「お姉様、お怪我がなくてよかった……」
そうホッと胸をなでおろすのは、通信が集中する”イズモ”のブリッジにて当たり前の顔をして陣取るフレイ・アルスター。
「無事なのはよろしいのですけど、でもカガリ様が少しお可哀想ですわ。せっかく、大暴れできると意気込んでいらしたのに」
と同じく当たり前に陣取るラクス・クライン。
「それはそうだけど……でも、キサカ
「でも、
「万が一はどこにでも転がってるものよ。流れ弾でも簡単に人は死ぬのよ?」
「フレイは心配し過ぎですわ」
「ラクスが楽観的過ぎるのよ」
何というか……二人の少女の「カガリに対するスタンスの違い」が如実に現れてるのが中々に興味深い。
フレイは、相手が同性(……か?)である事を除けば、ごくごく普通の意味で「愛しい人の身を案じる少女」のそれだ。
確かにこのフレイだって、原作のフレイと同じ危うさや苛烈さはあるのかもしれない。だが、それを抱えながら更なる高みに上ろうとしているのも、またこのフレイなのだ。
発展途上の成長途上、揺れ動く幅があればあるほど、将来が楽しみな少女なのかもしれない。
対してラクス……彼女のそれは、フレイのそれとカガリに向ける感情の質が、ちょっと異なる。
読者諸兄でお気づきの方もいるだろうが……ラクスのそれは、むしろ恋愛というより「英雄に向ける憧憬」に近い。
例えば、上のセリフからも、どこか「カガリがこの程度の戦いで死ぬわけない」という、悪く言えば根拠のない思い込みが透けて見えるようだ。
無論、カガリとて取りあえずは人間、急所に弾丸が当たれば即死するだろうし、そうでなくとも血を流し過ぎれば死ぬだろう。
だが、かと言ってカガリLoveを隠そうともしなくなったフレイも、セリフ以上に強くは出ないし、出れない。
確かに敵要塞に突入すると初めて聞いた時は気が気じゃなかったし、勿論心配だってするが……でも、心のどこかでやはり「お姉様はこの程度で死ぬとは思えない」という気持ちがあるのかもしれない。
二人の少女がカガリに向ける想いは、『同根にして異質』……
それは良い悪いの話ではない。
そして、それが『カガリ・ユラ・アスハに出会う事により、原作よりは大きく運命を変えることになった二人の少女』、その物語の根幹……ただ、それだけの事だ。
フレイは恋焦がれ、ラクスは憧れる……たった、それだけの差だ。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
うむ。カガリ・ユラ・アスハだ。
そして、あえて言わせてもらおう……
待ちに待った、鉄火場だっ!!
と。
もっとも、暴れたりないというか……消化不良気味ではあるんだよな。
何しろ、扉を爆薬で吹き飛ばした後は、各自
そして、目を回したり気絶したりしてる発令所詰めのユラ助から武装を取り上げて無力化し、縛り上げて終了。
中には多少根性見せて腰のホルスターから拳銃引き抜いて、見えなくとも乱射で抵抗しようとした猛者もいるにはいたが、そういうのは銃弾で「英雄(?)の死」に相応しい最期をプレゼントだ。
それを何人か繰り返したら抵抗は止んだ。
(ガルシアも往生際悪く抵抗してくれると思ったんだが……)
だが、運悪く飛び込んできたフラッシュグラネードの閃光をまともに見てしまったらしく、「目がぁっ! 目がぁっ!!」と床を転げまわってたところをあっさり身柄確保だ。
正直、拍子抜けも良いとこだったんだが……
「ジェラード・ガルシア、今どんな気分だ?」
取りあえず、お約束の煽り文句くらいは言っておこう。
「き、貴様っ! こんな真似してただで済むと……」
「先に手を出したのはそっちだろ? それと、たかだか准将だか少将だかが、他国の要人をつかまえて”キサマ”呼ばわりとは良い度胸じゃないか?」
まあ、敵国なんでこの反応も当然だろうけど。
「オマエ、自分の立場わかってる? ユーラシア連邦軍上層部の指示も仰がずオーブの資産に手を出した挙句、返り討ちに合ってるんだぞ?」
「ぐっ……!!」
「次のチャンスあると思ってるのか? お前とロウ・ギュールの会話はばっちり記録してる。完全に国際問題だよなぁ? 国へ帰ったら軍法会議もしくは軍事法廷が待ってるぞ? しかも、もしかしなくても銃殺刑案件だぞ、これ」
「そ、そんな訳が……」
「オーブ正規軍との交戦許可は下りていたのか? ユーラシア連邦は、いつオーブに宣戦布告したんだ? ワタシの手元にそんな情報は来てないぞ?」
どうやら、本気で分かってないみたいだな……
「教えてやんよ。お前は、『
「こ、殺したのは俺じゃない! お前らだっ!!」
「お門違いもいいとこだな。お前がちょっかい出さなければ、死ぬことはなかったんだぞ?」
「それにオーブは、常に潜在的な敵国だっ!! ならば、攻撃して何が悪いっ!!」
あっ、コイツとうとう言いやがった。
「確かに
だがな、
「しかし、両国とも
ジェラード・ガルシアが行った行動は、
「お前は、オーブと地球連合を対立させる気だったのか?」
☆☆☆
「俺は、俺は悪くない! 悪いのは全部オーブだっ!!」
「阿呆が」
あーあ、段々海兵隊の紳士淑女が殺気立ってきたじゃないか。
「キサカ三佐、腕の拘束だけ解いてやれ」
「しかし……」
流石は年の功と言うべきか?
キサカは別に殺気立つ様子もなく、ただ淡々とした表情をしていた。
「構わん。ワタシが許す」
そして、ワタシは取り上げた軍用自動拳銃の
そして、それをガルシアの手元に届くように床に滑らせ……
「自決しろ。今なら戦死扱いにしてやる」
因みに、今のワタシは64式複合小銃を手放し、いかつい装甲宇宙服のヘルメットも脱いで素顔をさらしてる。
じゃなければ、コイツに誰と話してるか理解させないだろ?
「な、なめるな小娘ぇっ!!」
拳銃を拾い上げた途端にワタシに銃口を向けるのは、完全に予想通りだ。
(まったく……期待を裏切ってくれない男だ)
お約束を守るあたり、むしろ評価してもいいかもな。
「甘い」
そして、銃口が完全にワタシの眉間を捉える前に、とっくに引き抜いていた”
ただし、当てたのはガルシアのボディや頭ではなく、銃を握った拳だ。
フルチャージの357マグナム、しかも210グレインのジャケッテッド・ホロー・ポイント弾頭を喰らったらどうなるかなんて、書くまでもないかもしれないが……
「うがぁぁぁぁっ!!!」
利き腕の手首から先がなくなるわけだ。
「衛生兵、応急処置をしてやれ」
そう嫌そうな顔をするなって。
”国家要人に殺意を込めて銃を向けた”余罪を許す気なんてねーから。
「安心しろ。
実は、今回一番頭を悩ませたのは冒頭のフレイとラクスの会話だったりして(挨拶
順調にカガリへの想いを募らせている(拗らせていると言ってはいけないよ?)二人の少女ですが、そうであるが故に「明確な差」がでてきてるのも事実。
そろそろ、それをきちんと文章化しておこうかな~と(^^
なんせ、「
そして、ついにエンカウントを果たしたガルシア君。
「俺は悪くない!」
は是非、彼に言ってもらいたかったセリフですw
”敵国と認識していたとしても、今は交戦状態にない(宣戦布告していない)国。そこの軍機に手を出した挙句、最後はその国の重鎮に銃口を向ける”
改めてダイジェストを文字に起こすと、なんとまあという感じですなぁ(--