東京喰種 √鬼   作:MM氏

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すいません。龍二がコクリアに囚われていた期間を二年から五年に修正しました。


第五話 再会

「今日は特に人が多いですね」

 

 

その日、あんていくではいつもより大勢の客が出入りしていた。客の大半はあんていくで働いている者の友人,または知り合いで占めていた。普段の様なのんびりとした雰囲気は一変し,全員が仕事に追われている中,

 

「いらっしゃいませ」

 

店内に客が入ってきて当然,誰もが礼儀としてその言葉を使うが,この時その場で二名。言葉を発さずにその客をまじまじと見ていた。1人は入見カヤ。彼女は元々,荒んだ性格で人間を大量虐殺していたSSレート指定の危険な喰種であった。しかし,店長”芳村”のおかげ今では更生し,真面目にあんていくで仕事をこなしている。そしてもう1人も彼女同様,芳村に目をかけられ更生した古間円児という男だ。

 

「え?なんで?」

 

彼ら以外はてきぱき仕事をこなしていたが,そんな中ベテランの2人の時間だけ止まっている。たった今,入ってきた客をただ見つめているのだ。その光景に疑問を浮かべたのが同じく働く,西尾錦であった。

 

「どうしたんすか2人とも。忙しいから手動かしてくださいよ」

 

しかしそう呼びかけても2人の時間はまだ止まっていたのだ。すると

 

 

「龍さん!!」

 

入見は強く叫んだ。続けて古間円児も

 

「どうしてここに!!」

 

2人は驚きを隠せないでいた。しかしそれ以上に,周りは2人の印象と明らかに違う動揺ぶりに驚いていた。

 

(こんな2人,今まで見たことが)

 

「お前ら,久しぶりだな」

 

男の言葉を聞いて入見と古間,2人は涙ぐんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

《V》

 

 

 

「奴が,コクリアから脱走を図った様だ」

 

黒ずくめの男は不愉快なそしゃくおんを鳴らしながらそう喋った。ここはVという名の組織が管理している場所だ。彼らはこの世を自らの所有物と考えている偏った思想の持ち主達だ。

 

「龍二,いやオーガというべきか。あの裏切り者が」

 

裏切り者とそう呼ばれている男はつい先日,アオギリの樹によるコクリア襲撃の事件の後、金木を背に脱出を図った四方龍二のことだった。

 

「貴将,奴の出現する場所は大体予想がつく。見つけ次第捕らえろ」

 

「わかりました」

 

そういって男の前でひざまずくこの男の名前は、有馬貴将。彼は喰種達から死神と恐れられ,人間とは思えない底知らぬ力を持っている。一騎当千と言わんばかりのCCGが誇る最高戦力でもあるのだ。

 

「まぁ、いざとなったら奴の周りを使えばいいだけだ。脅し材料としては申し分ないだろう。Vとしても奴の戦力を失うのは惜しい。 CCGでいうところのお前(有馬貴将)というところか」

 

 

男は不気味に笑い,暗闇の中はと姿を消していった。

 

 

 

《あんていく》

 

 

「やっぱり美味いな,ここの珈琲は」

 

龍二はあんていくの客人をもてなす部屋で1人がけのソファーに座りながら珈琲を口に流していた。彼が珈琲を口にしたのはコクリアに囚われてからのおよそ5年ぶりだ。

 

「入るよ」

 

そう言葉同時に客室の扉が開いた。立っているのはあんていくの店長”芳村”だった。芳村は自身の珈琲片手にもう一つのソファに腰をかけた。

 

「久しぶりだね,龍二君。君がここに来たと聞いて驚いたよ」

 

芳村は懐かしげに龍二の顔を見た。龍二も芳村と同様の想いを胸に込めていた。

 

「本当に久しぶりですね。お元気そうで何よりです」

 

「もう大分歳だがね。君の方も少し老けこんだんじゃないか?」

 

「ははっ7年も檻に入られたら当然じゃないですか」

 

「そうかそうか。......君がいなくなって7年もの月日が流れていたのか。君はあのコクリア襲撃事件を機に?」

 

「そうですね。彼,金木研に助けられました」

 

金木という言葉を聞いて芳村は驚いた。

 

「…彼が君をね。まさしく運命というべきか」

 

「あいつ,ここで働いていたらしいですね」

 

「あぁ。そうだね。......少し彼の話をしようか」

 

 

そういって芳村は龍二に金木についてのことを語り始める。そこから時間が過ぎるのはあっという間だった。

 

「そんなことが.....あいつも苦労してるんですね」

 

「ああ。彼は隻眼だ。元は人間の世界で生きてきた彼に,いきなり喰種の世界を知るというのは酷なことだったと思う。しかし,それでも彼は諦めずにこの世界を知ろうと努力してくれた。ただ.......」

 

芳村が言おうとした言葉を龍二が発した。

 

「アオギリの樹ですね。俺があいつと戦った時,奴は赫者に近い形になっていました。しかし,なりきれてないんでしょうね。あれじゃあ,精神を侵され続けるだけだ....」

 

「赫者は,精神が脆い者ほどその扱いには注意が必要だ。特に金木君の場合は自分を削る諸刃の剣となりうる。赫者である君が、それを彼に教えてあげればいいんだがね」

 

赫者とは,喰種が共食いをし続けるとなる珍しい状態だ。飛躍的に赫子の精度や攻撃力は上がるがその代償として,自身の精神を安定させなければうまく扱えず,金木研の様に自我を失ってしまう可能性があるのだ。

 

「買い被り過ぎです。なにせ俺も未だにうまく扱えてるか分からない。なるべくあれには頼りたくないですね」

 

「まぁ,また彼とはいずれ何処かで会うだろう。その時は...........支えになってあげてほしい」

 

「まぁそうですね。助けてもらった礼があるし。まぁ何にしろ,カヤと円児,そして芳村さんを久々に見れたことは幸いです」

 

「そうだね。なにせ彼らを私に託してきたのも君だったからね」

 

入見カヤと古間円児が今現在ここで働いている理由を作ったのが龍二だった。龍二はかつて暴れまわっていた2人を押さえつけて,それを芳村に預けたのだ。

 

「押し付けみたいになって申し訳なかったですけど」

 

「いやいや、彼らの働きぶりは初めてきた時と比べて段違いだ。今では新しい子達の良き先輩としてあんていくに貢献してくれている。君には感謝してもし足りないよ。それに...」

 

「四方君には、会わないでいいのかい?それにトーカちゃんも」

 

その2人の名前を聞いて龍二は少し悲しそうな顔をした。芳村もその様子を悟ったのか少し視線を下に向けた。

 

「いえ、遠くから見守るのが丁度いいです」

 

「そうかい。彼らには君が来たことは黙っておくよ」

 

「ありがとうございます。久々に会えて嬉しかったです」

 

龍二はそういうと立ち上がり、部屋から出ていった。芳村はその龍二の背中を見ながら

 

「やはり君たちは似ている」

 

そう呟いた。

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