【ユグドラシル】終了一日前
魔法使用を除いて天候ですら運営の気分に左右されるのだが、その運営もこの大一番に興味があるのか、空は気持ちが良いほどに快晴のまさに戦日和。
更にはこの私戦を【打倒!ナザリック地下大墳墓】なんてイベントにしていた。
参加希望者は【ユグドラシル】全盛期の数倍にも及んだが、様々な方法で古いに掛けらたが、それでも参加者は5000人を越えていた。
しまいには、提携解約したスポンサーやら、DMMO-RPGという枠組み越えてライバル企業までもが協力するという異例中の異例までも起こすほどに、この大戦は世界中のゲーム企業やプレイヤーに注目されていた。
ある者はプレイヤーとして、ある者はモニター越しに、ある者はどうか実況者として、ある者は企業として、開戦を今か今かと待ち望む中、彼等の耳に飄々とし、人を小馬鹿にしたような声が聞こえた。
声の主を前にした者、モニター越し見た者全てが、その男に『世界の1つや2つを欺き、世界全てを敵に回した』のでは、そんな印象を抱くほどに、男の仕草や雰囲気は【悪】が堂に入っていた、
「やぁ、し、しこっ…しこう…ぷっ!ぶふっ!ぶはぁーハッハッハッハッ!!! ヒィー!もう、無理、我慢出来ないっ!【至高】って!ガキかよ、ホントっ、ヒィー、ヒィー……あぁー、笑った♪」
彼の台詞は集まったプレイヤーの大群の率いる40人に向けての言葉、それ意外はまるで居ないかのような扱いに【至高】意外のヤル気は高まるばかり。
「笑いすぎだぞ、フェイスレス…彼等は等の昔に【至高】を捨てた面の皮だけは一丁前な
【至高】と呼ばれた40人は【ユグドラシル】を離れ、別のゲームで再開すればチームを組んだりし、全てがリアルに本職あるためゲーマーとして表舞台に立つこと無いが、それでも伝説として語られるプレイヤー。
そんな彼等を馬鹿にするのは小太りで嫌味ったらしい笑みを浮かべ、ゲーム無いですら怠惰なプレイヤーの必需品アイテム《蠢く玉座》に座りココアを飲む男。
スキルもステータスも低いその男を見て聞いた者は言い知れぬ恐怖を感じ、男の背後に『地獄』を幻視した。
「申し訳無いが、モモンガは【リアル】とやらで仕事中…夜には来るが会いたいのであれば私達含めたギルド【アインズ・ウール・ゴウン】を踏破して待つ以外に語らいは認めないぞ?」
悪魔を擬人化+女体化したような美しい外見、前者二人と比べればちゃんとした物言い。
漆黒の翼で浮いた彼女に見惚れる者も多かったが、彼女が地に降り立った瞬間草原だったフィールドは一瞬で不毛の大地へと変わり、着物とドレスの和洋組み合わせたような衣装の袖口とスカートの中から、半月前に【アカウント支配】と呼ばれる運営が《バグスキル》と判断し、対応諦めた
「ククク…我、自ら《この名》を名乗ることになろうとは思いもしなかったが、良かろう。 我は《白面》! その名の元に、全て滅ぶ可し!!」
ナザリック地下大墳墓より溢れ出た禍々しい暗雲が快晴の空を一瞬で包み、【ユグドラシル】という世界が暗闇に包まれた。
そんな暗雲から現れたのはワールドエネミー最大級のドラゴンや巨人より二回りほど大きな巨体。
体毛は白とも灰色にも見え、九つの尾をうねらせながら戦場に降り立った大妖。
その姿を見た者が一番印象に残ったのは大妖の【目】だった。
生きとし生ける全てを憎むような【目】…その目を見た者は歴戦のプレイヤーだろうが、モニター越しで直接対面してない者だろうが、一様に《恐怖》を与えた。
そして、直接対面した者達は否が応でも異常に気づいた。
自身の体から黒い霞のようなモノが溢れだし、それを嬉々としてあの大妖が喰っていることに…
プレイヤーの脳内に…もっと寄越せ…もっと恐怖しろ…我を憎め…そんな怨嗟の声が木霊する…
誰もが感じた…あの大妖は餓えている…餓えを満たす為に、腹の足しにもならぬであろう【恐怖】を喰っているのだと。
それでもなお、ログアウトするものが居なかったのはプレイヤーとしての意地か、はたまた各企業合同の元提案された報酬のせいか、それとも4対5000とういう明確な戦力差があるからから……
「戦争好きの私にとって、諸君等に成す統べなく容易くこの【イベント】が終了してしまうのも堪らない展開ではあるのだが、やはり指揮者の嗜みか、どうにもいかんな。 同じくらい諸君等の希望をバラバラにし、蹂躙するのも大好きなのだ! 4対5000なんて戦争では大した意味を持ちはしないが、それが君等の希望になり得るなら、どれ!」
先の大連戦で少佐と名乗った男が指をパチンっ!と鳴らすと【至高の40人】や墳墓への攻略に挑んだ者達なら決して忘れない存在【ナザリックの守護者】が階層・領域問わず揃い踏みした。
「階層守護者及び領域守護者諸君!! 君等の創造主の相手をしたまえ! フェイスレス、白くん、バロム! 我々は同胞である彼がこの地を心おきなく離れられるよ邪魔者を狩る……地獄を、地獄を作るぞ♪」
戦争前に少佐が伝えた作戦は『敗け戦も勝ち戦等しく愛する』と豪語するだけあって鉄壁だった。
【ユグドラシル】を捨てた40人に、ユグドラシル時代創り愛でた我が子に等しいNPCを割り当て、時間を稼ぐ。
この時間とは勿論『モモンガ到着』までである。
彼等が思い入れなく、NPCを切り捨てたとしてもそれは『彼等に取っては後々大問題』となるが、『戦争』にとっては大した問題じゃない。
かといって、モモンガ君に嫌われては意味が無いため常に4人はNPCに気を配り、フォローを忘れてはならない。
少佐曰く、4人の中に『出来ない』なんて奴は居ないとのこと。
白面は多方面のフォロー、フェイスレスと少佐は前衛で守護者のスキルへの耐性持ちの排除、バロム本人は呪法と呪具で支援と妨害、各々が仕切る軍勢で全方面のカバー。
少佐が創ったアンデット+モモンガから借り受けたアンデットはほとんどが低コストで弱いが、量が多い。
物量で戦場を分断して押し潰す。
当然低コストアンデットで勝てるとは思ってないが、向こうからの攻撃はアンデットが壁となり届かない。
フェイスレスは大群に紛れてのスキル無効化し、大群に囚われた者ごと《溶解》。
フェイスレス引きいる三体のNPC《コロンビーヌ》のスキル《蟲使い》で恐怖公含めた昆虫型配下の眷属やバロム配下の
《ディアマンティーナ》のスキル《人形使い》と使役する人形にボム〔弱〕と連鎖効果付与する《殺戮人形》使って戦場での分断及び波状攻撃。
ステータス・スキル共に弱小ではあるが《隠密》、《最小》、《偵察》と気配の隠蔽と偵察に長けたスキル突っ込み尻まくった《グリュポン》が上空から状況把握し、逐一【ナザリック陣営】に報告。
バロム率いる軍団の中でバロムと同じ種族〔デーモンコマンド〕を持つ者は真っ向からの蹂躙、それ意外は純粋に妨害、道連れ、暗殺。
死してもバロムが《禁呪・インフェルノゲート》で蘇生。
《禁呪・インフェルノゲート》は魔力を全てを消費し、発動中一切の行動出来なくなるハイコストだが、蘇生された者達はステータス減少やLVダウン起こさず、バロムが解除するまで永続発動というハイリターン。
当然敵も先の大戦活かしてスキル対策してくるだろうから、そこは白さんこと《白面》のチートスキル使用して撃退。
万が一、バロム以外が戦場後方で負けても《インフェルノゲート》の効果で即座に前方での復活となるため、進軍し過ぎればさっさと死んでラスボスの城の前に集合。
《死》すらも進軍及び後退の手段とするイカれた戦法。
それに、とまどう者は此処に誰一人として居ない。
こうして開始された戦争は、【4人】が望む通り一進一退の攻防となり、モモンガのログインまで残り30分まで【戦争】を泥沼化させた。
『はぁ~、仕事疲れちゃいました…って皆さーん? あれ(´・ω・`)?』
《ペペロンチーノがログインしました。》
《たっち・みーがログインしました。》
《ぶくぶく茶釜がログインしました。》
・・・・
・・・
・・
・
『(; Д)゚ ゚!?!? な、なんで、ペペロンチーノさんたちのログイン履歴ってか全員じゃないですか!?!? な、なにごと、なにごと ヽ(д`ヽ彡ノ´д)ノ』
こうしちゃいれない!そう思って久しぶりのみんなに新メンバー紹介したいなぁ~なんて浮かれながらギルドの外へ出たモモンガが見たのは【至高の40人】が設定必死に練り込んだNPC達に今まさに止めを刺そうとしてるとこだった。
フェイスレス達は【ユグドラシル】でゲームキャラとリアルの中間的存在です。
モモンガと話すと履歴残りますが、【四人】で話すと履歴は残りません。
これはゲージキャラと話すと【四人】の立ち位置が限りなく【ゲームキャラ】に近くなり、【四人】で話すと立ち位置がリアルに近くなるからです。
何が言いたいかって?
この大戦はモモンガさんは知りません。
いきなりのこの状況はモモンガさんから見れば【ナザリック地下大墳墓】に攻めてきた大群退けようとNPCと共闘する四人。
ギルメンの忘れ形見として可愛がってきた我が子のようにすら思ってるNPCに止めを刺そうとする【至高の40人】です。