ダイヤのエースが飛ぶ理由   作:鉄玉

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サーニャは人気者だなぁ


三つ巴

ベルリンにあるウィッチ隊司令部の会議室にはオラーシャ奪還作戦に参加する統合戦闘航空団の隊長達が集められていた。

 

「って事で今年の夏、オラーシャ領を奪還に向かうことが決まった訳だけど何か質問はあるか?」

 

エイラの質問に隊長達は目を見合わせるとミーナ大佐が代表して発言した。

 

「私達の負担が大き過ぎないかしら。いくらエース揃いと言っても敵地のど真ん中に放り出されたらそう長くは持たないわ」

 

「我々は合わせれば数こそ一個大隊に匹敵するがその実、上に立って指揮するものは存在せず個々の判断と隊長達の連携に頼る事になる。

この難易度の任務でそれは無理がある」

 

ラル中佐もミーナ中佐に同意するように意見を述べた。

 

「一個大隊と言っても隊長クラスには私みたいに上がりを迎えている人も多いから額面通りの戦力にはならないんじゃないですか?」

 

そう言ったのはドッリオ中佐だった。

 

「506は指揮系統が二つに分かれているからこれほど大掛かりな作戦だと戦力に不安があるわね」

 

グリュンネ中佐がそう言うとプレディ大佐も同意を示した。

 

「506は数こそ他の隊とそう変わらないが実際は小隊規模の部隊が二つの指揮系統に分かれ別々に行動している。

無理とは言わないがせめて一つの指揮系統に纏めなくては力を十全に発揮できない」

 

「それについては、と言うかその不安全てを解決する案はあるぞ」

 

エイラの言葉に会議室の注目が集まった。

 

「これまでずっと統合戦闘航空団はそれぞれ部隊ごとに運用してきたのはそれをできる方法がなかったからよね。

それができているのならヴェネツィアやベルリン奪還の際に統合運用していたはずじゃないかしら」

 

「今と当時じゃ状況が違う。当時、ウィッチ隊は連合軍司令部が要請に応じて各方面軍に配置してそれぞれ方面軍が動かしていた。

所属そのものは連合軍司令部直属でもなくかと言って方面軍直属でもない曖昧な立場で各統合戦闘航空団の指揮官はそれぞれ階級での差はあれど指揮官事に上下関係はなかった。

けど今はウィッチ隊は連合軍ウィッチ隊総司令官、つまりわたしが頂点に立って指揮している。わたしが506のA部隊B部隊を直属すれば506部隊は一つにまとめる事ができる」

 

「506は政治色が強い。いくらウィッチ隊総司令官とはいえ難色を示すものがいるのでは?」

 

「否定はしないけどわたしはウィッチ隊総司令官だぞ。多少の障害は排除できる」

 

プレディ大佐の質問にエイラは事もな気に答えた。

ガリアから移動した506部隊への関係各国の注目は以前と比べて下がっていたからこそこれは実現できた事であった。もしもガリアに駐留したままであればこれほど簡単に事は運んでいなかった。

 

「そう言うわけでわたしは506を直卒してネウロイ勢力圏に降りる。現地では各部隊直属の上司として指揮も取るからいつもみたいに独自の判断で行動を起こす前にまずはわたしへの報告を頼む」

 

エイラの言葉に各部隊の隊長達が頷くとさらにエイラは続けた。

 

「わたし直卒と言う事もあって現地での506部隊は予備戦力として有機的に活用する事になる。だから506部隊は初期段階において最低限拠点を確保した後は戦闘に加わらず待機、各部隊からの要請に応じて戦力を適宜投入する」

 

「ネウロイ占領下ですから通信網が十分とはいえませんけどどう対処するつもりですか?」

 

ドッリオ中佐が手を挙げると尋ねた。

 

「ナイトウィッチってのはすごいよな」

 

「はい?」

 

「地下みたいな電波が通りにくい場所でも外からの通信を拾う事ができる」

 

「ハインリーケさんを使うつもりですか?

彼女はA部隊の隊長です、彼女を将軍のそばにおいてはA部隊の戦闘力が落ちる事になります」

 

グリュンネ中佐の言葉にエイラは首を横に振った。

 

「都合のいい事に平隊員で1人ナイトウィッチがいる。わたしの“元”副官でサーニャ・リトヴャクって言うんだけどな」

 

そういうとエイラはラル中佐を睨みつけた。

 

「今回の作戦に伴って返してもらう事にした」

 

「それは困ったな。エディータが上がりを迎えて低下した部隊の戦力を補うために彼女は必須なのだが……これではこの作戦の成功も怪しくなるな」

 

脅すかのようなラルの言葉をエイラは鼻で笑った。

 

「安心しろ。ちゃんと代わりの隊員の都合はつけておく」

 

「それはありがたい。で、それはどこの国のウィッチで名前はなんだ。いつ私の下に配属される」

 

エイラの言葉を簡単に信じるほどラル中佐はお人好しではなかった。

 

「そんな事気にしなくていいじゃないか」

 

エイラは宥めるが自分の部隊から隊員が引き抜かれるとあってはその補充があるのかないかは死活問題になる。ラル中佐は引き下がらない。

 

「そうはいかない。今度の作戦で使えるウィッチは1人でも多い方がいい」

 

「安心しろ今回わたし達はチームだ。たとえ502から1人減ろうとも506からの援軍を送る」

 

エイラの言葉にラル中佐は目を細めた。

 

「馬脚を表したな。端から代わりのウィッチなど用意していないんじゃないか」

 

しまったと思ったがもう遅かった。

 

「あくまで作戦中の話だ」

 

「ほう、作戦後は代わりの人員を用意するかリトヴャクを返してもらえると?」

 

「待ちなさいグンドュラ。もともとサーニャさんは501の所属よ。返すというのなら501に返すのが筋じゃないかしら?」

 

エイラとラル中佐の口論に待ったをかけたのはミーナ大佐だった。エイラの副官になる前、サーニャはエイラと共に501に所属していた。

エイラ、サーニャの2人が抜けた補充が未だにない501は是が非でもサーニャを取り返そうとしていた。

 

「配置転換でユーティライネンの副官になっていただろう。返すというならユーティライネンに対してが筋だろう」

 

「それはサーニャを返す事に同意したって事でいいな?」

 

「馬鹿を言うな。あくまでももし返すならの話だ」

 

ここぞとばかりにエイラが口を出すとラル中佐は顔を顰めて反論した。

 

「無理矢理引き抜いたんだから返すのが道理だろ」

 

エイラの文句にミーナ大佐が反応した。

 

「それならサーニャさんとエイラさんが抜けた分の補充も司令部がするのも道理ではないかしら」

 

「そうだな。リトヴャクを返すのは吝かではないが代わりのナイトウィッチを用意してもらわなければこちらとしても承服しかねる」

 

今度はエイラが顔を顰める番だった。

 

「エースでなくていいならすぐにでも手配してやる」

 

妥協案、と言うよりこの場を誤魔化すための苦し紛れの一言だがそんなので納得する2人ではなかった。

 

「馬鹿な事言わないで。統合戦闘航空団はエースを集める事で少ない数でネウロイに対して大きな損害を与える事ができる矛であり、同時に護るための盾でもあるのよ」

 

「そうだ。半端なウィッチを寄越されて逆にウチの部隊の損害が増えたりしたら目も当てられない」

 

「宮藤と雁渕の例があるだろ。2人とも元々はエースじゃないどころか任官したばっかりの新兵だったじゃないか」

 

「宮藤さんは強大な魔法力があったから育てる気になったのよ」

 

「雁渕は魔法力は少ないがエディータが太鼓判を押すくらいには体力があったし根性もあった。それに匹敵するウィッチはそう多くはないだろう」

 

3人の睨み合いが続く中ドッリオ中佐が恐る恐る手を挙げた。

 

「あの〜、ウチの部隊も竹井がそろそろ上がりを迎えるんで補充が欲しいなぁなんて思ってるんですけど……」

 

「その竹井を抜きにしても統合戦闘団の中じゃ頭数は一番多いだろ。補充は当分先だ」

 

エイラの言葉にドッリオ中佐は肩を落とした。

 

「504の補充が後回しなら当然ウチは優先してくれるんだろうな?」

 

「501の方が先よね?2人も欠けてるんだもの」

 

詰め寄る2人にエイラは少し考えると言った。

 

「思ったんだけどここで話あっても答えは出ないと思うんだ。取り敢えず今は現状維持してサーニャは502に置いておく。それで作戦決行直前にわたしの副官に戻す。その後の処遇についてはまた話し合う事でどうだ?」

 

「話し合いの場を設けてくれると言う確約が欲しいわね」

 

「もしくは作戦後に補充をすると言う確約が欲しいな」

 

「勿論だ。作戦が終わり次第可及的速やかに話し合いの場をもつよ」

 

エイラの言葉にミーナ大佐はドッリオ中佐達他の隊長達に視線を向けると言った。

 

「いいでしょう、ここにいる隊長達が証人よ」

 

「勿論だ。わたしは約束は破らないよ」

 

こうしてサーニャと人員の補充の件は一度棚上げされる事になった。




上がりを迎えるウィッチが増えるにつれ補充が必要ですけどできれば原作からのキャラを出したいんですけど出せそうなのがそんなにいないと言う……困った。
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