ダイヤのエースが飛ぶ理由   作:鉄玉

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10話を見て思ったこと。ネウロイの巣とは?
投稿遅れました。申し訳ありません。


危機

「状況はどうなってる!?」

 

基地の司令室に戻ったエイラは開口一番にウィンドに尋ねた。

 

「デミャンスクが大量の地上型ネウロイに包囲された様です」

 

「ネウロイの詳しい数や位置は」

 

「現在航空偵察を行なっている最中で詳しい事は司令部からの連絡を待つ必要があります」

 

「少しでも早く情報が欲しい、スタラヤルーサ守備隊司令部に行って偵察情報を貰ってきてくれ」

 

「了解」

 

「ニパはデミャンスクの地図と部隊配置がわかる資料を持ってきてくれ」

 

「わかった!」

 

元気に返事をしたニパは小走りで資料室へと向かった。

 

「ニッシネンは部隊の出撃準備をしといてくれ」

 

「了解」

 

ニッシネンが部屋を退出しようと扉を開けた時、資料室の方から大きな音とニパの悲鳴が聞こえてきた。

 

「な、何だ!?」

 

「ニパが何か壊したみたいですね。私が見てきましょうか?」

 

「いや、わたしが見てくるからニッシネンはいつでも出れるように出撃準備を整えてくれ」

 

資料室に向かったエイラが見た光景は倒れた棚と大量の資料に埋もれたニパの姿だった。

 

「何やってんだ」

 

「イッル助けて!棚に足が挟まって動けない」

 

エイラに気付いたニパが助けを求めた。

 

「そんな事よりちゃんと資料は見つけたのか」

 

「見つけたよ!だから助けて!」

 

エイラは溜息を吐くと棚をどかしてニパを救出した。

 

「一体どうやったらこんな事になるんだよ」

 

「踏台に躓いてこけたら棚が倒れ始めたんだよ」

 

「何言ってんだお前。こけたくらいで全部倒れるわけないだろ」

 

「本当だって!」

 

「はいはい。そんな事はどうでもいいから部屋に戻るぞ」

 

「えっ、これ直さないの?」

 

倒れた棚を指差しながらニパが聞いた。

 

「デミャンスクが包囲されてるのに呑気に直してる時間なんかないだろ」

 

「あ、そっか」

 

必要な資料を持って部屋に戻って地図を広げているとウィンドが帰ってきた。

 

「司令部から偵察資料貰ってきました」

 

「ありがとう」

 

渡された資料を見て思わずエイラは眉を顰めた。

 

「ネウロイが多すぎる。スタラヤルーサにいる兵力だけじゃとてもじゃないが解放できないな」

 

資料には全体で少なくとも五千を超える地上型ネウロイがデミャンスクを包囲していると書いていた。この数のネウロイはスタラヤルーサの部隊だけでは相手をしきれない。

 

「司令部に行って対応を協議してくる」

 

司令部につくと直ぐに司令官であるキュヒラー大将の元へと案内された。

 

「よく来てくれた。ちょうど君を呼ぼうとしていたところだったんだ」

 

「デミャンスクの件ですね」

 

「それもあるがそれよりももっと重大な事が起きた」

 

「一体何が起きたんですか?」

 

「ルーガとソリツィがネウロイに襲撃されている。特にソリツィは防備が薄くて1日待つかも分からない。中尉は隊を率いてソリツィの援護に行ってもらいたい」

 

ルーガとソリツィはどちらも補給路が通っていてそのどちらか片方が無くなるだけで前線部隊に補給が届かなくなる重要地点だ。

 

「ソリツィであれば近隣の他部隊に任せてデミャンスクの解放をするべきではないでしょうか」

 

「無理だ。進軍速度が速すぎて部隊の展開が追いついていない。そのせいでソリツィに行けるウィッチは中尉の隊しかいない」

 

「しかしデミャンスクと違いソリツィには駐屯するウィッチがいません。早期に解決をするとなるとスタラヤルーサの防衛が疎かになら可能性があります」

 

「ここの防備は数日ウィッチがいなくてもどうにかなるくらいはある」

 

スタラヤルーサには歩兵が5個師団と2個旅団、戦車中隊が一ついて対空砲などの装備も充実しているためウィッチがいなくても数日ならば維持する事が可能になっている。しかしそれは防衛に関しただけであった。

 

「デミャンスクはどうするおつもりですか?」

 

「援軍は期待できないが上層部は早期解放を望んでいる」

 

つまりはスタラヤルーサが持つ兵力での解放を目指せと暗に言われていると言う事だ。

 

「では出来るだけ早くソリツィの安全を確保してきます」

 

「よろしく頼む」

 

「了解」

 

ソリツィに関する大まかな説明を受けた後基地に戻ったエイラは部隊を率いてソリツィの援護に向かった。

 

ソリツィにを守るのはカールスラント陸軍第43歩兵師団に対してネウロイは地上型だけで少なくとも五百を超えていた。幸いにも飛行型は20機程しか存在せずこの程度の数ならば片手間で排除できた。

 

「飛行型は排除できましたけど今の装備でどうやって地上支援をしますか」

 

基本的に航空ウィッチの持つ銃は火力がそこまで高くないため対地攻撃には向かない。そのため一度戻って装備を変えるかこのまま援護するかをエイラは考える必要があった。

 

「まだ残弾に余裕があるから暫くはこのまま援護しよう。一番火力の高いウィンドの狙撃銃の残弾が無くなったら一度撤退する」

 

「了解」

 

地上型ネウロイも航空ウィッチに対して攻撃できないわけではないが飛行型と比べるとその脅威度は下がる。そのため制空権が取れているのであれば時間はかかるが航空ウィッチだけでも全滅させる事は可能だった。

 

「ねぇイッル、爆撃機とかはないのかな。あればあれくらいのネウロイ直ぐに倒せるのに」

 

「航空機を飛ばせるほどの滑走路は近場にはまだ無いから無理だな」

 

「けどペテルブルクからなら来れるんじゃないかな」

 

「来れるけど航空ウィッチの護衛が必須になるからな。今はそんなにウィッチに余裕がないから多分無理だと思うぞ」

 

「隊長残弾無くなりました」

 

ウィンドの残弾が無くなったため一度基地に戻り第二小隊と第三小隊を対地装備に変更し再度ソリツィへと出撃した。これを3回ほど繰り返した頃には不利を悟ったのかネウロイは撤退していった。

 

ソリツィの防衛に成功したとはいえまだデミャンスクの奪還が残っていた。そのため帰還して直ぐにエイラは司令部へと向かった。

 

「よくやってくれたユーティライネン中尉。疲れているところ悪いが悪いニュースを伝えなければならない」

 

帰ってきたエイラを見るなりキュヒラー大将は言った。

 

「悪いニュース?一体何があったんですか」

 

「ルーガの防衛に失敗した」

 

「そんなバカな話がありますか!?わたし達がソリツィを守った事の意味がなくなるじゃないですか!」

 

思わずエイラは叫んでいた。

 

「落ち着け中尉、まだ悪い知らせは残っている」

 

「まだあるんですか」

 

「残念な事に奪還した土地の殆どでネウロイの攻勢を受けている。これにより北方方面軍総司令部は全部隊に対して撤退命令を出した」

 

「撤退命令……ですか?」

 

「そうだ。全ての部隊は司令官独自の判断で撤退し無事ペテルブルクに帰り着けとのことだ」

 

独自の判断で撤退するとなるとペテルブルクから遠い部隊であるほど生還できる可能性は低くなる。その事に気づいたエイラは思わず呟いた。

 

「総司令部はわたし達を見捨てるつもりですか」

 

その問いには答えずにキュヒラー大将は言った。

 

「中尉、君は厳密にはわたしの指揮下には無い。だから私と共に行動する必要はない」

 

キュヒラー大将の言う通りエイラはキュヒラー大将の指揮下ではなく第24戦隊隊長のルーッカネンの指揮下であり現在彼女がいない以上エイラに対して命令できるものはスタラヤルーサにはいない。

 

「わたしに閣下達を見捨てて撤退しろと言うのですか」

 

「私には幼い少女達をあの世へと導く趣味はない」

 

「閣下、わたしにも戦友を見捨てる趣味はありません」

 

「では君には部下を死なせる趣味もないはずだろう」

 

「当然です」

 

「なら私と行動を共にしてみすみす部下を死なすこともない。さっさと撤退しなさい」

 

「閣下達とわたしの部下、両方無事に連れて帰ります」

 

「できると思っているのかね」

 

「…できます」

 

「一瞬答えに詰まったのが答えではないか?無理だと思っているんだろう」

 

エイラとて全員を無事連れて帰るのは無理だと思っている。しかしここで自分が撤退するのは引き金を引く事と同義でありそれは人として出来ないと思っていた。

 

「中尉、君は参謀教育を受けていると聞いた。ならば人を人として見るな数で見ろ。数に感情を込めるな。助からない我々に助かるウィッチ12名を無駄に消費するな」

 

エイラが答えに窮していると扉がノックされ少佐の階級章をつけた男とポクルイーシキン少尉が入ってきた。

 

「失礼します。閣下、デミャンスクからウィッチが撤退してきました」

 

「第16戦闘機連隊連隊長代理ポクルイーシキン少尉です。私達がいなくなったためデミャンスクにはウィッチは居ません!直ぐにここにいる部隊を援軍として派遣してください!」

 

「少尉、君の部隊は何人くらいいる」

 

「私を含め21人です」

 

それを聞くとキュヒラー大将はエイラに言った。

 

「中尉、デミャンスク守備隊の思いを無駄にする訳にはいかない。彼女の部隊を指揮下に入れて所定の行動を開始ししてくれ」

 

エイラの心は決まった。

 

「了解。閣下、御武運を」

 

そう言うとエイラは司令室を出てポクルイーシキンと共に基地へと向かい増槽と大量の武器弾薬を持ち西に向けて出撃した。

 

「ユーティライネン中尉、方角が違います。デミャンスクは南東です」

 

「知ってる。けどこっちであってる」

 

「ならどうして」

 

「デミャンスクから全ウィッチをスタラヤルーサに送ったのはウィッチだけでも逃そうという意思の現れだ。そしてわたしと閣下は少尉が来る前までその事について話していた」

 

ポクルイーシキンはその意味を理解すると引き返そうと向きを反転させた。

 

「ダメだぞ少尉。これは命令だ」

 

しかし未来予知でそれを予知していたエイラはポクルイーシキンの前に回り込み言った。

 

「まだデミャンスクには味方がいるんですよ!それにスタラヤルーサだってウィッチがいなければそう長くは持ちません!」

 

「少尉は知らないみたいだけど総司令部からは撤退命令が出ている。スタラヤルーサにしろデミャンスクにしろ、全ての部隊はペテルブルクに撤退する」

 

「そんな…見捨てるんですか!?」

 

「そうだ」

 

「共に戦った戦友ですよ!貴女に人の心はないんですか!?」

 

そう叫ぶポクルイーシキンの目からは涙が溢れていた。

 

「わたしには部下を生きて連れて帰る義務がある。今は少尉もわたしの部下だ。命令には従ってもらうぞ」

 

「その命令には従えません!」

 

「そうか。あまりこんな事はしたくないけど仕方ないな」

 

そう言うとエイラはポクルイーシキンの右脚のストライカーユニットの燃料タンクと増槽を正確に撃ち抜いた

 

「な、何をするんですか!」

 

「これでデミャンスクまで1人で行くのは難しいな。それでも行くなら次は体を撃つ」

 

エイラの本気が伝わったのかうなだれながら言った

 

「私は貴女のことを一生許しません」

 

「わたしのことは恨んでくれて構わない。だけど今はわたしの命令を聞け」

 

そう言うとエイラは再び部隊を北西へと進め始めた。




今回はネウロイの巣について。
ネウロイの巣って様々な種類があるけど個人的にはあれって巣と言うかは超大型ネウロイではと思ったりします。理由としては移動可能だし基本的には自分で攻撃できるし。ヴェネチアの巣とガリアは大和とウォーロックで元がどんなか分からなくなってるから実質グリゴーリだけがちゃんとした巣だと思ってます。
まあ今後どれくらいの巣が出るかわからないけどもっと巣を見ないとこれには結論を出せないかなと思います。
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