日出づる国、異世界に転移す 非公式外伝『GW』   作:島スライスメロン

7 / 10
※今回の話は2020年12月に投稿されたものです。
その後の本編の描写と矛盾などがある場合がございます。
ご了承の上お読みください。
この作品は基本ギャグ時空となっております。キャラ描写につきましては、原作作品と異なる場合がございます。くれぐれもご注意ください……でも今回は特にギャグないのよね
本作には独自設定が登場する場合がございますが、公式ではない点をご留意ください。



番外編 Neighbormind ~リアリティア・ネットワークについて~

『リアリティア・ネットワーク』……それは、西暦2030年代において急速に3DCG基盤化したインターネットを指し示す名詞であり、また形容詞の単語である。

 

単語の初出は西暦2036年9月にアメリカで発売されたインターネット・電子機器総合雑誌「UNDER P .о.l.i.C.e.」に掲載されたハマー・パスの記事『REALITI“A”』が元だというのが一般に出回っている通説である。

 

この記事内においてハマーが論評した現代ネットワークの新しい流れ、即ち立体視装置及び立体映像投射機器の普及によるWEBサイトのプログラム改変、従来の平面画面を基準にした画像プログラムではなく、映像の立体視及び立体映像投射を前提とした3DCGプログラムの折り込みが常識化してきたことによって、ヴァーチャルリアリティ(仮想現実、VR)、オーグメンテッドリアリティ(拡張現実、AR)による現実とネットワーク間の境界は従来よりも薄れ、人々の意識は現実世界と高度なネットワークによって形成された、限りなく現実である架空の世界、即ちリアリティ・アナザーとを絶え間なく行き来するようになったという現象を指して、リアリティアと評した氏の推論は正しいものと言える。

 

リアリティアな世界では、ネットワークと現実は融合し、リモートによる教育機関への登校や企業への出社、また医療機関の診察と治療などはその完成度が成熟段階にあるといってよい。高度なネットワーク社会の中に住む人々は、その会合・対面すらもネットワークの内部にて済ませることが可能なのである。

更に、人々がネットワークを介して対面するのは現実の人々だけではない。高度に発展したAIシステムを利用することによって、より高度な情報社会を築き上げているのである。

 

例えば検索エンジン。ネットワーク上に散らばる無数のWEBサイトの中から、特定のワードに関連するサイトを捜索し利用者に提示するシステムは、高度なAIシステムの賜物であるといえるし、また機械を用いた異なる言語間の翻訳作業も、AIシステムによるネットワーク利用者への重大なサービスであるといえよう。

 

近年ではAIによる疑似人格プログラムも、人々を補助するツールとして発展を遂げている。これら疑似人格プログラムが人間に近しい思考プロセスを経ることによって、情報端末機器やWALKERの取る動作を、比較的命令者の意図するものに近づけている。

 

AI制御に基づくネットワークの用途は娯楽面にも及び、例えば2030年代に大ヒットしたとあるゲームアプリ―2016年に登場して世界中の人々を熱狂させた、スマホ画面越しに存在する『現実空間の』モンスターのキャラクターを捕獲する、オーグメンテッド・リアリティ系ゲームの系統に属する―は、ネットワーク接続機器に搭載されたGPSなどの座標識別装置によって利用者の現在位置を特定し、立体映像投射装置によってモンスターのキャラクターを画面越しではなく現実空間のその場所に『実際に生じさせることで』、架空のキャラクターとのより親密な交流を実現し世界的なヒットを記録した。

 

無論これらには高度なネットワーク網の、ハードウェア面での敷設も無関係ではない。

 

2045年現在、無線通信網を指す世代は第7世代、7Gと定義づけられている。

公共無線通信網の世代は、約10年ごとに1段階上がっているとされる。80年代に誕生した第一世代の1Gから5G段階まで到達するのに要した時間は凡そ40年。そこから更に約10年後に6Gに移行してからは、通信速度の高速化、データ容量の大型化、通信可能エリアの増大及び接続許容数の増大が、その動作に要するエネルギー量の低消費化、低コスト化と共にますます高度化していったことは、その時代を生きた人々にとっては懐かしい思い出であろう。

 

ネットワークの発展が人類社会に多大な恩恵をもたらしたことに関しては、何ら疑うことはない事実である。だがしかし、それと同時に新たな問題を生み出しているという点もまた、無視すべきではない。

 

例えば、高度なネットワークはその結果として社会の記録や個人情報などの記録・管理を担うようになったが、それに伴ってサイバー攻撃に伴う情報流出とそれに伴う犯罪被害という負の面すらも出現したし、特にとある世界規模のサイバーバンクへのハッキング攻撃による膨大な額の仮想通貨流出という事件が、世界経済に及ぼした影響に関しては、もはや無視できる段階を超えていた。

それ以外にも、ネットワークに繋がれた公共施設や公共作業ロボット―ドローンやWALKER-の制御を奪い取ることによるテロ攻撃や、偽造情報による愉快犯的な社会攻撃は、ネットワーク社会の負の面を象徴するものとして一般にも広く知れ渡っている。

 

また近年では、立体視装置や立体映像投射機器によってネットワークと現実の境界が曖昧化したことも問題となっている。先に例に挙げたゲームアプリに関しても、従来よりも架空存在と現実における距離が縮まったことによってこれに熱狂しのめり込み『すぎる』者が続出し、部外者の進入が禁止されたエリアに侵入したり、場合によっては路上に立体映像を投射したことによって自動車に搭載された自動運転装置の安全機能を作動させ、人身事故に繋がった例も存在する。

 

 

例え高度なAIによって個人情報や社会システムが保護されているといっても、人が作ったものである以上は必ずそこに貧弱性、システム上の落とし穴が存在する。

将来、ネットワークが人類の制御を離れ、AIによる完全制御の時代が来ると言われいてる。しかし、それは倫理的な問題を解決しなければ、実現に際して危険性が伴うため、その実現はまだ先のことであろう。

つまりはもうしばらくの間は人間によるネットワークの管理の時代が続くのである。

我々人類はその点を踏まえた上で、この社会を生き延びなければならない。

 

 

   ―2045年3月発売の雑誌、『月間PCNICK 4月号』掲載の記事「Neighbormind ネットワークの発展と今後の社会の展望 我々は如何にして〈隣人〉と接していくか(著:南田高志)」より抜粋-




以上でした。2020年はもう投稿しないと言ったな。すまんありゃ嘘じゃった(おい)。いや一発ネタ思い付いたんでね、別に嘘つこうと思って言ったんじゃないのよ、うん

さて、なんでこんな話書いたのかというと
『立体映像の技術が確立された時代のネットワークシステムってどうなるんだろう』
『スマホなんかに立体映像投射装置が乗るようになったら、ポケ〇ンGOなんかも今の画面にキャラが映るやつじゃなくて、立体映像でその場にキャラクターを投射すんじゃね?』
って話です。2045年って立体映像投影の技術確立してるし、スマホ(本作中だとリアリイン・ツール)なんかにももしかして乗ってるんじゃないかな?って思ってます。勝手にだけど。

自動運転の安全機能云云は、路上に立体映像を投射されると、自動運転のAIがそれを「障害物」と誤認してブレーキが掛かったり進路を変えたりします。近頃(2045年)は改善されて立体映像と実体を識別できるようになりましたがね。
因みに人身事故の実例としては、
・車の運転手が自動運転のおかげでゲームに熱中
・うっかり車の前方に立体映像を投射
・それを認識した自動運転装置が急ブレーキかける→スリップしたり、後方からの車が衝突して事故る
って感じのがあったりします。運転スマホダメ、絶対。

AIがどうのとかそういう小難しい話は読み飛ばしていいっすwぶっちゃけ筆者は社会の変化とか技術と人間の付き合いかたとか、研究者じゃないから考えねーよ。

因みに今回のサブタイトルは『スパイダーマン・ ファー・フロム・ホーム』の日本版主題歌から取ってます。ネットワークと立体映像が現実と虚構の境界を難しくするのよね。
目に見えている世界が現実とは限らない。大衆にとってのリアルなんて情報管理でどうとでも捏造できる。そんな時代が来る日も遠くない。

まあアシダカグモマンの鈴木(仮)さんなんかはスパイダーセンスめいたものもってそうなので光学迷彩も立体映像も通用しないだろうけど。さすが地獄からの使者だ(違)。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。