王への道   作:銀色の暗殺者

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戦う理由

「救いたいか」

 

暗闇の中で声が響いた

誰だ?いや誰でもいい…弓美はもう……

 

「お前はあの日から何も変わっていない、何も救えずただ無力に手を伸ばすだけ」

 

あの日から何も……違う…!父さんに誓ったんだ掴んでみせるって!!

 

「なら掴め!」

 

光が差し込む、その光に手を伸ばして触れるとビリビリと全身に痛みが走った

 

「その力を掴めば目の前の命を救うこともできるだろう」

 

痛みに耐えもっと奥へと光に手を伸ばすと体がバラバラになりそうな程の痛みが襲い来る

 

「2度と目の前で誰も死なせない!あんな思いを背負うのは俺だけで充分だ!」

 

光の中に確かに触れられる物があり、それを掴みとり引っ張り出す

 

「それがお前の戦う理由か…面白い!私の力を使うといい!」

 

手に取った金色に輝くドライバーを腰に当てる

 

「ははっ!これでファントムが…」

 

「まだだ…まだ届く」

 

「何で…確かにお前は絶望したはずだ!なのになぜファントムが生まれない!」

 

「絶望なんてしてる暇は無いからな」

 

今の俺なら弓美を救える、体の底から力が湧いてくる

 

「予定外の事は起こったけど僕を倒せなくて残念だったね、僕を倒せていればこの子も救えたのにね、この子が死んだのは君のせいって事だ!ははっ!」

 

「まだ間に合う」

 

ウォズが暗闇の中で掴んだドライバーと同じベルトに変化した

 

「今度は…救うから…」

 

もう目の前で誰も死なせない俺はあの日に誓うんだ!

 

「変身!」

 

『祝福の時、最善!最大!最強!オーマジオウ!』

 

「なるほどね…はははっ!君も僕と同じだ!」

 

武器を振りかざし切りつけてくるがその武器は触れる直前に灰になって消えた

 

『ウィザードの時!キックストライク!』

 

ベルトの両側を押し込むとウィザードの力が足に宿り震えるグレムリンに1歩1歩近づくと逃げることも出来なくなったグレムリンに足の力を解き放つ

 

「君ももう…人じゃ……」

 

グレムリンはその場で倒れ、その体を灰にして風に流され消えていった

 

「怪物か…かもな…」

 

弓美の傷口に手をかざしドライブの力の1つマッドドクターを使い傷を治す

 

「うあっ!きゃあああ!」

 

「少し痛いが我慢してくれ…」

 

弓美の傷は治ったが体が限界を迎え強制的に変身が解けウォズも元のベルトに戻った

 

「王馬様…私今まで何して…」

 

「覚えてないのか?」

 

「はい…王馬様に急に力が溢れてから記憶がないのです」

 

「お兄さん…」

 

「弓美、もう大丈夫だ…っ!」

 

「お兄さん!」

 

突然胸が痛み口から血を吐いた、何が起こっているのか理解する間もなく体が動かなくなりその場に倒れ意識を失った

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

「王馬…」

 

あのライブ会場で父さんと向き合っていた

 

「父さん俺もう迷わないよ、目の前で誰も死なせない…だから見守っててよ」

 

炎が揺らめき父さんを包み消えていった、最後に父さんは笑ってた気がする

 

「王馬様!」

 

「お兄さん!」

 

目を覚ました俺の無事をウォズと弓美が泣きながら喜んでいる、どうやら心配させたようだ

 

「助かったのか…って町に行かないと!」

 

「タカちゃんに見てきてもらいましたけど町の方は二課の皆さんが対処してくれました、怪我人も居なかったそうです」

 

「また世話になったって事か、それよりなんでファントムが居たんだ?グレムリンはウィザードが倒したはずだろ」

 

「私も見た!ファントムっていう化け物と戦う正義のヒーロー様!」

 

ウィザードウォッチが使えるようになって弓美にも晴人さんの記憶が見えたって事か

 

「お兄さんも晴人さんと同じ仮面ライダーなんだよね」

 

「そうです!王馬様は全てのライダーの力を統べこの世界を導く王になるお方!」

 

「ならないから、勝手に言ってるだけだから気にしないで」

 

「…言いそびれたけどありがとね、色々聞きたいこともあるけどヒーローには秘密もあるのは分かってるから聞かないであげる」

 

「悪い、そうしてくれると助かるよ」

 

「その代わり!私もヒーロー活動手伝うから」

 

「はあ!?そんな危ないことさせるわけないだろ」

 

「だったら話しちゃおっかな」

 

一番握られたくない人に弱みを握られてしまったようだ

 

「…分かった、だけど遊びじゃないんだ絶対に俺から離れるなよ」

 

「はーい」

 

調子のいい返事をした弓美の帰りを見送りこれからの活動に不安を覚えつつ帰路についた


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