またあの夢だ、家族を失ったあの夢は何度も見たが今回は何かが違った
「王馬…」
「父さん、俺はどうすればいいんだ…」
「お前は前に進め…いつまでもこんな夢に縋ってちゃ駄目だ…」
父さんは手を伸ばし俺の手を強く握りしめたあの日掴めなかった手から確かな温もりを感じる
「今度は手を掴み損ねるな…王馬…!」
「父さん…」
父さんが光に包まれて消えていく、その最中父さんは笑顔だった
「…馬さ…」
体が揺さぶられているのを感じ、意識がはっきりと戻ってきた
「夢か…」
「王馬様、おはようございます」
ウォズが枕元でちょこんと座っている
「何か良い夢でも見ました?」
「ああ、やっとこの手で掴むことが出来たよ」
手を照明にかざし父さんの温もりを思い出す
「それよりライドウォッチは?」
「タカちゃんがしっかり回収して持ってきましたの、お母様が心配していましたから元気な姿を見せてあげてくださいね」
「そうするよ…あとありがとなここまで運んでくれて」
「それが…運んだのは私じゃなくて…」
ばつの悪そうにどもるウォズ、何か言いづらい事でもあんのか?
「翼さんが…運んでくれたんですの…」
「なっ!?なんであの人が!」
「何も言わなかったです…」
「王馬、起きたのかい?あの風鳴翼があんたを連れて帰って来たときは何事かと思ったよ」
「おばさん、心配かけてごめんなさい」
「下にあんたに用があるって子が来てるよ」
俺に用?二課の連中か、それともライドウォッチを狙ってまた襲いに来たか
「分かったすぐ行くよ」
服を着替え下に降りると二課で見た女の子が友達と楽しそうにお好み焼きを頬張っていた。友達の一人は警察署まで送り届けた子だ
「君は…昨日の」
「響の知り合い?」
「うん、今日は未来たちとお好み焼きを食べるのとこの人に会いに来たんだ」
「響?もしかしてあのライブの生き残りか?」
あのライブには俺以外にもう一人の生き残りがいた、名前しか知らなかったが立花響、この子も二課に…
「はい、ちょっと二人で話しませんか」
お友達に声をかけ席をたち、外に出た
「立花響…俺と同じあのライブの生き残りか」
「あの…翼さんともう一度お話してみませんか」
分かってる…あの人だって辛いってことは…
「ノイズと戦える力があるなら一緒に戦った方がきっと…」
「君は憎くないのか?あのライブからきっと辛いことが山ほどあったはずだ」
家族を失った以外にもいじめの対象にされ、おばさんに拾われるまでは親戚の所をたらい回しにされた…
「…ありました、でもそれはノイズのせいで翼さんは…」
「悪い…今日は帰ってくれ」
翼さんは悪くない…分かって…分かってるのに…そう考えていると突然力を持たないウォッチの1つが光を放った
「ブランクウォッチが…」
「それって戦ってた時に使ってた」
あの子を信じろという思いがウォッチから伝わってくる
「これは、あの子に渡せってのか?」
まだ見ぬライダーが返事を返してくれた様に感じ、ウォッチを手渡す
「これを持っててくれ、きっと何かの役に立つ」
「これは?」
「ライドウォッチ、仮面ライダーって奴らの思いや力が詰まってる、君に渡せって言われた気がしたんだ、それと…翼さんの事は俺と翼さんの問題だ、だから俺がなんとかするよ」
「私諦めません!翼さんにも認めてもらって、王馬さんと翼さんとも手を繋いでみせます!」
意気込む立花響を背に帰路につく
「翼さんとも手を繋ぐか…今度はちゃんと掴んでみせるよ父さん」