SAO イーディスと逝くアンダーワールド   作:難波01

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セントラル・カセドラルから離れ、中央都修剣学院の敷地内に多くの天幕を張って陣取っている様は戦の本陣だ。

 

修剣学院の修剣士達とは施設内に陣取らせてもらっている手前、必然的に接点が生まれてしまう。

 

多分、カーディナルの新たに打ち出した整合騎士と民の交友が一番図られているのかもしれない。

 

普段は忙しく人界の様子を見に飛び回る整合騎士も今ばかりは本陣に集まっていた。

 

何せ、キリトが覚醒して、カーディナルから問題ないとお墨付きをもらったのだから、一度は敵対した間柄とはいえこれから協力して事に当たるのだから立食会くらい開いても罰は当たらないだろう。

 

 

 

 

 

 

「あ~、皆聞いていると思うがキリトが目を覚ました。前回は敵同士だったがこれからは背を預ける仲間だ、このところ忙しかったと思うが今ばかりは親睦を深めよう・・・・外界から坊主に会いに来たお嬢さん方もいるからな」

 

ベルクーリが仕切り、ちょっとした立食会が開かれた。

 

自己紹介もかねて、と言ってもここに居る整合騎士メンバーはキリトと共闘、あるいは撃破されたメンツが殆どだ。エルドリエに至っては再戦の際に勝ちたいからと任務の間を縫ってシズクに稽古を申し出ていたほどである。

 

「私たちは最高司祭様と対峙した際に共闘したし、今更よね?」

 

「そうだな、それよりもお嬢さん方の方が」

 

「は?」

 

「・・・何でもございません!」

 

コップを傾けるイーディスに同意しつつ、シズクは素直にアスナやシノン達について聞こうと口にしたところ、イーディスが不機嫌になった。ここであの式句を唱えられたらたまらないのですぐに諦めた。

 

「この忙しい中でも二人は相変わらずだね。頼もしいよ」

 

その光景を見てレンリが微笑む。

 

「それじゃ、改めて私はアスナ。皆さんとは別の世界からキリト君を探しに来ました」

 

改まって自己紹介を始めたアスナ、先ほどまでちょっと前のカセドラル食堂のような会話は一気に為りを潜めた。

 

「シノンよ、訪れた理由はアスナと同じ」

 

「リーファです。理由はみんなと同じです」

 

彼女達が用いているアカウントは、アンダーワールドにおける神様、ステイシア神、太陽神、地神と普通ではない。元々、アンダーワールド自体がAIの実験世界だ。それを知るシズク以外は黙って聞き、ベルクーリから言葉を返していく。

 

「ベルクーリ・シンセシス・ワンだ。整合騎士の長を務めている」

 

「ファナティオよ、ベルクーリ様の補佐をしているわ」

 

「デュソルバート・シンセシス・セブンである。以後お見知りおきを」

 

「イーディス・シンセシス・テン、アリスのお姉さんみたいな存在かな?よろしくね」

 

「シズクだ。セントラル・カセドラルでは教導役を仰せつかっていた。」

 

「レンリです。よろしく」

 

「エルドリエ・シンセシス・サーティーワン、以後お見知りおきを」

 

ひとしきり自己紹介が終わった後は、まぁ和気あいあいと立食会は進む。進むのだが・・・。

 

「シズク殿、今一度弟子に「しない」そこを何とか!?」

 

「エルドリエはシズクに何で弟子入りを?確かに彼は強かったけど」

 

「エルドリエは一度、兄上にコテンパンにされたことがあるのです。」

 

こんな時でも弟子入りを志願するエルドリエに即答するシズク、そんな二人を見てユージオは思わず疑問を口にした。

 

ユージオは一度、エルドリエと剣を交えている。あの時は、辛くも勝利することができたがキリトと共闘した上にシンセサイズされた記憶の混乱を何とかつけたからだ。

 

ユージオの疑問にはアリスが呆れ気味に答えた。

 

「あ、それは俺も気になった。シズクのソードスキルにはライトエフェクトがない、そんなことはあり得ないんだが」

 

そこに乗っかってきたのが黒の剣士キリト、キリトはアドミニストレータとシズクの決闘を間近で見ていたがシズクの繰り出す技は彼の知るソードスキルとはまた違っていたが剣技に違いはなかった。

 

「俺の抜刀術はシステムにサポートされてない。だからじゃないか?」

 

アンダーワールドにおいて、心意による事象上書きは勿論、神聖術、外部データから引用される技・ソードスキルは必然的に発動のタイミングを気取られる。だって、剣が光るし。その点において百パーセント身振りの飛天御剣流はライトエフェクトがないから本当に繰り出す直前までわからないのだ。

 

「アリスは、本格的にシズクの事を兄上と呼ぶようになったのね?」

 

ファナティオが微笑みながら訪ねるとアリスは気恥ずかしそうに答えた。

 

「整合騎士として召喚される以前から気にかけてもらっていたと小父様から伺いました。もしも兄がいたのならシズク殿のように気にかけてくれるのかと・・・イーディス殿からも兄のように頼っていいとおっしゃってもらったこともありますし」

 

「シズクもまんざらじゃなさそうだったからなぁ。俺としちゃあ微笑ましい限りなんだが」

 

そこにベルクーリが加わり、カセドラルの食堂のような賑わいを見せていた。

 

「坊主、おめぇさん修剣士達も指導してやれ」

 

「不意打ちも久々ですね!?普通に嫌ですよ!」

 

「騎士長?」

 

談笑の流れからベルクーリがそれとなく告げると完全支配術でも発動させたかのかと思う勢いで拒否するシズク。笑うベルクーリをじとりと睨むイーディスと三人のやり取りを見ながらキリトは思うことがあった。

 

「カセドラルの教導役か・・・」

 

「ちょうどいいでしょう、目覚めたばかりで腕が鈍っていないかお前も見てもらうと良い」

 

興味津々と顔で語るキリトにアリスが告げる。

 

「アリスさん、キリト君は病み上がりなんだけど・・・」

 

「アスナ、私たちがいくら言ってもキリトは聞かないわ」

 

「シノのん!?」

 

シノンは悟ったようでアスナの肩に手を置いていた。

 

そんな女神たちを他所にキリトの目には好戦的な光を宿している、キリトだけでなくもう一人・・・。

 

「シズク殿!重罪人に稽古をつけるのですか!?」

 

「つけないよ!?後、キリトが重罪人なら俺もだからな?」

 

「みんなにして私のシズクをとーるーなー!」

 

「あら?イーディスも随分素直になったのね。」

 

シズクはベルクーリが振った話を蹴ろうとしたが、そこに食いついたエルドリエが場を乱して、当のシズクは達観してか諦めたか食事に戻った。

 

ベルクーリからグリフォンの討伐を終えたら久しぶりの休息日をもらっていたイーディス、それを知らずに周りから引く手あまたのシズクにイーディスは抗議の声を上げるとそれを聞いていたファナティオが微笑む。

 

人界守護前線本部は今日も平和である。

 

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