ライン川を超えて再侵攻してきたネウロイを撃退したミーナ中佐達はエイラがパリで諸々の手続きを終わらせ次第第501統合戦闘航空団は再始動する、はずだった。
「この間の戦闘でこのサン・トロン基地に移送中だった501用の物資が焼かれて再始動はしばらく延期になった」
パリから帰ってきたエイラの予想外の報告にミーナ中佐とバルクホルンは驚いた表情を浮かべた。
「どれくらいの期間なんだ?いや、そもそもカールスラント奪還に間に合うのか?」
「それは大丈夫みたいだけど次の作戦のための物資が相当数集積されていて暫くは501用の物資を運ぶ事ができないみたいだ」
「具体的な期間はどれくらいになる予定なの?」
サン・トロン基地の物資の状況を誰よりもよく知っているミーナ中佐は不安そうに尋ねた。
「早くて二週間くらい、十月には用意できるって話だけど場合によってはもう少し伸びるかも」
「それまで我々はどうすればいいんだ?あまり物資に余裕があるとは思えないが…」
「そうね。食料はなんとかなるとしてもそれ以外は二週間も無補給でいけるほどの余裕はないわ」
エイラやミーナ中佐達が使うBF-109シリーズやMG 42で有れば予備の部品や弾薬は豊富にあるがそれ以外となれば最低限の量しかまだ備蓄がなかった。
「元々サン・トロン基地に居たミーナ中佐達、それと宮藤以外は506のセダン基地とディジョン基地へ一時的に行く事になる」
「宮藤はここに残るのか?」
バルクホルンが少し嬉しそうに尋ねた。
「いや、宮藤は当初の予定通りヘルウェティアの医学校に行ってもらう」
「宮藤さんは医学の勉強をする為にこっちにきていたのだから当然といえば当然ね」
「そう言う事だ。宮藤と一緒にいれなくて残念だったなバルクホルン」
「べ、別にそんなんじゃない!」
「扶桑の遣欧艦隊司令部は宮藤を501に復帰させたがってるけど流石にそれは可哀想だからな。交渉して少しの猶予はもらった、ちょっとでも本来の目的である医学の勉強をさせてやろう」
バルクホルンの反論を無視してエイラは言った。
「そうね。宮藤さんは本来合流する予定じゃなかったのだからそれがいいでしょうね」
「しかしそれなら合流せずそのままヘルウェティアに留学させてやればいいんじゃないか?」
「政治的な都合だな。坂本少佐は仕方ないとしてもそれ以外はガリア、ヴェネツィアを解放したメンバーである事が望ましいって判断だな」
「エイラならそれくらいなんとかならないのか?」
「私は普通のウィッチだぞ。無茶言うなよ」
エイラの言葉にミーナ中佐とバルクホルンは疑うような視線を向けた。
「なんだよその目」
「エイラさんが普通のウィッチなら私はどうなるのかしら」
「同じだろ。普通のウィッチだ」
「普通のウィッチはそうそう司令部に呼び出されたりはしないんだがな」
呆れたようにバルクホルンが言った。
「統合戦闘航空団の隊長ならあり得るだろ。ラルとかよく呼び出されてたぞ」
「グンドュラは問題行動が多いから呼び出されてるだけじゃない」
「まぁ大抵はそうだな」
他所の部隊から強引に隊員を引き抜いたり物資を強奪している第502統合戦闘航空団隊長グンドュラ・ラルはエイラとは違った理由でよく司令部に呼び出されていた。
「宮藤さんの件は了解したわ。それで、他のみんなの割り振りはどうすればいいのかしら?こっちで決めていいの?」
「それはもう決まってる。セダン基地にペリーヌとリーネを、ディジョン基地にシャーリーとルッキーニを送ってくれ」
「ディジョン基地はロマーニャのウィッチがいないはずだけど大丈夫かしら?」
「そんなに出撃する機会は多くないだろうからセダン基地から必要な物は運べばいいしセダン基地に3人置くよりは2人づつに分けた方が整備班の負担も軽いんじゃないか?それにルッキーニはシャーリーがいないと何するかわかんないし」
「それもそうね。ところでサーニャさんはどうするつもりなの?こちら側にはオラーシャのウィッチは殆どいないから滞在できる基地は限られていると思うのだけど」
オラーシャは殆ど海外派遣をせず自国の防衛と奪還の為にウィッチを使っているためサーニャのストライカーユニットを整備できる環境がある場所は極めて稀な存在だった。
「サーニャはわたしと一緒にパリに連れて行くよ」
西ヨーロッパ方面の拠点であるパリであれば様々なストライカーユニットがありサーニャのストライカーユニットの整備もする事ができた。
「妥当な判断ね。そうなるとサン・トロンの守りが薄くなるのだけど…」
「そんなもんミーナ中佐達がいれば十分だろ」
「いや、エイラさん?ハイデマリーさんも配置換えでいなくなるから流石に3人だけと言うのはちょっと…」
サン・トロン基地は対ネウロイの最前線。ハイデマリーを含めた4人でさえ数が不足しているといえたのにそこから3人に数を減らされては流石のミーナ中佐も表情を固くした。
「冗談だよ。サン・トロン基地の担当空域の一部はセダン基地が、残りをベルギガが肩代わりしてくれるってさ」
「なら私達は何もしなくていいと言う事?」
「正確には何があった時の即応部隊だな」
「たった3人だけで即応部隊として成立するのか?」
「全員が200越えのスコアを持ってるエースウィッチが3人もいれば十分だろ」
この3人ならばウイッチ中隊を一つ即応戦力として確保するよりも余程頼りになるとエイラは思っていた。
「まぁ、そうかもしれないがこの間のように大規模な侵攻だと流石に手が足りないぞ」
「その時はわたしもパリから出撃するし何よりセダン基地とディジョン基地の戦力がシャーリー達がいるおかげで少し増えてるからこの前ほどは苦戦しないはずだ」
「それなら問題ないか」
「そうね。ところでその間エイラさんは何をしているの?まさかサボったりするわけじゃないわよね?」
どこか迫力のある笑みを浮かべてミーナ中佐が尋ねた。
「そんなわけないだろ。わたしはその間統合戦闘航空団以外のウィッチ隊の防衛体制の見直しをするんだよ」
「そんな重要な事を任されたの?凄いわね」
「別に凄くはないさ。ウィッチの事はウィッチに任せたいと思っていたところに偶々わたしが出てきたから任せただけだと思うぞ」
他にもエイラが引き継いだ業務はいくつかあるがそれらは全てウィッチに関する事だった上に全て別々の人間から引き継いでいた事から元々専門の部署を作りたいと言う思惑が司令部にもあったのだろうとエイラは考えていた。
「そうだとしても今まで司令部に重要な仕事を任されるウィッチはいなかったのにそれがエイラさんに任されたと言う事はそれだけ貴女が評価されていると言う事じゃない」
「評価…。ただ便利使いされてるだけな気がするなぁ」
今までのマンネルヘイム元帥やマンシュタイン元帥のエイラに対する扱いを思い出して思わずそう言った。
「そんな事ないわ。これまでのエイラさんの努力の成果よ」
ミーナ中佐はそう言ったがエイラはとてもそうだとは思えなかった。
「…そう思う事にするよ」
明らかにそんな事はないと心の片隅で思いながらもエイラはため息をついてそう言った。
ジニーってもしかしたら元々魔法力持ってなかったんですかね。
いや、まぁ他のワールドウィッチーズシリーズと大分設定が違う気がしてるんでなんとも言えませんけど…。
魔法力を持っている者と契約して使い魔になるのが普通のウィッチのはずですけどジニーってそうじゃない気がするんですよね。
上がりを迎えるには早すぎるのにモフィーが飛んでいく途中で姿見えなくなっていたのを見るにモフィーと契約した事で魔法力を得多々見るべきなのかなと思いました。マルセイユなんかは二代目の使い魔ですし契約が切れて魔法力を失うとは考えずらいすし。