「あれ? なんかおかしいな?」「何か変だな……」ってN君の雰囲気が出てれば良いな~と。
一部、グロ表現があります。戦争だから仕方ないとはいえ、ご注意ください<(_ _)>
夢を……夢を見ていた……
ボク……ボクは誰?
ボクは二コル。二コル・アマルフィ。
両親から、「そうあれ」と生み出された、いや”
歳をとりにくい愛らしい容姿とピアノの才能……両親が望んだものを持って生まれたボクは、父様からも母様からも愛された。
そして、MSの操縦技術を含む戦闘技術と悪運……特に父様や母様が望んでいなかった才能のせいで、ボクはこうして宇宙を微睡ながら、はっきりしない意識のまま漂っている。
”アルテミス”に近づいた時……何かよくわからない爆発に巻き込まれて、ブリッツは大破した。
ミラージュ・コロイドとフェイズシフト装甲は併用できない。
その時、ミラージュ・コロイドを展開していたから、まともに爆発に飲み込まれて……でも、ボクは生きている。
ボクは不運かもしれないけど、悪運もあるみたいだ。
誰も意識してなかったけど、ボクが乗っていた”ブリッツ”には、他のGAT-Xシリーズにはない装備があった。
ミラージュ・コロイドを利用したステルス機能もだけど、おそらくはそれとセットの”ソフト・コールドスリープ・システム”だ。
多分だけど……ブリッツはステルス仕様の試作機だから、何らかのアクシデントでロストした場合に備えての装備だと思う。
代謝を極限まで落として酸素の消費を抑える……人工冬眠装置。
だから、ボクは起きているわけでも完全に眠っているわけでもない、生死の間にいるような……曖昧で、不確実な微睡の中に居た……
だけど、ここは……
「くらくてさむい……」
まるで、氷漬けの棺……
なんか、やだな。
このまま死んじゃうのかな?
だが、やがてボクは思い知ることに事になる。
この微睡の中の冷たくて
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「よお、ヘリオポリス襲撃犯。ゴキゲンな目覚めか?」
まだぼんやりとした覚醒の中で、きっと多分目覚めてるボクの視界に映ったのは金色の髪がひどく印象に残る、震えがくるような獰猛な笑顔を浮かべた
「おっと、まだ完全に目が覚めてるって訳じゃないな? だけど、これだけは理解しろ」
スッとその少年は目を細めて、
「お前が拾われたのは”
すると少年は、益々笑みの獰猛さを増やしながら、
「確か”血のバレンタイン”の死者は、24万3721名だったな?」
”ぱんっ ぱんっ ぱんっ”
その少年は、唐突に拍手をしだした。
その響きは、軽やかなはずなのに妙に陰鬱な気がした。
「おめでとう! お前達が我らが”ヘリオポリス”で殺した民間人の数は確実にそれを上回るぞ? 良かったじゃないか! お前たちは、コロニー襲撃でも地球連合を超えたぞ?」
ああっ、わかった。わかってしまった。
ボクはきっとここで終わってしまうんだ。
「悪いがお前を楽に死なせてやるつもりはない」
だよね。
ボク達は確かに殺した。
だから……
「ボクを拷問にかけるの?」
それもいいかもしれない。
「聞きたい情報もないのに、なんでワタシがお前程度にそんな面倒なことをせねばならん?」
そっか。
なら、手っ取り早く、
「ならボクを処刑するの?」
「お前ごときを嬲り殺しにしたところで、誰の腹いせにもならん。あまり自分を高く見積もるなよ?
そっか、
ボクには、確かにそんな価値はないのかもしれない。
「だが、その代わり……」
少年は、どこからかコードの付いた、
「ヘルメット?」
を取り出した。
「お前には、『
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『やめて……もう、やめてよぅ……もう。やだよぉ』
自傷を避けるため拘束服に弛緩剤というコンボで、ベッドの上でろくに身動きできないはずの二コル・アマルフィだったが、泣きながら今動かせる限界まで身じろぎをしようとしていた。
「せっかくの機会だ。お前らが……ザフトが生み出した地獄をたっぷり堪能しとけ」
『ぼ、ボクが、ボクが落としたわけじゃない! ボクが殺したわけじゃないよ!!』
「だが、お前はザフトだ。お仲間と親玉がしでかしたことを知っておくべきだろう?」
☆☆☆
「どんな趣向だ? これは?」
とは、捕獲したザフトの赤服の様子を見に来たギナ兄である。
「新手の拷問ですの?」
こっちはモラトリアムの最後の時間を満喫中らしいラクス。
「まさか。ただのフルダイブVRだ。ゲームとかでもあるだろ? それとも、プラントじゃメジャーじゃないのか?……って今はニュートロンジャマーの影響で、どこも無線接続は難しいか」
有線接続できる環境じゃなければ、今じゃソシャゲ一つまともにできない世の中だったな。
「ただ、”エイプリルフール・クライシス直後から数ヶ月の、地球の総人口が10%減る羽目に陥った世界”を追体験してもらってるのさ」
飢えと寒さと疫病の蔓延……法と秩序と規律と道徳が地球上のいたるところで破綻、崩壊した世界だ。
「オーブの……ではないのだろう?」
まあ、核分裂に電力供給を頼り切っていなかった我が国は、あの時期ほとんど影響がでなかったからな。
「とある筋から資料用に取り寄せた”ユーラシア連邦や東アジア共和国の領土内で撮られた無修正輸入版”の動画を、VRドキュメント用に加工したものだよ。今度、教材にでもしようと思ってさ」
正確にはワタシは発注しただけで、実際に製作したのはオーブ文部省のプロジェクト・チームだが。
無修正輸入版とか書くと、ついエロいものを想像してしまいそうになるが……エロというより、「どちらかと言えば」という枕詞をつけなくても普通にグロだ。
少なくともワタシは、「幼児の性器や尻を刃物で裂いて、そこに
社会性動物の社会性の崩壊……そうなれば、人は容易く獣以下、”ゴブリンスレイヤー”に出てくるゴブリン程度の存在になり下がる。
人類史を紐解けば、残念なことにこのような事例は別に珍しい話じゃない。
最近で言うなら、ほんの70年前に”再構築戦争”で世界の随所で見られた風景だ。
日本列島でも、な。
「”ヘリオポリスで自分が踏み潰した人間やビームで焼いた人間”を見せる前のウォームアップのつもりだったんだが、これは予想以上の反応だな」
さて、どうしたものか。
「カガリ、お前は何がしたいんだ? 洗脳とかそういう類にも見えん」
そうだな……
「本当はただ確かめたかっただけなのかもしれない」
「確かめたかった? 何をだ?」
ラクスのいる前で言うセリフじゃないがと思いながら彼女をみれば、「お気になさらずに」とでも言うように微笑んでいた。
「いや、ブルーコスモス辺りが言うように、プラントのコーディネイターが、本当に
もし、二コル・アマルフィがこれらの風景を見て、「子供に遊び半分に踏み潰されてるアリの群れを見た反応」をしたのなら、ワタシは『共存は不可能』と判断し遠慮なく如何なる手段をとってもプラントを住民ごと全滅させるつもりだったが……
「それで……カガリ様、結論は出ましたの?」
少しだけ心配そうなラクスに、
「
「うふふ♪ そうですか♪」
カガリは、甘い娘じゃありませんでした(挨拶
いや~、この話が50話アニバーサリー回にならなくてホント良かったw
書いてる途中、めっちゃダウナーな気分になりましたし(^^
二コル君の待遇、皆様の予想通りでしたか?
彼は、甘い言葉や抱擁で懐柔される訳でもなく、かと言って暴力や拷問を受けるわけでもない。
ましてや、洗脳なんてとんでもない!
ただただ、「ザフトがやらかした、プラントの住人が目をそらせてる結果」を、逃げることも許されず、延々と見せ続けられるという処遇となりました。
さて、彼はこれからどうなっていくのでしょうね?
カガリは、”この程度の地獄”は歯牙にもかけません。
ラクスは、この地獄絵図を見ながらでも普通に芋羊羹が食べれます。
ラクスじゃ参考にならないゆえの二コル君ですが……彼は、「これまでの二コル・アマルフィ」でいられるのでしょうか?