東京喰種 √鬼   作:MM氏

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第六話 かつての

あんていくから出て行った龍二は裏路地を歩きいていた。ふと空を見上げると無数の鳥が羽をばたつかせ自由に空を飛んでいる。その光景を見て龍二は鳥を羨ましいと思った。

 

「なんの悩みも無いんだろうな」

 

 

(俺がコクリアから出たとわかれば連中は再び俺の前に現れるだろう。消すか、若しくは)

 

連中というのは彼がコクリア収監前まで所属していたVという組織のことである。元々、Vという組織はCCGを創設した和周一家の本家ではなく、分家の出の者たちで構成されている組織だ。つまり、喰種を駆逐するCCGとは深い関係にあるのだ。現に本局(CCG)がピンチになった時、Vは特殊捜査官として潜入するシステムとなっている。しかしその組織に喰種である龍二が所属していたというのはおかしな話である。間接的に言えば,人間と喰種が裏で手を組んでいるというところだ。しかし、実際のところ真実は組んでいるという甘いものではなかった。

 

「ガキ共,元気にしてっかな」

 

龍二は懐かしい記憶を呼び覚ましてた。それは龍二がVに配属されてから白日庭という場所での日々だった。子供たちに稽古をつけたり,遊んであげたり,また龍二自身もそこである人物に修行をつけてもらっていた。様々なことが脳裏に浮かんだ。

 

「先生,まだ生きてっかな?」

 

本当に白日庭での日々は龍二にとって幸せそのものだった。常人なら狂ってもいい状況に身を置いていた龍二にとって白日庭だけが唯一の癒しであったのかもしれない。

 

龍二は突然,動いていた足を止めた。

 

「思い出に浸る時間も,無いわけか」

 

龍二はすぐ様後ろを振り向く。その瞬間に龍二の左頬を刃が通り抜けた。龍二の背後には黒服に身を包み,刀を片手に構える男たちの姿があった。その数8人。そして奥には不気味な笑みを浮かべ,不快な咀嚼音を立てる男がいた。その男に対し,龍二は問いかける。

 

「芥子,俺を消しにきたのか」

 

「ふふ,それもいいな」

 

龍二が体勢を変えて構えた瞬間,手前の男が既に動き出し龍二の首元目掛けて刀を下ろしていた。間一髪,体を捻らせて交わした龍二にその横から別の男の刀が入っていた。

 

(こいつら,人間の速さじゃねぇな。当然か.....お前らは紛い物だ)

 

龍二は切り掛かっていた男の拳を素手で掴んだ。掴んだ手から血が溢れ出す。龍二はその掴んだ刀を男もろとも壁に投げつけた。さらに飛び上がり追撃をと,怯んだ男の顔目掛けて足を振り下ろした。ぐしゃという音とともに頭部が潰れる。

 

(まずは1人)

 

その様子を見た芥子の表情からは焦りなど微塵も感じられなかった。まるで想定通りとその顔は不気味な笑みを浮かべ続けていた。龍二は背後から切り掛かっていた男の刀を避けて,男の体に飛び乗り首をもいだ。噴水のように男の首から血が溢れ出す。そのまま飛び上がった龍二は目を赤く染め上げ赫子を出現させた。

 

「チェックメイトだ」

 

あたり一面に高密度な電流状の赫子が放出された。その稲妻は次々と男の体を貫き,次々と地面に倒れていった。ただ2人を除いて。

 

(芥子,お前は避けるだろうな!!.......そしてもう1人)

 

上空から芥子目掛けて拳を放った。しかしその拳を芥子の刀によって真っ向から止められてしまう。その隙を見て一太刀,男が龍二に切り掛かった。龍二の腹部が裂けて血が流れ出した。

 

「臓物が溢れ出しそうだ,......が」

 

(捕らえた!!)

 

龍二の身体に一撃入れた男目掛けて,龍二は至近距離で稲妻を放った。この距離では避けられまいと思っていた龍二の思いとは裏腹に,男はしゃがみこんで回避した。そして回避直後,また一撃と龍二の身体に傷を負わせた。

 

「どうゆう反射神経してんだよ」

 

龍二は傷口を押さえながら2人から距離をとりつつ,両者を睨んでいた。

 

「龍二,戻ってこないか?」

 

芥子が龍二にそう問いかける。

 

「やはり帰るべき家がないと寂しかろう」

 

「帰るべき家?ブラック企業との間違いだろう」

 

「ふふ,そんなことはないさ。お前が帰って来さえすればきっと楽しいぞ?.」

 

 

「ぼざけ!!下郎供が」

 

龍二は怒りに任せて地面を強く殴った。アスファルトにヒビが入り砂埃がまう。男2人はすぐに気づき,龍二の元に走ったが時既に遅し,龍二の体は既にそこにはなかった。芥子はため息をついて男に問いかける。

 

「どうだった?奴の久々の動きを見て」

 

「だいぶ落ちてましたね」

 

「五年もの月日コクリアにいたのだからな。武の才が衰えていてもなんら不思議じゃない」

 

「........」

 

ここで黒服で覆われている男の顔が露わになった。白髪で眼鏡をかけており,喰種たちから死神と恐れられている有馬貴将であった。

 

 

「時に貴将,今のやつならやれたか?」

 

「.......三回,は殺せたかと」

 

「ふふ十分すぎるな。今のは小手調べだ。次はもっと強く叩くぞ龍二よ」

 

 

くちゃくちゃと鳴らしていた不気味な咀嚼音がピタリと止んだ。

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