日出づる国、異世界に転移す 非公式外伝『GW』 作:島スライスメロン
その後の本編の描写と矛盾などがある場合がございます。
ご了承の上お読みください。
この作品は基本ギャグ時空となっております。キャラ描写につきましては、原作作品と異なる場合がございます。くれぐれもご注意ください。
本作には独自設定が登場する場合がございますが、公式ではない点をご留意ください。
今回の話にはサービスシーンが盛り込まれております。是非じっくりとご堪能下さい。
・前回までのあらすじ☆(TAKE1)
アイドルを志して禁断の地にやってきた高校1年生・桜ロイ乃は
翼龍荘の住民の売れない(元)子役のラーツや
ミュージシャンのドイル、
ボディビルダーのクックとともに、
新人アイドルユニット「腐龍蔦龍途(ふるーつたると)」を結成!
取り壊しの危機に瀕する翼龍荘を掬うため、ゲイ能界のおち〇こ掘れた血が
アイドル活動に七転び八起き!?
〔西谷〕
「これ『お〇こぼれフ〇ーツタ〇ト』のあらすじパクったやつじゃねーか!
しかもなんか腐ってるし!!
何やってんだ根津ゥ!」
〔根津〕
「ごめんね西谷君、ついやっちゃった☆ 許しててへぺろ☆(・ω<)」
ごめんなさい浜〇場双先生!ああおちフル尊いんじゃあ~ 流れがキテるんじゃあ~
今回はこの一発ネタのために原作から西谷&根津をお呼びいたしました。
なお本編での出番はございませんのであしからず。
気を取り直してTAKE2
・前回までのあらすじ(真面目なやつ)
異世界の調査を進める海上自衛隊は、日本から南西約1200kmの地点にて、現地の文明勢力と思しき『騎士』の姿を確認した。
これと接触し交渉するために先発隊を結成した海上自衛隊は、深夜遅くまで警戒態勢を敷いていた彼らの一団を発見し、幾度かの観察を経た後に遂に接触を果たした。
そして彼らの誘導を受け森の中に築かれた基地に降り立つことになった先発隊は、日本の今後を見据え、異世界との交渉を開始せんと活動を始めたのであった。
……
【月詠月夜(ファーストコンタクト) ~憧憬は真実から遠い羽化登仙《ライアニズム》~ ③】
* * *
【ロイメルSIDE】
その時、キャンプ・ガイチは騒然としていた。
昼に第1翼龍騎士団が到着してその歓迎会で盛り上がったのもつかの間、夕刻の日も沈もうとしている黄昏時になって突如として入電した1つの魔伝通信。それは北東の、沿岸や海が広がるばかりで特に珍しい何かがあるわけでもない筈の場所から、未知の翼龍のような飛行物体が現れたのを目撃したという緊急報告内容であった。
基地の作戦室では司令を含めた幹部が直ちに追撃隊兼ねた緊急捜索隊の出動を決定し、夜間飛行訓練に備えていた第8、第9翼龍騎士団の任務を変更し、予定よりも早めに出撃を決行した。
数時間にも及ぶ夜間捜索の末に、陸地から850km離れた海上で遂に目標の物体を捉えた捜索隊は、それが日本国なる未知の勢力に属することを知り、国防の権利に基づいてこれを拘束、指導し、遂に基地に連行することに成功した。
満月の光に照らされた、木製の舗装滑走路上に駐機する未知の物体を見張り塔の上階から見おろす基地司令のフォンク(51歳、男性、半猿人)は、魔鉱石を利用した照明の光に照らされた2つの物体の奇怪さに思わず言葉を漏らした。
〔フォンク〕
「灰色の龍蟲(ギガネウラ)のようなものはともかく、もう一方はかなり大きいようですね。母龍以上、もしかしたら昔北方の海から襲来した炎龍よりも大きいかもしれない。
報告によると、『人が乗っている』とのことですが、一体どこからやってきたのか。
『魔法力の反応も無い』ことも相まって、理解し難い……」
フォンクがそう呟いたのには、次のような理由がある。
ロイメル王国では、翼龍を運用する基地施設においては周囲の空の魔力反応を感知する探知機が備え付けられており、これは地上の魔力を探知することはあまり得意でないが、空を飛ぶ物体から発せられる魔力反応は比較的探知でき、その方向、高度、それに大まかな大きさなどを知ることができる。
なお魔力反応を表示する特殊な魔鉱石製のモニターは、魔力受信アンテナで受信した魔力反応がこの内部で増幅し、球形の雷電とでも形容すべき可視エネルギーに変換されるという構造で、探知した魔力反応が大きいほど可視エネルギーの膨らみ加減や光量が大きくなるという性質に基づいて、専門の知識と技術を持った者が魔力の有無や大きさ、それに目標物の数などを推測する代物となっている。
普段はこの基地周辺を飛ぶ訓練中の翼龍などをきちんと探知してくれるのだが、今回現れた未知の物体に対しては、通常見られるべき魔力反応を捉えることができなかった。
〔フォンク〕
「恐らく機器の故障が原因ではないという事は、あの物体をここまで誘導した翼龍騎士団の翼龍たちの反応はしっかりと捉えられていることからそうだと思うのですが、しかし魔力を用いずにこれだけの規模の物体を飛行させることなど可能であるのでしょうか」
この世界において魔力とはあって当たり前のエネルギーであり、地球世界のそれが電気や
磁力、熱、重力であるように、魔力が第5の力として普遍的に存在し、用いられているのである。あえて魔力を使わないのは非効率であるし、不可思議なことなのである。
それは人類がどうこう以前に、この惑星の生態系、この世界の龍や幻獣、亜人種に、その他様々な生物にとってそうなのだから、そういう考えがあるのが自然なのである。
なおこの世界の人間の大半は自力で魔法を行使するほどの魔力は持たないが、それでも高魔力物質である魔鉱石を介することで魔法を発動できる程度には魔力を保持しているし、魔力無しというのはまず無い。その程度の魔力量を探知しようと思えば高度な技術力が必要で、所詮ロイメル王国程度の技術力では難しかったりするのはまた別の話だ。
話を戻すとこういうことになる。
『宇宙から反重力エンジンを積んだUFOが宇宙人を乗せてやってきた!』
いやハリウッド映画のあらすじではなくてですね、そういう例えが近いということです!
ともかくそのような非常識な事態を前にして、一介の軍人でしかないフォンクはどう対処すべきか悩んだ。
〔フォンク〕
「(一応こちらの誘導に従ったということは、相手はコミュニケーションが可能な知的存在である可能性が高いと思うのですが……さて、何の話を切り出すべきでしょうか?)」
通常ならこういった場合は尋問室に連れて行って尋問を行い(場合によっては拷問もある)、逮捕するか相手の国に返すか、場合によっては処刑……といったところであるが、相手の正体が未知過ぎて、迂闊に通常の手段をとってよいものか、そこが疑問となった。
念の為歩哨による対象の包囲を手配し、警戒態勢を取らせているものの、相手の出方を見なければ、何もできなかった。
そんな緊迫した状況に、フォンクが人間と猿人との間の子である証拠として生まれつき臀部から生やした短い尻尾をズボンの中でうずうずとさせていると、部下の1人が報告にやってきた。
〔部下A〕
「司令、対象の包囲は完了しました。次はいかがなさいますか?」
歩哨長のヒュ・セブ(43歳、男性、蛇人と人間の間に生まれた半蛇人。見た目がツタンカーメンに酷似)が、その特徴的な横に伸びたコブラの如き鰓に松明の光を反射させながら次の指示を仰いだ。
〔フォンク〕
「うむ、とりあえずあの物体の中にいる者に出てくるように呼びかけましょう。そしてやってきた目的を聞きましょうか。戦闘はなるべく避けたいので余計な攻撃などは極力避けるように」
〔部下A 改めセブ〕
「了解いたしました」
フォンクの指示を受けたセブは包囲網を引いた現場へと向かうと、その場の地面に置かれていた喇叭とマイクを合わせたような道具を持って、自らの声を吹き込み、拡張した。
〔セブ〕
「侵入者に次ぐ。直ちにその物体から出てきなさい。こちらの指示に従えば安全は保障するが、もし無視するのなら攻撃も止むを得ない。繰り返す、直ちにその物体から出てきなさい」
セブのその言葉から数10秒後、物体の横に備わっていた扉が開き、また内部に収納されていた梯子も展開され、まず1人目が下りてきた。
その人物は青白い色をした革鎧のような装備を付けており、何らかの戦闘手段を有していそうな感じであったが、交戦の意思はなさそうで、むしろこちらからの攻撃を警戒していた。
その人物は慎重に動き回って安全を確認した後、更に後ろにいる人物をエスコートし、降ろさせた。恐らく最初の1人は2人目の人物の護衛なのだろう。
2人目の人物は、派手な橙色の上着を着た男で、あまり覇気や威圧感を感じさせなかったが、どこか肝が据わったような雰囲気を纏わせていた。
外務省職員の代理人として、日本政府の意思を代弁しにここにやって来た謎の交渉人、曽我勇吾である。
〔曽我〕
「私たちはあなた方と騒動を起こそうという意図はありません。意図せずそちらの領域を犯した無礼に関しては、深くお詫び申し上げます。不必要な不安と不快感を与えてしまったこと、大変申し訳ございませんでした。
ですが私たちは突然この近くに迷い込んでしまったので、意図しないままに周囲を捜索せざるを得なかったのです。貴方方の誘導に感謝します」
橙色の上着の人物からの思わぬ感謝の言葉につい虚を突かれたセブであったが、気を取り直して質問を行う。
〔セブ〕
「貴方方は何者か。どこから来たのか。迷い込んだとはどういう訳か」
〔曽我〕
「私たちは日本人です。日本という国から来ました。日本は突然元あった場所から移動して、海の向こうに現れてしまったのです。異世界から、何らかの超常的な現象で転移してきたのです」
〔セブ〕
「異世界とは何か、超常的な現象とは何か?」
〔曽我〕
「異世界は異世界です。そうとしか言いようがありません。超常的な現象とは、我々もあまりに突然で、理解すらできないのでそうとしか形容できない現象です」
〔セブ〕
「冗談か?」
〔曽我〕
「冗談ではありません。信じられないかもしれませんが、私の言葉に嘘はありません」
〔セブ〕
「とにかく拘束させていただく。抵抗する場合は武力行使する」
〔曽我〕
「了解しました。そちらの拘束を受け入れます」
〔セブ〕
「そちらの物体に入っているのはそれで全員か?内部を調べさせて頂く」
〔曽我〕
「全員ではありません。ですが我々もこの機体を守らなければならない理由があるので、幾名かを内部に残らせていただきたい。そちらが内部に入ることは認めます」
セブとしては、相手が未知の存在なのでできることならば問答無用で拘束したかったが、如何なる抵抗手段を用いるのか分からなかったので不本意ながらも相手の言い分も聞き、受け入れることとした。
〔セブ〕
「……いいだろう。3人だけその物体に残ることを許そう。こちらの人員をそちらに向かわせる」
セブは部下の幾人かを未知の人物の拘束と内部の物体の調査に向かわせ、場を制圧した。
〔歩哨たち〕
「尋問させていただくので移動して頂く」
〔日本人組〕
「分かりました」
最終的に10名がセブたちに連行され、パイロットとコパイロット、それに通信兵が機内に残った。
さて、拘束された者たちと入れ替わるようにP-3Cの機内に入った歩哨たちは、皆未知の光景に困惑を隠せなかった。
〔歩哨A〕
「なんだろうな、これは……全く未知のものだらけだ」
P-3Cの機内にあるプラスチック製の内壁に、天井の電灯、それに各種機器類や休憩スペースに置かれた保温機に至るまで、近代科学によって作られたものは彼らの理解の範疇を超えていた。
因みにFCT用の武器類は頑丈な鍵付きのケースに入れたので、万が一にもこの場で誤使用される危険性は無い。なお万が一ケースごと持ち出されそうになったら『ある事』が起きる。そのある事というのは……まあ別に重要でもないので後で話そう。
とにかくP-3Cの機内にて調査を行う歩哨たちであったが、護衛として残った通信兵が彼らの行動を監視し、余計な行動を控えるように注意を払っていながら、彼らの質問に答えていった。
〔通信兵〕
「ここにあるものは全て俺たちの道具だからな。立ち入りは許したけど勝手に触ったりするんじゃないぞ」
〔歩哨A〕
「なんだと?」
〔通信兵〕
「不用意に触ると、何が起こるかちゃんと分かっているんだろうな?」
〔歩哨A〕
「何が起こるというのか……これは何だ?」
〔通信兵〕
「それは通信機。遠くの人間と通信機を介して話をする道具だ。まあ、こちらにもそういうものがあるんじゃないのか?」
通信兵は、成川班の得た情報の中に未知の通信電波と思しきものが使用された形跡があったということを念頭に、相手にも通信機の概念が通じるのではないかと思って答えた。
無論ロイメル王国には魔波方式の通信機、魔伝があったので、歩哨も通信機という答えそのものに驚きはしなかった。最も、相手の言っていることが真偽不明であったので警戒したが。
〔歩哨A〕
「見せて見ろ」
本当に通信機なのかを確かめたい歩哨は、通信兵に行動を促した。
〔通信兵〕
「いいぞ……ほら」
本来はレーダースクリーンとしての機能を果たす液晶表示版を、少しだけ操作してテレビ通信モードに機能を切り替えた通信兵は、この場所から凡そ400kmほど離れた場所にて現在滞空している他の班のP-3Cと通信を行う。
〔通信兵〕
「こちら3280。3110応答せよ」
〔P-3C3310号の通信兵〕
「こちら3110」
〔歩哨A〕
「うおお!!??」
モニターに映った通信兵の姿に驚く歩哨。ロイメル王国には『テレビ』という概念が存在せず、今見たものが理解の範疇を超えていたのだ。
〔通信兵〕
「これはデモンストレーションだ。繰り返す。これはデモンストレーション。現地の人間にこちらの装備を紹介している。すぐに切る」
〔3310〕
「了解」
〔歩哨A〕
「我が国ではあり得ん……凄まじい魔導科学だ」
通信兵は、歩哨の漏らした魔導科学という単語に、意識の焦点を当てた。
〔通信兵〕
「(マドーカガク?知らない言葉だ)」
モニターに映った人間の姿に驚く歩哨を余所に、今度は他の歩哨が他の機器の説明を求める。
〔歩哨B〕
「こちらのこれはなんだ」
〔通信兵〕
「それも通信機だ」
〔歩哨B〕
「そこのとは形が違うのだな」
〔通信兵〕
「機能は一緒だ」
そうして色々な機器を、本来の用途を隠しながら通信機だと誤魔化して説明していった。
……因みにモニターの付いた機器類には緊急時用に通信モードが付いていて、状況に応じて機能を切り替えることができるように元の機材から改良されている。
〔歩哨C〕
「この箱はなんだ?」
〔通信兵〕
「中身は食べ物だよ。俺らの食べ物だが、どうしても欲しいのなら分けても構わない。但し安全は保障しないぞ。なんたって異世界の食べ物だからな。俺らは無事だけどあんたらが大丈夫かはわからん。
ちなみにこの丸いやつはドーナツだぜシャーリーン。ほほ笑みデブが大好きなアンクルトムの店で買った」
〔歩哨C〕
「(シャーリーンってなんだ?ほほ笑みデブ……?)遠慮しておく」
通信兵がキャビンにて歩哨たちを牽制している頃、コックピットではパイロットとコパイロットが監視を受けながらも、彼らもまた相手を監視していた。
〔パイロット〕
「……トイレに行っていいかな。この機体の後ろの方にあるんだが」
〔歩哨D〕
「俺も行くが?」
〔パイロット〕
「ああ、ついてきて構わない」
パイロットがトイレに向かうと、監視の歩哨も本当に付いてきた。
パイロットは赤の他人の視線を受けながらも機内のトイレで用を足し、その後休憩スペースでコーヒーを飲んだ。
〔歩哨D〕
「その黒い飲み物はなんだ?」
〔パイロット〕
「これはコーヒーといって、焼いた豆で味と香りを付けた飲み物で―
(-外に出た仲間たちも安全だといいんだが……)」
各々が相手を監視し、監視されながらも、機内に残った3名は仲間の無事を祈った。
* * *
一方拘束された曽我たちは、基地に備わった作戦室で尋問を受けていた。
この基地には侵入者を捕縛した時に備えて尋問室も備わっているが、そこは狭くて10人も同時に入らないので、臨時尋問室として作戦室を使用することとなった。
魔鉱石ランプの灯りに照らされる室内で、基地司令のフォンクと歩哨長のセブ、それに第8翼龍騎士団団長クックと、第9翼龍騎士団アンドゥイルが、日本からやってきた曽我たちの尋問を開始した。
〔フォンク〕
「貴方たちのお名前をどうぞ」
〔曽我〕
「曽我勇吾です。今回の調査及び交渉の責任者です」
〔古橋〕
「古橋牧夫です。彼の護衛をしております」
〔佐笹原〕
「佐笹原多摩王寺です。医師をしています」
〔他の隊員たち〕
「自分の名前は―」(以下省略
そうして日本人組が名を名乗った後、代表である曽我が話を切り出した。
〔曽我〕
「ここは何処でしょうか?そして、あなた方は何者ですか?我々を誘導した者は、ロイメル王国翼龍騎士団だと名乗っておりましたが?」
曽我からの質問に、真偽を図るようにあえて無表情を貫くロイメル王国側が答える。
〔フォンク〕
「ここはロイメル王国が管理しているエリアキャンプ・ガイチで、我々はロイメル王国航空軍に属するものです。貴方方は昨日我々の訓練空域に無断で侵入した容疑で、拘束されている、その認識はおありですか?」
〔古橋〕
「知らなかったとはいえ、無断で進入禁止区域に侵入したことは謝罪申し出ます。大変申し訳ございませんでした」
〔フォンク〕
「まあ、その辺りのことは後回しにすることとしましょう。嘘をついているようには思えませんし。さて、ここからが本題ですが……」
フォンクはアンドゥイルに無言で視線のサインを送ると、意図を悟ったアンドゥイルが発言を代わる。
〔アンドゥイル〕
「もう一度窺うが、貴方方が日本という国からやってきたことは確かか?」
〔曽我〕
「はい」
〔アンドゥイル〕
「だが我々は日本という国を知らない。海の向こうに異世界から転移してきたというのが引っかかるが、それを事実だと証明できるだろうか?例えばどの辺にあるのだ?」
〔曽我〕
「日本はこの陸地の沿岸から北東に大体1200kmから1500km程度の場所にあります。貴方方がそこまで行くことができるのかが不明ですが、もし行く手段があるのならご確認ください」
そう言って曽我は、尋問の前にリュックから出され、机の上に並べられた数々の道具の中から方位磁石を選び、大体あの辺りだと指さして説明した。
因みに地球製の方位磁針であるが、異世界においても正常に機能することは確認されていた。
フォンク達も方位磁針を知っていたので、そこに疑問は抱かなかった。
〔フォンク〕
「1200kmなら、船に翼龍を載せればいけないこともない距離ですね。
最も、この未開拓地域の更に北東、1200km離れたところは殆ど何もないような海域だった筈ですが……」
〔曽我〕
「我々のほうも質問があるのですが、何故異なる言葉をお互いに話している筈なのに、意味を理解できるのでしょうか?」
曽我から質問を受けたフォンク達は、曽我のいった質問の意味を分かりかね、混乱しながらも、返答を行った。
〔フォンク〕
「言っている意味が分かりません。確かに世界中に色々な言語があって、発音も文法も異なりますが、『意図的に隠そうという、明確な隠蔽の意思が乗らなければ』、大抵の場合は意味が通じるのが『普通です』。それともそちらはそうではない特殊な言語圏なのでしょうか?」
その答えを聞いた曽我たちは、意味が分からず混乱した。
発音も文法も異なるのなら、普通は言葉が通じあう訳がないはずである。それをフォンク達は、むしろおかしいのはそちらではないかと言ってきたのである。
一体異世界というのはどういう物理法則が働いているのか、日本から来た者たちは腑に落ちないところがあったものの、とりあえず質問の答えから状況を把握した曽我が話を進める。
〔曽我〕
「お互い常識からして異なるようですね……ですが、まあ話が通じる原理については追々専門家にでも調べさせるとします」
〔フォンク〕
「うむ。そちらもこちらとは齟齬があるようですが、まあとりあえずその話は一旦置いておくべきでしょうな。ところで、あの物体や貴方方の道具を調べてみたところ、魔力反応が出てきていないのですが、一体どういうわけでしょうか?何故魔力反応が出ないのでしょうか?」
日本人組は、フォンクの口から飛び出した魔力という突拍子もない単語に、思わず首をかしげる。
〔古橋〕
「魔力?」
〔曽我〕
「あの、魔力とは何でしょうか?」
〔佐笹原〕
「魔力というと、こちらでは創作物に出てくる架空のエネルギーのことですが、まさか魔法とかそういうのが有ったりするんですか?」
それを聞いたフォンク達は、まさかといった疑いの考えを抱かずにはいられなかった。
〔フォンク〕
「何ですと?むむむ?」
〔アンドゥイル〕
「まさか、魔力や魔法をご存じないのか?」
〔クック〕
「冗談だろう!?」
〔セブ〕
「魔力や魔法が架空のエネルギー?創作物だと?そちらこそ何を言っているのか」
それを聞いた日本側は、驚きの感情をいだきながらも、やはりそうかといった納得の感情も同時に抱いた。
〔古橋〕
「未知の星、未知の生態系に、未知の技術……ここはやはり地球とは全く異なる異世界だ」
〔佐笹原〕
「しかし魔法か……若いころは私もゲームや漫画なんかでそういったものの知識に触れたこともあったが、まさかこの年になって現実でそれに出くわす機会が来るとはなあ」
〔竜馬〕
「ハ〇ウッドのモ〇スターハ〇ターってなんで異世界転移ものになったんだ?向こうでも流行ってんのかね、モ〇ハン自〇隊」
〔佐笹原〕
「それは関係ない、多分ないのだ。単なる偶然だ竜馬」
〔竜馬〕
「あっはい佐笹原3尉……(メタ的に不味いネタってことか)」
……少しだけ話が横道にそれつつも、日本側の面々はこの世界の事情というものを大体理解した。
―曰く、この世界には未知の生態系がある―
―曰く、この世界には未知の物理法則が働いている―
―曰く、それは龍や魔法などといった、地球においては想像上の産物に過ぎないものである―
その驚愕すべき事実に日本側が対応に困っているところを見たロイメル側の面々は、そんなことこそ有り得ないという驚愕に包まれた。
〔アンドゥイル〕
「まさか本当に魔法を、魔法を知らないのか……?」
〔クック〕
「そんな馬鹿な……」
生まれて初めて自身の常識を否定されたロイメル側の人々の受けた衝撃は、正に宇宙人との初遭遇として相応しいものといえただろう。
―異世界人、地球星人と遭遇する。恐らく創作物ならそのような煽りが付けられてもおかしくない場面であった―
〔曽我〕
「我々の……」
異世界人が強い衝撃を受けたのを見た曽我は、彼らが知るべき話を始めた。
〔曽我〕
「我々が元居た世界……といっても地球という惑星内に限ったことですが、その世界では貴方たちの言う魔法という言葉自体はあります。ですがそれは現在『架空の法則』として捉えられています」
〔フォンク〕
「では、あなた方は普段どのように生活しているのですか?あの謎の道具を見るに、相当に高度な文明を有していると思えるのですが?」
〔曽我〕
「我々の元居た地球という世界では、科学文明が発達しており、人々はその恩恵によって暮らしています」
〔アンドゥイル〕
「その科学というのは、魔導術によらない純粋な物理法則科学のことか?こちらではあまり進んでいない分野だが……」
〔曽我〕
「さて、そこが肝心なところなのですが……貴方方のいう魔法や魔力とは一体何のことを指し示しているのか、まずはそこら辺をはっきりさせましょう。もしかしたら我々にとっては別の言葉に当てはまる力や法則のことかもしれませんので」
曽我のその言葉に、ロイメル王国側の多くはううむと悩まし気な態度を見せたが、纏め役のフォンクはただ一人、日本人組が何を求めているのかを明瞭に悟り、自身の持つ知識を用いて説明を始めた。
〔フォンク〕
「魔法というものに対して、普段この世界の住民はそれがあって当たり前だ、という
認識に基づいて受け入れてしまっているため、その特異性に違和感を持ったり、疑うことが稀になってしまっていますが、あれは本来この世界にとっては異物のようなものなのです。
我々にとって魔法……そう魔法とは―」
曽我のその言葉に、どこか釈然としないものを抱えながらも、フォンク達異世界人は魔法と魔力について説明を始めた。
〔フォンク〕
「『『火』、『水』、『風』『地』の4つの基礎属性の魔力と、それとは別に存在する第5の『黄金の魔力』を用いて起こす現象のことです」
異世界人による、魔法という未知のものの説明の開始に、日本人組は雑念を消し去って話に集中し、またロイメル王国側も普段自分たちの身近にある魔法というものの、フォンク個人の認識に興味を抱いて聞き浸る。
〔フォンク〕
「5つの魔力はそれぞれ異なる性質を持ち、異なる働きをします。
『火』の魔力……これは『熱にして乾』、熱と光を生じさせて物質を熱します。即ち火の性質を持った魔力であり、燃焼によって物を燃やしたり、発光させることができます。
また火はその在り様として『ゆらぎ』があります。実体がなくそこに己を成り立たせる芯が無いのに、それでも『ゆらぎ続ける』ことによって空間に共鳴現象を発生させ、そこに疑似的な『実体』……それは触感で感じる「熱」であり、目で感じる「光」であり、そして心の内でその感触を確かめることのできる「命」の脈動などなのですが、火の魔力はそのような事象を生み出します。
「ゆらぎ」こそが我々にとっての命であり、また命ある限り我々が求められ続けるものこそ、何時か終わりを迎えるものの、それでもその瞬間までは決して止まることのない「ゆらぎ」。それこそが火の魔力の特徴であり、命を持つ我々にとって欠かすことのできない性を体現する重要な魔力なのです。
さて次の『水』の魔力は……『冷にして湿』、水の性質を持ち、物質に冷気と潤いを与えます。
水の性質とは即ち『形状変化』。如何なる状況に対しても、その形状を変化させることで破壊を免れることで、例えば瓶に入れられればその瓶の形に沿い、グラスに注がれればそのグラスの形に変わり、そして地面に零し注がれたのならば……その地面の形に沿って、魔力が集まって溜まりを作った上で自身を支える地面に浸透し、地面を単なる泥の塊に変えてしまいます。
そして風に吹かれたのならば、風の速さに便乗して、どこまでも共に飛んで行っく。その風はやがて天に昇り、そして天の環境の作用で風と分離した水は、一滴の雨と化して地面に引かれて落ちていき、地面を流してその場所の地形を変えていく。
そんな絶えず変化し実態を他者に掴ませぬのに、自身は常にありのままの姿で居続けて他者の動きを翻弄してしまう、悠久不変の事象にしてただ一瞬の今を繰り返して生まれ変わり続ける完全物質、流体。
それこそが水の魔力の特徴です。
また水の魔力の性質はそれだけではなく、例えば物質や事象に『浸透』し、柔く、脆く、そのものの有り様を内外双方からの作用で歪に屈折させることもでき、そしてその現象に囚われてしまったが最後、浸透された物質はやがて時を経るにつれて水の魔力に実体を『吸収』されて、後も残らず消化された『無』の状態が残ります。
そんな恐ろしい可能性を秘めた部分もまた、水と言い表される所以です。
『風』の魔力は……『熱にして湿』の気体の性質を持ち、物質から熱と冷気を奪います。
実体を持たず、されども実体に干渉する風の法則に基づいて、音や衝撃などを伝搬する媒体としての性質を持ち、事象の効果範囲を広げる作用を発揮します。
この魔力の特徴といえば、兎にも角にもやはり「流れ」と「共鳴」。
障害物が何もない無の空間には、物理的な作用や魔法現象によって突発的な『ゆらぎ』が生じることがございますが、風の魔力はそんなゆらぎに指向性のある流れを与えてあるべき方向へと導くのと同時に、自身もまたゆらぎの影響を受けてゆらぎと同じ性質に『励起』し、振動を起こすことによって、他の事象との間に大きな『共鳴』を生んで、最終の目的地へと向かって邁進していきます。
そのような他者との共存性こそが、この世界に満ちる風の性質を体現する風の魔力の性質です。
そして『地』の魔力、これは物質から熱と潤いを奪う『冷にして乾』なる力です。
実体を、より頑丈な幻想という鎧の枠に押し込めることで、あらゆる物質を霊的次元へと導き、高めていきます。火は燃え尽きて灰になり、水は凍って雪や氷に、空気ですら地にこびり付く一欠けらの埃に代える点は、現世への干渉力という面で他の属性に勝ります。
最後に『黄金』の魔力、これは熱も持たずに光を放ち、冷気を持たぬのに霧を生み出し、揺れもないのに形を崩し、また流れや停滞させるものもないのに動き回ったり、逆に留まったりと、他のものとほとんど干渉せず、されず、ただそこに『在る』ということが性質であるかのような融通無礙なる空の性質の魔力です。
謎が多く、その全てを解明し再現できたものはいないとされるほど、その在り様は難解なものとなっており、一説にはこれこそが全ての物質や事象に宿った
『霊魂』という神の奇跡を体現するものなのではないか?と言われているほどです。
さて、これらの魔力、その正体とは……」
魔法と魔力の起源に関するフォンクの話に、その場の皆が耳を傾ける。
この世界における魔法、魔力とは何なのか?その謎の一端が明かされようとしていた。
〔フォンク〕
「『原初の神』と……それに連なる『悪魔』たちのものであった、と言われております」
〔曽我〕
「ふむ?」
* * *
フォンクの語り始めたこの世界についての話―それが単なる宗教の話なのか、それともこの世界における真実の歴史であるのかは、地球人である日本人には理解もできない―を、曽我たちは理解しようと思った。
〔フォンク〕
「……かつてこの世界には数多くの『悪魔』がいました。
―火を用いて水すら燃え上がらせるものたちの軍団-
―水を用いて風すら澱ませるものたちの軍団-
―風を用いて地をも削るものたちの軍団-
―地にあらゆるものを取り込ませるものたちの軍団-
―そしてそれらの悪魔たちの軍団を統率する『黄金の柱』-
これらの悪魔は……最初、神々が僕として使役するために生み出したものでした。
火の悪魔は原初の創造神が作り出した『真の火』を模して造られ、水の悪魔は真の水を、風の悪魔は真の風を、地の悪魔は真の地の再現を、そして黄金の悪魔は『原初の神が持っていたとされる真の完全性』の再現を試みて生まれました。
ある時は従順な僕として、またある時は敵対する神を倒すための家畜として使役され、愛され、憎まれていましたが、最終的には神々の支配を離れ、自らの驕りのままに生を謳歌しようとしたのです」
〔曽我〕
「ううむ。あくまで魔力というものは、それの元となる火や水、風といったものがあって、それを模したいわゆる模造品、偽物であるということですか?」
〔フォンク〕
「そうですね。魔法とは魔力を用いて再現したいものを再現する技術であり、また新しい現象を生み出す術でもあります。火と風を合わせることで熱風を、水と地を合わせることで泥や粘土を作り出すように。
とにかく、魔力というのは、神々が作り出した悪魔たちの在り様そのものであり、その力のことだとされています。
生まれつき強大な力を神々によって与えられた悪魔たちは、その力の使い道を違え、自身を生み出した神々も、それ以外のあらゆる生き物も屈服させようとしました。
しかし、創造物でありながらも自らの手を離れ、好き勝手に活動を始めた悪魔の暴虐に対し決起した『13柱の勇気ある聖獣』が率いる、戦軍団との戦いの末に打ち倒されます。
敗北した悪魔たちは、蘇ることも、蘇えさせられることもないようにその身を焼かれ、砕かれ、溶かされて、錆びた鉄の塊に変えられたのちに火山に放り込まれ地下に沈んでいきました。
やがてその火山が噴火すると、悪魔たちの力を含んだ石や空気、燃える水が吹き上げられて、それらは空気に散ったり、地面にめり込んだり、また地面に染み込むことで、今日我々が目にする魔鉱石(ペンタクル)という形に収まったのです」
〔曽我〕
「魔鉱石(ペンタクル)?」
〔クック〕
「魔鉱石(ペンタクル)とは魔力を秘めた鉱石のことであり、魔法の媒体のことだ。
強力な魔力を持たない人類種の大半は、これを用いなければ魔法を行使すること自体ができない。
まあ一部生まれつき或いは後天的に強力な魔力を身に宿し、魔鉱石を用いずともある程度の魔法を行使しうるものも存在するが……それは希少な部類だ」
〔アンドゥイル〕
「まさかそちらには魔鉱石が存在しないのか?」
〔曽我〕
「我々の元居た世界には、そのような不思議な力を秘めた石というのは存在しませんでしたね」
〔アンドゥイル〕
「なんと。魔法も魔力も、魔鉱石すらも存在しないまま、あの巨大な龍を使役していると?」
〔古橋〕
「龍?飛行機のことですか?あれは科学技術で作られた機械ですが……」
その言葉を聞いて、P-3Cに接近して接触を図ったクックは驚く。
〔クック〕
「なんと!あれは自然の生き物ではなく、人工的な生物だと!?」
常識のズレから、事実を勘違いしているクックに古橋が間違いを指摘する。
〔古橋〕
「飛行機は生き物ではありません。命を持たない単なる道具、乗り物です」
〔クック〕
「あれが馬車や船のような道具、乗り物だと……!では、あれはどうやって動いている?自然の風の力で飛ぶほど軽いようには見えないし、何らかの生き物が引っ張っている様子もなかったのだが」
〔古橋〕
「エンジン動力によってプロペラを回し、人為的に発生させた強力な風の流れで浮かせて飛んでいます。エンジンというのは、爆発の力を動力に変換する装置です。分かり易く言うと人工心臓のようなものです」
〔クック〕
「人工心臓だと!?なんと、そんなものが存在するとは……」
地球の科学知識の一端に触れて、カルチャーショックを起こすクック。
彼のせいで剃れた話を、フォンクが本来の筋に修正する。
〔フォンク〕
「……とまあ、大体簡単に略すると、一般的にはそのように言われているわけですが、ご存じありませんか?」
〔曽我〕
「いいえ、全く」
〔フォンク〕
「フム?この世界では割とポピュラーな伝承なのですが……あなた方はやはり、どこか異質な方々のようです。
さて、魔法についてより詳しく知りたければ『経典』でも見てくれればよろしいと思われます。伝承が沢山載っていますので。
では今度は我々の番ですが、貴方たちのいう地球、異世界とは一体何なのでしょうか?魔法を知らないといいますが、一体どういうことでしょうか?今話したように、魔力はこの世界のいたるところにあるはずで、知らないというのは考えられないのですが?」
〔曽我〕
「何度も言うようで悪いですが、地球とはこの世界とは別の世界のことです。貴方方の知っている範囲よりも世界は広く、広大で果てがないほどの規模で、遥か遠いところです」
〔アンドゥイル〕
「……哲学とか宗教の話かな?」
〔曽我〕
「いやそういうのではなくてですね、とにかく世界は広くて常識からして異なる場所があるわけです。そしてそんな場所の一つ地球という場所があり、その中に我々の国である日本があるわけです」
〔セブ〕
「……あー二ホン、二ホンねえ……チキュウとか二ホンとかてんで知らないですな」
〔曽我〕
「我々もここに来るまでここのことを知りませんでしたよ。まあ兎に角、本来は遠い場所にあるはずの国なのですが、一か月ほど前に突然元の場所から、ここの北東を1000km以上も行ったところに移動してしまったわけです。どういう国なのか分かり易く説明しますので、ちょっとその赤い板使わせていただいてもよろしいですか?」
〔アンドゥイル〕
「構わないが、その漆を塗った木とガラスを合わせたような板はなんなのだ?」
〔曽我〕
「これは『リアリティア・インターフェイス・ツール」、『リアリイン』と言ってですね……取り合えずこれを見て頂きましょう」
そう言うと曽我は、手に持ったその板上の電子機器のタッチパネル画面部分を指で操作して、あるソフトウェアを起動させた。するとその端末に備え付けられたライトから光を放射されて―空間上に大きさ30cm程の『少女』が形成された―
“異世界の方々へ、はじめましてこんにちは。
私は皆さまの為に日本について説明をさせて頂きます外務省広報課の日ノ本阿尼子と申します”
突然その場に表れた少女に対して、ロイメル王国の人々は不意を突かれて呆然となった。
〔フォンク〕
「は?」
〔セブ〕
「うおおっ!?」
〔アンドゥイル〕
「幻影……?」
〔クック〕
「驚いたな。これは一体……?」
出現した少女はくりっとした目元を持つ可愛らしい風貌が特徴的で、柔和な笑みを浮かべながら、さらりとした美しい黒髪を風の吹かない室内でふわりと靡かせていた。
突然妖精のような存在が出現したことに心底驚くロイメル王国の人々を余所に、曽我は言葉を続ける。
〔曽我〕
「これは立体映像。この電子端末機器……『リアリイン』の機能によって作られた、拡張現実です」
〔フォンク〕
「拡張現実……?」
『リアリティア・インターフェス・ツール』……通称『リアリイン』とは、21世紀初頭に急速な発展を遂げた携帯型コンピューター端末、所詮携帯電話やスマートフォン、それに幾多ものタブレット端末の発展形であり、高度に発展しもはやもう一つの現実とも呼べるほどになった3DCG基盤インターネット『リアリティア・ネットワーク』と現実の人間とを繋ぐ通信・独立端末機器のことである。
旧来の携帯電話やスマートフォンのようにインターネットワークへ接続する事や、各端末同士での閉じたネットワークを形成することはもとより、人間の身に着けた端末やインプラント(埋め込み)型譚端末とリンクして、ヴァーチャルリアリティ(仮想現実)やオーグメンテッドリアリティ(拡張現実)を使用者に与えることができる、というのを謳い文句とした製品群のことである。
具体的にどういうものかというと、今しがた曽我がやって見せたように立体映像をその場に投影したり、また3D対応カメラによって、取った画像を3D映像の写真として残したりすることができる。
音を出せば立体音響にできるし、また会話に際して言語を解析することによって、方言や外国語を翻訳したり、既存の言語体系にない新しい言語を制作する機能まで搭載している。
そして曽我は、その高度な機能を備えた新時代の情報端末を使って、異世界人との交流を円滑化するつもりであった。
〔曽我〕
「この立体映像は、政府の友好の意思を示すために、預かってきたものです。日本という国のことを皆様によく知っていただきたいので、どうかみて頂けないでしょうか?」
曽我は、政府から受け取った日本を紹介するビデオのデータを再生していた。
異世界人に日本のことを紹介するに際して、兎にも角にも日本という国のことを知ってもらうために様々な情報―それにはリアリインに備わった様々な機能、立体映像の投影や立体音響の生成、その他にもある様々なものも含める―が詰め込まれていた。
日本の技術力、文化、風景、それらの情報を実際の場所に赴かずにその場で提供するその術に、類似する術を持たないロイメル王国人は驚愕していた。
〔フォンク〕
「そのような小さな道具で空中に幻影を生成するとは……かなりの技術力ですね」
〔アンドイル〕
「伝説上に登場するような道具を、まさか実際に目にすることになるとはな……」
〔クック〕
「凄すぎて理解が追いつかん」
〔セブ〕
「実際スゴイ。アイエエエ……!!」
おおなんたることか、日本人という未知の存在に遭遇したことによって、ロイメル王国の人々はNRS-日本人リアリティショック―を引き起こしてしまった!!
……まあそれは一先ず置いておくとして、兎に角ロイメル王国の人々は日本という国のことを急速に知った。
つまり、『日本という国の技術力は、ロイメル王国の文明を遥かに凌駕している』ということである。
さて、そうして驚くべき事実を知ったロイメル王国の人々を余所に、立体映像の少女は日本に関する講義を開始した。
“さて、日本国についてですが……”
少女が解説を始めると、その周囲に様々な背景が形成される。日本の地図や都市の風景、それにグラフなどが、立体映像によってその場に現れていく。
その様子は立体映像と立体音響によって、その場に作り出される現実感、即ち『リアリティ』を体現していたといってもよい。
その『リアリティ』によって、ロイメル王国組は日本という国を朧気ながらに理解することとなった。
〔セブ〕
「なんと巨大な都市なのだ!連なる建物がまるで山脈のようだ!」
―王都など比べ物にならないほどに大勢の人々が行きかう巨大な都市があった-
〔アンドゥイル〕
「夜間にこれだけの光源を稼働させるとは、資源や財力はどれほどのものなのだ!?」
―夜でも尽きぬ活気があった―
〔クック〕
「荷車が家畜もなしに自ら動いている!船も帆やオールを用いずに進むのか?むむ、電車、ヘリコプター、それに飛行機だと?
なんだこの食べ物は?なんだこの曲は?なんだあの製造工程は!?」
―見たこともない乗り物や道具、食べ物、音楽、製造技術の数々があった―
〔フォンク〕
「美しい海、川、滝、山々、それに見事な木々ですねえ……ふむ、桜ですか、風景に彩がありますねぇ」
―優雅さを秘めた、見事な自然の風景があった―
それらを始めて見聞きするロイメル王国の人々は、ただ圧倒されていく。
『日本』という未知の国、それが如何なる国であるのかを知るほどに。
説明はなおも続けられる。
“近年では、発展したAI技術によって架空現実空間の充実も図られております。人々は家に居ながら出勤したり、病院の医師の診察を受けたり、その他様々なことがリモートにて行われます。
また、現実の人々を繋ぐだけではなく、人間を補助する高度な人工知性プログラムの利用も進められており―”
〔フォンク〕
「しかし、この『動く絵』の少女……日本は『人造生命(ホムンクルス)』の製造すらも成功しているのですね」
〔曽我〕
「我々の定めた生物の定義からは大きくずれております。
彼女に『自我』と呼べるものはありません……ただ、第三者視点で『自我』を感じることはありますね。精密な人工物ですよ」
因みにそれら日本の情報について説明をしている『日ノ本阿尼子(ひのもと あにこ)』
という少女は、『実在の人間ではない』。
彼女は、外務省広報課の公式マスコットキャラクターであり、AIテクノロジーによって人工的に電脳空間上に製造された『データ』……プログラムである。
データである阿尼子は、2D、3Dの姿を自由に切り替えられ、またその服装も着物や巫女服など多彩に渡り、存在そのものが幻想的で捉えどころがなく、また人格も持たないが故に、実際の人間よりもむしろ受け入れられ易いようになっている。
人類の背負った不完全、我、原罪、それを持たずに誕生したアダム・カドモン。無我の菩薩―それが阿尼子を含めた『ヴァーチャル・データ・キャラクター(VDC)』であり、WALKERと並ぶ新時代の人類の相棒であった―
さて、その阿尼子の存在も含めた、明らかに高度に発達した文明の目撃はしかし、嵐や竜巻のようにあっという間に過ぎていった。
現実の時間にしてそれは2時間ほどであったものの、体感としては正にそう形容すべきものであったのだ。
“……という訳です。異世界の皆様、どうか私達日本人と、日本国との親交を、考えてはいただけないでしょうか?”
その言葉と共に霧散した立体映像。後に残された何もない空間を見て、ロイメル王国の人々は呆然としながらも言葉を紡ぎだした。
〔セブ〕
「……なんだか凄かった///」
〔アンドゥイル〕
「こんな国が存在したとは……異世界から来たというのは本当かもしれない」
〔フォンク〕
「……えー、貴方方が非常に進んだ文明に属することは理解できましたが、ならば何故我々と接触を?
あなた方の乗り物は翼龍を容易く引き離す能力を持っているはずですが」
フォンクの疑問は、高度な技術を持っている日本という国が、ロイメル王国のようなあまり文明が発展していない(これは自嘲でもなんでもない事実だと彼は思った)国と態々接触した理由である。かの国なら、こちらのことなど無視して独自に生きていける筈であり、態々厄介ごとを背負いに来た理由が全く理解できなかったのである。
〔曽我〕
「まず、我々は突然この世界に来てしまったため、国民の為に必要な食料が十分に確保できていないのです。その為に我々は、この未知の世界において我々に食糧を輸出してくれる友好的な勢力を探しています。
出会ったばかりで何も分からない相手がこんなことを言うのもなんですが、どうかご協力をしていただけないでしょうか?」
〔アンドゥイル〕
「あれだけの技術力がありながら、食料が足りないと?」
〔曽我〕
「恥ずかしながら」
〔アンドゥイル〕
「もし協力を拒否した場合は……」
〔曽我〕
「無論拒否されたからといって、暴力を行使したりはしません。その場合はまた他の勢力を頼ることになるでしょう。我々はあくまで相手の自由を尊重する所存ですので」
〔フォンク〕
「そうですか……正直助かります。貴方方のような強大な国に無理強いなどされたら、我が国などあっという間につぶれてしまうでしょう。ただでさえ最近は物騒であるのに」
〔曽我〕
「?最近何かあったのですか?」
〔フォンク〕
「それがですね、最近このドム大陸では―」
曽我たちはそこで、現在ドム大陸を取り巻く危機を知った。
鎖国国家アムディス王国。長い間他の国々との関りを拒絶していたその国が、突如として蜂起し、強力な軍事力で国際情勢を悪化させていること。
そしてその侵略の牙が、ロイメル王国にもいつ向くか分からないということと、その備えの為に、ロイメル王国本土から離れたこの未開拓の土地にて訓練を行っているという事をである。
〔曽我〕
「うーむ。きな臭くなってきましたね。まだ戦争が始まっていないとはいえ、いつ戦争が始まるかもしれない場所の人々と接触してしまうとは。場合によっては日本も巻き込まれる可能性がありますね」
〔古橋〕
「どうなりますか?交流を控えることになるんでしょうか?」
〔曽我〕
「いや、それは早計ですね。ここの人々と関わらなければ日本は安全、だなどと行かない可能性があります。
侵略主義を掲げる国が、現実として侵略行為を行っている以上、いつか日本とも接触してしまうかもしれません。そうなれば悲劇が起こり得ます。
この世界は日本にとって未知の世界であり、日本の技術力を凌駕する国があっても可笑しくはないのです。
どうにか情報を集めて、その国の侵略主義を食い止めなければいけません。そのためにはなんとしてもこの国と正式な国交を開く必要があると思います」
〔古橋〕
「難しい話ですね」
〔曽我〕
「まあ、そういった諸々の大事なことは、今後政府が本格的に検討をしていくでしょう。
フォンクさん。貴方方の事情を鑑みて、そのアムディス王国の原罪の侵略主義の件は我々にも恐らく無縁ではないと考えられます。私たちの国とあなた方との間で協力関係を築くことで、互いに侵略行為に備えることも相互に考慮に入れなければいけないというのが私個人の考えではありますが、いかがでしょうか?」
〔フォンク〕
「ふむ。確かに現在の国際情勢を鑑みると、新しい交流相手が必要かもしれません。
そもそも我が国としても穏便な交流を求める相手を拒むのは本意ではないでしょうし、その点も交えて、本国に問い合わせてみましょう」
〔曽我〕
「フォンクさん。我々もこの情報を本国に伝えたいので、我々の乗ってきた飛行機に戻らさせていただきたいのですが、宜しいでしょうか」
〔フォンク〕
「ふむ?それはこの基地からあの飛行機とやらで貴方方の国に帰るという事でしょうか?
それともあの飛行機とやらには、長距離通信機は積まれていて、こちらにいたままあなた方の国の方に伝えるおつもりでしょうか?」
〔曽我〕
「古橋さん、ここからでも本国と連絡は取れますか?」
〔古橋〕
「大丈夫です。この場所からでも日本と連絡が取れるように、中継を繋いでいますから」
〔曽我〕
「そうですか。フォンクさん、私たちは通信機で本国と連絡を取りたいので、飛行機に戻りたいのですが、宜しいでしょうか?」
〔フォンク〕
「分かりました。貴方方があの飛行機とやらに戻ることを許可しましょう。
念のため監視は付けます。セブ」
〔セブ〕
「はい」
* * *
斯くして、日本政府とロイメル王国政府の交渉、その下準備が始まった。
部屋の外ではいつの間にか夜が明けて、朝が訪れていた。
夜、その巨大な存在感で世界を支配していた異世界の月は、朝になってその存在感を薄れさせつつも、その姿を青空に掻き消すことなく浮かんでいた。
満月の朝の訪れである。
その頃、ロイメル王国の王都ロクサーヌでは、深夜遅くから始まった緊急政務官会議-八咫烏と第1翼龍騎士団の接触に端を発する―が執り行われており、また日本の東京でも日を跨いだ遅い時間帯から、閣僚一同が会しての緊急会議が夜通し行われていた。
両国はそれぞれが同じ時間の別の場所において、それぞれの部下の報告を受けて行動を開始することとなった。
〔曽我〕
「日本国としましては、是非あなた方の国と交流をさせていただきたいとのことでした。正式な政府の外交使節を送る用意があるとのことです」
連絡のために一旦P-3Cへと向かった日本人組であったが、日本との連絡を終えた後にロイメル王国側との情報のすり合わせを行うため、キャンプ・ガイチの作戦室へと戻っていた。
同じく本国への連絡を終えて情報のすり合わせのために作戦室へと戻ってきたフォンク達が、本国からの通達を述べる。
「我が国としても、是非ともあなた方の国と交渉させていただきたいとの結論が出ました。こちらも外交使節を用意する手筈を整えるようです。
さて、そのようなわけでこの時より晴れて私達ロイメル王国と、貴方方の国日本との交渉が始まります。お互い大変でしたが、今後は両国の発展の為に、頑張っていきましょう」
〔曽我〕
「はい。お互い頑張りましょう」
曽我とフォンクはお互いをたたえ合い、一礼した。
遂に始まった日本とロイメル王国の交渉だが、本格的なそれは今後お互いの正式な外交職員同士が対面してから行われるだろう。
この時点では結果が分からないものの、明るい先行きが見えたことに日本人組は安堵した。
〔曽我〕
「気が付けばもう朝ですね。そろそろお腹が空いてきましたし、一旦食事にしたいのですが」
〔フォンク〕
「それでしたら是非我が基地の料理をお楽しみください。こういう場所柄ゆえ大したものは用意できませんが、できる限りの持て成しをさせていただきたい」
〔曽我〕
「そういうことでしたら喜んでお受けいたします」
〔佐笹原〕
「私は医者だから、万が一異世界の食材が我々に悪影響を及ぼした時のことを考えて、辞退させていただくよ。レーションを持ってきたのでそれを頂こう」
〔古橋〕
「佐笹原3尉……」
フォンクの発案により異世界の料理を体験することとなった佐笹原以外の日本人組。彼らは作戦室を簡易の食堂にして、料理を待った。
そして、運ばれてきた料理は、以下のようなものであった。
【本日の献立:りんごっぽい果物と人参っぽい根菜と小豆っぽい豆とよくわからんどんぐりの入った薄い金色のスープ、紫色の穀物が入った麦粥、干し肉を油で炒めたもの、緑色のジュース、細かいチーズの入ったパンを切って分けたもの、飛蝗と芋虫の佃煮?】
陶器に盛られた料理を前にして、日本人組はまず観察をする。
〔古橋〕
「これが異世界の料理か。見た目は安全だな。虫の佃煮?以外は」
〔フォンク〕
「いかがなさいましたか?見た目がどうという話でしたが」
〔古橋〕
「あ、いいえ。虫食は見た目から好き嫌いが分れるという話です」
〔フォンク〕
「ああ、そういうことですか。まあこちら側でも確かに虫食は見た目で好き嫌いが分れがちですからねえ。味は問題ないと思うのですが……」
〔古橋〕
「まあ最近は食品加工技術も進んでいますし、それに虫食文化を見直そうという動きもありますので、虫食に対する忌避感は薄れていますがね」
21世紀の地球世界では日夜、現行の、また将来の食糧危機に備えて食に関する様々な研究や活動が進められていた。無論昆虫食もである。そういった研究や推進運動のおかげで、虫食に対する偏見は以前よりは薄れつつあった。
そこに来て起こった今回の異世界転移騒動は、日本人の食文化を見直させる重要な転機であったといえるかもしれない。
〔フォンク〕
「ところで、その袋に入っているものがあなた方の食べ物なのですよね?一体どのような食べ物なのでしょうか?」
フォンクが指摘したのは、佐笹原が持ち込んだ袋についてであった。
その袋はいくつかあり、様々なおかずを揃えてきたのがわかる。
―『戦闘糧食Ⅲ型』
自衛隊の採用している携行糧(レーション)食。通称パックメシ。陸上自衛隊で採用されていた戦闘糧食Ⅱ型をベースとして、3軍共同としたもの。
レトルトパウチ包装されたおかずや無菌包装の米飯などが真空包装パックにセットで入っており、また食器や加熱材も入っていてどこでも温かい食事がとれる。加熱せずとも摂取可能。
なおナノテクノロジーの応用によって分子レベルで密閉性に優れた容器や食品添加物(人体にほぼ無害)を開発することに成功したため、レトルトでありながら缶詰以上の長期間保存が可能。
因みに大人気メニューはカレーライス。簡単旨いパックメシ。
~とある風景。
黄色い部屋の中にいる『アレ』。
そこに突如縄にぶら下がって現れる男。
アレ「兄さん!?」
アレの兄さん「おーい今日のメシははパックメシだぞ」
アレ「うわヤッター!!」ドーン!
家の屋根をぶち抜き宇宙空間へと飛び出していくアレ。ジャスティス?
……
陸自以外でも採用されているのは、本来の非常食としての役割を求められてのこと。救命艇や脱出装置に備わってます。
〔佐笹原〕
「うむ、今回はカレーライスやハンバーグ、それに漬物なんかを持ち込んでみました。宜しければいかがでしょうか?何個か持ってきましたので」
〔フォンク〕
「ふむ?では試しにこの給使の子に食べさせてみましょう。君、異世界の方々の食べ物を食べてみないかね?」
〔給使の少年〕
「え?異世界の食べ物?どういうことですか?」
「驚くかもしれないが、彼らは異世界から来た別の国の人間でね、いい機会だしそこの食べ物を経験してみないかね?」
〔給使の少年〕
「ええっなんだかわかりませんけど、とりあえず食べてみます」
こうして給使の少年は、ひょんなことかた異世界人で初めて(毒見を兼ねて)日本の料理を体験することとなった。
「では今から加熱しますので、少々お待ちください」
そういうと、佐笹原は戦闘糧食セット付属の加熱パックを開封する。
今回持ち込んだ戦闘糧食の加熱パックは加水発熱タイプであり、パック内に水を入れることで発熱が開始するため、佐笹原は持ち込んだ水筒から水を注いだ。
〔フォンク〕
「ほう。火を使わずにものを温めることができるのですか?」
〔佐笹原〕
「袋の中に特殊な薬剤が入っていて、水を加えると熱くなるんです」
〔アンドゥイル〕
「それは便利だな。火を使うと煙が出たり燃え広がったりする危険性があるが、それなら面倒くさくなさそうだ」
さて、そうやって加熱されたパックを開けると、スパイスの香ばしい香りが作戦室の中に広がった。
そのパックの内容物は、同じく温められていた白米のパックに注がれた。因みにパックに入ったままのご飯を半分に分けて、折るようにして半分のご飯をもう半分のご飯の上に乗せると、パックの半分がおかずを入れる空洞になる。
刻まれた肉や野菜が入ったその茶色いソースが簡易の器となったパックの半分を埋め尽くしたのち、加熱せずにいた別のパックから黄色い漬物が白米に乗せられると、その料理の完成である。
〔給使の少年〕
「茶色いソースと白い麦か何かですね?独特の香りがします」
少年は始めて見る料理を前に、興味半分怖さ半分といった様子でいた。
〔フォンク〕
「お皿と食器が行き渡りましたね。では早速いただきましょう―『ミルクハミサビル(いただきます)』」
〔アンドゥイル〕
「クワッチ(馳走になる)」
〔クック〕
「ヨカモノクウ(食べる)」
そうそれぞれ別々に食前の言葉を言うと木の匙を手に取って、料理を食べ始めた。因みに給使の少年とセブは黙って食べ始めた。
日本人組はその光景を不思議に思い、フォンクに質問してみた。
〔曽我〕
「あの、『ミルクカミィサビル』や『ヨカモノクウ』など、食事の際の言葉が皆さんそれぞれ異なるのですね。一体何故?」
〔フォンク〕
「ああ、我が国は他民族国家ですので様々な文化が入り混じっていて、色々なルールを尊重し、許容しているのです。
因みに『ミルクハミサビル』は私の家系での食前の挨拶です。『食べ物を口で噛んで食べる』という意味ですね。先祖代々の、食べ物とそれを司る豊穣神への感謝の言葉です。
食事のルールなどその一族、その個人それぞれ。黙って食べるのも厳格にルールに従うのも自由です。少なくとも私はそう考えますし、我が国ではその様な考えが一般的となっています。
日本では違うのですか?」
〔曽我〕
「いいえ違いません。では我々も……いただきます」
〔フォンク〕
「それがそちらの『習慣』ですか。どういった意味をお持ちですか?」
〔曽我〕
「ああ、いただきますというのは―」
文化の違いで致命的な事態にならなくてよかったと安心した日本人組も、木の匙やフォークなどの食器を手に食事を開始した。
〔日本人組〕
「うーん、なるほど、このおかゆ、味はあっさりしていますね」
「このジュース、味はグレープフルーツって感じだな」
「スープは果物で味付けしているのか。すっぱあまいが見た目より濃厚だな」
「なんの肉か分からないけど、淡泊な感じですね」
「佃煮うめえ」
初めての異世界料理に、日本人組は各々感想を述べあいながら食事に盛り上がった。
一方、日本の料理を始めて体験することとなった給使の少年は、白いなにかの実か卵のように見えるものに、茶色いソースがかかっていて、更に付け合わせとして黄色い漬物も付いた未知の食べ物-カレーライス(沢庵付き)-の味に、衝撃を受けていた。
〔給使の少年〕
「うーん美味い!香ばしい香味と肉や野菜の濃厚な味、それに薬草の辛みがみずみずしい白い実とマッチして、匙が進みます!それに付け合わせの黄色い漬物もいいアクセントになってて、これはとても上品な料理ですよ!昔『香辛料の国』で食べた料理を思い出します」
〔フォンク〕
「ほう?君は海外に居たことがあるのかね?」
「あ~、うちの爺様の料理修行を兼ねた食べ歩きに付き添って、あちこち巡っていたんですよ」
〔フォンク〕
「一応聞くが、我々が食べても問題などは無さそうかね?」
〔給使の少年〕
「うーむ、俺は香辛料の経験があるから食べても大丈夫でしたけど、この茶色いソースはかなり味が強いので好き嫌いが分れそうですね。
子供やお年寄り、それに女性なんかにはあまり好まれないかもしれません。果物や蜜、乳なんかと一緒に食べて味を口の中で調整したほうがいいですね。
白い実はみずみずしくて淡泊な味で、この茶色いソースの味をまろやかにしてくれるので相性がよかったです。このソース以外にもいろいろな料理に合う万能性を感じました。
黄色い漬物は塩辛くなくて、それでいて程よい酸味と甘みがあります。この漬物と白い実だけでも食事としてはなりたちますね」
給使の少年の考察を面白そうに聞いていたフォンクは、日本の食べ物の安全が確認されたら自分も試してみようと思った。
……
食後、フォンクは日本人組に食べ物の感想を聞いてみた。
〔フォンク〕
「皆さん、お口に合いましたか?」
〔曽我〕
「美味しかったです。このような食事のある貴国とは友好的な関係を築いて、お互い交流していきたいところです」
〔フォンク〕
「そうですか。それは嬉しいお言葉です。まあ念のため様子を見て、『拒絶反応』などが出なかったらまた食事をお出ししましょう
ところで、あなた方はいつまでこちらに滞在するおつもりでしょうか?」
〔曽我〕
「そうですね、確かこの土地の先に貴方方の国、ロイメル王国の本土があるのでしたね。
我が国がロイメル王国本土に正式な使節を送るための準備として、まず現地の位置を知らなければなりません。
その為には現場の地図の用意もそうですが、実際に現場に向かって精確な位置を確認したいのです……あの、あなた方の国はここから大体どれくらい離れているのでしょうか?」
〔フォンク〕
「翼龍で約6時間半(※翻訳の影響で日本人には異世界で使われている単位が既存の地球単位として認識されています)ほどの距離です。翼龍の飛翔速度は凡そ時速80ノット(※翻訳の影響でry)ほどになります」
〔古橋〕
「つまり、凡そ975kmほど先という事ですか。P-3Cなら1時間半ほどで到着できます」
〔クック〕
「なんと!あの飛行機とやらは、翼龍の4倍以上の速さで飛ぶというのか!」
〔アンドゥイル〕
「速度は炎龍以上か。俄かには信じられないな」
〔曽我〕
「とにかく、そこまで遠い距離という訳ではなさそうですね。
ただまあ、我々のようにまだ正式の国交を結んでもいない者が、勝手にあなた方の国に向かうのは問題でしかないですし、関係機関への根回しなども考慮して、あと3日から4日ほどこちらに滞在させていただいてもよろしいでしょうか?」
交渉人の曽我の発言に加え、この場の自衛隊を取りまとめる古橋も続けて発言する。
〔古橋〕
「それと、我々の飛行機の燃料が不足していることと、現場に我々が向かっている間にこちらとそちらとのやりとりを担ってくれる通信機材と連絡員を用意したいので、1度補給部隊を呼び込みたいのですが」
〔フォンク〕
「(燃料?高空で暖でも取っているのでしょうか?)
えーその補給部隊というのはどのくらいの規模なのでしょうか?
あの飛行機やらのように巨大なものにぞろぞろと来られると、この基地の滑走路が埋まってわが軍の活動が止められてしまうのですが」
〔古橋〕
「えー飛行機の燃料に関しても、また通信機材や連絡員に関しましても、飛行機本体をこの基地に着陸させる必要はございません。燃料は空中で補給して、通信機材や連絡員に関してはそれのみをこちらの滑走路上に投下いたします」
古橋の説明に、自衛隊員ではないフォンクは疑問を抱く。
〔フォンク〕
「通信機材と連絡員を投下?そんなことをして大丈夫なのですか?」
〔古橋〕
「大丈夫です。どちらも落下傘や飛行装置などで緩やかに着地することで、衝撃を緩和して安全を確保できます」
〔フォンク〕
「(傘?)とにかく、空中から重いものを落としても大丈夫だということですか?」
〔古橋〕
「はい、その通りです」
〔フォンク〕
「うーん、我が国でも『凧』を用いて空中から物資や人員を投下することはありますが、どちらも危険を伴うため、あまり実用性がないのです。
あなたがたの国はそんなところも克服しているのでしょうか」
〔古橋〕
「凧、ですか?」
古橋は、物や人が凧に括り付けられて、例のドラゴンから飛び立っているのを想像すると、風に流されて危なさそうだと思った。
実際、ロイメル王国の凧を用いて物や人員を空中から地面に放り出す方法は、落下傘を用いたものに比べると減速性能や飛行時姿勢制御の点で問題があり、幾人もの人間が成功を目指して挑戦して哀れに失敗し大怪我を負ったり、また死亡したりしていた。
日本では時代劇などで忍者が凧を用いて華麗に空を舞ったりするシーンがあったりするものの、現実にそれをやるのは創作物と違って危険なので実用化されることは無かったと言えば、その無茶ぶりは想像していただけるだろうか?
日本と技術力の差があるために、落下傘と飛行装置を用いた物資や人員の投下をあまり理解できていない様子のフォンクを見て、言葉で言ってもあまり相手に伝わらないことを悟った古橋は、だがしかしとにかく相手を納得させることを優先した。
〔古橋〕
「まあ信じられないかもしれませんが、実際に見れば分かると思いますよ。まあそんなに派手なものではないので、驚くというほどのものはないと思われます」
〔フォンク〕
「ほほう」
古橋の説明を聞いて、フォンクは期待に胸を躍らせた。
〔フォンク〕
「えーでは、本日この時から、4日後の夕刻までの滞在、それとあなた方の国の補給隊及び物資と人材の受け入れを承諾いたします」
フォンクからの許可を得て胸の重荷が取れた古橋は、ほっと息を漏らした。
一方の曽我のほうは、無邪気にほほ笑みながらありがとうございますと礼を述べていた。
〔古橋〕
「では我々は連絡のために自分たちの機に一度戻らせていただきます」
〔フォンク〕
「あの乗り物ですが、我々に中を見せて頂いても?」
〔古橋〕
「ええ、構いません」
そういうわけで、フォンク、クック、アンドゥイル、それにセブはP-3Cの機内を見学することとなった。
* * *
〔古橋〕
「待機班、戻ったぞ」
〔通信兵〕
「ご無事でなによりです。話し合いの様子はいかがでしたか?」
〔古橋〕
「まあ、割と穏便にいっているぞ。今から鹿屋のほうに補給の手配を頼むところだ」
日本人側は、数時間ぶりに戻った機内でいつも通り行動していた。
一方、初めて飛行機という乗り物に触れたロイメル王国側は、少し興奮気味であった。
〔クック〕
「ふむ、凄いな。夜間は気づかなかったがこれは金属で出来ているのか。金属でこれだけのものを作るとは……」
〔アンドゥイル〕
「中の素材も未知のものばかりだな」
〔セブ〕
「お前たち、監視ご苦労だったな。監視を入れ替えるから飯にいっていいぞ」
〔監視の歩哨たち〕
「「はっ!了解しました」」
ロイメル側の人員が行ったり来たりして少し忙しくなったが、監視の入れ替えが終わると落ち着いた雰囲気になった。
古橋は通信兵に代わり、自身が鹿屋基地とテレビによる通信を行う。
電子画面に向こう側の通信兵の姿が浮かび上がる。
〔古橋〕
「鹿屋基地、こちらP-3C・3280機、古橋だ。我々は現地の勢力との交渉に関して、その約束を取り付けることに成功した。正式な日時に関しては追って連絡する。
交渉の為に現地の調査を行う必要があるが、その為に現在燃料が不足しているP-3C及び八咫烏の燃料が必要であるため、補給を申請する。
補給方法に関しては、現地の航空機受け入れ施設の規模的に輸送機の着陸は難しいため、航空自衛隊の空中給油機による補給を希望するものである。
また、調査中も現在地の勢力との通信を維持するため、通信機材及びそれを扱う連絡人員の派遣も申請する」
〔鹿屋基地〕
「了解。3280、そちらに燃料及び通信機材と人員を送ることを検討する」
テレビ通信を間近で見ていたロイメル王国側は、これに興奮と興味を示した。
〔アンドゥイル〕
「これはすごいな。遠方までこちらの風景を送れるとは!いちいち偵察兵を行き来させるような、面倒な手間がいらないな」
〔クック〕
「この乗り物の速さもそうだが、こんな連絡手段まであるとは、戦い方もさぞ高度なものだろう。恐ろしいな」
騎士団を率いる2人の団長は、軍事の面から日本の技術力を考察した。
〔古橋〕
「さて、連絡も済んだことですし、あとはしばらく休ませていただきます。昨日から徹夜なもので」
昨日の夕方に翼龍と龍騎士を発見した連絡が入って以降、日本人組は徹夜で働いていたため、疲労が蓄積していた。
その為一旦休憩を取る必要があった。
〔フォンク〕
「我々も同じです。ではお互いしばらく休むとしましょうか。話し合いの続きは今夜また、ということで」
ロイメル王国側も、昨日の夕方に正体不明の飛行物体の出現を報を受けてから働きずくめだったので、こちらも休憩を取ることとなった。
〔古橋〕
「さて、では機体の周りにテントでも敷こうかな」
古橋たちは、現在滑走路上に駐留しているP-3Cと八咫烏の周囲にテントを敷こうと思っていた。
それに対し、フォンクがそれなら、と言葉を挟む。
〔フォンク〕
「もしよろしければ、基地の宿舎をご利用ください。一応ベッドなどがあって横になれますよ。
使ってない部屋もあります」
〔曽我〕
「ではお言葉に甘えて、そちらの宿舎をお使いさせていただきます」
斯くして、キャンプ・ガイチの宿舎を借りることとなった日本人組は、一路現場へと向かう。
キャンプ・ガイチの宿舎では、1部屋あたり木製の2段ベッドが2つ設置されており、4人が共同生活するスタイルのようであった。
窓部分には黄緑色の細い糸で作られた目の細かい網の戸があり、虫よけと風通しのよさを両立している。
〔竜馬〕
「持ってきたテントセットは使わなくて済みましたね。機外にテントを張るか、最悪機内で雑魚寝するところでしたから」
〔古橋〕
「サバイバル訓練にならなくて残念か、竜馬?」
〔竜馬〕
「一宿一飯の恩義には心の底から感謝しかありません、隊長!」
そういうわけで、各々4人ずつに分かれた日本人組は、夜まで休憩することとなった。
木製のベッドはクッションも置かれておらず、硬かったものの、曽我以外全員自衛隊員ということもあって、眠りにつくことができた。
また曽我も、このような就寝環境に臆することなく眠りに付いていた。
* * *
一方その頃、キャンプ・ガイチの一角にある2つの大部屋で、第8及び第9騎士団の面々が集まって、とあることを行っていた。
その部屋の中は湯気に包まれており、その2つの大部屋、第8と第9用にそれぞれに振り分けられた部屋の中で、隊員たちは鎧や装備を外して、体を布で隠したり、或いは全裸になって屯していた。
なお全裸になった隊員は、何故か立ち込める湯気によって肝心なところが絶妙に隠されていたので、安心して全年齢対象だ。
〔第8翼龍騎士団隊員A〕
「ふ~ 仕事の後の風呂は最高だぜ」
鍛え上げられたむさ苦しい肉体から湯気を立ち上らせる男が、椅子に腰かけながら気持ちよさそうに言葉を漏らす。
〔第8翼龍騎士団隊員B〕
「『毒抜き』の為とはいえ、こんな森の奥深くの辺境の地でもサウナに入れるのは役得だよな。最も、俺は本当は桶に浸かるほうがもっといいんだが」
〔第8翼龍騎士団隊員A〕
「俺だって桶に貯めた湯に思い切り浸かるのに勝る風呂は無いと思うが、ここじゃ水に限りがあるからな。贅沢は言ってられないさ」
おっと水を足すぜと言いながら杓子で水を掬って熱した石に掛ける同僚。
もわっと上がる湯気が部屋の中を包むと、空間は更に熱くなって、汗で肌がべとべとになった男たちのせいでむさ苦しさを増した。
〔クック〕
「お前たち、入浴を楽しんでいるか?」
日本人たちとの交渉に一旦区切りをつけ、ようやく仕事から解放されたクックがサウナに登場すると、隊員たちは出迎えの言葉をかけた。
〔第8翼龍騎士団隊員A〕
「はい隊長。我ら一同、風呂で心身共に回復しております。今回の任務は大変でしたが、なんとかなってよかったです」
〔クック〕
「うむ。休むことも騎士の仕事だ。じっくり風呂を堪能するぞ」
〔第8翼龍騎士団隊員たち〕
「「了解です!」」
以前お話ししたように、ロイメル王国の軍、取り分け翼龍騎士団では、兵士及び使役する生物の活動時間を伸ばすために、特殊な強壮剤及び餌を用いている。
その強壮剤は使用すると疲労感の軽減や集中力の増大などの恩恵をもたらす反面、効果時間後に精神の変調や肉体の不調などを引き起こす副作用や、依存性などがあるため、定期的に『毒抜き』を行わなければならない。
その『毒抜き』の方法に関してだが、体内の血を外部に放出する所詮瀉血療法や、強力な下剤や発熱薬を用いた新陳代謝の強制増進などといった手段に並んで、入浴による新陳代謝の緩やかな活性化というものがある。
湯や湯気の熱気により肉体の新陳代謝を高め、体内の異物を汗を通じて外部に放出することがそもそもの目的ではあるが、入浴を通じて不安定化した精神状態を安定化させられること、また集団入浴によって人間間のコミュニケーションを円滑にすることによって、集団内における精神的な負荷を軽減・克服する効果もあり、入浴は治療行為を超えた娯楽(レクリエーション)として推進されている。
〔クック〕
「今日の香薬は薔薇か。いい香りだな」
なお現在は、特殊な薬剤を混ぜた水やお湯を利用することが流行しており、それには体に良い成分を肌越しに浴びるという実用の面だけではなく、精神的に心地よくなる香り成分などを含ませそれを楽しむなどといった、遊びの要素を含んでいるという面も含まれている。
〔クック〕
「やはり風呂は人類の生み出した最高の発明だな」
クックは立ち上る蒸気に包まれて、至福の時を過ごしていた。
* * *
第8翼龍騎士団の風呂場、所詮『男湯』がむさ苦しい絵面を形成しているのに対し、もう片方の『女湯』、第9翼龍騎士団の風呂場もまた、乙女たちがあられもない姿でいる光景が作り出されていた。
〔第9翼龍騎士団隊員A〕
「はぁ~ お風呂は癒されるわ~」
〔第9翼龍騎士団隊員B〕
「薔薇の香りも素晴らしいけれど、百合も中々オツなモノよねぇ」
タオルにて体を隠しサウナ入浴している彼女たちだが、水分を含んだタオルは乙女たちのボディラインを浮かび上がらせており、スリム、スレンダー、THE ガッツ!(タ〇さん!?)に、巨、貧、無()など様々な艦隊がひしひしと集結している様は、もはや歓待コレクションではなかろうか?(因みに筆者は戦艦が大好き!大甘巨峰主義ばんざーい)
さてそんな乙女の花園では、人前で聴かせられないような際どい会話が繰り広げられていた。
〔第9翼龍騎士団隊員B〕
「それにしてもあんた、最近また果実が実ってきてるんじゃないの?」ムニュッ
〔第9翼龍騎士団隊員A〕
「ちょっ、勝手に触んないでよ!」
そばかす顔が特長の第9翼龍騎士団隊員Bが、金髪が特長の第9翼龍騎士団隊員Aの胸に実った見事な果実-形容するならばカボチャ(果実じゃねえ!?)―を遠慮なしに揉む。
〔第9翼龍騎士団隊員B〕
「いーじゃん女同士なんだから、こんなにたわわな果実を実らせちゃって、捥がせてくれって言ってるようなもんじゃない。ほら、新人ちゃんも一緒に揉もう?」
〔新米女騎士〕
「(なんで私!?)え、遠慮しておきます」
〔第9翼龍騎士団隊員B〕
「そっか……じゃあそっちを触らせて♡」
〔新米女騎士〕
「ひゃっ///!!!」
そんなこんなでいきなり自身のオレンジ(比喩表現)を掴まれた犬亜人の新米女騎士の少女は、咄嗟の出来事に思わず嬌声を上げてしまう。
〔第9翼龍騎士団隊員B〕
「ムフフ、これはこれは実に育てがいのある果実ですな。」
〔第9翼龍騎士団隊員A〕
「やめい」トスッ
〔第9翼龍騎士団隊員B〕
「あたっ!……はいはい分かってるって、本気にしないでよ」
〔第9翼龍騎士団隊員A〕
「分かれば宜しい」
調子に乗っている第9翼龍騎士団隊員Bの頭に軽い手刀を食らわせた第9翼龍騎士団隊員Aは、頭をさすって反省するBの姿を見て、全くいつまで経っても子供みたいにはしゃいじゃってと半ば呆れた態度を表しながら、呆然としている犬亜人の新米女騎士を宥めた。
〔第9翼龍騎士団隊員A〕
「こいつちょっとお調子者でおバカだからさ、何かしても本気にせず軽く流しちゃってね。でないとこいつも暴走して後に引けなくなるからさ」
〔新米女騎士〕
「は、はぁ……」
そう言って痴女(第9翼龍騎士団隊員B)を手懐けている様子の先輩を見て、未だ身も心も清い新米女騎士は少し困惑しながらも、取り合えず頷いた。
〔アンドゥイル〕
「いやあ我々の風呂時間というものは、何時だって喧噪に包まれているなあ。ま、悪くないがね」
そう言いながらタオルに包まれたメロン(比喩表現)を揺らす彼女は、なんともリラックスした表情を浮かべて、湯気に包まれたサウナの風景を見つめていた。
* * *
〔古橋〕
「司令ッ!?一体どうしたのですか、その体は……?」
〔桐山〕
「ああ古橋、どうやら異世界の生物を食べすぎると、体がこうなってしまうらしいんだ」
動揺する古橋の目の前では、肉体の右半分がイボガエルのように変質した桐山が、にっこりと笑みを浮かべながら料理の乗った皿を右手で支えていた。
〔桐山〕
「なあに心配することはない。我々はこの世界で、この世界のものと一つになるだけなのだから」
そう語る桐山の肉体は、絶えず変化を重ねており、イボガエルのような姿かと思った次の瞬間には、頭のあった位置から蝙蝠のような翼を生やした龍が生えだしていた。
〔古橋〕
「司令、やはりこの世界は異常です!一刻も早く元の世界に戻る手段を探さなければ……!」
〔桐山〕
「フフフ、もはや手遅れだよ。見ろ、お前の体を……!」
桐山の言った言葉に従い古橋が自身の肉体を見ると、それはすでに……
〔古橋〕
「わ、私の腕が……鰤とワカメに!」
先ほどまで人間の腕であった古橋の両腕は、右腕が鰤に、左手がワカメに変形していた。
〔古橋〕
「い、嫌だ!このままどうなってしまうんだ!?私は人間でいられるのか?頼む、誰か助けてくれぇー!!」
〔桐山……の群れ〕
「「ハハハハハハハハハ!!!」」
そう助けを求める古橋はしかし、いつの間にか数十体に増殖し自身を取り囲んでいた桐山の笑い声の中で、意識を薄れさせていった。
〔現実SIDE キャンプ・ガイチ基地 宿舎〕
〔古橋〕
「う、うーん……」
古橋は、異世界に来たことによるストレスの影響か、悪夢を見ていた。
その後起床した古橋は、『なんだか分からないが、とても恐ろしい夢を見た気がする』と語ったという。
* * *
異世界の地で、どうにか現地の人々と穏便な接触を果たした日本。
彼等はこのまま無事、日本の土地を再び踏むことができるか。
つづく☆
【おまけ☆ 魔王(コック長)の休日】
鹿屋航空基地の厨房に勤務するとある男……その男は、その身に纏った威圧感から『魔王』などと呼ばれている(本名のイニシャルはY・Hだが、特殊な事情に付き名は伏せさせて頂く)。
その男はそこでコック長を務めており、現場では時に厳しく、時にもっと厳しく(あれ?)仲間を纏めあげていた。
そんな彼の最近の趣味、それは
『 ア ニ メ 鑑 賞 』 ! !
特になにがきっかけであったということはない。ただ深夜にテレビで流れる人気があるらしいアニメやら、これから人気になるかもしれないアニメなどを、休日の日に酒盛りなどしながら見ているうちに、『最近アニメが面白い』といった気分になっただけである。
特に好きなジャンルはないが、とりあえず色々と見ることにしている。
そんな彼の選んだ今日の一本は、『異世界に魔王として召喚されたコックさんが、料理と喧嘩術の腕を振るう(?)』という、なんとも時事ネタ(?)に乗っかった代物であった。
彼は早速、自身のリアリインを使って自身の加入している動画配信サービスのサイトに入ると、そのアニメを再生した。
リアリインの映像を空間に投影する機能により、何もない場所に10インチほどの平面の映像が現れる。
2045年現在、アニメは空間立体3D投影に対応した『3DCG立体映像タイプ』と、旧来の『2D平面型』に分かれる。前者は迫力がある反面製造コストが高く、後者は迫力で劣りがち(見せ方次第で3DCG立体映像タイプに勝ることもある)だがコストが低く抑えられる。
コック長が今から見るアニメはコストが低い方のアニメであり、一般向けよりも多少内容がディープなものといっていい。
さて、早速アニメが始まると、彼は缶ビールを開けてつまみを食べ始めた。完全に休日のリラックスモードである。
〔※アニメの音声〕
「ゲーハッハ!貴様もケーキの材料にしてくれる!大人しくジャムになりやがれ」トントンシャカシャカブチブチグシャアッコトコトドジャアーン
「な、なんという気迫……これが異世界の魔王か!?だが私だってアイスクリーム屋の端くれ、奴よりも早くサンデーを完成させてみせる!」モリモリモリモリ
何やらスイーツ対決が始まったらしいそのアニメを見ながら、コック長は『このアニメ見終わったらスイーツでも作ろうかな』などと考えていた。
数分後、そのアニメを見終えたコック長は、スイーツを作るために冷蔵庫を開けた。
冷蔵庫の中身】
バター:1箱、うめぼし:1箱 ジンジャーエールペットボトル2L:1つ、味噌:2箱
缶ビール:たくさん、その他スイーツの材料にならなさそうなもの:多数
「……食材買いにいくか」
雨上がりの昼下がり、コック長は食材を求めて街へと出た。
おわり☆
【次回】
日本とロイメル王国との国交樹立に向けて奮闘する両国の人々。
大きな物事には準備が大切である。何事もなければいいんだけどな。
次回 第7話『月詠月夜(ファーストコンタクト) ~憧憬は真実から遠い羽化登仙《ライアニズム》~ ④』 お楽しみに!
(実際の内容は制作状況により、多少変更される場合がございます。あらかじめご了承ください)
以上、第6話でした。
今回はこの世界の魔法及び魔力に関して、本作独自の設定を提示いたしました。今後はこれに従って物語に反映されていきますので、今後原作作品と矛盾が生じた場合に関しましても、原作と本作の設定は違うということを念頭に置いてください。
さて、話が進むごとにだんだんと本文が長くなる本作ですが、読者の皆様は付いてこられているでしょうか?
筆者の執筆速度はさほど早くないので、その分じっくり書いていきたいというのが本音ですが……それでますます投下が遅くなっている面もあって、読者をもやもやさせているのではないかと気になってしまいます。
本作の感想は非ログイン対応のフリー仕様ですので、ちょっとしたことでも述べて頂けたら嬉しいです。遠慮なく書き込んでいってください(単なる暴言、誹謗中傷、または卑猥な書き込みは取り締まり対象ですが)。
※2021年7月13日、本文中の記述を一部変更しました。
旧:また日本の東京でも、昨日から大臣一同が会しての緊急会議が夜通し行われていた
新:また日本の東京でも日を跨いだ遅い時間帯から、閣僚一同が会しての緊急会議が夜通し行われていた
改訂理由としては、後の話との統合性を合わせる為です。既にこの話をお読みになった方には申し訳ございませんが、変更内容を念頭に置いて頂きますようよろしくお願いいたします。
今回出た設定↓
・魔法
『『火』、『水』、『風』『地』の4つの基礎属性の魔力と、それとは別に存在する第5の『黄金の魔力』を用いて起こす現象のこと。
それぞれの属性の性質は以下の通り。
■『火』の魔力:『熱にして乾』、熱と光、電気を生じさせて物質を熱する。即ち火の性質を持った魔力であり、物質の化学反応速度の促進や魔力自体の燃焼作用によって物を燃やしたり、乾燥させたり、発光させることができる。
火はその在り様として『ゆらぎ』が存在する。実体がなくそこに己を成り立たせる芯が無いのに、それでも『ゆらぎ続ける』ことによって空間に共鳴現象を発生させ、そこに疑似的な『実体』……それは触感で感じる「熱」であり、目で感じる「光」であり、そして心の内でその感触を確かめることのできる「命」の脈動でとも言い表すことができるような超自然的なものであり、魔法という現象を言い表す際に用いられる表現の中でも、取り分けて神秘的なものであるその事象を生じさせることができる。
「ゆらぎ」こそが我々にとっての命であり、また命ある限り我々が求められ続けるものこそ、何時か終わりを迎えるものの、それでもその瞬間までは決して止まることのない「ゆらぎ」。それこそが火の魔力の特徴であり、魔法や魔力といったものの本質であるといえよう。
■『水』の魔力:『冷にして湿』、水の性質を持ち、物質に冷気と潤いを与える。
水の性質とは即ち『形状変化』。如何なる状況に対しても、その形状を変化させることで破壊を免れることで、例えば瓶に入れられればその瓶の形に沿い、グラスに注がれればそのグラスの形に変わり、そして地面に零し注がれたのならば、その地面の形に沿って、魔力が集まって溜まりを作った上で自身を支える地面に浸透し、地面を単なる泥の塊に変えてしまうようなことさえ起こり得る。
そして風に吹かれたのならば、風の速さに便乗して、どこまでも共に飛んで行っく。その風はやがて天に昇り、そして天の環境の作用で風と分離した水は、一滴の雨と化して地面に引かれて落ちていき、地面を流してその場所の地形を変えていく。
そんな絶えず変化し実態を他者に掴ませぬのに、自身は常にありのままの姿で居続けて他者の動きを翻弄してしまう、悠久不変の事象にしてただ一瞬の今を繰り返して生まれ変わり続ける完全物質、流体。
それこそが水の魔力の特徴である。
また水の魔力の性質はそれだけではなく、例えば物質や事象に『浸透』し、柔く、脆く、そのものの有り様を内外双方からの作用で歪に屈折させることもでき、そしてその現象に囚われてしまったが最後、浸透された物質はやがて時を経るにつれて水の魔力に実体を『吸収』されて、後も残らず消化された『無』の状態が残る。
ただしそこまで行くのには、通常膨大な魔力と複雑な魔力制御が必要であり、通常の魔法現象ではそこまで強力な効能を発揮し得ることなどは非常に稀。
なお浸透した物質の沸点を低下させる性質を持ち、こと冶金においては水の魔力を用いることで加工の難易度を下げられるメリットがある反面、加工後の製品の維持という点ではデメリットを含むため、金属製品製造における水の魔力の注入及び排出には十分な注意が必要。
■『風』の魔力:『熱にして湿』の気体の性質を持ち、物質から熱と渇きを奪う。
実体を持たず、されども実体に干渉する風の法則に基づいて、音や衝撃などを伝搬する媒体としての性質を持ち、事象の効果範囲を広げる作用を発揮する。
この魔力の特徴とは「流れ」と「共鳴」。障害物が何もない無の空間には、物理的な作用や魔法現象により突発的な『ゆらぎ』が生じることがあるが、風の魔力はそんなゆらぎに指向性のある流れを与えてあるべき方向へと導くのと同時に、自身もまたゆらぎの影響を受けてゆらぎと同じ性質に『励起』し、振動を起こすことによって、他の事象との間に大きな『共鳴』を生んで、最終の目的地へと向かって邁進していく。
即ち事象は風に乗せることで力は増幅し、風もまたそれを支えることで、事象の元の力のみで本来発揮し得るもの以上の、大きな効果を発揮し得るのである。
■『地』の魔力:物質から熱と潤いを奪う『冷にして乾』なる力。
実体を、より頑丈な幻想という鎧の枠に押し込めることで、あらゆる物質を霊的次元へと導き、高めていく。火は燃え尽きて灰になり、水は凍って雪や氷に、空気ですら地にこびり付く一欠けらの埃に代える点は、現世への干渉力という面で他の属性に勝る。
即ち結合の媒体であり、地が力による干渉を減衰し拒み排することで、物質の強度は保たれる。
■『黄金』の魔力:熱も持たずに光を放ち、冷気を持たぬのに霧を生み出し、揺れもないのに形を崩し、また流れや停滞させるものもないのに動き回ったり、逆に留まったりと、他のものとほとんど干渉せず、されず、ただそこに『在る』ということが性質であるかのような融通無礙なる空の性質の魔力。
謎が多く、その全てを解明し再現できたものはいないとされるほど、その在り様は難解なものとなっており、一説にはこれこそが全ての物質や事象に宿った
『霊魂』という神の奇跡を体現するものなのではないか?と言われているほど。
そのためなのかどうかは不明であるが、何故か盲目の人間でもその明るさを感知することができるらしく、一般に言われる霊魂論を後押しするかのような、精神や霊的存在に何らかの作用を与えるものなのではないか?と推測されている。
これらの魔力とは『原初の神』と、それに連なる『悪魔』たちに由来するものであるとされている。
火の魔力は『真なる火』、水の魔力は『真なる水』、風は『真なる風』、地は『真なる地』、黄金の魔力は『原初の神が持っていたとされる真の完全性』の再現性を目指し作られたものである。
これら『真の物質』の正体について、研究者たちの意見は分かれている。
即ち『真の物質』とは魔力を持たない原始的な純物質のことだとする説もあれば、魔力も含んだ上で更に何らかの要素を加えた完全物質のことだ、とする研究者もおり、その答えは未だ導き出されていない。
だがしかし彼らに共通する意見がただ一つだけ存在する。それは『この世の全ては不完全なもの』だという点である。
即ち、この世界に生まれた以上は必ず滅びの定めが付き纏い、如何なるものも変化せずにはいられないが故に、この世界は未だに人を含んだ生命体が存在できているのである。
もし永劫普遍の完全なる物質が存在したとするならば……それは即ちこの世の何ものとも干渉しないが故にその性質を保持できているのだろう、と。
・悪魔
かつてこの世界に存在したとされる存在。また概念。
主なものとしては
■火を用いて水すら燃え上がらせるものたちの軍団
■水を用いて風すら澱ませるものたちの軍団
■風を用いて地をも削るものたちの軍団
■地にあらゆるものを取り込ませるものたちの軍団
■悪魔たちの軍団を統率する『黄金の柱』
などがいたとされている。
これらの悪魔は最初、神々が僕として使役するために生み出したものであったとされる。
火の悪魔は原初の創造神が作り出した『真の火』を模して造られ、水の悪魔は真の水を、風の悪魔は真の風を、地の悪魔は真の地の再現を、そして黄金の悪魔は『原初の神が持っていたとされる真の完全性』の再現を試みて作られたとされる。
神々によって作られた悪魔は、ある時は神々の従順な僕として、またある時はある神が敵対する他の神を倒すための家畜として使役されるなどして、神々の寵愛を受け、また憎まれてもいたが、最終的には神々の支配を離れ、自らの驕りのままに生を謳歌しようとしたという。
生まれつき強大な力を神々によって与えられた悪魔たちは、その力によって自身を生み出した神々も、それ以外のあらゆる生き物も屈服させようとしたという。
しかし、創造物でありながらも自らの手を離れ、好き勝手に活動を始めた悪魔の暴虐に対し決起した『13柱の勇気ある聖獣』が率いる、戦軍団との戦いの末に打ち倒される。
敗北した悪魔たちは、蘇ることも、蘇えさせられることもないようにその身を焼かれ、砕かれ、溶かされて、錆びた鉄の塊に変えられたのちに火山に放り込まれ地下に沈んでいった。
やがてその火山が噴火すると、悪魔たちの力を含んだ石や空気、燃える水が吹き上げられて、それらは空気に散ったり、地面にめり込んだり、また地面に染み込むことで、今日この世界の大地から採掘される魔鉱石(ペンタクル)という鉱物の形に収まったのだという。
このような伝承が世界各地で多少形を変えながらも存在していることから、歴史上における真実ないし、真実を元した寓話ではないか、という意見が歴史研究者の間では普及している。
・リアリティア・インターフェス・ツール(通称『リアリイン』)
21世紀初頭に急速な発展を遂げた携帯型コンピューター端末、所詮携帯電話やスマートフォン、それに幾多ものタブレット端末の発展形であり、高度に発展しもはやもう一つの現実とも呼べるほどになった3DCG基盤インターネット『リアリティア・ネットワーク』と現実の人間とを繋ぐ通信・独立端末機器のことである。
旧来の携帯電話やスマートフォンのようにインターネットワークへ接続する事や、各端末同士での閉じたネットワークを形成することはもとより、人間の身に着けた端末やインプラント(埋め込み)型譚端末とリンクして、ヴァーチャルリアリティ(仮想現実)やオーグメンテッドリアリティ(拡張現実)を使用者に与えることができる、というのを謳い文句とした製品群のことである。
具体的にどういうものかというと、今しがた曽我がやって見せたように立体映像をその場に投影したり、また3D対応カメラによって、取った画像を3D映像の写真として残したりすることができる。
音を出せば立体音響にできるし、また会話に際して言語を解析することによって、方言や外国語を翻訳したり、既存の言語体系にない新しい言語を制作する機能まで搭載している。
なお20世紀末の第一次携帯電話ブームを知るものからは、この手の電化製品は未だに『ケータイ』とも呼ばれている。間違ってはいないが。
・ヴァーチャル・データ・キャラクター(VDC)
AIテクノロジーによって人工的に電脳空間上に製造された『疑似人格データ』……プログラム。
高度に発展した3DCG制作技術とAIプログラムによる疑似知性によって成り立つ人造人格。
WALKERと並ぶ新時代の人類の相棒で、向こうが実体を持つ相棒ならばこちらは非実体の相棒である。
・日ノ本阿尼子(ひのもと あにこ)
くりっとした目元を持つ可愛らしい風貌が特徴的な、黒髪の日本人の少女、という設定のキャラクター。この時代の外務省広報課の公式マスコットキャラクターの内の一つであり、彼女の他にも外務省の公式マスコットキャラクターは存在する。
断じてリーベングイスではない。オマージュです。
・戦闘糧食Ⅲ型
自衛隊の採用している携行糧(レーション)食。通称パックメシ。陸上自衛隊で採用されていた戦闘糧食Ⅱ型をベースとして、3軍共同としたもの。
レトルトパウチ包装されたおかずや無菌包装の米飯などが真空包装パックにセットで入っており、また食器や加熱材も入っていてどこでも温かい食事がとれる。加熱せずとも摂取可能。
なおナノテクノロジーの応用によって分子レベルで密閉性に優れた容器や食品添加物(人体にほぼ無害)を開発することに成功したため、レトルトでありながら缶詰以上の長期間保存が可能。
因みに大人気メニューはカレーライス。簡単旨いパックメシ。
~とある風景。
黄色い部屋の中にいる『アレ』。
そこに突如縄にぶら下がって現れる男。
アレ「兄さん!?」
アレの兄さん「おーい今日のメシはパックメシだぞ」
アレ「うわヤッター!!」ドーン!
家の屋根をぶち抜き宇宙空間へと飛び出していくアレ。ジャスティス?
……
陸自以外でも採用されているのは、本来の非常食としての役割を求められてのこと。救命艇や脱出装置に備わってます。ジャスティス!!
・風呂
身体の洗浄を目的とした設備。
地球世界における現在考古学的、歴史学的に確認できる最古の風呂は紀元前4000年前のメソポタミアにあったとされる。
水風呂サウナバスタブ混浴人間洗濯機など、古今東西様々な形式の風呂が編み出されており、2000年以上前のローマ人も現代の日本人もこと風呂に関してはこだわりがあると思われる。
この世界においても風呂への入浴は人々の生活様式として一定の地位を築いており、身体を洗浄するのみでなく時に治療として、或いは休息として、または人々の交流を促す娯楽としてその存在を広く認識されている。
地球世界における入浴剤なども存在が確認でき、またサウナ用の特殊な香薬も存在するようである。
異世界の軍においては、毒や薬の効果を抜くために風呂が活用されることもあるようである。
創作物、特に2次元ものにおいては風呂への入浴シーンとはとどのつまり『サービスシーン』を意味する。サービスサービスゥ!
・丸太
木の枝を落として輪切りに伐り出したもの。主に木製品の材料として用いられる。
名は木を切った断面は大抵丸いことに因む。
キャンプ・ガイチは森を切り開いて建設されたため、また周辺地域の開拓作業なども相まって、大量の丸太が確保されている。
ロイメル王国本土に輸送するのも手間なので、基地の一角などに山として積まれており、燃料や建材、また硬さと重さを生かしたトレーニング機材や、武器として利用されている。
丸太には、人を引き付けるものがある。みんな丸太は持ったな!!いくぞォ!!
・『召喚魔王の異世界チートスキルクレイジークッキング ~厨房ごと召喚されたんだが取り合えずお前ら俺の嗜好の料理を食え~』
アニメーション会社ベイルアウト制作の2045年春期新作テレビアニメ。原作:もちもちおっぱぷりん、監督:矢那瀬昌行、脚本:旗振棒ひろと、全13話。
とある商店街で洋食屋を営む主人公植戟相馬が、召喚された異世界で襲いかかる刺客と料理対決を行うクッキングバトルファンタジー。
元々とある小説投稿サイトにて連載が行われており、その後KABOKAVA文庫より書籍化、メジャーシーンに躍り出て、アニメ化に至る。
その不安定な作画、理解不能な物語に、アイドル系声優のゴリ押し、更には海外資本の横槍を匂わせる原作にないシーンの強引な挿入などが重なって、ネット上での評価はもっぱら「クソアニメ」。原作者の分身としか思えない主人公を揶揄して「プリン太郎」「大陸臭いプリン」などと呼称されている。