機動戦士ガンダム進藤   作:ドロップ&キック

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今回もシンプルなサブタイですが……

皆様の好きなラクス・クラインは、皆様の愛したいラクス・クラインは、それぞれの心の中にいます!(キリッ

いや、いきなり「なにいってんだこいつ?」状態でしょうが、何というか……言い訳です(^^
いや、予想以上に「変な娘」になってきたので、予防線の一つも張っておこうかとw

そんな話で良ければ、お楽しみください。




第031話:”笑い声”

 

 

 

「事情聴取と言われても、何をお話したらよろしいですか?」

 

「先ずは当たり障りないところから……なんでユニウスセブンの残骸なんかにいたんだ?」

 

「こう見えてユニウスセブン追悼慰霊団の代表ですので、事前の現場視察でしたの」

 

あっさり喋ってくれるのはありがたいんだが……

 

「それ、自分の意思じゃないだろ? 多分だが」

 

フレイのいれてくれた濃い目のコーヒーを飲む。

豆はもちろん地元の名産品、世界的にも有名なマンデリンだ。特に深煎りが好ましい。

 

「……どうして、そう思いますの?」

 

「だってお前さん、追悼する気も慰霊する気もないだろ?」

 

ラクスは一瞬目を見開き、そして探るような目つきになり……

 

「中々、面白い見解ですわね。カガリ様、その根拠をお尋ねしても?」

 

「ワタシも同類だからさ。ラクス・クライン」

 

別に隠す気はない。

自分のクズっぷりを少しさらすだけで、このつかみどころのない女の根源が垣間見えるなら、そう悪くない取引だ。

悪いな。お前さんがワタシを値踏みするように、探りたいのはワタシも一緒なんだ。

 

「大量の死は統計学上の数字に過ぎない。ワタシは今回のヘリオポリスの死者を悼むより、政治的にどう利用できるかを考えた」

 

”1人の死は悲劇だが、100万人の死は統計上の数字に過ぎない”

たしかアイヒマンだったか、スターリンだったかの言葉だ。

 

「お前も同じだろ? ラクス・クライン」

 

当たり前だ。

人が、死に憐れみや哀しみを覚えるのは、「身につまされる」からだ。

自分や身近な者の死に置き換え、それを「実感」できるからだ。

 

(だが、ラクス・クラインにはそれがない)

 

多分、ラクスには戦禍に踏み潰される街にも、「当たり前の日常」や「笑い合える小さな幸せ」があるなど、想像の埒外だろう。

 

(理解もできないだろうし、理解する気もない)

 

例え、そういう姿を見ても「そういうものだ」と納得して終わりなんじゃないだろうか?

 

おそらく、身近な小さな死でも見ず知らずの大量死でも、この女にとって死は『客観的な一つの事象』に過ぎないのだ。

事象としてとらえる以上、そこに感情が移入する余地はなく、最終的にはこの世の事象の大半がそうであるように、数字へ収束する。

 

「まあ別に、間違った考え方とは思わんが」

 

まあ、ワタシも人のことは言えないが、

 

「一般的ではないな?」

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

「あはっ♪」

 

その表情変化は、ワタシには唐突に思えた。

 

「あはははははははははははははははははははははははっはははははははっはははっはははははっははっははあっはははっはははっ!!」

 

”弾けた様に笑いだす”という表現があるが、まさにそれを地でいってるのが今のラクス・クラインだ。

原作のイメージとはかけ離れた笑い方に笑い声……もし、これが仮に

 

”焦点のあってない瞳孔を揺らしながら、口から(よだれ)をたらしながら歪みきった顔で嗤う”

 

ような姿だったらワタシは特に何も思わなかった。

それは単に目の前のラクス・クラインが、『正常や正気の皮をかぶった()()というだけの……別段珍しくもない、ありふれた存在だというだけだったろう。

もしかしたら、ワタシは急速に興味を失ったかもしれないが……

 

「けほっ! けほっ!」

 

やっぱり(むせ)たか。

 

「急に笑い過ぎだ。普段使いなれない声帯の使い方をするから、そうなるんだ。とりあえず茶を飲んで喉を湿らせておけ」

 

「お心遣い、痛み入りますわ」

 

ワタシがティーポットから注いだ冷めかけの紅茶をこくこくと飲むラクス・クライン。

 

「仮にも歌姫なんだろ? 笑うにしても、もう少し気を遣ったらどうだ?」

 

「だって嬉しかったですもの♪」

 

ぺろりと舌を出す姿は、ひどくチャーミングで絵になる。

 

(これがラクスの恐ろしさなんだろうな……)

 

そうなのだ。

さっきの気がふれたような笑いの中であっても、彼女の瞳には確かに知性も理性も確かにあった。

いや、むしろ愛らしく綺麗と評してもいい。

狂ってなどいない。

正気を失ってなどいない。

おそらく、悪意も敵意も憎悪も感じたことがないのかもしれない。

 

(……()()()()()()()()()()()

 

 

 

つまり彼女はおそらく、どんな局面であっても『ラクス・クラインで()()()()()』だろう。

例え、男たちに性処理道具として蹂躙され続ける日々の中に堕ちようと、例え薬漬けにされ自我が消滅してもなお、

 

”ラクス・クラインは()()()()

 

どんな状態でも、ラクス・クラインはラクス・クラインであり続ける……

半ば確信をもってそう思う。

ナチュラルだろうがコーディネイターだろうが、そもそも『()()()()()()()()()()()』程度で、彼女をどうにかできるのだろうか?

これが、『実は人の似姿(にんぎょう)で、何者かの意思を反映するアバター』というなら、まだ納得もできよう。

だが、そうじゃない。

 

(ラクス・クラインは、『誰かの操り人形』などではなく……間違いなく()()()()()()()()()()()

 

きっと馬鹿げた話だと思うだろう。

だが、もう誰にもこれ以上壊せないほど「壊れた人間性」を持ちながら、「人間として破綻していない」事が、どれほど異常かわかるだろうか?

 

機械でもなく、人形でもなく、人として瑞々しく生々しく生を謳歌してるのだ。

これを矛盾と言わず何と言えばよいのだろうか?

 

 

 

「それにしても嬉しいですし、何よりおかしいですわ♪」

 

「何がだ?」

 

「こんな宇宙の果てで、まさかまさか”()()()”に出会えるなんて☆ これだから人生というのは中々やめられませんわね♪」

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

(ご同類ねぇ)

 

「そいつは光栄と言うべきか? それとも嘆くべきか?」

 

「是非、胸を張って欲しいですわ♪」

 

「生憎、張るほど胸がないんだよ」

 

と軽く自虐ネタを挟んで(物理的に竿は挟めんサイズだが)みれば、

 

「お姉様は、その平たい胸も素敵です!」

 

そう言ってくれるのはお前で二人目だよ、フレイ(一人目は”むったん(アズラエル)”)だが。

というか、さっきまでラクスの毒気に当たられてたのに、まあ今は気丈にキッと睨み付けてるし。

 

「お姉様は、貴女と同類なんかじゃないわ!」

 

と年の割には豊満な胸を指さし、

 

「フレイの同類だもん!!」

 

……いや、それもどうよ?

それとなフレイ、

 

(なーんか、ラクスがニンマリ笑ってる気がするんだが?)

 

何か「新しいおもちゃ見つけましたわ♪」って表情のような……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




訪問理由を聞いただけでこれかい(挨拶

曲解表現ですが、このシリーズのラクス様は『個性的』です。
個性という言葉でまとめてよいものか悩みどころですが、まあこんな娘です(^^

原作のラクスと比べてどっちがどっちかなんてことはベクトルが違い過ぎて難しいですが、少なくとも原作&このシリーズ、どっちのキラとも相性悪いだろうな~とw

まあ、とりあえず互いに興味を持ったようですが……果たして?






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