「つまらぬ! つまらぬぞ !我等に勝るは数のみかっ!! 」
キメラのようにもドラゴンのようにも見える四足獣の骸の首もとから漆黒の鎧に身を包んだ騎士が生えた半人半獣は大きく叫んだ。
「な、なんなんだっ! なんなんだってんだよぉぉ!?」
何でも有りが謳い文句の【ユグドラシル】古参プレイヤーは功に刈られて敵陣、ましてやあのギルド《アインズ・ウール・ゴウン》が根城とするナザリック地下大墳墓に突撃することの恐ろしさを良く知っていた。
故に伝説打倒なんて言葉に引かれて集まった新参プレイヤーを「手柄は早い者勝ち」と囃し、「君ならきっと…」と煽てて先に突撃させた。
【ユグドラシル】だから反感買わないが、非道とも取れるその判断は間違ってなかったのだと、軍勢の最後方で戦況を見ていた古参プレイヤー達は冷や汗かく思いで見ていた。
「身勝手に始めた戦を投げ出すとは……愚物共がぁぁぁっ!!」
既に大群の4分の1がたった一体の戦鬼潰された。
ある者は下半身構成する魔獣の頭蓋に喰われ、ある者は上半身の悪魔騎士が振るう戦斧と大剣で両断された。
一矢報いようと懐に飛び込んだ者も居たが、恐ろし獅子の顔象った胸甲が動き、喰いちぎられた。
「もうじき【ユグドラシル】と呼ばれる此処は崩壊するらしい…今のうちにフェイスレスが【レアスキル】を集めたいと言い出してモモンガはそれを了承した。 この意味分かってあばれてるのだろうなデュランザメス?」
悪魔騎士の圧倒的な暴力による蹂躙が止まった。
死を待つばかりであった新参プレイヤー、後方で勝機を窺っていた古参プレイヤー、軍勢全ての視線が悪魔騎士を止めた声の主に集まる。
そこには堕天使のような漆黒の翼と山羊のような角を生やし黒髪ロングの長身の美女が居た。
「はっ、承知しております!! しかし、此処には居らぬかと…もしフェイスレス殿が求める【れあすきる】なるモノを持つ者が居るとするなら彼処に居る者の中では無いかと……」
「《戦鬼》を冠する貴様が久し振りの戦場に我を忘れて楽しんでいる…そう思ったが杞憂であったようだ。 余計な気を回したようで貴様の楽しみに水を差した…すまない。」
「ば、バロム様!! 名主が軽々しく頭を下げるなど……」
「気にするな…疑えば謝り、誤れば正すは身分問わずの理持って生きる者の【理】だ。 どれ、私も働くとするか……此処は任せたぞ?」
「ピエール! ミケ! バロール! バロム様を護衛しろ!」
戦鬼の指示に姿を現したの猫、ピエロ、ゴーストを象ったツギハギだらけの人形。
「アイアイニャ~」
「了解でさぁ~」
「わ、分かりましたぁ~」
名前を呼ばれた順に返事をした人形達は、バロム様と呼ばれた女性の背中や足にしがみつく。
「………………落ちるなよ?」
「「「ガッテン!」」」
人形三体の元気な返事を聞いたバロム様と呼ばれる女性は漆黒の翼を大きく拡げて後方の古参メンバー達の元へ飛び立った。
奥に行けば行くほどに【ユグドラシル】歴長いプレイヤーが増えて行き、対応も迅速になっていく。
「ファイアー!」
「ジャグリングボマー!」
「ドラゴンライトニング!」
敵を打ち落とそうと無数の魔法やアイテムを放つ。
狙われている方はそれを優雅に飛びかわし、どんどん突き進む
「ニャァーー!?」
「かすった!? かすりました、バロム様ぁぁ!!」
「ひっ、ひぇぇぇ~、おたすけぇ~!!」
護衛の筈の人形三体は涙が流せたならきっと号泣していたであろうほどに悲鳴をあげていた。
「………本当になんで来たんだ、お前達………」
「「「バロム様を護るためにゃー!」でさぁ!」……でも怖いぃ~!!」
バロムは一度射程圏外まで上昇すると呆れながらも三体の人形の答えに悪い気分はするわけもなく、優しく、それでいてしっかりと抱き抱え直して今度は急降下して一度撤退しようと下がる者達の退路断つように降り立った。
「生憎と新参者の私には【レアスキル】なるモノを見極める事は出来ない……だから全員捕らえさせてもらう。 我が愛しき同胞パラサイトワーム達、たんと喰らうがよい!!」
覚悟を決めたプレイヤー達の動きは見事だった。
即座に自身の特技を生かし、かつ他のプレイヤーの邪魔にはならない位地へと移動し、前衛職は自身の得物を抜いてジリジリと間合いを詰め、後衛は身体強化等のサポート呪文を発動させた。
「流石はモモンガ曰く最古参と呼ばれる者達……だがもう遅い。」
バロムの称賛ととも背後で、隣で、四方八方から悲鳴があがる。
本来なら敵を前にして目を反らすなど愚行も良いところだが見ざるには居られない。
罠か、伏兵か、それともフェイクか……
無事なプレイヤーが振り向いた先にはおぞましい光景が広がっていた。
見渡す一面蔓延る形状様々な虫、蟲、虫、蟲!!
男性器に見違えるようなモノ、クワガタ虫のようなモノ、口にあたる部分から何本もの触手のような舌を出した全身に突起が生えたモノと種類は数多だが何より怖いのは全部が人間位のサイズがあるのだ。
そんな蟲達はプレイヤーを喰らう…のではなく、寄生してくるのだ。
あまりの地獄絵図に呆然としてるうちに周囲は寄生されたプレイヤーだらけとなっていた。
「モモンガに聞いたが、今のお前の状況をこの世界では『ちえっくめいと』と言うのだろう?」
バロムの台詞に錆びた玩具のようなギギギと音が聞こえてくるのではと言うほどにゆっくりと向き直る最後の一人となったプレイヤーは次の瞬間には頭から丸飲みにされた。
「どんなモノが【レアスキル】に該当するかは分からないが古参らしきプレイヤーとやらは捕まえたぞモモンガ。」
《えげつなっ((( ;゚Д゚)))!!! えげつなさ過ぎませんか、バロムさん( ; ゜Д゜)》
「…こんな我等は招きたくないか?…」
《何を言いますかo(*`ω´*)o 此処はナザリック地下大墳墓! 異形種歓迎の悪のギルドですよ!? 勿論俺は大歓迎です(∩´∀`)∩》
「フッ…器が広いのか、ただの馬鹿か…なんにしても寛大な心遣い感謝する。」
《ば、馬鹿ってo(*`ω´*)o いえいえ、短い間かもですがよろしくです(*`・ω・)ゞ》
そのうち新メンのステータス書きます!