東京喰種 √鬼   作:MM氏

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第三話 強欲

龍二は目で金木を捉えながらも、視線の端では脱出口がないかを探していた。

 

(俺の体力的にも限界が来ている,なにせ7年の間ろくに食事を取れてなかったからな)

 

龍二の体には7年もの間にかなりの負荷がかかっていた。コクリア内の喰種達は活動を活性化できないように、食事にかなりの制限をされているのだ。普通の喰種なら外に出てからの戦闘などは一番避けるべきことなのである。しかし、龍二がこうして動けている理由は彼の頑丈な肉体や精神などの理由も挙げられるが、一番は間違いなく.......

 

 

 

自分の血肉を喰らうことであった。

 

 

(自分の身を喰らいすぎて痛覚がほぼ麻痺してやがる)

 

龍二は今、自らの身体にかぶりついたのである。龍二の喉奥を血と肉が流れていく。その高いrc値を誇る龍二の体は自身を一時的に回復させるに十分だった。

 

「ぁぁぁぼくがぁぼくがぁぁあ食べなくちゃ」

 

その場にとどまっていた金木が龍二に向かい、歪な赫子を向けて突進してきた。そんな金木を見つめ龍二は....

 

 

(一応、ここから出してくれた例だ)

 

 

攻撃を難なくいなし、金木の横腹に強い蹴りを入れた。骨が折れる音と共に金木の身体は吹き飛び、地面に倒れた。しかし、ダメージを受けていないのかあるいは、痛覚が麻痺しているのか金木は立ち上がる。そして更に赫子を出現させ、その場から赫子で龍二に攻撃した。

 

「普通の打撃じゃ聞かないのな」

 

なら

 

しかし龍二は地面を踏みつけて高く飛び上がった。そして上から金木を見下ろし、肩から翼を出現させた。それは喰種特有の赫子であるが、金木の赫子とはタイプが違った。出現したのは羽赫という遠距離型タイプだ。

 

(ごめんな,ちょっと怪我させるぜ)

 

無数の巨大な羽赫が龍二の身体から発射された。それは金木が次の攻撃に出ようと赫子を動かす前に、

 

 

「ぁがぁぁぃぁぁぁあぁぁ」

 

金木の赫子と身体を貫いたのだ。貫かれた金木を目に、龍二は再び地面に足をつけた。

 

「お互い身体はズタボロだな」

(ったく自喰は限界があるんだよ。早いとこ肉を食わねぇと)

 

龍二の身体は決して永久機関というわけではない。rc細胞が高いからといって結局は喰種の身体に一番必要な栄養素となる人の肉を喰らわなければ体の奥底まで回復はしないのだ。龍二が行っているのはただの、遅延でしかない。

 

 

 

 

「がはっ,ぼぐはどうすれば強くなれる?」

 

「!っお前意識があるのか?」

 

既に瀕死の状態の金木が口から言葉を吐いた。龍二はそのタフさに呆れてため息をつく。

 

「はぁ〜,たく貧相な身体して体力が見合ってねぇよお前」

 

 

 

「僕,はヤモ,リを倒し.. して強くなった気でいた。ぜぇぜぇ」

 

「ん?」

ヤモリという言葉に龍二は敏感に反応した。

 

「ヤモリ?へぇ、お前があのヤモリをね」

 

「でも,アオギリの...樹のなかにも...僕より強い人は沢山いる....そしてあなたも....」

 

(こいつは恐らく誰よりも強さに強欲だな。しかしただ強くなりたい訳ではなく....)

 

「僕は...まだまだ弱いっ!!」

 

そう強く言い放つ金木の目から流れるように涙が溢れていた。

 

(守るため。何かをガムシャラに守れるだけの力が欲しいのかこいつは.....)

 

すると金木は立ち上がる。よくみると貫いたの身体は先程よりも明らかに回復していた。

 

(こいつの化け物並みの回復力はなんだ..)

 

「へぇ..それで強くなるために、まだやるのかい?」

 

龍二の問いかけに応えようとせず金木は龍二に向けて足を動かした。しかし決して先程の強烈なスピードなどではなく、足をひきづる形でこちらまでゆっくり向かってきたのである。その姿を見て限界が来ていると悟る龍二。

 

「僕はぁ誰よりも強くなって”あんていく”を守るんだ!!」

 

「なぁ,お前....」

 

龍二が何かを言いかけた矢先,金木の身体は地面へと倒れた。龍二は大きなため息をついて頭をかいた。

 

「ふぅ,どうしたもんかな」

 

そう言って龍二は倒れている金木を肩に乗せた。

 

「踏ん張れよ兄ちゃん。一応命の恩人だからな」

 

そう言って龍二はコクリアからの脱出をはかった。

 

 

 

 

 

コクリア内部 監視室

 

コクリアで喰種達による暴動が起き、内部の職員達は次々に喰種達によって殺されてしまった。最初は戦うことを決めていた職員達だか、あまりの戦力差に戦意喪失し何人かは隠れている状態だった。見つかったら殺される,そんな緊張の中。ここ監視室ではありとあらゆる喰種達の監視を目的とする部屋である。ここから収監されている喰種をみることにより、脱出をはかってないか、あるいは反逆を図ってはないかを見破れるのだ。しかし今その部屋から見えるモニターの大半に,捕らえていた彼らの姿は見えなかった。アオギリの樹により次々に喰種達が外に出ているからだ。

 

「室長,我々はどうすれば,」

 

そう言った職員の声は酷く震えていた。それもそのはず今はここが安全だからと言って,いつアオギリの樹が監視室の存在に気づき乗り込んでくるか分からなかったからだ。

 

「今,CCG本部から職員が向かわされたらしい」

 

「今頃ですか?!そんなの間に合うわけ,無いじゃないですか!」

 

「あぁ,だが、向かっている職員の他に現在コクリアで2人の職員が戦っている」

 

「え?何故ですか??」

 

「ピエロの.....」

 

そういうと職員は何かを悟ったように口にした。

 

「亜門上等ですね」

 

「あぁそうだ。彼なら本部の捜査官が来るまで耐え凌いでくれるはずだ!他力本願で悪いが,私たちにはどうすることもできん」

 

コクリア職員達は如何なる時があった場合に備えて武器を持たされている。Qバレットと呼ばれる喰種に効果のある拳銃といったところか。しかし,今までコクリアがこのような事態に陥ったことはなかったのである。だから、コクリア職員は武器を扱う練習はおろか、実戦経験すらほぼないに等しい職員も多いのだ。それほどまでにコクリアは完璧な要塞であった。

 

「今のうちに凶悪な喰種が出ていないかをチェックだ。一応,凶悪な喰種の部屋にはcrcガスをまいとけ」

 

「はい!!っ!!!室長大変です。Vから頼まれていた極秘の喰種が.....部屋にいません!!!」

 

「なんだと!?!!」

 

職員の声に室長は口調を荒げた。

 

「まずい,まずいぞこのままでは,ここから出られたとしても,Vに消されてしまう」

 

室長の言葉に局員は,言葉を失った。そして瞳から光を失った職員は椅子から立ち上がり

 

「監視長,楽になりましょう」

 

そう言ってポケットから出したQバレットを頭に向けた。

 

「やめろ!!!」

 

「お世話になりました」

 

 

そう言い放ち,彼の頭は飛び散った。あたり一面に弾け飛ぶ血と一緒に職員の身体は床に落ちたのだった。

 

 

 

 

 

3 days later

 

 

そしてあれから3日が経ち,金木は見たこともない民家のベットの上で目を覚ました。

 

「ん....ここは」

 

そう言ってあたりを見渡す金木だか、一向に自分の置かれている状況に理解ができなかった。

 

「僕は...確かコクリアで....」

 

「おっ起きたか金木」

 

その声を聞いた瞬間,記憶が先ほどまでのことだったように鮮明に浮かび上がった。

 

 

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