ダイヤのエースが飛ぶ理由   作:鉄玉

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アニメ三期完結から約2年。ようやく12話を書けました。
12話見直すと最後のバルクホルンとハルトマンのやりとりいいですね。感動で泣きそうになります。


それでも私は守りたい

「ベルリンの地下道の事なんてよく知ってたね」

 

「クリスが地下鉄に興味を持っていてな。そのせいで私も詳しくなったんだ」

 

感心するハルトマンの言葉にバルクホルンは答えた。

 

「妹さんのおかげね」

 

「ああ」

 

ミーナ中佐の言葉に頷くのとほぼ同時にバルクホルンは地下鉄の入口を見つけた。

 

「あったぞ!あれが地下鉄の入り口だ!」

 

地下鉄に突入しようと高度を下げる501部隊の最後尾、服部静香に異変が現れたのはその時だった。右側のストライカーユニットの出力が突然落ちバランスを崩したのだ。

 

「どうしました?」

 

「もしかして、さっきネウロイのバリアと衝突した時…」

 

服部の異変にペリーヌとリーネが心配そうに駆け寄った。

 

「いえ!これは…」

 

「服部、お前は地上で待機だ」

 

服部の異変に気づき引き返してきたバルクホルンが言った。

 

「待ってください!私はまだ飛べます!一緒に戦わせてください!」

 

「お前の破損したユニットでは狭い地下道を高速で飛び回るのは無理だ」

 

「で、でも宮藤さんが!」

 

「服部少尉、これは命令よ」

 

尚も食い下がる服部にミーナ中佐が険しい表情でそう言った。

 

「命令!……了解…しました……」

 

命令と言われては真面目な服部は従わざるを得ない。渋々ながらもそう答えると地下道へ向かう501のメンバーを寂しげに見送った。

 

 

 

 

 

 

 

 

『救出部隊、無線は地下でも通じるか?』

 

「こちら救出部隊。受信可能です」

 

司令部との通信を担うのはナイトウィッチで魔導針による通信が可能なサーニャだ。

 

「さっすがサーニャ!」

 

「次は、シュタットミッテからC線へ入る」

 

地下鉄では数分とかかる道でもストライカーユニットの速度ならその時間を大幅に短縮できる。

 

「うー、狭い〜!」

 

「天井にも気をつけろよ」

 

しかしはその機動力はウィッチ達が精鋭だからこそ成せるものであり並大抵のウィッチではこれほど早く移動することは叶わなかっただろう。

 

「そんな!」

 

「あー!!」

 

しかしそんな彼女達でもどうにもならないものがある。

 

「天井が…崩れてますわ!」

 

「そりゃないよ〜」

 

「ここまで来て!」

 

バルクホルンの怪力ならあるいはどうにかなるのかもしれないがそれをする事により更なる崩落の危険性を考えると安易にその策を取るわけにも行かず万事休すに思われた。

 

「おい!こっちに扉があるぞ!」

 

「なに!?どいてろ!」

 

シャーリーが見つけた扉をに駆け寄るとバルクホルンは鉄でできた扉を無理矢理引っ剥がした。

 

「これは…防空壕ね!この先の地下鉄に繋がってるはず」

 

「こんなのまで作ってたんだ」

 

「さっすがはカールスラントだ。行くぞ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「この先の壁の向こうに空間を感知!」

 

いくら地下鉄に詳しいと言っても防空壕までは把握できていない。一行はミーナ中佐の固有魔法で空間感知を感知しながら進んでいた。

 

「了解!」

 

大きな掛け声と共にバルクホルンが壁を殴ることで無理矢理道を作り出すとその先は異質な空間になっていた。

 

「なんだ?」

 

「ここは…」

 

「地下鉄じゃないね」

 

壁を壊した時に発生した土煙が晴れていないため詳しい事は把握できないがここが地下鉄でないことだけは確かだった。

 

「洞窟?」

 

「上を!」

 

ペリーヌが何かに気づき声を上げてつられてそれを見ると天井には巨大な建物群があった。

 

「これは……世界首都ゲルマニアか!?」

 

最初にその正体に気付いたのはバルクホルンだった。

 

「なんだそれ」

 

「かつてカールスラントで退位させられた皇帝が計画していた都市よ」

 

シャーリーの問いかけにミーナ中佐が答えた。

 

「設計図しかなかった筈だよ?」

 

ハルトマンが不思議そうに言った。

 

「それが何故地下に!?」

 

「それはアイツらが作ったんだろ」

 

「あいつら〜?」

 

シャーリーの言葉にルッキーニは不思議そうな表情を浮かべた。

 

「うぎゃー!!ネウロイ〜!!!」

 

しかし次の瞬間、ゲルマニアから出てきた大量のネウロイに思わず叫んだ。

 

「サーニャ見ろ見ろ!」

 

エイラも尋常じゃない数のネウロイに唖然として言った。

 

「もう見てるわ」

 

「ブレイク!」

 

ミーナ中佐の指示に即座に応えたのは流石は精鋭の501と言うべきだろう。

もはやロッテを組む余裕さえなく各個にネウロイの群れと相対し、粉砕するがあまりにも数が多すぎた。

 

「数が多すぎる!」

 

サーニャのフリーガーハマーの爆発で大量のネウロイを削り取ってもその同数以上のネウロイが襲いかかってくる。

 

「ねえ!あの光ってる建物、あんなの計画にあったけ!?」

 

「いや、ゲルマニアにはなかったはずだ!」

 

「バルクホルン少佐、ハルトマン中尉、イェーガー大尉はあの建物に攻撃を集中!他は一時ユーティライネン大佐指揮で私達の護衛よ!」

 

一縷の望みをかけて建造物に対する集中攻撃をミーナ中佐が命令した。

 

4人による銃撃をを浴びて建物はボロボロになるがそれでも完全に崩れ去る事はなかかった。

 

「クソ!再生が早い!」

 

「ミーナ中佐、坂本少佐から通信です」

 

「美緒から!?」

 

予想外の人物の名前にミーナ中佐は驚いた。

 

「こちらミーナ」

 

「ぎゃー!!」

 

サーニャの魔導針が感知したものを共有する手段は主に二つ。一つはサーニャ出力を上げて周りの通信機器に対して影響を与えるという手段があるが今この場においてそれは致命的な隙になりかねない。だからミーナ中佐はもう一つの手段、サーニャと体を接触、というより密着させる事で魔導針が取り込んだ通信を自分のインカムに聞こえるようにしたわけだがその姿を見てエイラがらしくない叫び声を上げた。

 

「ドームが?……もしかして…あれが!?」

 

「ルッキーニ少尉、ユーティライネン大佐。攻撃に加わって!」

 

2人が攻撃に加わった影響は地上の坂本少佐より即座に報告された。

 

「美緒からの報告によると地上のドームの制御をこの建物がやっていると報告があったわ!」

 

「では、あれを破壊すれば地上のドームも!」

 

「そうと分かれば……」

 

「総攻撃よ!」

 

ミーナ中佐の命令に真っ先に動いたのはエイラだった。先程のミーナ中佐の凶行をネウロイに対する怒りを原動力にネウロイに突撃するとネウロイに触れるギリギリの一から機関銃を乱射した。

 

「お前のせいで〜!!」

 

ネウロイに対する攻撃に集中していたエイラは仲間達の通信でそれにようやく気がついた。

 

『芳佳ちゃん!?』

 

『宮藤さんの魔力が……』

 

『復活した!?』

 

しかし今のエイラにとってそんな事は些細だった。一瞬攻撃の手を緩めたが即座に攻撃を再開し、順調にネウロイを削り取っていくがそれとは別にネウロイの数がどんどんと減っているがエイラはそれにすら気付かない。

 

「ネウロイの数が減ってますわ」

 

「上に向かってるみたい。ほら」

 

「ひょっとして宮藤さんの魔力に反応して……」

 

「宮藤に反応してるって!?」

 

「じゃあ、あのネウロイの後をついてけば!」

 

「ああ!」

 

「上に出られるってことね。みんな行くわよ!」

 

ミーナ中佐の指示を聞いてエイラはようやく我に帰った。

 

「サーニャ、上に行く前に2人でやっちゃおうぜ!」

 

「うん!」

 

エイラが再び突撃しネウロイ中央の建造物の装甲を銃撃で薄くするとサーニャがフリーガーハマーを叩き込みゲルマニア型ネウロイを粉砕した。その一部は小型ネウロイに姿を変えて逃げ出したが概ね破壊には成功した。

 

地上に出たエイラ達はドームが消え去っている事に気がつくと同時に上空を飛行する1人のウィッチを見つけた。

 

「芳佳ちゃん!」

 

「リーネちゃん!みんな!!」

 

その存在にリーネがまず声をかけて相手もリーネ達に気が付き嬉しそうに呼び返した。

 

「宮藤、お前!」

 

「魔法力元に戻ったの!?」

 

「はい、静香ちゃんのおかげです!」

 

「服部さん?」

 

何故ここで服部の名前が出るのか、不思議そうな表情を浮かべるペリーヌに地上から大きな声が応えたの。

 

「ここにいるぜ!」

 

そこにはフラックタワー屋上でサムズアップするパットン将軍と将軍に抱えられながら手を上げて応える服部の姿があった。

 

「服部さん!」

 

「将軍!」

 

「一体……」

 

「何がどうなってんだ?」

 

バルクホルンとシャーリーが心底わけがわからないと言わんばかりにそう言った。

 

「あれは!」

 

轟音と共に地下から大量のネウロイが現れ、エイラ達は身構えた。

 

「なぁ、おかしくないか?」

 

「攻撃してこない…」

 

逆撃耐性を整えていたエイラ達の目の前でネウロイは集結しベルリン上空で巨大な一つのネウロイとなった。

 

「ねぇ、あれってさ……」

 

「地下にあった街だ!」

 

ルッキーニの問いかけにシャーリーが応える間もネウロイは集結し形を作り上げていく。

 

『各方面軍、及びウィッチ隊は目標の撃破に成功した。残るはベルリンのウォルフのみだ!!頼んだぞ、501統合戦闘航空団!!!』

 

司令部のブラッドレー将軍からの通信に全員が気合を入れ直し最後の目標を倒すため世界首都ゲルニカ型のネウロイに突撃を開始した。

 

『目標はコアを持つ本体よ!』

 

『あの釣鐘みたいなやつか!』

 

『とにかくそいつを見つけなきゃって事だね!』

 

ミーナ中佐の通信にバルクホルンとハルトマンが応えるその間もネウロイはウィッチ達を近づけまいと大量のビームを放ってくる。ビームの集中を避けるために501のウィッチ達はバラバラになって突撃して各々がゲルニカを構成する建物を破壊していく。

 

『やっぱ真ん中の建物が怪しくねぇか!?』

 

『その可能性が高いわね。みんな、攻撃を集中して!!』

 

シャーリーの提言にミーナ中佐が同意し各々がゲルニカ中心を目指し始める。

 

『あ、あれだ!びゅーん!!』

 

真っ先に行動を開始したのはルッキーニだ。ゲルニカの地面近くをから一気に上昇し高度をとると中央の建物を確認し真っ直ぐ中央の建物に向かう。

それに続いてリーネが遠距離から狙撃しながら中央の建物に向かい更にペリーヌが対空から中央の建物に接近、ネウロイのビームをシールドで防ぐと近距離から機関銃による射撃を浴びせる。

次に隊内最大の火力持つサーニャが、建物上空よりフリーガーハマーの一斉射を放ち中央の建物に大ダメージを与えた。

そんな彼女達に対する攻撃を軽減するためビームを撃ってくる周囲のタワーをエイラが次々と破壊する。

更にミーナ中佐、バルクホルン、ハルトマンの3人も砲身が焼ききれんばかりの勢いで機関銃を乱射、さしものネウロイも溜まらず本体の釣鐘型のネウロイが建物頂上より射出、離脱を図った。

 

「本体が逃げた!?」

 

思わぬネウロイの行動にペリーヌが驚きを露わにする。

 

「シャーリー!」

 

「ダメだ、こっからじゃ追いつけ…うん?」

 

501最速のシャーリーをルッキーニが頼るがシャーリーは中央の建物から一番遠い場所にい事で追いつけそうになかった。しかし遠くにいたからこそ本体を追撃する3人のウィッチの存在に気付く事ができた。

 

「逃すか!!!」

 

バルクホルン、ハルトマン、ミーナ中佐だ。

 

「は、速い!」

 

「追いつけないよ!」

 

上昇力に優れた機体であるBF109を持ってしても追いつけない速度に思わず絶望しそうになるがそれよりも更に上昇力に優れた機体が501にはあった。宮藤の震電だ。機関銃を捨てて空気抵抗を減らし速度を上げると一気にネウロイを抜き去りシールドでその頭を押さえつけた。

 

「宮藤!」

 

「押し返してる!」

 

「今しかないわ!」

 

宮藤が作り出した好機を逃すほど3人は甘くない。一気に攻撃を集中しネウロイの巣ウォルフの本体を破壊する事に成功した。同時にベルリンを煽っていた黒い雲が晴れ青空が姿を現した。

 

「芳佳ちゃーん!!!」

 

疲労のあまり体勢を崩して落下する宮藤をリーネが抱きとめその場に501のみんなが集合する。

 

「見て見て!コアをやっつけたから!!」

 

ルッキーニが指差す先には崩壊を始めるゲルニカがあった。

 

「やったね、トゥルーデ」

 

完全に崩壊したゲルニカを見てハルトマンがバルクホルンに声をかけた。

 

「ああ、終わったな」

 

「こちら501。敵ウォルフの完全消滅を確認。ベルリンを……奪還しました!!!」

 

1946年春。カールスラント北部を侵略していたネウロイの巣、ウォルフが消滅してベルリンは解放された。

しかし欧州にはまだまだ多くのネウロイの巣が残されている。それら全てが破壊されるまで第501統合戦闘航空団、ストライクウィッチーズの戦いは終わらない。ネウロイから欧州を解放するその時まで。




よくよく考えたらウォルフの質量すごいな。一体どこにあんなネウロイが隠れていたのやら……。いや、まぁ地下なんですけどよく地盤が崩壊しなかったものですね。

それはそうとして、お気づきの方も多いかもしれませんがダイヤのエースが飛ぶ理由ですがこれにて完結、というわけではありません。まだまだ続きます。暫くはベルリン奪還後のお話をする予定ですのでよろしければこれからも読んでくだされば幸いです。
何はともあれアニメ三期まで書けたというのは大きな節目だと思っています。ここまでお付き合いいただいた方々、本当にありがとうございました。これからもよろしくお願いいたします。
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