ダイヤのエースが飛ぶ理由   作:鉄玉

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いらん子リブートの新刊出ないかなぁ。


オラーシャ編
オラーシャ解放作戦会議


オラーシャ解放作戦の計画立案にあたりラル達の要望を満たすためのエイラはアイゼンハワー元帥を筆頭とした連合軍首脳部の説得だった。

オラーシャ奪還は北方、西方、東方の三方面軍が合同で行う事が決まっていてその打ち合わせのための会議にはリベリオン陸軍のアイゼンハワー元帥、スオムス陸軍のマンネルヘイム元帥、オラーシャ陸軍のジューコフ元帥の3人の元帥とその他大勢の将校が参加していた。

 

「次はウィッチ参謀のユーティライネン少将からウィッチ隊の運用に関してなにか提言があるそうだ」

 

会議が中程まで進んだ頃、エイラの番が回ってきた。

事前にマンネルヘイム元帥の協力は取り付けているがそれ以外は説得材料が集まらずなにも根回しできないままこの会議に臨んでいたためエイラはいつにもなく緊張した面持ちで立ち上がった。

 

「ウィッチ隊の士気の低下が深刻です」

 

端的にそう言ったエイラの言葉の意味をこの場に集まった将校達は最初理解できずにいた。

ウィッチはどんな時も高い士気のを維持して戦い抜いてきた。大陸から撤退した時でさえ諦めずに最後まで撤退を援護し続けたしブリタニアでの防衛戦でも長きに渡ってネウロイが大陸から出てくる事を防ぎ続けた。

故にこの場に集まった将校達はウィッチの士気が低下するという事実が理解できなかった。

 

「根拠は?」

 

最初に口を開いたのはアイゼンハワー元帥だった。

 

「501、502の隊長から両部隊ではワルシャワ奪還後、士気が下がりつつあると報告された事がきっかけでした」

 

「ベルリン奪還に際しても大きな活躍をしたその2つの部隊の士気が下がっているとは俄には信じ難いが……」

 

ジューコフ元帥が訝しげにそう言うとエイラはため息を吐いた。

 

「わたしも最初信じられませんでした。しかし実際に2つの部隊を視察したところ明らかに士気が下がっていました」

 

ミーナ大佐とラルから報告を受けた後エイラは501と502の視察に行っていた。名目は前線部隊の視察と

 

「501、502だけの話ではないのか?」

 

アイゼンハワー元帥の問いかけにエイラは首を横に振った。

 

「わたしもそう思って504や506も確認したんですが501、502ほどではないですが明らかに士気が下がっていました」

 

ワルシャワ攻略に直接関わっていなかったためその影響をモロに受けた501、502ほど士気の低下は見られなかったがウィッチ隊というのは意外と横のつながりが強い。特に多国籍の統合戦闘航空団はより多岐にわたる繋がりからいい噂も悪い噂も沢山入ってくる。エイラが視察に行った時にはどちらの部隊も既にワルシャワでのウィッチ隊の活躍についてつたわっていた。それどころか伝聞という形で伝わっていたためより悪い形で伝わっていてエイラが視察に行った時にはウィッチがお払い箱になるのではないかという不安そうな視線が寄せられた。

 

「505、507、508にも通信で確認したところ大なり小なり士気が下がっているそうです」

 

「なら統合戦闘航空団以外はどうだ?」

 

ジューコフ元帥が問いかけた。

 

「そちらはより酷いです」

 

サーニャと手分けして東方方面軍所属のウィッチ隊を幾つか確認したところ精鋭である統合戦闘航空団でさえお払い箱になっているのにそれよりも実力の低い自分達なら尚更であるとして余計に士気が下がっていた。

 

「原因はなんなんだ」

 

アイゼンハワー元帥が頭痛を堪える様に頭を抑えた。

 

「簡単にいうなら対ネウロイ用と着く兵器のせいですね」

 

カールスラントやガリアのウィッチ達の中には祖国奪還が叶ったことでモチベーションが落ちたウィッチも存在するが敢えてそれは話さず兵器についてのみ言及した。

 

「新兵器はウィッチの戦う場を少なくして死亡率を劇的に下げる事に繋がるはずだ。それがなぜ士気の低下に繋がる」

 

アイゼンハワー元帥の問いかけにエイラは困ったような表情を浮かべた。

 

「ウィッチは志願兵しか存在しません。そのため戦う場がなくなるというのは多くのウィッチにとって士気の低下に繋がるようです」

 

大陸からの撤退戦の頃にはスカウトと言う名の徴兵が横行していた時もあるが建前上ウィッチは全て志願兵である。活躍の場を奪われると言うのは士気に直結せるのは当然であり下がった士気は活躍の場を与える事で復活するのもまた自明の理であった。

 

「なんともまぁ信じ難い話だな。10代の少女が死を恐れず戦場に立とうとするなど」

 

ジューコフ元帥が呆れたように呟いた。

 

「それで、下がったウィッチ達の士気はどうすれば戻る」

 

アイゼンハワー元帥もなんとなくその答えを予想できているのだろう、ため息混じりに尋ねた。

 

「戦う場を与える、それもできる限り大きな作戦でです。そうすれば自然と士気は回復する事でしょう」

 

「つまり少将はオラーシャ奪還作戦でウィッチを多用しろと、そう言っているのか?」

 

「そうですジューコフ元帥。ウィッチの損失を抑える事ができる方法がありながら馬鹿馬鹿しいと思うかもしれませんがそうしなければオラーシャ奪還に際してウィッチ隊のからの十分な援護は期待できません」

 

エイラの発言にジューコフ元帥は頭を抱えた。

 

「ですがウィッチ隊を使う事にメリットが無いわけではありません」

 

エイラの言葉に疑うような視線が会議室中から向けられるがここで初めてマンネルヘイム元帥が口を開いた。

 

「ユーティライネン少将を信じないわけではないが魔導徹甲弾一発、気化爆弾一発よりも圧倒的に育成コストが圧倒的に高いウィッチを敢えて使うメリットが本当にあるのなら教えて欲しいものだ」

 

「メリットは主に二つ。一つは特に魔導徹甲弾に言える事ですが使用期限が短く生産後できる限り早く使わなければならないため作戦にゆとりがありません。しかしウィッチ隊なら作戦に柔軟性を持たせる事ができます」

 

どちらの兵器も使用期限が短く魔導徹甲弾など封入された魔法力が日に日に減っていくためできる限りすぐに使う事が望ましいが長年ネウロイに占拠されていたオラーシャで作成後早期に現場まで輸送できるかは疑問の余地がある。

 

「二つ目は展開速度です。陸をいくシュトゥルムティーガーの速度は不整地では24キロ、整地でも46キロほどと遅いです。しかも作戦結構時期が冬になる事から雪の影響を考慮すれば24キロなど到底出せるはずがなく陸においてシュトゥルムティーガーは使えないと見て間違いありません」

 

オラーシャ製であれば積雪の中でもある程度の行動が出来たであろうが生憎カールスラントの冬はオラーシャほど厳しくない。下手をすればオイルが凍って動かないと言う事態も予想できた。そしてそれはリベリオンでさえ同じであった。

 

「ネウロイ用気化爆弾もそうです。爆弾そのものはともかく運ぶための飛行機は雪の中での行動が困難になる事が予想できます。その点、数が少ないウィッチであれば既存の装備がオラーシャの冬に耐えられなかったとしても装備の換装は航空機よりもスムーズに行えます」

 

オイルが凍るのは何も戦車だけではない。リベリオンの航空機だって凍る可能性があるしそれはウィッチのストライカー・ユニットだって同じだった。

しかし物が小さいだけに輸送しやすいストライカー・ユニットはオラーシャの冬に強いユニット、つまりオラーシャ製のストライカー・ユニットを用意しておけば戦車や航空機よりも容易に交換する事ができる。

 

「では作戦決行を春先に変更すれば良かろう」

 

アイゼンハワー元帥の言葉にジューコフ元帥が苦々しげな顔で反応した。

 

「それはダメだ。我が国は今年冬に作戦決行する方向で動いてしまっている。こう言ってはなんだが大きく予定を変えられるほど今の我が国に余裕はないのだ」

 

いくらウラル山脈以東に工業を移転したとはいえそれは完璧ではなく移転当時はまず間違いなくネウロイ出現以前の方が工業力は高かった。しかし移転後もどんどん工業力を高めているため今では移転前に匹敵するのではないかと言われるほどの工業力を手に入れていた。

しかし製品の輸送能力が大きく落ちている事から今のオラーシャには柔軟に作戦を変更する事が困難だった。オラーシャの鉄道網はウラル山脈以西には十分に張り巡らされているが以東はそれほど鉄道網が揃っているわけではなく作戦実行には長い準備と緻密な輸送計画が必要だった。

 

「ユーティライネン少将の提言は一考に値する、と言うことでいいですかな?」

 

マンネルヘイム元帥がアイゼンハワー元帥とジューコフ元帥に尋ねると2人は渋々頷いた。

 

「ではオラーシャ攻略にはウィッチを主力とする方向で再調整を行うとしましょう」




ラル達に脅されたエイラが軍首脳部を脅すと言う不思議展開に……

ベルリンで気化爆弾の量が少ないのがずっと気になっていたんですけど多分理由って気化爆弾もなんなら徹甲弾もネウロイにしか効果がないならそんなに大きな生産ラインを作る必要がない、って言うのが理由な気がします。どうせ戦後は使えませんしね。
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