはトール。

 

「ええ。そうじゃないかと思ったわ」

 

ミリアリアに、

 

「うん。それが?」

 

サイ……

 

「ちょっとみんな!? 演技でもいいからもう少し驚いてあげよっ!? ねっ!?」

 

そして、オチ担当のカズイ。

いや、彼はちゃんと驚いてくれたが……他三名にはあっさり流された。

 

 

 

「いや、だってなあ? キラって別に力をひけらかしたりはしてないけど、あんまコーディネイターだって隠してる感じなかったし」

 

「うそっ!? 僕はこれでも必死で隠してたつもりだったんだけど……」

 

「あれで? ああっ、分かったわ……キラって肉体的にはコーディネイターでも、性格が天然君(ナチュラル)なのよ。きっと」

 

「おっ! ミリー、上手い! 座布団一枚!」

 

「んー……座布団より、トールの膝枕を所望かな?」

 

「いいぞー。膝枕でも抱き枕でもドンと来いだ!」

 

公然とイチャつきだすトールとミリアリアにサイはコホンと咳払い一つ。

カズイは達観したような……全てを諦めたような眼をしていた。

 

「いや、キラがコーディネイターだって事は、心底どうでもいいとして……」

 

「ちょっ!?」

 

サイ・アーガイル……割といい性格をしていた。

 

「キラ、俺のメガネがおかしな方向へ進化したんじゃなければ、お前の隣に手をつなぎながら座ってる綺麗な女性は……」

 

「うん。マリューさん♪」

 

「やっぱり見間違いじゃなかったか……ラミアス艦長は、その、どうしてこんな場所に?」

 

「えっと……それはね、」

 

「いいよ。マリューさん、これは男の僕から言うべきことだ」

 

「キラ君……」

 

見つめ合う二人……もう、サイ達四人には、そろってオチは見えていた。

見えていたが、それでも友人の見せ場を奪うのは無粋だと思う優しさがあった。

 

「僕、キラ・ヤマトと」

 

「私、マリュー・ラミアスは」

 

”きゅ”

 

繋ぐ手に僅かに力がこもり、

 

「「正式にお付き合いを始めました♪」」

 

 

 

「キラがコーディネイターってより、そっちが驚きだよっ!!」

 

自分の仕事はきっちりこなすカズイ・バスカークは、将来いい男になるかは不明でも、きっといい社会人にはなるだろう。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

「年上の彼女ゲットだなんて、キラもやるじゃない♪」

 

「ありがとう。ミリー」

 

友人(紅一点)の祝福に素直に可愛らしいと形容できる……マリューが一発KOされたと噂される微笑みで返すが、

 

「んー、でもキラが軍人かぁ……正直、似合わなくね?」

 

「トール、僕自身も実はそう思ってるから、もうちょっと言い方を手加減して」

 

正直すぎる感想に、今度は凹んだ表情のキラ。

マリューの影響は偉大と言うべきか?

この世界のキラ・ヤマトという少年は、実に表情豊かでおまけに原作(アニメ)の同時期の彼に比べて、血色がよい。

肌や髪の色艶もよく、可愛い系美少年っぷりに拍車がかかっていた。

 

「でも、特別職枠とはいえ、国家公務員は国家公務員か……しかも階級は三尉(少尉)からスタート? 普通で言えばキャリアのエリートじゃん。ちょっと羨ましいかも」

 

オーブ軍の階級は、特に士官が自衛隊のそれを多く引き継いでいて、三尉=他の国の少尉という感じだ。

他国の軍人と話すときは面倒臭いんで「三尉、三佐」と呼ぶより普通に「少尉、少佐」のように呼称することも多い。

例えば、アークエンジェルの面々と話した時のギナなんかがいい例だ。

 

「ちょっとトール。キラだって別に好きでそうなった訳じゃないでしょ?」

 

「それに士官学校出身者と同じスタートだろ? 一般的な国立大学出のキャリアとはちょっと比べにくいな」

 

と冷静に答えるサイ。

 

「でもさー、国家公務員だぜ? エリートの。戦争無けりゃ将来安泰じゃん?」

 

「いや、今戦時中だし」

 

カズイの鋭いツッコミが冴え渡る。

 

「ケーニヒ君ってもしかして軍人になりたいの?」

 

ちょこんと首を傾げるマリューに、

 

「ああ、その……軍人っていうのに特別な憧れはないですけど、国家公務員には正直惹かれます」

 

「じゃあ、やってみる? 国家公務員」

 

「へっ?」

 

「約束したから、ここで名前はだせないけど……」

 

マリューはニッコリ微笑み、

 

「実はオーブのすごーく偉い人から申し出があってね、」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

「へっ? アークエンジェルに乗り込んでる民間人、カレッジの学生が”短期下士官養成コース”を受講していた事にする……と?」

 

「うむ」

 

あー、カガリ・ユラ・アスハだ。

今は、ちょっとギナ兄に用があって、いつものオーブコックピットがある区画とは別のブロックに来ている。

 

「キラ・ヤマトに感化されて軍艦で仕事をしたいと言い出したら、そういう風に処置してくれとな」

 

「はあ……」

 

ま、まあ学生向けの「短期下士官養成カリキュラム」は義務教育以上なら受講できるコースとして実在する(本来は短大生や四大生がメインターゲットだが)し、原作より扱いは良くなりそうだから、これはこれで結果オーライか?

 

「それより愚妹」

 

「誰が愚妹だ。いや、別にいいけど」

 

ギナ兄は鎮座するMSを見上げ、

 

「この生まれ変わった”MBF-P01(ゴールドフレーム)”の雄姿はどうだっ!」

 

「いや、どうだと言われてもなぁ」

 

後に出てくるだろう一連の(アマツ)シリーズを知ってる身としては……

 

「まだ、カスタムし始めたばっかって感じ?」

 

「グッ……」

 

あっ、その反応だとギナ兄もまだ満足してなかったってわけね?

 

ただ、ワタシにはギナ兄の黒髪と”安全第一”とお馴染みの四文字が書かれたヘルメットの組み合わせの方が、シュールすぎてインパクトあったのは確かだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




マリュー・ラミアス(24歳)、少年少女たちに混じり只今青春真っ盛り(挨拶

誰もが予想していたかもしれませんが……キララクフラグ、完全消滅で。
最早、原作乖離は阻止限界点を超え、大気圏突入を開始しました(^^
そして、なぜかカズイの見せ場が急増してる謎w
なんか、同時に色んなフラグが立った気がしますが……主にギナ兄のせいで。

そして、カガリサイドのある意味フラッグシップMSが出てきましたね~。
次回は、そこらへんの話になりそうです。





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