ダイヤのエースが飛ぶ理由   作:鉄玉

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今回から何話かブレイブ・ウィッチーズのお話です。


ブレイブ・ウィッチーズ

「あれ?下原ちゃん今日は随分豪華な朝食だね」

 

「今週の補給から食品や嗜好品の補給が増えたんです」

 

「あ、そっか。サーニャちゃんが来たからか」

 

元々502の補給状態はそれほど良くはない。サンクトペテルブルクに基地を置いていた時でさえ時期によっては補給が劣悪になる事もありこれは502にとっては慣れた事である。しかしある時期だけ補給が劇的に良く成ることがある。それが隊長であるラルがエイラからサーニャを分捕ってきた時である。

サーニャを溺愛しているエイラはサーニャが502にいる時は可能な限りの支援をしてくれる。その代わりサーニャを取り返した後は嗜好品や食料に関してはそれまで以上に劣悪な補給となる。

もちろん即座に補給が良く成るわけではなく補給が良く成るまでだいたい1週間程度、悪く成るのにも約1週間かかる。今日はサーニャが501に赴任してちょうど1週間、補給が改善された。

 

「今回はどれくらいの期間ここにいるんだろうな」

 

胡乱気な表情で菅野が言った。

 

「イッル怒ってるだろうなぁ」

 

「隊長は一生返さないと言っていたけど……」

 

困ったように眉を顰めてロスマンが言った。

 

「先生そりゃ無理でしょ」

 

ロスマンの言葉にクルピンスキーは呆れたように言った。

 

「エイラくんが本気を出せばウィッチの1人や2人簡単に配置転換できるはずだよ」

 

「隊長は戦力不足を理由に手放さなつもりよ」

 

「自分の上官相手に隊長もよくやるよな」

 

「菅野だって隊長の部屋からお酒強奪してるじゃん」

 

ニパの指摘に菅野は言葉を詰まらせているとひかりと手紙を持ったサーシャが入ってきた。

 

「クルピンスキーさんに手紙が届きましたよ」

 

「僕に?一体誰からだろう」

 

クルピンスキーは古参ウィッチなだけあって様々な土地に知り合いがいるがこうして態々手紙をよこしてくる知り合いはそう多くはなかった。

 

「エイラさんからです」

 

「エイラくんから?一体なんだろう」

 

サーシャから手紙を受け取ったクルピンスキーはその場で封をあけ中を見ると動きを止めた。

 

「何書かれてたんだ。見せろよ」

 

「サーシャさん私宛にイッルから手紙はなかった?」

 

菅野とクルピンスキーをよそにニパはサーシャに尋ねた。

 

「なかったですね」

 

「なんだよイッルの奴クルピンスキーさんには手紙送って私にはなしかよ」

 

ニパが唇を尖らすとクルピンスキーの手紙を覗き込んでいた菅野が叫び声を上げた。

 

「うわっ!中尉一体何やらかしたんだよ!!」

 

「何もしてないよ〜」

 

「一体何が書かれていたんですか?」

 

ひかりが菅野に続いて覗き込むと身を退け反らせた。

 

「殺すだなんてクルピンスキーさん何したんですか?」

 

そこには一言、『殺す』とだけ書かれていた。

 

「だから何もしてないって〜」

 

困ったように目尻を下げるクルピンスキーに疑惑の視線が注がれる中サーシャが口を開いた。

 

「ニパさん宛に手紙はありませんでしたけど私宛の手紙に伝言がありましたよ」

 

「イッルはなんて言ってた!?」

 

「クルピンスキーさんがサーニャさんに手を出そうとしたら遠慮なくラドガ湖に沈めてやれと書かれていました」

 

「ここリバウなんだけど……」

 

「多分クルピンスキーさん宛の殺すと言うのはサーニャさんに手を出せば殺すと言うことではないでしょうか?」

 

因みにそれサーシャに対しても書かれていてこちらはラドガ湖ではなくバルト海と書かれていた。

 

「イッルサーニャさんの事大好きだからなぁ」

 

サーシャの意見に二パが同意した。

 

「心配しなくてもエイラくんのサーニャちゃんに手を出したりしないよ」

 

「あら、珍しく殊勝ね」

 

女の子の事ならどんな脅しにも屈さずに我が道を行くクルピンスキーが珍しく意見を曲げる姿にロスマンが驚いた。

 

「僕が死んだら悲しむ女の子が沢山いるからね」

 

胸を張ってそう言うクルピンスキーにロスマンは溜息を吐いた。

 

「ねぇサーシャさん、イッルは他に何か書いたなかった?」

 

「いえ、特には……」

 

サーシャの言葉にニパは肩を落とした。

 

「この間手紙もらったばっかじゃねぇか、そんなに落ち込むことねぇだろ」

 

毎月交互に手紙を送り合っているくらいにはニパとエイラは仲がいい。

つい1週間ほど前にニパはエイラから手紙をもらったばかりだった。

 

「それはそうだけどクルピンスキーさんにこんな手紙送るくらいなら私に送ってくれたらいいじゃん」

 

「ニパくんこんど手紙を送る時には是非そう書いておいてくれ。じゃないと僕の寿命が縮む」

 

「偽伯爵の寿命が縮む分には問題ない気がするわね」

 

「先生そんな事言わないでよ〜。本当に怖かったんだから」

 

冷たく言い放つロスマンにクルピンスキーは情けない声を出した。

 

「そういやサーニャの奴はどこ行ったんだ?」

 

「夜間哨戒に出てくれていたから今は自室で休んでいるはずですよ」

 

「そういやナイトウィッチだったな」

 

502にサーニャがいる時は意外と昼間の任務が多く今回のように夜間哨戒をしている姿を見る事は少なかった。

 

「一体なんのために私が苦労してリトヴャクを盗ってきたと思っているんだ。夜間哨戒のためだろう」

 

そう言って502部隊の隊長、グンドュラ・ラルが食堂に入ってきた。

 

「散々通信で愚痴られた私の苦労も知って欲しいんですけど……」

 

サーシャがため息を吐いて加減を対するとラルは飄々とした態度でご苦労だったと言った。

 

「次からは通信を切るようにしよう」

 

「そう言う問題ではないでしょう」

 

「そう言う問題だ。つまるところユーティライネンは私的な理由でサーシャと通信をしていたのだろう?軍の備品を私的に利用するのは軍規違反だ」

 

確かに理屈はそうだがこの程度の通信はどこのウィッチ隊でもやっている事、そう目くじらを立てる必要もない。

 

「そんな事してサーニャさんを返した後の報復が酷くなったらどうするつもりですか?」

 

「問題ない。もう返さないからな」

 

「手段を選ばなかったらエイラさんはいくらでも取り返す事ができますよ」

 

「ユーティライネンはいくら気に食わないからと戦線に穴を開ける行為をするような馬鹿な女じゃない」

 

エイラの事をラルよりよく知るニパやサーシャは半信半疑な様子だが他のそうでない面子は納得したような表情を浮かべた。

 

「では今度は前回のようにひもじい思いをしなくてもいいと言う事ですね?」

 

前回、サーニャが去った後の報復で一番ラルに対して不満を露わにしたロスマンが言った。

 

「もちろんだ」

 

今までは前線の兵士として過度な飲食を控えていたが上がりを迎え出撃回数が減り、溜め込んでいた嗜好品の数々を消費するようになった。

もっとも、彼女の場合上がりを迎えたと言っても多少シールドの強度が下がったくらいでインファイトこそできないがフリーガーハマーでの遠距離戦は十分可能であり頻度こそ下がったが今でも出撃の機会はあった。

 

「前回サーニャちゃんが帰った後のロスマン先生は凄かったからねぇ」

 

「偽伯爵には言われたくないわ」

 

「いや、クルピンスキー以上だった。コイツはサーシャやエディータに怒られれば黙るがエディータは止められる人間がいないからな」

 

前回サーニャが帰った後、厳密にはグリゴーリ破壊2週間後からエイラがブリタニアに移動するまでの約2週間補給は酷いことになっていた。

グリゴーリ破壊直後の2週間はお祝いとばかりに補給物資は豪華なものだった。

しかしその後はもっと働けと言わんばかり武器と弾薬以外は不味いレーションや保存食ばかりで悲惨なものだった。

それに一番不平を漏らしたのがロスマンでその被害を受けたのがラルだった。

 

「そもそも隊長がサーニャさんを無理やりウチの部隊に移動させたりしなければあんな事にはならなかったんですよ」

 

「お前も喜んでいただろう」

 

「下原さんに専門外の夜間哨戒を任せずに済みますから」

 

「みんな難しい話はその辺にして早くさだちゃんの作ったご飯食べようよ」

 

行儀良く椅子に座っていたショゼがそう言うとそれもそうだとばかりに頷き各々自分の席につき朝食をとり始めるのだった。




そういえば皆さんはワールドウィッチーズ UNITED FRONTやったますか?
自分はソシャゲ好きではないので最初期に少し触って辞めたんですけどどんな感じなんですか?
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