ダイヤのエースが飛ぶ理由   作:鉄玉

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そう言えば今年の六月くらいに趣味用のTwitterアカウント作って好きな作家さんとかフォローしたんですけどそれから殆ど触ってなくてあらためて自分がSNSが苦手な事に気づきました。あれって何書けばいいんですかね。


お説教

第501統合戦闘航空団の再結成がなされたアントウェルペン港。陽が落ちて辺りは暗くなっているが照明を焚く事により港中が昼間のように明るく照らされていた。

そんな中硬い石畳の上に正座して座る二人の人影とその前に立つ一人の人影がその場には不釣り合いな雰囲気を醸し出していた。

 

「で、何か弁明はあるか?」

 

エイラは坂本少佐に尋ねた。

 

「いや、その確かになんの連絡もせずに宮藤を飛ばしたのは悪かったと思うが結果としてドージェがネウロイに攻撃されている事を早めに知る事ができたわけだからよかったじゃないか」

 

それを聞くとエイラは無言で正座をしている宮藤に視線を向けた。

 

「あの、坂本さんは悪く無いんです!私が直接様子を見に行くなんて言わなければ…」

 

「それは違うぞ宮藤。結局のところお前がドージェの様子を見に行けるよう手配したのは私だ。ならば今回の件の責任は私が責任を取るべきだ」

 

二人の様子にエイラは思わずため息を吐いた。

 

「…どうも二人は今回の件、なにが問題なのか理解していないみたいだな」

 

「勝手にヘルウェティアのストライカーを借りた事だろう」

 

「違う。問題なのはヘルウェティアからなんの連絡もなしに連合軍の支配圏に飛んできた事だ」

 

「ヘルウェティアは連合軍に参加こそしていないがネウロイと戦う事もある以上は味方だ。敵であるネウロイでは無い。一体なんの問題があると言うんだ」

 

ヘルウェティアは山脈に囲まれている地形状ネウロイと戦闘になる事はないと言っていいがそれでもカールスラント国境付近では時折ネウロイとの戦闘が起こる事もある。ただそれは連合軍に加入するほど必死になって対応する必要のある規模ではなく今日までヘルウェティアは必要以上に連合軍と関わりを持つことはなかった。

 

「大問題だ。いいか、確かにヘルウェティアはネウロイとは敵対しているかもしれないけどそれがイコールわたしたちの味方にはならない」

 

「私達と敵対するとでも?いくらガリアからネウロイが駆逐されたとは言え未だにカールスラントには大量のネウロイがいる。それはないだろう」

 

いくら山脈が防波堤となっているとはいえまた鼻の先にはまだ大量のネウロイがいる以上坂本少佐の言う通りヘルウェティアが妙な動きをするとは考えにくかった。

 

「少佐の言う通り攻撃はされないだろうな。けどもしも飛んできたのが宮藤じゃなく人型ネウロイだったらどうだ?」

 

「ヘルウェティアから報告があるだろう」

 

「ヘルウェティアとの軍事情報の共有は義務じゃない」

 

連合軍ではない以上ヘルウェティアは善意によって協力しているに過ぎないため仮にネウロイがヘルウェティアに侵入しガリアに攻撃を加えたとしてもその責任を問うのは難しい。もっとも、連合軍からの心象はすこぶる悪くなるが言うならばただそれだけの事でしかない。

 

「確かにそうだがもう少しヘルウェティアを信用してもいいんじゃないか?」

 

エイラのヘルウェティアへの信用のなさに坂本少佐は苦笑いを浮かべて言った。

 

「信用に足る何かをヘルウェティアが提示しない以上それはムリだな」

 

山脈のおかげでネウロイの侵攻を食い止めているだけのヘルウェティアはあまり軍事力が高くない。そのため連合軍はガリアのヘルウェティア国境にももしもの備えとして軍を展開していた。

 

「いいか、わたし達は戦争をしてるんだ。少しのミスが市民を死へと導きかねない。なあなあで済ましていい事じゃないんだ」

 

ヘルウェティアと隣接するガリア南部はネウロイの被害が殆どなかった事もあり多くの市民が普通の生活を送っている。そんな生活を崩すわけにはいかなかった。

 

「わたし達は同じ部隊で肩を並べて戦った仲なんだからそれを最大限に利用してくれよ。事前にとは言わないけど宮藤が出発してすぐにでも連絡を入れてくれたら上層部に上手く誤魔化す事もできるけど事が起こった後じゃ色んなところに事情を説明しに回らなきゃならないから面倒なんだよ」

 

今回の場合はベルギガ政府やガリア政府、ヘルウェティア政府にもある程度の説明が必要でありそれをするのはウィッチ隊の運用に責任がありかつ直ぐに動ける人物、つまりエイラが担当する可能性が高かった。

 

「…すまない。何か私に手伝える事があれば言ってくれ」

 

エイラが方々への説明と謝罪に駆り出される事実に気づいた坂本少佐はそう言って頭を下げた。

 

「別にいいよ。上手くいけばアントウェルペンの件で揉み消せるかもしれないしな」

 

巨大な氷山がある限りアントウェルペン港は使えずそれはつまり西部戦線における最大の補給拠点が使えないという事である。それは年末のカールスラント奪還に影響を与えるだけでなく防衛にも大きな影響を与える。各国の首脳部はどうやって自国を防衛するかでてんやわんやであり宮藤の件などは頭の中から消え失せている可能性が高かった。

 

「…やはりアントウェルペンが潰されたのは痛いか」

 

「ガリア北部への補給の要衝だからな。ここが使えないと軍需物資の補給路を全部見直さないといけなくなる」

 

「すみません。私が氷山の中でコアを破壊できていればこんな事にはならなかったのに…」

 

「別に宮藤のせいじゃないさ。これはこの付近にウィッチを配置していなかったベルギガの怠慢だな」

 

いくらネウロイが海から来る事はないとはいえカールスラントから再度侵攻された時に守れるくらいの部隊は置いておいて然るべきだがそれさえしていなかったベルギガの責任は大きかった。

 

「それを言うと直ぐに対応することのできなかった私達にも責任があるわ」

 

いつの間にかエイラの後ろにきていたミーナ中佐がそう言った。

 

「中佐は元々カールスラント方面からのネウロイへの備えだし担当する空域も人数相応の広さだったろ?」

 

「それでも一番近くにいたのは私達だったわ」

 

「それがおかしいんだよ。ミーナ中佐達がネウロイとの最前線にいる以上後ろにはベルギガのウィッチがいないといけないのにそんなもの一人もいなかったじゃないか」

 

アントウェルペンには連合軍ではなくベルギガ軍指揮下の守備隊がいると言う話だったはずがそれさえも陸軍のみでありネウロイが水を苦手とする以上まず間違いなく海から来るのは飛行型のネウロイのみである。ベルギガは空軍がなく代わりに陸軍航空隊が制空権を取るがその航空隊がアントウェルペンにいなかった事からやはり今回の件の責任はベルギガにあると言ってよかった。

 

「少し前までネウロイに占領されていたのだから仕方ないわ」

 

「それは言い訳だろ。それなら連合軍にそう言ってアントウェルペンの守備を任せればよかっただけだろ。今回の件はベルギガの責任だと間違いなく上層部も考えると思うぞ」

 

アントウェルペンという重要拠点の防衛を信頼して任せていたのにそれを遂行できるだけの部隊さえ配置していなかったとあってはもはやベルギガを信頼する事はできない。

 

「ところでエイラ、そろそろ足が痺れてきたんだが…」

 

飄々とした態度で坂本少佐がエイラに訴えかけた。

 

「……宮藤はもういいぞ。少佐は後10分は正座しとけ」

 

あまり反省していなさそうな坂本少佐の態度にエイラはそう言ってその場を離れるのだった。




ベルギー空軍が戦後に作られたのを見てベルギガも多分似たような感じなのかなと思って陸軍航空隊としました。扶桑とかも同じ形態ですし多分そうですよね。
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