そして、久しぶりの長いサブタイw
今回はカナードのフォロー回だったはずが、話がドンドン変な方向に歪んでいきます。
もしかしたら、読んでて疲れるかもしれませんが、楽しんでもらえたら嬉しいです。
「ああ、言っておくがキラは別に”人類最高峰の存在”とか、”ジョージ・グレンを超える傑物”とかそんなんじゃないからな? ワタシと同じ塩基配列を叩き台にして、極限までチューンアップしたってだけだ」
車に例えるなら、ワタシが
蛇足ながら、1985年当時のレビン/トレノの市販verの最高出力は130馬力、グループA仕様で175馬力、改造範囲の大きなN2仕様ではベースの倍にあたる250馬力前後だったらしい。
頭文字Dは、嫌いじゃないぞ?
だが、市販車としてもレースカーとしても、それより優れた車はいくらでもある。
例えば、作中に出てきた高橋兄弟(中の人ェ……)の新旧RX-7とか、ランエボ軍団とか。
そして、コーディネイターには、レースのようなレギュレーションは存在しない。
ならば、
「キラが
「ま、マジか……」
「マジだよ」
☆☆☆
翌日、ワタシはフレイと、どーしても同行したいと駄々こねて引かなかったラクスを引き連れ、カナードが拘留されてる部屋を訪問していた。
そこ。「最近、ラクスに甘くね?」とか思っていても言わない。
本人だって少しは気にしてるんだ。
言っておくが、危険性がなくなったと判断されたので、カナードがいるのは独房とか懲罰房じゃないぞ?
ついでに言っておけば、独房やそれに付随する施設は、現在ユーラシア連邦出身らしい
ノックせずに入ったら、ガネっ娘と
”慰める=性的にかっ食らう”
という図式は生物として健全で何よりだ。
さて、同行していた二人の反応と言えば、
『何やってんのよ……いや、ナニしていたっていうのはわかるけど』
コラコラ、お嬢様。
あっ、そう言えば
『あらあらまあまあ♪ 生で見るのははじめてですわ~☆』
ラクスは喜び過ぎだ。あと、暗に「生じゃないものは見たことある」とか言わない。
プラントじゃ、正統派にして清純派の歌姫でしょーが。
(というか、こやつらワタシの影響を受けすぎじゃね?)
うーん……これでいいのか、悪いのか?
とりあえず、物音に目を覚ました時のカナードの絶叫と、ドヤ顔のメリオル・ピスティスについて細かく描写するのはやめてやろう。
ワタシにも情けくらいはあるのだ。
☆☆☆
「つまり、キラ・ヤマト以上のコーディネーターが生まれる可能性があると……?」
服を着たカナードの問いかけに、
「ああ。生産性もへったくれもない、数多の犠牲ってモンを壁のシミ位にしか考えない
ワタシより優れた人間なんざ、世界と言わずオーブ国内だけを見回したって、腐るほどいるだろう。
一例を言えば、ワタシに武術の手ほどきをしてくれた師匠たちなど、未だにワタシは足元にも及ばない……というかガチの殺し合いなら、1分と五体満足で立ってられるとは思えない。
「この間も言ったが、キラ・ヤマトって”
もしかしなくても、また「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる」やるしかないだろーな。
「そういやラクス、聞きたいことがあるんだが」
「なんなりと♪」
「プラントにおける人工子宮の研究ってどうなってんだ? ”G.A.R.M. R&D(ヒビキ夫妻が勤めていた企業。法的な意味でのブラック企業。今は倒産)”の技術的遺産は、そっちにも流れたんだろう?」
(そういや、今はまだ表舞台に立ってないギルバート・デュランダルも元G.A.R.M. R&Dの研究員だったな……)
”G.A.R.M. R&D”は、遺伝子研究用コロニー”メンデル”を丸々保有し、コーディネーター製造やそれに付随する分野での最大手だったとこだ。
商材が商材だけに、中身は合法/グレーゾーン/非合法までなんでもござれだ。
同社のメンデルのラボで生まれたのが、ワタシ/キラ/カナード、
(そして、ラウ・ル・クルーゼにレイ・ザ・バレル……)
ってだけでどんな外道企業かわかるだろ?
ちなみにこの五人、単にメンデル生まれってだけでなく、製造者も一緒だ。
特にザフトの二人は、「ユーレン・ヒビキがアル・ダ・フラガ(ムウ・ラ・フラガの親父)から資金援助を受ける為に違法製造された”アル・ダ・フラガの単相クローン”」であり、完全な
ラウが本来は本命のクローンで、レイは胎児状態で保存されていたバックアップだったらしい。
(そりゃあ、ラウやデュランダルがキラやカナードの事を色々知ってる訳だ)
ヒビキ夫妻はワタシやキラが生まれて程なくぶっ殺され、G.A.R.M. R&D自体もC.E68年に起きたメンデルの大規模なバイオハザードの煽りを受けて倒産……ってのが一般的に知られているが、
(粛清だろうなぁ~)
誰からのとは言及せんが。
「まったく進んでませんわよ? ぶっちゃけ足踏み状態ですわ♪」
「ぶっちゃけすぎだ。バカ者」
だから、なんで罵倒されてるのに楽しげなんだよ?
「第三世代のコーディネイターが生まれないとか何とかで困っているんだろ? 完全な人工子宮の開発は国是級の案件にならんのか?」
「あら? カガリ様、随分プラントの内情に詳しいですわね?」
「そりゃまあ、敵対勢力だからな。それなりに調べはするさ」
敵国とは言ってやらん。
「確かにパトリック・ザラ一派とかは予算を増額するように推してますわね。それと確か、ギルバート・デュランダルという元……G.A.R.M. R&Dでしたか?の研究者が、プロジェクトリーダーになって、色々やってるようですが、今の所これといった成果は出てませんわね?」
んげっ!? デュランダルの名前、こんなところで出てくるのかよ……
(そりゃあ研究進まんわけだわ)
そして、納得してしまったではないか。
あの男が興味あるのは、”
おそらくだが、自分が「元G.A.R.M. R&Dの研究者で人工子宮にも詳しい」とか言って売り込んで、人工子宮の開発を餌に資金を搾り取っているのだろう。
(ディスティニー・プランにとっては、あるに越したことはないって程度の代物だろうしな)
一体どこに資金を流用してることやら。
「カガリ様?」
「いや、なに……ワタシの
(だが、これで謎は解けた)
原作のC.E73年、ぽっと出の筈のギルバート・デュランダルが、アイリーン・カナーバ失脚後の混迷期とはいえ、議長になれたのか?
(ザラ派を吸収したのか……)
この頃から、パトリック・ザラと繋がっているなら、そりゃあ仕込みくらいできるだろう。
(そして、おそらく繋げたのはラウ・ル・クルーゼ……)
カナーバは生粋の穏健派……ではなくクライン派、私怨も込めたクーデターでザラ派を一掃した反面、ザラ派の受け皿を作ることは消極的だった。
(それが彼女の失脚に繋がった……)
アイリーン・カナーバの直接的な失脚原因は、「戦後に締結したユニウス条約で、プラントに不利な条件を飲んだ」から、つまり
この裏側には、プラント側に「停戦せずとも、ユニウス条約など締結せずとも、我々が戦争に勝っていた」とする風潮が少なからずあったからだ。
(その世論を煽ったのは、半追放状態のザラ派……)
そして、指導者を失ったザラ派の新たな求心力となったギルバート・デュランダル……
そう、ギルバート・デュランダルは、今生では相対的未来となる議長就任演説で何と言った?
『争いの無い世界にするからこそ力がいる』
なるほど。そりゃあザラ派も簡単にあの男を受け入れるだろう。
自分達の望みを言ったのだから。
それでも、それに満足できないサトーのような不穏分子も出たが、
(それすらも利用したか……)
おそらく、連中が使ってたMSや機材を横流ししたのもデュランダルが絡んでるはずだ。
(なーんてこったい……)
こりゃあ、立ち回りが益々難しくなったぞ……
「お姉様! お姉様、いかがなさりましたっ!?」
「ん? どうした? フレイ」
えっ? ワタシ、何かおかしなことをしてたのか?
「だ、だって急に押し黙ったと思ったらどんどん顔色が悪くなって、表情が抜け落ちて……」
「目も開きっぱなしになって……その、尋常な様子ではございませんでしたわよ?」
ちょ、ちょっと待てっ!?
(わ、ワタシもしかして今、SEED発動してたのかっ!?)
いや、種が飛来するイメージなかったから、完全じゃないかもしれんが……
(だとしたら、なんて嫌な開眼なんだ……)
ああ、なんか頭痛くなってきた。
なんでだろう?
今はまだ、成長した姿で再会していない……幼いころに分かれたきりの双子の弟に無性に会いたい。
(キラ、お前は今、どこで何をしている……?)
会ったら話したいことは沢山あるんだ。
例えば、お前にも姉だけじゃなくて、
カガリ様、覚醒!(ただし、中途半端な模様
今回の件ではっきりしてしまいましたが、カガリってMSの操縦とかの純戦闘系ではなく、「過度に頭を回転させている状態」でトランス、SEEDが発動するタイプのようです(^^
ま、まあ、こういう「滅多にMSに乗らない(乗っても強いとは……)カガリ」も良いですよね?(滝汗
その分、他の娘が乗ってくれるでしょうし(えっ?
そして、こんなところで名前だけとはいえ出てきてしまったデュランダル議長w
これもある意味、パッチワークじみた原作フォロー?
色々、見えなくても良い(?)ものが見えてきてしまったせいで、流石のカガリも軽い薄弱状態になったようですw
いや、柄にもなく「キラに会いたい」とか言い出してるので。