機動戦士ガンダム進藤   作:ドロップ&キック

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日付的には本日3度目の投稿になります。
というか、日に三度アップとかいつ以来だろ?

とりあえずこれで一先ず打ち止め。
そして、またしても新キャラが……





第005話:”カガリ、お嬢様とエンカウントする”

 

 

 

カトウ教授を「最初のソキウス」こと”ザ・ワン”に任せ、ワタシは廃墟になりつつあるカレッジのキャンパスをPDW片手に走り抜ける。

 

(どうやら逃げ遅れはいないみたいだな……)

 

わざわざ大西洋連邦(GAT-Xシリーズ)の開発区画まで言って、「お父様の裏切り者ーーっ!!」をやる気がなかったワタシは、一応「()()()()()」の逃げ遅れがいないかを確認しながら、宇宙戦艦イズモ級イズモが隣接した宇宙港に停泊するオーブ(アストレイ)開発区画に急ぐ事にした。

 

一応、誤解のないように言っておくと表記的には同じく『オーブ国営企業(モルゲンレーテ)の機密区画』ということになっているが、実はGAT-Xとアストレイの開発区画は、コロニーの中で全く別の場所だ。

むしろ、居住区画を挟んで対角線上の正反対の場所にあると言っていい。

 

とりあえず、公式にはできないが幼少期の頃からの記憶にバッチリ残ってる我が弟、旧姓キラ・ヒビキこと現キラ・ヤマトのことは、実はさほど心配してない。

 

あの子はきっと運命に愛されてる……と厨二チックに言いきれれば格好いいが、別にただそういうわけでもない。

ここが、仮にアニメのガンダムSEEDに酷似してるだけで、実は全くの別物……例えば、”()()()()()()()()()()()()”が、ここで命費えるとしても、ワタシは別に構わないと本音では思っている。

 

いや、違うな。

そうじゃない。

ワタシはきっとただ確認したいんだ。

ワタシが明確に『生きている』と実感できるこの世界が、『キラ・ヤマトとアスラン・ザラを中心に展開される、”()()()()()()()()()()()()”』かどうかということをだ。

 

まあ、確認できたからと言って大きな視点から見れば、何が変わるわけでもない。

ワタシが『原作知識』なんてオカルティックな代物を持っているからこそ、『キラ・ヤマトの生死がその後の世界の行く末に多大な影響を与える』事を知っているだけで、この世界住人にとっては、今のところはキラ・ヤマトは、『一介の民間人』に過ぎない。

 

言ってしまえば、ここで弟が死んだとしても、それは『悲劇の体現者』の一人として、そのまま戦没者遺族年金リストに転用されるだろう死者/行方不明者名簿に名が記載され、最終的には統計学上の数字になるだけだ。

名もなき民間人の死の扱いなど、そこいらが関の山だろう

 

そして、何事もなかったように『キラのいない世界』は進んでゆく。

漂流したラクス・クラインは助からないかもしれないし、地球……というかナチュラルに絶滅戦争を仕掛けたがってるパトリック・ザラ(サイコパス)に疑いを持たないままアスラン・ザラはその手足となって動くかもしれない。

 

(ブレないとしたらラウ・ル・クルーゼくらいか?)

 

アレの目的は、ナチュラル/コーディネーター問わない人類全体の全滅と中々かっ飛んでるからなぁ。

 

 

 

そんな事を考えてる時だ……

 

「なんで!? 何でこんなことになってるのよっ!? 何が一体どうなってるのっ!?」

 

視界の先に腫れあがった足首を押さえ、うずくまる赤毛の女の子が……

 

(って、”フレイ・アルスター”じゃんっ!?)

 

いったい何がどうしてどうなったら、転生者(ワタシ)みたいなクソ雑魚ナメクジが、原作ヒロインと早々にエンカウントするんだよっ!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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あー、うん。

大袈裟な引きだった割には、実はそんな大した話じゃなかった。

要するに、あちこち爆発音が響いたんで慌てて逃げだしたら人波に飲まれて一緒に逃げていた友人達とはぐれ、それでも気を取り直して逃げようとした矢先にすっころんで……

 

(今に至ると)

 

そりゃ考えてみれば、このくらいのイレギュラーはいつでも起こるよなぁ。

ヒスってたフレイの傍に同じくしゃがみこみ、落ち着かせるためあやすように背中をポンポン叩きながら聞き出したのは以上のような話だ。

それに考えてみれば、

 

(なんかフレイって幸運値低そうだもんな~)

 

というか、続編も含めてガンダムSEEDシリーズのほーこさんが声あてたキャラって死亡率高過ぎね?

フレイは勿論、まだ会ったことないけどナタルとかステラとかもさ。

それはいいとして、

 

(まあ、これも”行き掛けの駄賃”ってやつかな?)

 

「逃げたいんだったら一緒に来るか?」

 

ぶっきらぼうになってしまったが、どうにも『年頃の普通の女の子』に声をかけるのは苦手だ。

ほら、ワタシの周囲って前世はもちろんだけど今生でもそもそも年の近い女の子自体がほとんどいなかったし、性別を年齢に関わらず女性にしたら「()()()()()()女性」が大半だったし。

むしろ個人的には一番仲がいいと思ってる婦女子(?)の”ミナ姉”……”ロンド・ミナ・サハク”に至っては、完全に女傑の類だ。

 

「え、えっと……」

 

そりゃ戸惑うわなあ。15の女の子、それも世間知らずのお嬢様がこんな得体のしれないやつにいきなり背中ポンポンされながら「一緒に逃げよう」なんて言われたら。

世が世なら、立派に事案だ。

 

それに今のワタシは原作初登場と似たような格好、つまり男と間違われるのが当たり前な姿だ。

 

「ああっ、心配するな……って言っても、無理か。ワタシは……」

 

「あの……もしかして、”カガリ・ユラ・アスハ”様ですか? オーブの?」

 

はえっ?

 

「あ、ああ。確かにその通りだが……」

 

「やっぱり!」

 

喜色を浮かべるフレイだが、ワタシは正反対にハテナ顔だ。

 

「なぜワタシだとわかったか聞いても?」

 

「以前、アズラエル家が主催したパーティーで、ムルタ・アズラエル様と仲睦まじげに談笑していたのをお見かけしたことがございますの」

 

ああっ! 我が同好の士、”むったん”ことムルタ・アズラエルが主催したパーティーでかぁ~。

 

(そういやフレイって政府高官の娘だっけ? 確かブルーコスモスでもそこそこ偉いって噂の)

 

会った記憶はないんだけど……

それにしても談笑?

そんな優雅な表現される内容じゃないぞ? はっきり言ってむったんとは下世話な話題や世俗的な話題のが盛り上がるし。

 

「アズラエル家のパーティーには何度か出てるから、どの時かわからないけど……君、何者?」

 

いや、正体は一目見てわかったけど、ここで聞かなけりゃ流石に不自然だろうし。

 

「失礼しました。わたし、いえ(わたくし)フレイ・アルスターと申します。大西洋連保外務次官、ジョージ・アルスターの娘ですわ♪」

 

ああ、声がクルーゼとそっくり(あるいは同じ)なジョージさんの娘ね?ととりあえず前世ネタを内心で呟くワタシあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ほーこさんキャラの死亡率が高過ぎる件について(挨拶

遂に出しちゃいましたね~。
このシリーズにおける「原作乖離のマイルストーン」ことフレイお嬢様(^^

原作だとやたら薄幸な彼女ですが、なんかこのシリーズだと強運とか悪運のスキル持ってそうな?w

実は物語開始以前からカガリの顔を知っていることが、このエンカウント条件だったりして。




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