善逸と出会ったドラ治郎は、森の中の屋敷で猪と出会った。
「猪突猛進! 我流・獣の呼吸、参ノ牙 喰い裂き」
猪が振り回した刀が、屋敷の玄関にいた鬼の首を刎ね飛ばす。
「・・・・化ケモノだぁ!!!」
善逸の叫びと共に、屋敷から飛び出してきたのは猪の頭に人間の胴体の化ケモノ。
「動物変身ビスケットを食べた人間・・・・じゃないか。化ケモノだぁ!」
ドラ治郎も善逸と抱き合って一緒に叫んだ。
「いや待った。こいつの声、分かった。五人目の合格者。最終選別の時、誰よりも早く入山して誰よりも早く下山した奴だ。せっかち野郎!」
「えっ? ってことは僕らと同じ鬼殺隊ってこと?」
ドラ治郎が善逸の方を向いて尋ねると、その隙に猪男はドラ治郎に向かって走り出した。
「アハハハハ、鬼の気配がするぜ。お前だな!」
ボロボロの刀を振り回し迫る猪男。ドラ治郎は命の危機を感じ、背を向けて逃げ出した。
「ちっ違うよ~。ボク鬼じゃなくてドラ治郎だよ~。同じ鬼殺隊だよ~」
「オイオイオイ。たしかに気配が妙だな。なら、戦って証明してみせろ!」
「駄目だよ~。隊員同士で刀を抜くのは御法度だよ~」
「じゃあ、素手でやり合おう!」
そう叫んだ瞬間には、既に猪男の拳がドラ治郎の頭を殴っていた。
「ふにゅぅ」
「ドラ治郎! 大丈夫か!」
善逸は咄嗟に飛び出し、頭を抱えてうずくまるドラ治郎に覆いかぶさり守った。
だが猪男は容赦なく、善逸まで殴り始める。
こうして、ボコボコにされた無抵抗の2人を、猪男は踏みつけて勝ち誇った。
「アハハハ! 俺が親分だ! テメエらは今日からこの俺、嘴平伊之助様の子分だ。分かったな!」
「は、は~い」「ジャイアンみたいに乱暴者だなぁ」
伊之助という名の猪男は、猪の被り物を頭に被った美少年であった。
山育ちで天涯孤独。他の生き物との力比べだけが楽しみの乱暴者。
だが、意外と面倒見が良いというか、子分にしたドラ治郎と善逸が怪我で動けないと訴えると、近くの宿まで2人を“引きずって”運んでいった。
ドラ治郎:擦過傷多数。
善逸:擦過傷多数。
伊之助:ドラ治郎たちが到着する前に戦った鬼から受けた切り傷、軽傷。
により、しばらく休むことになった3人。
「そう言えばドラ治郎。お前から聞こえてくる鬼の音・・あれって一体・・・」
「鬼の音? ああ。善逸は耳がいいんだね」
宿で寝床を準備している時、善逸はドラ治郎に尋ねた。(ちなみに伊之助は布団を重ねた玉座に鎮座している)
「禰豆ミちゃん、出ておいて」
「ネズミ?」
ドラ治郎は袖から極小サイズの禰豆ミを取り出すと、スモールライトの解除光線を浴びせた。
ズズズズと大きくなる禰豆ミ。
その立ち姿に、善逸は目を見開いた。
「ああ、驚かせちゃったね。これはスモールライトと言って・・・・」
ドラ治郎の説明を、善逸は一切聞いていなかった。
聞く前に、既に怒りはじめていた。
「ドラ治郎、お前いいご身分だな。こんなかわいい子を連れて、毎日うきうき旅してやがったんだな! 俺の殴られた分、返せよ! 俺はな、お前が毎日アハハのウフフで女の子とイチャつくために体を張って助けたんじゃない! 鬼殺隊はな、お遊び気分で入るところじゃねえ! お前のような奴は粛清だよ。即粛清! 鬼殺隊を舐めるんじゃねぇ!」
「子分その2! テメェ五月蠅ぇぞ!」
「黙ってろ変な猪!」
怒り心頭の善逸は、伊之助に負けなかった。
伊之助は野生動物と過ごしてきた期間が長いせいか、人間の上下関係に慣れていなかった。
上下関係をつけるまでは暴力頼みであるが、関係の維持の方法は報酬制頼みしか発想がなく、反逆された時にどう対処していいか分からなかった。
暴力に訴えないのは、彼の性根の良さからであろう。
結果、その夜は騒がしくしてしまい、3人は宿の人にこっぴどく怒られた。
翌朝
禰豆ミがドラ治郎の妹と知ると、善逸は急にヘコヘコしだした。
伊之助は、つい昨日まで鬼は斬ると言って禰豆ミの気配を警戒していたが、子分になったと認識してしまったのか、それともそんな気分を忘れてしまったのか、少なくとも刀を持ちだしてはこなくなった。代わりに猪の挨拶なのか、たまに頭突きをしてくるようになった。
そんな中、3人に次の指令が届いた。
それは那田蜘蛛山へ一刻も早く向かえというもの。
「相変わらず、イベントの詳細な説明が無くて不親切だなぁ」
「いべんと? よくわからないが、不安で怖くて気持ち悪いのは俺も同感だ」
「何言ってやがんだ? テメェらは」
デコボコ3人トリオが那田蜘蛛山にたどり着いた時、周りは既に日が落ちていた。
すると、山の入り口に1人の男が倒れているのが3人の目に入った。
「たす、助けて」
男は隊服を着た鬼殺隊員であった。ドラ治郎と伊之助が駆け寄ると、突如、何かの力にグンと引き寄せられ、森の中へと消えてしまった。
助ける間もなく。ざわざわとした不気味な静寂だけを残し、隊員の助けを求める声と共に、森が3人を不気味に誘っているようであった。
「よし、助けに行こう!」
沈黙を破ったのはドラ治郎の力強い声であった。
すると、間髪入れず伊之助がドラ治郎の前に割って入った。
「俺が先に行く。お前はガクガク震えながら後ろをついてきな! 腹が減るぜ!」
こうして、伊之助とドラ治郎は「腕が鳴るだろ」とガクガクふるえながらツッコミを入れた善逸を残し、森の中へと足を踏み入れた。
蜘蛛の巣だらけの森の中を進むドラ治郎と伊之助。
途中、先の隊員とは違う隊員が草むらに隠れているのを発見し、事情を聞くことができた。
村田という隊員いわく、この森には指令を受けた隊士10人で入ったのだが、突如斬り合いが始まったのだという。
そんな説明を受けている最中、森の奥から隊員が現れた。
「まさかだけど、あの人が斬り合いを始めた隊員さん?」
「ああ・・・」
ドラ治郎の問いに村田が冷汗を流しながら答えると、その隊員は問答無用でドラ治郎たちに斬りかかってきた。
「うわぁ危ない!」
ドラ治郎が咄嗟に身を引くと、隊員の刀がドラ治郎の今いた場所を横撫でに風を切った。
そこに躊躇もなく、隊員にも生気がない。明らかに様子がおかしい。
「アハハハ。こいつら馬鹿だぜ。隊員同士でやり合うのが御法度だって知らねぇんだ」
森の奥から新たに現れた隊員の刀を避けながら伊之助は笑う。
「まるで傀儡人形みたいに、誰かに操られているみたいだ」
ドラ治郎は冷静に分析しながら、ポケットから電光丸を取り出した。刀同士での戦いであれば電光丸を握っているだけで完全無敵なのだ。
だが、電光丸はドラ治郎の意思に反して、何故か隊員の背中の上の何もない空間に切りかかった。
「あん? おいドラ治郎、何ふざけてやがんだ?」
「ええ? 壊れちゃった? なんでこんな動きを?」
ドラ治郎が混乱する中、その背中の上の空間を斬られた隊員が、まるで人形を操る糸が切れた時のように力を失いガクンと崩れるように倒れた。
「やっぱりそうだ。糸で操られてる!」
確信したドラ治郎であったが、その腕が突然、何かに引っ張られるようにグンと森の方を向いた。
「何が起こってるんだ!?」
電光丸が自動的に、その腕を引っ張る糸を斬り捨ててくれたおかげでドラ治郎はすぐに自由になる。そしてその腕を見ると、小さな蜘蛛がカサカサと糸を紡いでいた。
「まさか蜘蛛が、糸を繋いでいるのか!?」
ドラ治郎が気付いた時にはもう遅く、先ほど倒れた隊員が再び糸に操られたようにキリキリと立ち上がり始めていた。
「蜘蛛を皆殺しにすればいいってことか? それかコイツらをぶった斬ればいいのか?」
「伊之助、ちょっとだけでいいから時間を稼いで!」
ドラ治郎はそう言うと、隊員たちの相手を伊之助(と、言われなくても戦ってくれる村田)に任せ、ポケットから硝子のついた箱と金属の西洋笛を取り出した。
「材質変換器~と、ハメルンチャルメラ~!」
ドラ治郎が箱のダイヤルを回しボタンを押すと、箱から眩い光が放たれた。
「厄介な蜘蛛の糸も、材質を別の物に変えてやればいい。糸なんて、そうめんに変えてやれ!」
ドラ治郎がその光の先を操られた隊員たちに向けると、光を浴びた糸が次々に柔らかいそうめんに変化していき、自然な重みだけでブツンブツンと千切れていった。
「うぉお! 何か分からねぇが、勝手にくたばってくぞ!」
「続きまして、ハメルンチャルメラ~」
ドラ治郎はそう言うと、金属の西洋笛に口を当て、プ~プププ~と音を鳴らし始めた。
すると、その音を聞いた蜘蛛たちが、次々に列をなして森の奥の方へと逃げていく。
「これは昔、ハーメルンという町でネズミを退治したという笛吹き男の・・・」
ドラ治郎がいつもの調子で道具の説明をしていると、フッと夜空の月明かりを遮る影が彼の上に差し掛かった。
ふと見上げると、そこには白い鬼の少年が宙に浮いていた。
「浮いてる!? いや、糸の上に乗ってるんだ」
ドラ治郎や伊之助の視線が向く中、その少年鬼は小さく口を開いた。
「僕たち家族の静かな暮らしを邪魔するな。お前らなんかすぐに母さんが殺すから」
少年鬼の言葉は冷たく、ドラ治郎たちを見下したような邪悪な意思がこもっていた。
「おいドラ治郎! アイツ、鬼だぞ!」
「ひょっとして操り糸の? じゃあ、ここで倒さなきゃ!」
ドラ治郎と伊之助が息巻くと、少年鬼は冷たい視線を2人に送りながら振り返った。
「倒す? 僕を?」
その声には苛立ちがこもっていた。歯牙にもかけない矮小な相手が、何を分不相応な妄言を吐いているのかと、少年鬼は小さく怒りを覚えたのだ。
「倒す。食らえ! 材質変換器!」
ドラ治郎は箱の光を少年鬼に向けた。
少年鬼はその照射を鼻で笑う・・・が
ガクンッ 「!?」
少年鬼の体を支えていた蜘蛛の糸がそうめんに変わり、千切れた足場の糸から自由落下し、少年鬼は地面に向かって落ち始めた。
「何をした? まぁ、この程度なら」
そう言うと少年鬼は手のひらから糸を展開して姿勢を正そうとした。
だが、その全ての糸がそうめんへと変わっていき、姿勢を正すこともできずに少年鬼は頭から地面に叩き落とされた。
「クッ、何がどうなって・・・」
苦痛は無いが、屈辱に苛立つ少年鬼。その地を震わせるような形相に3人は悪寒を覚える。
「こ・・・こいつはここで殺さなきゃ、ならないぞ! 何があっても!」
村田は叫び、己を鼓舞して少年鬼に斬りかかった。
「威勢だけはいいね。だけど、僕を殺すことができるのかい?」
「アハハハ、できるぜ!」
「あぁっ、2人とも。よぉしボクも!」
両刀を振り回し、伊之助が村田に続く。ドラ治郎は箱の光で後方支援しながら、ポケットから短筒を取り出した。
それは以前ドラ治郎が冨岡を気絶させた銃とは違い、幕末の時代に一部の志士が愛用したような米国製の小型黒鉄銃に似ていた。
「フワフワ銃~!」
ドラ治郎が黒鉄銃から打ち出した弾丸は伊之助と村田の間を縫って少年鬼に命中。するとみるみるうちに少年鬼の体は風船のように丸く膨らみはじめた。
「なっ!? なんだこれは。体が膨れて、思うように動けないッ」
体が風船のように浮き上がり、ジタバタするしかない少年鬼。
その首を狙い、伊之助と村田の刀が振り下ろされる。
「獣の呼吸、参ノ牙 喰い裂き」「水の呼吸、肆ノ型 打ち潮」
伊之助と村田の刀が少年鬼の首を捉えた。
が、その首は非常に硬く数ミリめり込んだ所で、それ以上斬る事ができなかった。
「硬ぇなクソ!」「そんな・・・」
悔しがる2人を少年鬼は嘲笑う。
だが、先程から手のひらから出した鋼糸が出たそばから硬度を失うことに少年鬼も歯噛みした。体の自由も、“今の形態”のままでは文字通り手も足も出ない状態。
元来、自分自身を含めて形状を変えることを嫌う彼であったが、ここまで何もできないことのほうが嫌であった。
「仕方がない。お前たちなんかに本気を出すのは癪だけど・・・」
「むー!」
少年鬼が自身の腕で自らを傷つけようとしたその時、ドラ治郎の懐から禰豆ミが飛び出した。
スモールライトの制限時間が切れ、自然に元の大きさに戻ったのだ。
禰豆ミはその勢いのまま飛び上がり、少年鬼の顔面目掛けて蹴りをかました。
ズンッ!
刀3本の刃に重い蹴りが圧しかかり、凄まじい切断力となる。
「ま・・・まさか・・・こんな、ことが」
少年鬼の首が宙を舞った。
彼自身、最後のあがきで自らの糸で自らの首を切断しようとしたが、そうめんの糸ではそれも叶わず。
日輪刀の刃で首を切断される形となり、少年鬼の体は再生不能となり崩壊した。
【22世紀コソコソ噂話】
ゲームオーバー条件は、ドラ治郎の死亡・気絶だ。だから伊之助にボコボコにされた時はかなりギリギリだったのだ。
もし『源静香』の姿を与えるならどのキャラが似合う?
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『し』のつく人・胡蝶 しのぶ
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『ず』のつく人・竈門 禰 豆子
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『か』のつく人・栗花落 カナヲ
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入浴シーン枠・甘露寺 蜜璃
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弦楽器は武器・鳴女