ダイヤのエースが飛ぶ理由   作:鉄玉

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話数の多い小説だと目的の話探すのに大変ですよね。最近そう思い立って機能提案のとこにページ分けられないか提案送ってみました。(本作から目を逸らしながら)


スオムス

マンネルヘイム元帥から呼び出されたエイラは久しぶりにスオムスへと帰還していた。オラーシャ奪還作戦までまだ時間があり少しばかり自由な時間を確保することが出来たためだった。

 

「久しぶりだなこうしてちゃんと話すのはいつ以来かな」

 

オラーシャ奪還作戦立案に際して根回しをする際に通話越しに話しているがお互い忙しくこうして面と向かって話すのは随分と久しぶりだった。

 

「ベルリン奪還よりも以前になると思います」

 

もちろん作戦会議の場などで顔を合わせる事はあるが事務的な会話が多かった。

 

「……そうだな、おそらくベルリン奪還作戦の発令直前。作戦延期をパットン将軍が提言した時以来だな」

 

マンネルヘイム元帥の言葉にエイラの表情は凍りついた。その時エイラは事故とはいえマンネルヘイム元帥を殴っていたからだ。

もちろん、事件の後謝罪は済ませているが再び蒸し返されると反応に困った。

 

「ちょっとした冗談だ。そう固くなるな」

 

被害者側がなんとも思っていなくても加害者側であるエイラにそれはわからない。それが自分の上官であればたとえ冗談だとしてもその話を蒸し返されるのは心臓に悪かった。

自分の冗談が受けなかった事にマンネルヘイム元帥は気まずそうに咳払いをすると口を開いた。

 

「この戦いが終わった後になるが軍隊を新たに創設することが決定した」

 

「軍を創設というとリベリオンのように海兵隊でも作るつもりですか?スオムスではそれほど必要性が高い部隊だとは思えませんが」

 

「今回の戦争でのウィッチの活躍は凄まじかった」

 

その言葉にエイラは顔を顰めた。

 

「まさかウィッチを軍として独立させるという事ですか?」

 

「そうだ。既に引退したウィッチを中心にその土台となる部隊を編成している」

 

「真意を教えてください。ウィッチを戦争の道具にするつもりですか?」

 

エイラが睨みつけるとマンネルヘイム元帥は肩をすくめた。

 

「どちらかと言えば逆だ。ウィッチが活躍した事は事実だが軍としては使いにくいと言わざるを得ない。陸、空軍の指揮下で使うよりは専用の軍隊を創設して指揮系統、補給系統ともに別物にした方が何かと都合がいい」

 

ウィッチ隊は他の部隊と違い上位下達が徹底しているとは言い難い。それが普通の軍人には扱いにくさに繋がっていた。連合軍ではウィッチ隊司令を設置しエイラがそれを務めているがウィッチ隊の指揮系統を完全に別物にした結果連合軍はウィッチの対応に頭を悩まされることがなくなっていた。

 

「連合軍に提案したウィッチ隊の指揮系統の独立は上手くいった」

 

「元帥が提案した事だったんですか?」

 

「スオムス軍内でウィッチ隊を独立させるにあたりモデルケースが欲しかったからな」

 

さらりと連合軍を実験台に使ったというマンネルヘイム元帥にエイラの顔が引き攣った。

 

「それをアイゼンハワー元帥達は知っているんですか?」

 

「ウィッチ隊の運用に頭を悩ましていたのは皆同じたからな。簡単に食いついてくれた」

 

つまるところはなんの説明もせずに案だけを伝えたという事だった。

 

「これが連合軍でそれがうまくいけばリベリオンもウィッチ隊の独立を考えるという事をアイゼンハワー元帥も言っていたし仮にスオムスが戦後直ぐにウィッチ隊を独立させても何も文句は言われんさ」

 

そういう問題では無いとエイラは思ったがここで話の腰を折る事も無いと思いその事は指摘しなかった。

 

「既に土台となる部隊は作られているという話ですけどどんな部隊なんですか?」

 

「陸、空軍から引退したウィッチを集めウィッチ隊の補給、養成を担当さしている。飛行学校も士官学校もその部隊の指揮下に組み込んでいる」

 

「それってウィッチに関わる業務の殆ど全部なんじゃ……」

 

「ウィッチ隊の指揮権は所属する部隊の指揮官にあるからまだ全部じゃない」

 

連合軍では指揮権含め全てがエイラの指揮下にあるためその点がスオムスと連合軍では違うがそれ以外は独立した部隊と見てよかった。

 

「ちなみに君の元同僚なんかも所属しているぞ。元二十四戦隊隊長のルーッカネン中佐やあとは飛行学校の教官だったニエミネン中尉。他にも戦争初期にスオムスを支えたウィッチ達が多数在籍している」

 

ニエミネン中尉事はミッコは最後にエイラと出会った時に軍を辞め軍関係の仕事に就くと言っていた。これでは軍を辞めていない事になりエイラはその事を疑問に思った。

 

「ニエミネン中尉は軍を辞めた時いたんですけど」

 

「厳密には軍属になっているから軍は辞めている。というか殆どの引退ウィッチの扱いは軍属だ。後々この部隊が独立しなかった時、軍に所属したままでは問題があると判断したからな。その点軍属であれば契約を切ればいいだけだから面倒がない」

 

「契約を切ればいいだけってちょっと薄情じゃ無いですか。先ほど元帥が言った様に戦争初期を支えたウィッチ達ですよ」

 

「もちろん次の仕事先の面倒は見る。だがやはり軍所属したままだと簡単に辞めさせることができないのが問題になる。スオムス軍に引退ウィッチを多く抱える余裕はないからな。それは君もわかっているだろう」

 

「それはそうですけど……」

 

「それに連合軍での試みが成功したおかげで彼女達を再び軍に所属させることも可能になる。結果的に成功したわけだからいいじゃないか」

 

エイラが何か言いたそうなするのを遮りマンネルヘイム元帥はそう結論付けた。

 

「戦後の話になるがこの部隊を独立させた時、仮称ウィッチ軍とでもしようか。ウィッチ軍のトップにはユーティライネン少将、君が就く事になる」

 

「了解しました」

 

スオムスウィッチの中で最も階級の高いエイラがその地位につく事は至極当然のことでエイラはさして驚いた様子も見せずに頷いた。

 

「だが一つ問題がある」

 

「わたしに何か不手際でもありましたか?」

 

エイラの不手際といえばやはりベルリン奪還前の暴力騒動だがそれはあの場に居合わせた全司令官の不手際であり既に隠蔽されているため今のエイラにこれといった落ち度は無いはずだった。

 

「少々階級が高すぎるな。ウィッチ軍の規模であれば大佐クラスでも十分務まる。この戦争が終われば功績から言って中将あたりに昇格してもおかしく無いし順当にいけば平和な時代でも大将までは確実だろう」

 

「第四の軍としては司令官が将官でなければ格が落ちるんじゃないですか?」

 

基本的に各国の軍隊に上下の違いはない。全て同格でありそれぞれに指揮権を有し他の軍からの介入はあり得ない。

 

「同格にしてはいざ戦争となった時に他の軍と同じ様に扱わなければならなくなる。年若い少女達を戦力とみなすのはいかがなものかと思うが?」

 

「同格で無いとなれば他の軍からの要請に対してウィッチは拒否がしづらくなるのでは無いですか?」

 

「だがその場合司令部は作戦を立てる時ウィッチだけを特別扱いはしなくなる」

 

どこかウィッチを気遣う様なマンネルヘイム元帥の言動にエイラは苛立ちを見せた。

 

「今更それを言いますか。本当にウィッチの事を、年若い少女達を戦場に出したくないと考えるのであればウィッチ軍など創設しなければいいだけでしょう。いいや、それどころかウィッチの存在自体を軍から消して仕舞えばいい。それをしない時点で貴方のその気遣いはただの自己満足に過ぎないんじゃないですか」

 

エイラの言葉にマンネルヘイム元帥は一瞬反論する姿勢を見せたが直ぐに大きなため息を吐いた。

 

「確かにそうかもしれない。だが私にはスオムスを守るために努力する義務があるしそのための労力を惜しむべきでもない。今更ウィッチを軍から追放するなどできるわけがない」

 

「傲慢ですね元帥」

 

その言葉にマンネルヘイム元帥はエイラを睨みつけた。

 

「一体私のどこが傲慢だというんだ」

 

「どう足掻いても元帥が現役でいられるのはこの戦争が終わるまでです。戦後の事はわたし達次の世代の仕事であり戦後に作られるウィッチ隊の運用についてもわたし達の仕事です。それを奪い取ろうという貴方を傲慢と言わずしてなんと言えばいいんですか」

 

その言葉にマンネルヘイム元帥は驚いた表情を見せると暫くして笑い出した。

 

「そうか傲慢か。そうかそうか……」

 

ひとしきり笑うとマンネルヘイム元帥は再びエイラに視線を向けた。

 

「君がそう言うのならこれ以上ウィッチ軍について考えるのはよそう。後の事は次世代に託すとしよう」

 

そう言ってマンネルヘイム元帥は再び笑い声を上げるのだった。




黒海沿岸、クリミアとかってどんな感じなんですかね。
505の撤退以来特に触れられてないっぽいし情勢がよくわからない。クリミアあたりにネウロイの巣あったりするのかな。
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