SAO イーディスと逝くアンダーワールド   作:難波01

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布団の中でもぞもぞっとしてる時に目が覚めた。

 

寝覚めはだいぶ良くて、快適な睡眠を取れたんだなって実感できる。

 

このモフモフした抱き枕は何だろう?

 

あ、そう言えば昨日はシズクが少し過去について話してくれて・・・シズクの新しい刀、シズクの神器が任務中に遭遇した神獣だって話で偉くフランクに話しかけてきたのよ。

 

最初は少し威厳保とうとしていたようだけど、神器になって止めたんだって。

 

「っく、苦しぃ~」

 

「ってアンタか!」

 

一晩経って整理が付いたからか私は中央を隔てていた衝立がぬいぐるみのようにモフモフしていてソレを抱き枕に寝ていたことに気が付いた。

 

そう、神獣ことクー・・・・シズクの亡き愛犬の名を借りた神獣だ。

 

剣としての銘は幻狼刀らしい。

 

シズクの天命一割を貰い受けてこうして実体を持つことが出来るとか、いや、驚いたわ。

 

けど、クーのお蔭で私は快眠できたのよね。

 

「さっそくイーディスの抱き枕とは・・・・」

 

呆れたような声に振り向くとシズクがコップを持って立っていた。

 

あ、本当に先読みしてるんじゃないかしら?確かに喉は渇いていたけど。

 

「・・・おはよう」

 

「おはよう、クーの抱き心地はどうだ?最高だろ」

 

「随分落ち着いたね、昨日はアレだけ取り乱したのに」

 

「そう言わないでくれ、恥ずかしい。」

 

確かにシズクは憑き物が取れたような、とてもすっきりとした表情だった。

 

「そう、銘が分かってよかったじゃん」

 

「後は可愛い寝顔も入れたからな。何かと攻撃的じゃなければ最高だぞ、イーディス」

 

「・・・・私の寝顔見たのっ!?」

 

シズクに言われて僅かに寝ぼけていた頭が一気に覚醒する私。

 

え?何、コイツ私の寝顔見たの!?しかも可愛いって・・・・あぁ~!

 

思わず枕を投げて毛布を頭から被って悶えてしまう。

 

アレ?何で私悶えてるんだろ、恥ずかしいのは当然として何でこんなに意識してるんだろう?あ、そうだ、話を聞いてからクーが出てきて最初は違うって言い聞かせていたみたいだけど感情が爆発してシズクが泣いたのよね。

 

それで、確か抱きしめてあげて、こいつに押し倒されるような感じでベッドに寝そべったんだ・・・・アレ?私もしかして凄い恥ずかしいことした?冷静になれば確かに慰めるの域超えてなかった?男女のそれになってない!?

 

「安心していいよ、そういうことはシズクしてないから。」

 

「それじゃ何で中心を隔ててた衝立がないの・・・・?」

 

「あ、アタシが引き抜いたよ。抱き合って寝てた「寝てたない!」まぁまぁ、あの時は抱き合ってたじゃない」

 

目撃者がいた。

 

いや、神器なんだけど、意識を持ってさっきまで抱き枕になっていたクーがのそっと頭を布団に突っ込んで昨日の記憶を鮮明に説明しだした。

 

あ~!止めてっ恥ずかしい!!

 

「その、助かった。ありがとな・・・それと早く着替えちまえ、廊下で待ってる」

 

そう言ってシズクが部屋を出て行く。

 

「・・・・バカ」

 

私の呟きは空しく消えていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

廊下に出るなり、俺ことシズクにとっては懐かしい感覚が残る。

 

(何か、嬉しそうだね?ご主人)

 

頭に響く声にふっと腰の幻狼刀へ視線を落す俺。

 

かつての愛犬と散歩しているような、いつも一緒にいたような感じだ。そこにいて当たり前、失って初めて気がつく感覚。

 

(何だ、この形態で喋れんの?)

 

念話的な、テレパシーに近い感じだろうか。

 

と言うか武器に意識が残ってるって不思議な話だ、心意が成せる業とでも言うか・・・アンダーワールド特有の現象だろう。

 

まぁ、俺はそのお蔭で一度は失った支えを再び得たわけだ。

 

正確には違うと言っても、やはり失った穴を埋めるには十分すぎた。

 

お蔭で多少の余裕は持てたしね。

 

(喋れるよー、ご主人限定だけどね)

 

(そっか。てかご主人って・・・・)

 

(この姿を写し取った時、ご主人の記憶に触れたんだ。最初に感じたとおり、誰かの為に頑張れる人だと思ったからアタシは神器としてご主人とあり続けると決めたんだ)

 

(そっか、でもそこまで大層な人間じゃないぞ?)

 

(ううん、気付いてないだけ。ご主人はイーディスだっけ?あの子を失いたくないと駆けた。頭じゃあの子の方が強いと分かっていてもね、手の届く所は守りたいって思ってるでしょ?行動には中々移せないよ。)

 

そこまで言われると悪い気はしない。

 

確かにイーディスのほうが強いってのは頭では分かっていることだけど、あの時は別だ。

 

相手がイーディスの先手を取った、対策もしているだろうと思ってたから必死になった。

 

(・・・・呼び方はクーで良いのか?)

 

(今更でしょ、アタシはもう神獣じゃない。ご主人の剣だよ・・・ご主人が許してくれるならそう呼んでくれると嬉しい)

 

僅かに口角が持ち上がる、やっぱり嫌なんて言われたらソレはそれでショックだった。

 

さて、ココで問題が発生。

 

イーディスを待っている間にクーと対話してソレで終わり・・・なんてことはなく、互いに理解を高めたからか成犬サイズになったクーがポンッと現れ、足元に座っていた。

 

え?そんなコミカルに出てくるの?なんて聞く間もなかった。

 

「シズク殿、その犬は?」

 

四旋剣の一人、ダギラさんに見られていたからだ。

 

「・・・・私の神器です」

 

ヤバイ、問題にしかならんぞコレは。

 

唯でさえお堅いファナティオの弟子だ、きっと考えも凝り固まっているに違いない。

 

「神器が犬の姿をとるなど聞いたことがないのですが?」

 

ですよね!?言い訳にも苦しゅうございました!

 

さて、どうしよう?ことを理解してくれそうなのはベルクーリさんなんだが残念なことに今は居ない。

 

イーディスを呼び出す?と言うか着替えるの遅いな!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私、イーディスが扉を開くとやっぱりと言うかクーを背に庇うシズクが助けを求めていた。

 

あ、やっぱり廊下で実体化したの。と言うか子犬サイズだったわよね?大きくなってない?

 

「イーディス、この犬は何だ?」

 

あ~案の定ね、四旋剣の誰かに見つかって副長の耳に入ったと、朝から面倒だな、出切れば何もなく・・・・無理か。

 

「シズクの神器に宿る神獣の意識が実体化した姿よ・・・ええ、信じられないでしょうけど本当なの。」

 

四旋剣の皆は私が言うと本当!?と驚いていたけど副長は違ったみたい。

 

疑念の視線がシズクとクーを見据えてる。

 

「任務先で神獣に遭遇して、神獣を素体に神器を鍛えたと?そんな与太話が信じられるとでも?」

 

「本当よ、騎士長にも報告してあるし素体にしたわけじゃないわ」

 

「そうですよ、正確には心意で神獣自ら剣に姿を変えました。ベルクーリ騎士長にも報告しましたし、ベルクーリ騎士長曰く“生物が変化した武器には意思が何とか”って言ってましたよ」

 

私に便乗してシズクが反撃する。

 

少し前まで流れに任せていたところがあったのにシズク、そこまで言うの?

 

「ええ、報告書は目を通しました。・・・そもそも神獣自体、遥か昔に討伐され尽くしているのですから」

 

「お、やっぱり妙なことになってるじゃねぇか」

 

副長の後ろから面白いことをかぎつけたって表情の騎士長が歩いてきた。

 

腰には時穿剣を携えてきた所を見るに鍛練かしら?でも、実剣を使って?

 

「ファナティオ、イーディスと少年の言うことは本当だ。」

 

「閣下!?」

 

「神獣の件に関しても最高司祭様が見逃した一匹だと、昨日酒の席で言っていたよ」

 

説明を始める騎士長、と言うか最高司祭様とお酒なんて飲んでいたの?時々顔色悪いときって二日酔いなのかな?

 

「そんなの!」

 

「と言うわけだ。イーディス、少年を借りるぞ。」

 

「は?ベルクーリさん、何か・・・まさか!?」

 

「おう。鍛練に付き合え、少年」

 

そう言って騎士長は副長との会話を切り上げるとシズクを引っ張っていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どうも、と言う感じで俺ことシズクはベルクーリさんと実剣を使用した模擬戦を行うことになったのでした。

 

ま、助かりましたけどね。

 

前話冒頭のとおり、アドミニストレータが見にいらしてたんですよ、しかも俺を発見したことはイーディスのお手柄的な感じでイーディスはお言葉を賜っている。

 

俺?俺はと言うと・・・、

 

「それじゃ、行きますよ。ベルクーリさん!」

 

「おう、何時でも来い。」

 

「見届け任は私が行います」

 

構える俺とベルクーリさんを双方見て、ファナティオさんが言う。

 

腹を決めてベルクーリさんへ跳躍。

 

頭上を取った、龍槌閃で一気にと思ったが野生の感と言うかあのまま行けば死んでいたんじゃないだろうか?と思える一太刀を何とか凌いだ。

 

(嘘だろ?虚を突いた筈だ・・・・流石は整合騎士のトップか)

 

「速度は流石だが、バカ正直に正面から来るとはな・・・」

 

ベルクーリさんが踏み込んだ。

 

真正面から一刀の唐竹割りを俺は直ぐに身体を捻って回避、そのまま龍巻閃・凩でカウンターを狙う。

 

「流石ッ!」

 

後ろに回りこんだ一太刀もあっさりと防がれる、続けて龍巻閃・旋へと派生。

 

錐揉み状に飛んで相手に突進し斬りつける技だ。

 

この際、殺してしまうかもと言う心配は捨てないと俺が死ぬ、間違いなく、模擬ではすまないと思う。

 

「ほう、やっぱ連続技があるじゃねぇか」

 

嬉しそうに口角を持ち上げ、こちらの剣を捌きながら笑うベルクーリさん。

 

「まだまだっ!」

 

更に龍巻閃・嵐へ派生。

 

龍巻閃シリーズはコレで全て、三連続で繰り出すがベルクーリさんには一太刀も浴びせられない。

 

掠ってもないよ、なんなのこの人!?

 

「そんじゃ、お前さんの危機感を信じて俺も一つ技を出すぜ。」

 

そう言ってベルクーリさんは一閃、俺が踏み込みであろう空間に斬撃を()()()。とっさに身体を捻って転がることで体を低くして横一閃の“空斬”を避ける。

 

うん、事前知識とココでの生活で養われた危機察知能力が役に立った、後、上げてたAIG値ね・・・マジかよ、空斬出してきたよ!

 

「あら、今ので終わらなかったのは何時以来かしら?ねぇ、ベルクーリ」

 

「さぁ?思い出せませんなぁ。面白い奴でしょう?」

 

感心しように呟くアドミニストレータと答えるベルクーリさん、今度は地面スレスレを滑るように間合いを詰めた俺をしっかりと見据えて抜き打ちの刃を止める。

 

「流石だ、少年!思っていた以上に出来るねぇ」

 

「いや、心意技ですよねアレ!?」

 

「おう、本気で来い。それこそ俺を殺す気でよ」

 

龍翔閃は初見のはずなのにあっさり破られた。

 

この分じゃ九頭龍閃も怪しい・・・と言うか奥義でも厳しいかもだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私、イーディスの目の前で信じられない事が起きている。

 

騎士長が心意技を放って、初見なのにシズクは避けて見せた。

 

間一髪のギリギリだけど、確実に太刀筋を把握した上で避けた。

 

そうなのよ、騎士長は正騎士になった騎士に一度本気の稽古をつける、その時だけは手加減抜きで神器使って、心意技も出す。

 

私も最初はアレ一回で負けた。

 

悔しいけど最初は何されたか分からなかったのよ。

 

後で種明かしされて漸く理解したって所もあった。

 

シズク・・・アンタって一体。

 

「イーディスちゃん、彼を大切にね?貴方の力になってくれるわ」

 

「はっ!」

 

跪く私に最高司祭様はそう言うと鍛練場を後にする、出切れば達磨も早くどっかいって、空気が汚れるわ。

 

「そこまで!」

 

副長の声が響いて、私は思わず視線を戻す。

 

「神速の二連撃か・・・・ソレが奥義かい?」

 

「全部受けきって何を言いますか!」

 

「え?ちょ、シズク!?」

 

倒れたシズクに驚いて私は駆け寄る。

 

別段斬られたとかそう言うわけではないようで騎士長と雑談をしている。

 

「そう言うな、勝ち負けで言ったら坊主の勝ちだ。ファナティオの一声が遅かったら脇腹斬られてたからな」

 

そう言って騎士長は着物を引っ張ってみせる、確かに左脇に切傷があるわ。

 

「騎士長閣下に“裏斬”まで出させるなんて・・・・シズク、貴方は何者ですか!?」

 

何か凄い驚いている副長、強いて言えば私の従者ね、私も言葉を失うくらい驚いている。

 

天翔龍閃、飛天御剣流の奥義で神速の抜刀術。

 

右足を前にして抜刀するという抜刀術の常識を覆し、その手の振りや腰の捻りの勢いを一切殺さないように抜刀の後に、左足を踏み出し、たった一歩ながらその踏み込みによって生まれる加速と加重が斬撃をさらに加速させ、神速の抜刀術を「超神速」の域の一撃に昇華する技。初撃が当たらなかった場合、斬撃が空を切ることで発生する突風が敵の行動を阻害し、その初撃で斬撃が通過した部分の空気が弾かれたことで真空の空間が生まれ、その空間の空気が時間差で急速に辺りの物体毎元に戻ろうとする作用で相手を巻き込むように引き寄せる。その自由を奪われた相手を、二回転目の遠心力と更なる一歩の踏み込みを加え、より威力を増した二撃目で追撃する。

 

私も聞くだけは聞いていたけど目にしたのは二回目。

 

一回目は任務で、二回目は今。

 

多分、コレでシズクは流派で習得した剣術を全て使ったと思う。

 

騎士長に“裏斬”を出させてソレを防御に回させた、神器でって聞いた時は血の気が引いたけど本気の殺し合いをしていたシズクに対して騎士長は何処か余裕があったようだけど、最後の一瞬は本当に焦っていたわ。

 

「剣術に限って言えば、整合騎士一かもな。整合騎士内で神速の剣士・・・いや、正確には整合騎士じゃねぇけども」

 

未だに唖然とする私達を差し置いて、騎士長は不敵な笑みを浮かべている。

 

あ、不味いかな?私とは違うベクトルの剣術だし、と言うか私じゃあの奥義みたいなの反応できないし・・・・シズクってアタシより強い?いやいや、私にだって武装完全支配術あるし?闇を支配するのが私の剣であって・・・勝てるイメージ沸かないわよ!?

 

「こりゃあ先が楽しみだ。武装完全支配術を会得したらまたやろうや」

 

「断固拒否してイイッスか?はっきり言ってそうそう死を予感したくねぇです!」

 

シズクは立ちあがると豪快に笑う騎士長へ抗議している。

 

流石にコレには私も副長と顔を見合わせて二人して呆れて笑ってしまう。

 

男の子って単純でいいわね・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アタシ、クー。

 

ご主人が偉い人と立ち会って皆に認めらたから割と自由にセントラル・カセドラルを歩き回れるようになったの!なったんだけど・・・。

 

「シズク殿、この可愛い生物は何ですか!?」

 

「俺の神器の神獣モード(仮)です」

 

「モード?時々聞きなれない言葉を使いますね、貴方は。と言うか神獣を自由にさせるのは控えなさい!皆が堕落してしまうではありませんか~」

 

「そういうファナティオさんが一番頬ずりしてません!?気持ちは分かりますけど」

 

ダギラって子がアタシに抱きついて、他三人も撫で始めてオバサン(クー視点:注ファナティオ)が頬ずり始めたの。

 

ご主人曰く見た目はイケメンの美人らしいけどアンダーワールドにハスキー犬なんていないから物珍しいんだろうけど。

 

まぁ、ご主人の記憶から最高の状態を模倣させてもらったから毛並みはつやつや!シャンプーしたての最高の状態だもん!

 

女性はアタシの魔力にモテモテよ!

 

「だからって私の部屋に集合は止めてもらえませんか!?」

 

毎晩アタシを抱き枕にして寝ているイーディスが悲鳴を上げた。

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