ダイヤのエースが飛ぶ理由   作:鉄玉

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すみません予約投稿の時間間違えました。
あ。今回短めです。


サーニャとリバウ

リバウ上空、月明かりに照らされる空を3人のウィッチが夜間哨戒を行っていた。

 

「サーニャさんって凄いですよね。こんなに真っ暗なのに方向を見失わずに空を飛べるなんて」

 

そのうちの1人、ひかりが感嘆したように言った。

 

「わたしはナイト・ウィッチだから」

 

「サーニャさんがいない時は下原さんが夜間哨戒してましたけど下原さんはナイト・ウィッチじゃないんですよね?」

 

「下原さんの夜間視とサーニャさんの持つ魔導針による広域探査では夜間哨戒での安全度が違うわ。

夜間視はあくまでも目に見えるる範囲でしかネウロイを探せないけど魔導針だと360度全方位を見渡せる上に雲の中みたいな目で見合い場所まで探索できるわ」

 

ひかりの疑問に答えたのはロスマンだった。

今回の夜間哨戒はひかりの夜間飛行訓練を兼ねていて教育係としてロスマンも同行していた。

 

「けど普通のウィッチよりもよっぽど夜間哨戒に向いてますよね?どうしてナイト・ウィッチとは呼ばれないんですか?」

 

「ナイト・ウィッチには国際的に決められた基準があるのよ」

 

「へー、そうなんですね。どんな内容なんですか?」

 

「私も詳しい事はよく知らないのよね」

 

ロスマンは生徒にナイト・ウィッチがいた事もあるがそれらはナイト・ウィッチとして区分けされた後の事、ナイト・ウィッチと認められる前のウィッチを生徒として持った事はなくその基準も把握していなかった。

 

「魔導針は送受信が可能かどうかとその範囲が基準になります。電波の受信しかできなかったり送信だけしかできないようではナイト・ウィッチとは認められませんしその範囲が狭すぎてもナイト・ウィッチとは認められません」

 

ひかりの疑問に答えたサーニャは当然その基準を満たしている。それどころかナイト・ウィッチとしてはその魔導針の能力はかなり優秀な部類に入る。

 

「夜間視は条件に入らないんですね」

 

「魔導針があればそんなの必要ないからじゃないかしら」

 

「けどナイト・ウィッチは数が少ないですよね?なら基準を緩めて増やしてもいいんじゃないですか?」

 

下原のようにナイト・ウィッチでなくても夜間哨戒をするという例は多々ある。しかしそれらは正規のナイト・ウィッチと比べると死亡率もネウロイを見逃す確率も極めて高くなるためそのような運用は最初されていない。

 

「下原さんみたいに夜間視を使えるウィッチが多ければそれでもいいかもしれないわね。けど夜間視持ちでさえ希少な存在な上にその哨戒は間違いなくナイト・ウィッチよりも精度の落ちるわ。それに下原さんくらいの実力がないと簡単に命を落とす事になるしやめたほうが賢明ね」

 

ロスマンの言葉にひかりが感心したように頷いているとロスマンは真剣な表情を浮かべた。

 

「そんな事より今日は貴女の訓練を兼ねているのよ。早速訓練を開始するわよ」

 

そう言うとロスマンはサーニャに合図して急上昇、月と星の瞬きしか光源のない空にひかりをひとりぼっちにした。

 

『えっ!!ロスマンさん、サーニャさんどこ行ったんですか!?』

 

「貴女はそのままの高度を維持して哨戒予定の空域の端まで飛び続けなさい。位置についてはサーニャさんが把握し続けているから安心しなさい」

 

『けどこんなに暗かったら自分がどこを飛んでいるかさえわかりませんよ?』

 

「天測の方法はサーニャさんが来る前日に復習したわよね」

 

厳しくはあるが合理性を持って指導するロスマンが何も教えずに夜空に放り出す筈もなくキチンと夜間の飛行方法については教えている。

 

『それは覚えてますけどどの星も全部同じに見えてどれを基準にすればいいんですか?』

 

「私達は北極星を背に飛んでいました。それを基準に北極星を探してみてください」

 

サーニャがアドバイスを送ると暫くしてひかりから天測に成功したと言う報告が入った。

 

「ではそのまま南に進路を取りなさい」

 

ロスマンの指示に了解とひかりが返すといつもよりもやや遅いスピードでひかりは進み始めた。

 

「ひかりさん普段より少し遅いですけどどうしますか?」

 

魔導針で監視しているサーニャの言葉にロスマンは少し考えると答えた。

 

「まぁ、今日はこのまま様子を見ましょう。明日以降も同じ状況なら注意して改善してもらいます」

 

「わかりました」

 

今回の夜間飛行訓練はサーニャの負担も考え3日を予定している。ベテランのロスマンがついているとは言え彼女はナイト・ウィッチではない。戦闘で足を引っ張る事はないだろうがサーニャの負担になる可能性は否定できずこの期間となった。

 

「ひかりさん、進路が右に逸れています。修正してください」

 

『えぇ!!本当ですか!?』

 

基準となるものが何もない事から夜間飛行訓練では新人がよくやるミスの一つに自分の位置を見失い進路を間違えるというものがある。基準となるものが何もない夜間においては真っ直ぐに進んでいると思っていてもその実そうでないという事が往々にしてある。

 

「ナイト・ウィッチのサーニャさんがいう以上間違いないわ。もう一度天測をして位置を確認しなさい」

 

夜間飛行はベテランでさえ位置を見失う事がある。その点何の誘導もなく自分の位置を把握できるナイト・ウィッチは夜間視と比べれば別格の存在と言える。

 

「常に星を見て自分の位置を確認しないと迷子になるわよ」

 

過去には夜間哨戒で迷子になり墜落したウィッチもいる。

もっとも、それはネウロイが国会沿岸に現れるより以前の平和な時代の話だ。現在では夜間飛行訓練は短縮されて行わない国が殆どとなりそのような事件は起こっていない。

 

『迷子になってもサーニャさんが見つけてくれますよね?』

 

「…あんまり甘えた事言うようなら置いて帰るわよ」

 

どこか気の抜けたような言動にロスマンは語気を強くした。

 

『……冗談ですよね?』

 

「この際無補給でのサバイバル訓練も経験してみる?」

 

『現在地の特定急ぎます!!』

 

冗談ではない事を察したひかりはすぐに天測を行い暫くした後、目標地点に到着し、サーニャ達と合流した。

 

「初めて1人で飛んだにしてはいい結果ね」

 

「ありがとうございます!」

 

「夜間飛行訓練はナイト・ウィッチではない貴女には必ずしも必要な訓練ではないけどこの訓練が無駄になる事はないわ。それを肝に命じて明日以降の訓練も頑張りなさい。くれぐれもさっきみたいに軽い気持ちで挑まないように」

 

「はい!」

 

「じゃあ帰りも1人で天測して帰りましょうか」

 

「……はい」

 

帰りは一緒に帰れると思っていたひかりは肩を落とした。

 

「何か不満があるの?」

 

ロスマンが軽く睨みつけるとひかりは何でもありませんといい基地へと進路を取るのだった。




キャラが足りないかなってきた…
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