機動戦士ガンダム進藤   作:ドロップ&キック

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ギナ様、色々丸くなっておりますw




第008話:”カガリとギナ艦長、時々フレイ”

 

 

 

全長でアニメ版に加えて約15%増し、容積で言えば1.5倍になっていそうなオーブ軍の誇る重装宇宙戦艦イズモ級……その1番艦のブリッジにて、

 

「誰が公私混同だ。持ち合わせた当然の権利を行使しただけだ」

 

フンと艦長席で踏ん反りかえって鼻で笑うのは、幼馴染の一人と言って差し支えない、ギナ(にい)こと”ロンド・ギナ・サハク”

 

傲岸不遜を絵に描いたような性格だけど、これでも出会った頃よりは随分と人間丸くなってるんだぞ?

原作の漫画版とは比べるべくもないな。

 

因みに今回の傲岸不遜ポイントは、お気に入りらしい沖田十三コス(2199(リメイク)版。おそらく最高級の生地をふんだんに使ったフルオーダー品)をオーブ軍の制式軍服にねじ込んだことだ。

 

「それに公私混同というのなら、カガリ、お前もだろう?」

 

「えっ? ワタシ?」

 

ギナ兄は呆れた視線で、

 

「その腕に抱きかかえてる如何にも民間人な小娘はなんだ? 途中で拾ってきたのだろう?」

 

おっと!?

すっかり筋力にかまけて忘れていたが、フレイを抱きかかえたまんまだった。

どうりで擦れ違う乗組員(クルー)胡乱(うろん)げな目で見てきたはずだぜ。

どうでもいいけど、胡乱げと優曇華(うどんげ)って何か似てね?

ブレザーうさ耳戦士とか、かなりツボだ。

それはともかく、

 

「悪いな、フレイさん。非常時につき、ついここまで連行してしまった」

 

存在を忘れていたと正直な発言をしないのがミソだ。

ワタシが抱っこを解除し、床のおろす時に少し残念そうな顔をしたのは、見なかったことにしてやる。

 

「い、いいえ! むしろ、ごちそうさまでした?」

 

何を言ってるんだこの娘は?

まあ、非常時につき気が動転しているということで納得するが。

 

「ギナ兄じゃなかった()()()()()? それともギナ艦長?」

 

「ギナ艦長でいい。サハク艦長では姉っぽくなってしまう」

 

ああっ、ただでさえ性別以外はビジュアルそっくりだもんな。ギナ兄とミナ(ねえ)って。

それに先代のコトー・サハクの急逝でサハク家の跡目を継いだのはミナ姉の方だし。

 

(ギナ兄は丁々発止の鉄火場とか大好きだからな~)

 

まあ、ワタシも大好物だけど。

 

「じゃあギナ艦長、この娘はフレイ・アルスター。大西洋連邦事務次官、ジョージ・アルスター氏の娘さんだ」

 

「ほほう」

 

ギナ兄は視線で笑う。

どうやらフレイがここにいる意味を即座に理解したみたいだ。

 

「良いだろう。艦長権限で乗艦を許可する。客人対応で、特別に個室も用意してやろう」

 

「さっすがギナ兄! 話が早い♪」

 

「ふふん。そうだろうそうだろう」

 

ドヤァってるギナ兄はなんか可愛いぞっと。

 

「フレイ・アルスターだったか?」

 

「はっ、はい!」

 

蛇に睨まれた蛙ってのは言い過ぎだが、生まれつきの鋭い視線(睨んでないぞ?)で見られてビクッと身体を硬直させるフレイだったけど、

 

「歓迎してやろう。我が名は”ロンド・ギナ・サハク”、オーブ連合首長国『五大氏族』に名を連ねる者にして、カガリと同じく国防委員の一人でもある」

 

そして、天然の凄みのある悪党笑顔で(だからフレイが怯えるってばよ)、

 

「今は臨時でイズモの艦長とオーブのヘリオポリス派遣軍、その最高司令官を兼任してるがな」

 

 

 

 

 

 

 

 

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名残惜しそうな顔をしていたが、流石にいつまでも「客人であっても民間人」のフレイを戦闘態勢のブリッジに居させる訳にもいかず、早々にあてがわれた個室へと案内した。

 

状況から考えれば仕方ないが、寂しそう……というか心細そうな顔をしていたが、用意されたゲストルームがワタシの部屋の隣だと知ると少し安心したようだ。

 

そしてワタシは部屋でオーブ軍の制式軍服(しろふく)に着替え、ブリッジへと戻った。

 

「ギナ艦長、状況は?」

 

「見てみるが良い」

 

旧日本から引き継いだオーブお得意の電子産業、VR/ARの応用技術をたっぷり使った三次元投影される複数の”空間展張(ホログラム)ディスプレイ”には、

 

「愚かな連中だ。コロニー内部に『対艦/対要塞戦用装備のMS』を潜入させる意味を全く考えていないと見える」

 

そう、大挙して押しかける”D型装備(デストロイ)のジン”が映っていたのだ。

デストロイ装備とは、今はL5宙域に牽引されザフトの宇宙要塞”ボアズ”と呼ばれている、元東アジア共和国の資源惑星”新星”を巡る攻防戦で名をはせた対艦/対要塞用の一連の大型打撃装備のことだ。

MSの全長に迫る大型ミサイルや特火重粒子(ビーム)砲がそれに該当するが、それをコロニーの中で展開するということはつまり……

 

最初(ハナ)っからヘリオポリスをぶっ壊しにきてるって判断だよな。中に居住してる民間人ごとさ」

 

対要塞装備をコロニーの中で使うってのはそういうことだ。

 

「録画は?」

 

「勿論だ」

 

現在、ヘリオポリス全域に非常事態宣言が発令され、管轄は大西洋連邦の管轄区域を除いて全てオーブ軍の統制下にある。(大西洋連邦管轄区域は、日本国内の米軍基地のような扱い)

つまり、生き残ってるヘリオポリスの定点カメラや監視カメラの情報は、全てイズモに集約されているのだ。

原作通りの展開なら、実はヘリオポリス崩壊に一番影響を与えたのは、ストライクガンダムが振り回す”アグニ”ビーム砲だったような気もするが……

 

(まあ、そんなものは情報の精査でどうにでもなる)

 

情報操作なんてレベルの事を行う必要もないのは、正直気が楽だ。

 

「コロニー在住者のプラントが、宣戦布告もなく他国のコロニーを蹂躙し虐殺を行う……」

 

口角が上がるのが自分でもわかった。

 

(見てろよプラント……)

 

「お前らの言う”血のバレンタイン”なんて、政治的には何の意味もないことを思い知らせてやんよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




D型装備のジンの投入は、コロニーぶっ壊す気満々の証(挨拶

カガリというかオーブは、ヘリオポリス崩壊を徹底的に政治利用する気みたいですよ?

アークエンジェル組の方は平常運転の予感(^^


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