ダイヤのエースが飛ぶ理由   作:鉄玉

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ブレイブ二期してくれないかなぁ。


ベルリン編
連合軍ウィッチ隊総司令官


ベルリン奪還は世界に対して大々的に発表され世界は歓喜の渦に包まれた。複数のネウロイの巣を同時に相手取りその全てをことごとく粉砕した本作戦は今後の対ネウロイ戦線に於いて大きな希望となる作戦となった。

すなわち人類はネウロイに対して安定して勝利を得る事が出来る、そう確信させるだけの戦果を上げたからだ。

それ故この作戦での論功賞は大盤振る舞いとなった。

ベルリン奪還に於いてその前段階から須く作戦に参加しベルリン奪還に大きく寄与したとして第501統合戦闘航空団の所属ウィッチは全員が一階級の昇進と多数の勲章を授与された。

本作戦の立案及びその作戦準備を行った連合軍西ヨーロッパ戦域統合作戦司令部の参謀達もまた一階級の昇進、アイゼンハワー元帥には名誉勲章が授与された。その他前線指揮官達もただ1人を除いて一階級の昇進、元帥だった者はその国の最高位勲章を授与される事となった。

 

「Gaddemn!」

 

「静かにしないかジュディ」

 

「なんで俺が西方方面軍司令官の任を解かれなきゃならねぇ!!」

 

ベルリンへと司令部を移した連合軍西ヨーロッパ戦域統合作戦司令部のアイゼンハワー元帥の執務室で行われていたのはパットン将軍に対する次なる任務の辞令の通達だった。それに納得のいかないパットン将軍の怒声にアイゼンハワー元帥は辟易したような表情を浮かべた。

 

「独断専行でのB-17の出撃とその喪失の件を忘れたとは言わせないぞ」

 

「そんなものはベルリンの奪還でお釣りが来るだろう!今更蒸し返すな!!」

 

たしかにパットン将軍の言う通りベルリンの奪還という功績に比べればB-17の喪失は小さなものだったがそうはいかない事情があった。

 

「それがそうもいかんのだよ。各国からジュディをどうにかしろとクレームが入っているんだ」

 

「各国ぅ?それはそこにいるスオムスの小娘からのクレームじゃねぇだろうな」

 

そう言ってパットン将軍が親指で指し示した先には機嫌良さげに笑みを浮かべながらコーヒーを飲んでいるエイラの姿があった。

 

「彼女もその1人だ」

 

「わたしだけではありませんよ。我がスオムスのマンネルヘイム元帥、ロマーニャのバスティコ元帥。オラーシャのジューコフ元帥、カールスラントのマンシュタイン元帥とゲーリング元帥。他にもブリタニアのモントゴメリー元帥、ラムゼー大将、テッダー大将などブリタニア軍の多数の将官が賛同しています」

 

「……貴様が首謀者か」

 

「首謀者とは随分な言い草ですね。わたしはただ貴方の蛮行が目に余るからどうにかしようと友人方に相談しただけですよ」

 

実際とのころ、エイラが働きかけたのはマンネルヘイム元帥、マンシュタイン元帥、ジューコフ元帥、バスティコ元帥の4人だった。これにマンシュタイン元帥経由でゲーリング元帥が加わりさらに噂を聞きつけたブリタニアの将官がここぞとばかりにパットン将軍の、ひいてはリベリオンの評価を落とすために便乗をしてきていた。結果だけを見ればエイラが主導してパットン将軍を謀略により蹴落としたように見えるがエイラ本人にはその気は全くなかった。

 

「ジュディ、何も本国に帰れと言っているわけじゃないんだ。まだまだネウロイと戦う機会はある」

 

「冗談じゃねぇ!ベルリン防衛隊の司令官って言っても指揮下の兵は歩兵三個師団と戦車が一個大隊。これでどうやってネウロイと戦うってんだ!?せめてウィッチを寄越しやがれ!」

 

そもそもベルリンの防衛が主任務で戦う機会そのものがないに等しく、指揮するに部隊も西方方面軍と言う複数の軍を纏める立場から軍団単位の指揮官へと変わった事は左遷と言ってよかった。

 

「ご安心を。ウィッチ含む大規模な守備隊はカールスラントが自分で用意しています」

 

そもそもカールスラントは未だに強大なウィッチ隊を保有していて他国のウィッチの手を借りる必要がなかった。

 

「もうこれ以上ジュディに好き勝手させるわけにはいかないんだ」

 

実のところ最近のパットン将軍の行動はリベリオン上層部でも問題になっていてエイラ達のクレームはリベリオンにとっても都合が良かった。本来リベリオンは更に多くの部隊をベルリンに駐屯させる事もできたがあえてそれをしなかった。それはパットン将軍をどうにかする必要があると判断したからに他ならない。

事情を知るものからすれば左遷に見えるこの人事もそうでないものからは異なった見方ができる。ベルリン奪還の司令官を守備隊の司令官にした事で事情の知らない市民に安心感を与えてベルリンへの帰還を促しベルリンの復興を早める事が期待された。

 

「それと連合軍所属のウィッチ隊についてですが全てわたしの指揮下に納められることになりましたので勝手な行動はしないでくださいね」

 

ベルリン奪還後、501に所属してのベルリン奪還と参謀としての活躍を評価されてエイラは二階級昇級し少将の地位に上り詰めていた。それに伴い連合軍ウィッチ隊総司令官の任に就き連合軍指揮下の全ウィッチの頂点に立っていた。

 

「スオムスの小娘如きに指揮できるとは思えんがな」

 

「たしかに、本来ならわたしのような小娘ではなくカールスラントのガランド中将がするべき案件です。ですが彼女が断った以上はわたし以外に相応しい者もいないのも事実、ウィッチについては大人しくわたしの言う事を書いてもらいますよ」

 

未だに前線で戦う事もあると言うガランド中将はこの事を依頼された時、Neinと一言で断ったと言われている。対してエイラはガランド中将のことを尋ねたのち、彼女が断ったことを聞いてKyllä herraと素直に了承していた。

 

「だが少なくともジュディ、君よりはウィッチのことをよく知っている」

 

アイゼンハワー元帥にそう言われパットン将軍は悔しそうな顔をしながら押し黙った。

 

「安心してください。要請があれば可及的速やかにウィッチを派遣する用意があります。将軍が心配することは何もありません」

 

「ケッ!テメエの言う事なんか信用できるか!きっと手遅れになるギリギリのタイミングまでウィッチを出さないに決まってらぁ」

 

「わたしが市民を見捨てるような外道だとでも言うんですか?」

 

エイラが睨みつけるとパットン将軍は鼻で笑って言った。

 

「俺を蹴落とすのに小細工を弄するような卑怯者だ、なにをやっても不思議じゃねぇな!」

 

「ご安心を。貴方と違ってわたしは人の命を尊いものだと考えているのでそんな事はしません」

 

エイラがパットン将軍を蹴落としにかかったのは事実だがパットン将軍に落ち度があったこともまた事実だ。非難される謂れはないとばかりにエイラは言った。

 

「さっきから過ぎ去った事をネチネチと鬱陶しい!

アイク!!やっぱり俺は反対だぞ!!こんな奴が陸戦ウィッチ含む全ウィッチ隊の司令官なんて冗談じゃねぇ!!!」

 

「なんの話だ?彼女の指揮下にあるのは航空ウィッチだけだ」

 

「何言ってやがる!今朝の新聞にはこの小娘が陸戦ウィッチを含む連合軍全ウィッチの頂点に立ったって書いてたぜ」

 

困惑の表情を浮かべるパットン将軍とアイゼンハワー元帥にエイラはコーヒーを一口飲むと口を開いた。

 

「マンネルヘイム元帥が早とちりして全ウィッチと言うのを陸戦ウィッチを含むと勘違いしてマスコミに発表したみたいですよ」

 

実のところリベリオンとスオムスではウィッチ隊総司令官に対する認識は大きな隔たりがあった。エイラがこの任を受けるにあたり伝えられたのは全ウィッチ隊の指揮を取ると言う事だったがアイゼンハワー元帥やリベリオン、ガリアと言った国はこれを全航空ウィッチのことだと認識していた。

対してスオムス、と言うよりマンネルヘイム元帥は敢えて曲解し陸戦ウィッチ含む全てのウィッチと考えオラーシャやカールスラントといった関係の良好な国に根回しし更には連合軍司令部が公式発表を行うより前にマスコミの前でこのことを発言し、エイラの指揮下にある部隊が陸戦ウィッチ含む全ウィッチ隊であると世界中に対して既成事実として認知させようとしたのだ。

 

「馬鹿な!すぐに取り消すようマンネルヘイム元帥に伝えるんだ!!」

 

「それがどうもカールスラントとオラーシャ、それとブリタニアでもわたしが陸戦ウィッチ含むウィッチ隊の司令官だと認識されているようでしてもはや既成事実となっています」

 

「ブリタニアでもか!?」

 

事ここに至ってアイゼンハワー元帥は自らの失策を理解した。エイラが航空ウィッチであった事から敢えて明記しなかった事を上手くマンネルヘイム元帥に利用されたのだと。

 

「いや、しかしブリタニアは何故そのような事を……」

 

しかしそれでもなお理解できなかったのはブリタニアの動向だった。現在世界はリベリオン、カールスラント、扶桑の三国が連合国内で大きな発言権を持った国になる。戦争前は列強と呼ばれたブリタニアはこの戦争でその力を落とし今ではリベリオンの助けなしではその地位を維持できない。

本来であれば連合軍内のパワーバランスを考え陸戦ウィッチの司令官については誰も置かずに今まで通り方面軍の指揮官がそれを確固に担うことになるはずだった。現在のブリタニアはアフリカ戦線という重要度の低い戦線でしか司令官を担っておらずそれでは全く旨味がない。

スオムスの行動を察知したブリタニアはスオムスに協力し敢えてそれを与える事でスオムスの発言権を上げ相対的に他の国の発言権を落とそうとしたのだ。その上でスオムスとは緊密な協力関係を築きブリタニアスオムス軸で新たに第四勢力を勢力を築こうとブリタニアの政治家達は考えた。

しかしそれはスオムスの高い行動力の前に脆くも崩れ去った。ブリタニアはマンネルヘイム元帥の行動は知っていたがその手の長さを把握できていなかったのだ。

 

「わたしもブリタニアに関してはなにがなんだか……」

 

結論だけ言うならブリタニアが勝手に自爆しただけだがブリタニアの外交のうまさは折り紙付きだ。何か裏があるのではないかと疑うのは当然だった。そしてそれを一番知っていそうな人物に尋ねようとするのも。

 

「嘘をつくな!俺の左遷とといい貴様のことと言い全てにスオムスが絡んでるじゃねぇか!!知らないわけがないだろう!!!」

 

「いや、本当にブリタニアの事は知らないんですよ」

 

困惑した様子のエイラにパットン将軍もまた困惑したような表情を浮かべた。

 

「本当に何もしらねぇのか?」

 

「マンネルヘイム元帥にもブリタニアのスオムス大使館にも問い合わせましたけどどちらもスオムスがブリタニアと接触した事実はないと言っています」

 

「テメェに嘘をついてる可能性だってあるだろう」

 

「それについては否定しませんけどスオムスはカールスラント、オラーシャの両国からブリタニアの件で突き上げを食らっています。その事実だけでもブリタニアの事にスオムスが関わっていない証拠になるとは思えませんか?」

 

ブリタニアの介入はスオムスにとっても予想外だった。秘密裏に、そして迅速に行動したため仮に動きを察知しても何もすることなどできないだろうと考えていたスオムスはブリタニアに対する対応など一切考えているいなかった。この予想外の介入によりブリタニアとの政治的な折衝、カールスラントとオラーシャへの弁明等慌ただしく動く事になる。

 

「いずれにせよここで議論するのは無意味というものだろう。何があったにしろユーティライネン少将の陸戦ウィッチの指揮官に関しては改めて協議する必要はあるがジュディ、君の処分は変わらない。大人しく荷物をまとめてベルリン防衛隊の司令部に移動するんだ」

 

アイゼンハワー元帥の言葉に拳を震わしたのち、パットン将軍は悔しげに口を開いた。

 

「……覚えておけよ小娘。俺は必ず前線に舞い戻る」

 

「兵士のためにもそうならないように祈っておきますよ」

 

肩をすくめてエイラはそう答えた。

この後行われた会議の結果、今回のスオムスの件はエイラに陸戦ウィッチの指揮権が認められることで落ち着いた。さしものリベリオンもカールスラント、オラーシャ、ブリタニアを相手にしては認めざるを得なかったのだ。ブリタニアとしては失策に気付いた時点で手を引いても良かったはずだが今更カールスラント、オラーシャだけにスオムスに、ひいてはウィッチ隊への関与する権利を与える事を許すことができず最後までスオムスの味方をし続けた。

もっとも、この事は後にブリタニア外交最大の失敗の一つとして後世に語り継がれる事になるがそれはまた別の話である。




という事でパットン将軍は史実通り左遷です。

ルミナスとストライクウィッチーズが使い魔に関する描写に大きな違いがあるのは知っての通りですけどエイラ達も裏ではあんな風に使い魔と戯れていると思うと色々想像が膨らみますね。
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