SAO イーディスと逝くアンダーワールド   作:難波01

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セントラル・カセドラルでの生活が始まって一ヶ月が過ぎる。

 

俺ことシズクの手の内はイーディスを初めに整合騎士の皆さんに見せきったと言って良い。

 

基本素手だし、上条スタイルだし。

 

確かに今なんて任地に行ったら足手まといこの上ないのはよく理解している。分かっているからこうして勝手に物色して良いと話題の武器庫に訪れたわけなんだけども・・・。

 

「ねぇ、シズクは武器を使ったことがあるの?」

 

どういうわけからんらんと目を輝かせているイーディスと供に物色をしているわけなんだけども。

 

この後、ベルクーリさんが組み手で見てくれるらしいんだ。

 

ほら、イーディスも部下で娘みたいなもんだって言ってったし。戦力に為るか査定だそうだ。

 

「片手剣・・・・」 

 

答えかけてふと考える。

 

アレ?無難に片手剣にしようしたけど・・・俺使えんの所謂アインクラッド流ソードスキルになるわけなんだけどもキリトとユージオは整合騎士相手に初見殺し的なところもあったような・・・・ないな。その程度で負けるなら整合騎士やっていないだろう。

 

「片手剣ね。まぁ扱いやすいし無難か、でもアンタ剣での読みあいとか弱そう」

 

「なんですと!?」

 

笑顔でそう言ったイーディスにカチンと来た。

 

そりゃあ、ゲームでしか剣に触れてませんし?それでもSAOリコリスって剣戟アクションキャラゲーやっていたし?あ、関係ない?でもこの世界アンダーワールドなわけで!

 

「・・・・何で日本刀があんの?」

 

いや、百歩譲ってアンダーワールドが作られて世界で刀っつってもイーディスの持つ固有の刀も純粋に日本刀と言うよりは形状がファンタジーよりに曲解されている。

 

あ~日本人として惹かれるわ~・・・・よし、新たな流派を整合騎士の皆さんにお見せしよう。出来るかは別、出来ると思えば何でもいける!それでこそのアンダーワールド!

 

「知らないわよ。ここの武器って最高司祭様が集めさせてるらしいから何処から集まっ

たかなんて私が知るわけ・・・・って何ソレ?刀?刀で行くの!?」

 

純粋に見間違う事無き日本刀を鞘から抜いてみる。

 

チャッ!と言う金属音の後に細い刀身が露に・・・・うん、切結ぶならともかくファンタジーの大本命:バスターソードとかと切結ぶとか駄目だな。刀が折れる。

 

おいおい、刀身が綺麗だな。実物は初めて見た・・・・。

 

てか失礼じゃないですかね?イーディスさん。

 

俺だって日本男児の端くれ、刀が使えるなら使うわ。そして、可能ならばあの流派で戦いたい。

 

幸いなことに我がステータスはAIGよりですし?出来ると思うんですわ。

 

「何だよ、俺が刀持ったら問題でもあるのか?」

 

「・・・ないけど。無いけど何か私と被る!」

 

「ベルクーリさんは好きな得物持ってこいって言っていたからな。さて、イーディスの仕事が増えるか否か・・・・行きますか?」

 

「任務が増えるのは嫌!」

 

珍しくごねるイーディス。ま、仕事が増えるのは嫌である。

 

拝借した日本刀を腰に挿してみる。

 

おお、ベルトの通しが意外と良い仕事したな。後は最初のオークに殴られた時のダメージで開いた穴ね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おいおい、お揃いかよ」

 

武器庫から出ると待っていたベルクーリが呆れたと言わんばかりに肩をすくめた。

 

「何っすか、べルクーリさんまで」

 

「まぁ、お前さんは左手に頼って神聖術による遠距離戦を潜り抜けて懐にもぐりこんで肉弾戦ってのがここ一ヶ月で分かったお前さんの型だ。武器を持ってもそれは一朝一夕に変わるもんじゃねぇ。ま、神器クラスのもんにならぁ自然と神聖力を帯びちまうから、弓なら左手で消せるだろうけどな」

 

膨れるイーディスは「何回も言ったのに」とぶつぶつ呟く。

 

どうやら、コンビと為るなら一対多が望める武器が良かったらしい。後はベルクーリさん曰く、俺に刀は向いていないとか。

 

ダークテリトリーに拳闘士って奴らがいるらしい、武器を望むなら手甲とかそういう拳系と思ったとか。酷いな、俺が突っ込むことしか能がないみたいじゃないか。

 

「木剣じゃ、騎士見習い達相手に負け無しだったんだろう?俺相手に一本取れたら、イーディスの同伴を認めてやる。負けたらもうちょいここに篭ってもらう」

 

「ウッス、もし一本取ったらイーディスの仕事量は?」

 

「魔獣討伐系を主にお前とやってもらうつもりだ。気張れよ少年!良いところ見せてやれ」

 

そう言いながら俺とイーディス、ベルクーリさんは鍛練場まで歩いていく。

 

鍛練場では下級騎士や見習いが組み手や筋トレ、素振りをしている。

 

ベルクーリさんを見かけるや「騎士長!?」「騎士長が何で!?」とか聞こえる。

 

おいおい、黙々と矢を射るデュソルバートがいるじゃないか。

 

「・・・それじゃあ騎士長、判断をお願いします」

 

イーディスがベルクーリに一礼し、コートの外に出た。

 

「それじゃ、殺す心算で掛って来い」

 

まるで親父が子供を構うように、リラックスしたベルクーリさんが木剣をゆっくりと構える。

 

俺は深呼吸して、腰を落として居合いのように構えて強く地を蹴った。

 

飛天御剣流(ひてんみつるぎりゅう)・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は目を疑った。

 

私ことイーディスの前で、騎士長の頭上をシズクは一瞬で取った。

 

シズクの瞬発力や膂力が高いのは、今までの訓練で分かっていた事だ。問題は一息で騎士長の頭上を取り、見たこともない流派の技を繰り出していること。

 

「龍槌閃!」

 

重力落下で威力を底上げして叩き斬る技のようだけど、その程度では騎士長を捉えられない。アレ?私じゃ危ないかも、あんないきなり視界の外から攻撃されたら対応に困っちゃうかな、アイツ神聖術効かないからなぁ~。

 

「お、やっぱり隠してやがったな」

 

「気がついてたんですか?人が悪いな・・・続いてっ!」

 

今度は全身の急所を乱撃する技、騎士長は捌いているけれど並の剣士なら決着が着いてるよ。私でも対応は難しいかな、武装完全支配術使わされそうな勢いの完成度を誇る技・・・本当にシズクは何者だろう?

 

「そら、もっと本気になれっ」

 

「なんのっ双龍閃!」

 

騎士長が打ち込んだ剣を右に身体を捻りながら避けて斬りかかるシズク。ソレを避けた騎士長、あちゃ~・・・見習いの子達引いているよ?

 

シズクの攻撃はコレで終わらなかった。

 

開いている左手で鞘を抜くと二撃目を騎士長の顎目掛けて抜き放つ。

 

「そ、そこまで!」

 

ピタリッ!と顎に添えられる鞘。思わず声を上げてしまったけどシズクって居合い使いなのね。

 

うわぁ、騎士長本気じゃなかったとは言えシズクが勝っちゃった。

 

あ、少し鼻高いかな。私の従者は神聖術耐性高く・・・と言うか効かなくて剣も強いのです!

 

よし、コレで私もアイツの知らない一面を知れたかな・・・本当に今まで何をしていたんだろう、殺しで喰っていたわけじゃないわよね?

 

 

 

 

 

 

 

よし、ソードスキルとして俺の、シズクの記憶にある過去に憧れた剣豪の動きは再現できる。と言うかこっちの方が絶対にアドバンテージあるわ、AIG上げるアイテム探そ・・・アレ?そんな便利アイテムあるの??

 

それは兎も角、飛天御剣流を主体に動いていこう・・・魔獣にも通用するよね?

 

「すごいじゃない!今までが嘘みたい」

 

「少しは見直しましたかい?イーディスさん」

 

「うん、直線的な奴じゃなかったんだね」

 

本当に驚いたのだろう、イーディスの表情は驚きと・・・何かいいことでもあったようで微笑みながら語りかけてくる。

 

「・・・・仕方ないでしょうよ、素手だったんだから」

 

「うん、コレだけ強いなら私も認識を改めなくちゃ。ここ一ヶ月のイメージが嘘みたい。単なる変態だと思ってた」

 

「おいまて、今までのは事故だって言ってんだろ!」

 

「し~らない♪」

 

「あのなぁ!?」

 

何時ものように口論を始める俺とイーディス。ベルクーリさんだけは暖かい目でこちらを見ている。

 

「おいおい、のろけんのも大概にしろ。シズクは文句なしの合格だ、しっかりソイツを支えてやれ・・・ってどうした?鍛練にもどれよー!」

 

唖然とする見習い騎士達にベルクーリさんが一喝することでこの場は納まった・・・・と思ったんですよ、後々に嫌になるほど味わうことになるとは知らずに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さてはて、本格的に気になっていることがある。

 

「霧舞、確かに俺はお前の主と同室だ。だが、好んでイーディスにスケベを働いているわけではない」

 

そう、物凄く好かれている。

 

整合騎士が従える移動手段、飛竜にである。と言うか飛竜以外にも動物には好かれるかもしれない・・・アレ、飛竜って幻種じゃなかった?

 

「グルゥ・・・」

 

私にぼやかれましても、とでも言いたげに唸る霧舞。

 

俺は割とセントラル・カセドラル内を割と好きに動き回っていて(イーディスは怒るが)、最近の流行は主の愚痴を同じ主に仕える霧舞にぼやくこと。

 

霧舞も最初こそ反応はいい、何か大型犬を相手にしているみたいで心が和むんだけどどうにも飛竜のじゃれ付き方には心が慣れん。

 

いきなり頭をかぶりですよ?いや、本気で食い千切りにきてるわけじゃないし、甘がみでべろべろ舐めるだけだけどさ。

 

因みに他の飛竜たちも懐いてくれている。

 

なんだろうね、俺はシリカじゃないしビーストテイマーの経験もない。単なる動物好きだっただけ。ま、こんな経験するなんて思いもしないしね。

 

「んじゃ、戻るわ霧舞。ストレス溜まったらまた来る」

 

そう言って飛竜のゲージ(?)を後にすると「あ、結構です」と言うように吼える霧舞。

 

「何階を御利用でしょうか?」

 

「いつもの所で頼むよ」

 

「かしこまりました」

 

昇降係りに尋ねられて答えると特に追及なく上昇を開始する。

 

凄いよこの子、なんか行き着けの飲み屋みたいな感じで行けたわ。

 

「見つけた・・・」

 

イーディスの部屋がある階層に着くと部屋の前に黒髪の女性がいた。

 

俺を見つけるなり、つかつかと詰め寄ってくる。

 

「私と戦って欲しい。」

 

「あ、あの・・・何故?」

 

知ってるよ、うん。

 

整合騎士きってのバーサーカー、シェータさん。何でも斬っちゃうらしいよね、一応こっちじゃ初対面なので取り繕う。

 

「未知の流派で騎士長に一発入れたそうじゃねぇか」

 

おおう、物凄い棒読みだ。後入れてないし、めっちゃ手を抜かれていたから本気のベルクーリさんとやりあうなんて思いたくも無い。

 

死ぬわ、間違いなく。

 

どうも未知の流派ってのに興味を引かれてベルクーリさんのテスト結果でシェータさんの闘争心に火がついたらしい、その癖に極めて感情の起伏はなく能面のように表情が変わらない。

 

何この人、メッチャ怖いんだけど!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっと、どういう状況?」

 

私ことイーディスは、自室の前で立ち往生するシズクとシェータに一瞬戸惑った。でも良く考えるとシェータが動く動機って決闘しようとかそんなところよね。

 

「お、いい所に!イーディス、この方をどうにかしてくれ」

 

あ、珍しくシズクが泣き付いてきた。

 

私も苦手なのよね、シェータって何考えてるか良く分からないし・・・でも、今日は分かるわ。

 

「・・・・イーディスの従者は腰抜けなの?」

 

シェータが私を見るなり、いきなり挑発を始めた。

 

普段物静かなシェータが挑発までするとは・・・よっぽど戦いたいのね。

 

「シズク・・・」

 

「いや、戦わないからね?」

 

「そりゃあ残念だ」

 

「騎士長!?」

 

私が言葉を紡ぐ前にシズクが釘を刺す。シェータは殺る気だけどシズクは必要以上に剣を振るいたくない様子だし、でも挑発されっぱなしも癪だしと思い始めた時、背後から騎士長が現れる。

 

何時来たの!?と言うか騎士長、公務かまけてませんか?

 

「お前さんの力を皆に認めてもらういい機会だと思ったんだが」

 

「騎士長、楽しんでません?」

 

「そんなことはねぇさ。」

 

いや、騎士長は絶対に楽しんでるわね。

 

「未だに少年の実力を疑う声が多くてな。整合騎士相手に立ち回れると自分の目で確認できれば排斥しようなんて声も消えるからな、十分後に鍛練場だ。遅れるなよ、少年!」

 

心なしかシェータの背中から「うきうき」と言う擬音が見える。

 

私でも分かるわ、シェータさん嬉しそう・・・に比べてこっちときたら。

 

「どうしてこうなった・・・」

 

膝から崩れ落ちているんだもん。

 

「ほら、シズクも諦めなさい。私の従者が無能じゃないって所を皆に知らしめてきて!」

 

うん、私も気合が入っているようだ。

 

負けたら承知しないからね!?

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