ペテルブルク奪還作戦は概ね予定通りに進行していたがC集団に関してはその限りではなかった。3日前のネウロイの襲撃から連日襲撃を受け続けたC集団はその影響により補給が滞り物心ともに疲弊していた。夜中だけはネウロイの攻撃も収まるためC集団司令部は集団を構成する主要な部隊の指揮官を集めて今後の方針について協議することとなった。
「皆も知っての通り現在C集団は危機的状況にある。そこでこの状況を打破するためにどうするべきか意見を聞きたい」
C集団司令官のカールスラント帝国陸軍キュヒラー大将が言った。
「方面軍司令部はなんと言ってきているのですか」
カールスラント帝国陸軍第3装甲師団師団長のフォイヒティンガー少将が聞いた。
「昨日の襲撃以来無線機の故障で司令部はおろか他の集団とも連絡が取れていない」
その事を知らなかった会議の参加者から驚きの声が上がった。
「では閣下はどのようにお考えなのですか?」
「私は物資がある今のうちに当初の予定通り前進すべきだと考えている」
真っ先に反対意見を述べたのはオラーシャ帝国陸軍第128狙撃師団師団長のヤクートヴィッチ少将だった。
「補給が滞っている中でさらに補給戦を伸ばす事になる進軍には反対です。現状を維持して補給が来るのを待つべきです」
「しかしここにある物資が尽きる前に補給が来るとは限らないのではないでしょうか。ここはこれ以上被害を出さぬためにも撤退するべきです」
これを言ったのはカールスラント帝国陸軍第38自動車化師団師団長代理のパイパー大佐だ。
「馬鹿なことを言うな!ここで撤退したらB集団の側面がガラ空きになるではないか!」
「しかしフォイヒティンガー少将、現状ではB集団の側面を守れているとはいえません。これは作戦が失敗していると言えるのではないでしょうか?」
「私はそうは思わん。キュヒラー閣下の言うようにこのままネヴァ川まで進軍し到達後にペテルブルク方面に部隊を展開すればB集団と合流できる。B集団経由で補給を行えば補給状況は改善する筈だ」
他の将官の意見が出揃ったタイミングでエイラは意見を述べた。
「C集団がどう行動するにしても航空ウィッチは燃料不足で持って後2日です。基本的にC集団にとって撤退以外の行動は最悪全滅する可能性があります」
「では中尉も撤退すべきというのかね」
「いいえ、ここで撤退すればC集団は助かりますがB集団が危険にさらされます。やはり進軍か現状維持かのどちらかだと思います」
フォイヒティンガー少将からの質問に答えるとパイパー大佐が叫んだ。
「何を言ってるんだ中尉!これ以上戦闘を続けると我々は全滅だ!撤退しかない!」
「大佐、今ここで我々が撤退するとB集団の側面が晒されるんだぞ!友軍を見捨てるわけにはいかない」
フォイヒティンガー少将が言った。
「我々が全滅したらどのみちB集団の側面が晒されるじゃないですか!そもそもこの作戦が無謀だったんですよ。前提としてネウロイは鉄の多い街や街道沿いにいて組織だった行動はしないという話だった。なのにこの作戦じゃどちらも間違いだった!ネウロイは森の奥に潜んで我々をやり過ごし後続の主力や補給部隊と我々を分断してきた!奴らは考えて行動する頭があるんだ!こんなの話が違うじゃないですか!」
「計画を実行に移した時想定していなかった事態が起こる事は仕方がない。それを嘆くのではなく今どうするかを考えるべきではないかな」
ヤクートヴィッチ少将が諭した。
「少将は撤退したくないでしょうね!なんせ自国領の奪還がかかっているんですから。しかし私のようなカールスラント人にとってこの作戦は大した意味がないんですよ!意味のない作戦で犬死になんかしたくないんですよ!」
「口を慎め大佐!」
ヤクートヴィッチ少将が反論するよりも早くキュヒラー大将がパイパー大佐の暴言を止めて少将の方を向くと言った。
「すまないヤクートヴィッチ少将、我が軍の士官が大変無礼なことを言った」
そう言って頭を下げた。
「彼に相応の処分を下すことを確約していただますか?」
「勿論だ」
「ならば私からいう事は何もありません。会議を進めましょう」
「処分?私がですか!?何故事実を言っただけで処分を受けなければいけないんですか!」
このやりとりを不満に思ったパイパー大佐が言った。
「大佐今ここから出ていくのと口を閉じる事、どっちがいい?」
キュヒラー大将がそう問いかけた。
「出ていく?そんな事すれば閣下達は進軍して私を殺す気でしょう!撤退すると言わない限り私はここで反対意見を言い続けます!」
「そうか、残念だ。最後のチャンスだったのだがな」
そう言うとキュヒラーたはおもむろにホルスターから拳銃を抜くとパイパー大佐に向け発砲した。
「上官侮辱罪と抗命罪だ」
そう言うとさらに発砲しパイパー大佐の息の根を止めた。
「か、閣下!いくらなんでもこれはやり過ぎです!」
目の前で人が射殺される光景に顔を真っ青にしながらエイラは言った。
「そうだな。殺すのはやり過ぎたな。だから大佐はネウロイの襲撃による戦死として処理する」
「し、しかしこの遺体では銃殺されたのは明らかです」
「どこかに埋めれば後は君達が黙っていればバレはしないよ」
そう言うと発砲音に驚いて中に入ってきた副官に遺体の処理を頼むと会議の続きを促した。
「さて、意見も出揃った事だし現状維持か進軍か方針を決めよう」
「進軍するべきだ。ここで待っていても状況が好転するかどうかは賭けになる。それならネヴァ川まで行き補給状況が我々より良いB集団と合流するべきだ」
フォイヒティンガー少将の意見は変わらず進軍を主張した。
「私もその意見に賛成します。戦って死ぬか補給切れで死ぬかならば戦って死ぬ方を選びます」
ヤクートヴィッチ少将は意見を変え進軍に賛成した。これにより賛成意見を述べなかったものはエイラ1人になり3人の視線がエイラを向いた。
「わ、わた、わたしは」
目の前で人が射殺された衝撃的な出来事から立ち直り切れていないエイラはまともに言葉を発することができなかった。
「中尉、君の正直な意見を聞かせてくれれば良い。その意見が私たちと違っていても射殺したりなどしないよ」
エイラは一度深呼吸すると話し始めた。
「は、はい。では、わたしとしては一度航空ウィッチにより後方と直接連絡を取ることを提案したいです」
「どう言うことかな?」
「航空ウィッチを主力部隊の元に送り現在の位置と作戦の進行状況を知る事が出来れば進軍するか現状維持かを判断しやすくなると思います」
「中尉、それは恐らく無理だ」
「何故ですか?やってみる価値はあると思いますが」
現在の状況からの推察になると前置きしてキュヒラー大将は話し始めた。
「C集団の壊滅は作戦の失敗に繋がるから総司令部は是が非でもC集団の無事を確認したいはずだ。それなのに連絡手段を確保しようとしないと言う事は我々と主力部隊との間に強力なネウロイがいるか、あるいはそれが出来ないほどに状況が悪くなっていると言う事だ」
どちらの理由にせよ後退しての合流には現実味がないと言えた。
「閣下それではこの会議は初めから進軍ありきだったように聞こえますが」
「そう言うわけではない。もし仮にもっと良い案があればそちらを検討した。だがこれ以上の案がないのならばそうするしかない」
「わかりました。わたしも進軍に賛成します」
エイラも進軍に賛成した事によりC集団全体の方針が決まった。
「部隊配置は変更せずに明日の朝夜明けを待って進軍する。それと損傷の激しい車両は放棄してタンクデサントで移動し全軍の速度アップを図る」
「了解!」
「航空ウィッチはネヴァ川到達後ペテルブルク方面に展開する際に使う分の燃料は絶対に残してくれ」
「了解」
あれ、平和に議論するだけのつもりだったのにどうして人が死んでるんだ?
てことで今回は統合戦闘航空団(JFW)について軽く書きます。
JFWって攻勢目的で作られた部隊の方が少ないんですよね。具体的には502と503ですね。この二つは明確に領土奪還目的だけど他は防衛用や政治的意図が大きいですね。ですね。501とかは顕著で設立された1942年時点では間違いなくブリタニアの防衛と広報目的だと思います。前に後書きで書いたと思いますがブリタニアはウィッチの数が決して多い方ではありません。そのことから避難してきた人の中から適性のある人を探し出し501という広告塔を見せることで数を増やそうとする意図が501にはあったのではないかと思います。
502と503は言わずもがな攻勢部隊であり特に政治的意図もなさそうに見えます。
次に504ですがこれは結構微妙ですね。ただ全てのJFWの中で506に次いで防衛主体なJFWですね。
505はぶっちゃけ必要性に駆られたからに見えます。コーカサス方面にどれくらいのウィッチがあるか不明ですが歴戦のウィッチで構成されているこの部隊をわざわざ解体して運用するよりかはこのままコーカサス方面の指揮系統に組み込んで使ったほうが便利っていうのと宙ぶらりんになってるこの部隊の指揮系統をはっきりさせるために作ったと言う感じだと思います。
506は政治目的でしかないですね。主任務はガリア防衛ですけどあまりそちらは期待されてないかな。
507はちょっと分かんないです。強いて言うなら大戦初期と比べてスオムスの政治的な力が強まった結果作られた様に見えます。
508はリベリオンと扶桑の技術交流とウィッチの交流のためだと思います。