ダイヤのエースが飛ぶ理由   作:鉄玉

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最近ちょっと忙しいんでもしかしたら更新が滞るかもしれません。


ヴァシリー攻略作戦

ヴァシリー攻略作戦当日、エイラはサーニャと共に攻略部隊主力の上空で507部隊を率いてヴァシリーを眺めていた。

 

「ネウロイの巣を全軍ではなく一部の部隊で相手して他の部隊は無視して前進。昔はこんなこと考えられなかったし未だに目の前の光景が信じられないな」

 

「それだけウィッチ達の実力が上がったのか、それとも人類がネウロイに対抗できる兵器を用意できるようになった事が原因なのかどっちなのかな」

 

エイラの呟きにハッセが答えた。

 

「正直ウィッチの実力そのものが上がったとはわたしには思えないな。むしろ性能のいいストライカーができて単純な実力は下がったんじゃないか?」

 

「私達が闘い始めた頃でさえ一撃離脱は主流な戦法だったけどユニットのスピードがあの頃とは段違いだからね。逃げ切れずにドッグファイトに持ち込まれる事も少なくなったしなによりウィッチの数が段違いだから個人の実力はそれほど重視されない。個人の実力で捩じ伏せるドッグファイトは過去の異物なのかもしれないね」

 

「だけど最近のウィッチの連携がすごくいいかって言われると簡単に頷く事はできないな。促成教育の弊害で実力が低いウィッチも増えてるしそれを支えるベテランの数も減っている。ユニットで誤魔化しているだけな気がするな」

 

「エイラは今の状態が良くないと思っているの?」

 

サーニャが問いかけた。

 

「そう言うわけじゃないけど……」

 

「今回の作戦でウィッチの損耗率が高くなったわけでもないんだよね?」

 

「むしろ少ないくらいだな。みんなやる気も十分だしユニットもいいのを履いてるから被弾自体が少ないな」

 

ハッセの問いかけにエイラが答えた。

 

「だけどもしかするとこの戦争、ここがウィッチが全力を発揮できる限界のラインなのかもしれないな」

 

「どう言う事?」

 

「ウィッチはそれほど実力のない新人が増えてそれを支えるベテランが減っている。ウィッチの性質からしてベテランは時が経てば経つほど減っていく。もちろん新人はいずれベテランになるけど今ベテランと呼ばれる奴らは皆んな大戦初期の苦難を生き延びた奴らだ、実力は十分ある。だけど今の新人が成長したとしてそこまでの力があるかと言うと……」

 

エイラが懸念しているのは促成教育を受けたウィッチが部下を指揮する立場になった時、今のベテランウィッチほど上手く指揮できないのではないかと言う物だった。

 

「まぁないだろうね。戦術面が大戦初期とはだいぶ変わっているとは言っても指揮官としての心構えとかは覚悟とか、そんなのは変わらない。大戦中にウィッチになった子の中には拒否権のないスカウト、実質的な徴兵でウィッチになった子も多い。ウィッチとしての覚悟も、部下を率いて戦う覚悟もない子も多いだろうね」

 

「そうだな。新人でも実力が信頼できるのはナイトウィッチだけどできればあの教育を全ウィッチに対してしてほしいよな」

 

「スオムスはナイトウィッチいないけどね」

 

「そうだな。……そうだ! この戦争が終わったらサーニャスオムスに来いよ!!」

 

さもいい考えだとばかりにエイラは言った。

 

「スオムスに?」

 

「そうだよ。なんならオラーシャ陸軍からスオムス軍に移籍すればいいんだ。わたしはサーニャと一緒にいれるしスオムスはナイトウィッチを手に入れられるし最高じゃないか!!」

 

本来国籍が変わると言うのは煩雑な手続きが必要だがスオムス最高のエースウィッチであり順当にいけばスオムス軍内で最も影響力を持つ事ができる可能性のある人物の1人だ。エイラより若い将官はなく上官も殆どが高齢でしばらくすれば将官の中でも最も序列が高くなる事は間違いない。その時政治面に対してどれほどの影響力を持つ事ができるかは未知数だが現段階においてもマンネルヘイム元帥経由で人1人分くらいの戸籍を用意するのは容易だろうと考えていた。

 

「戦争が終わればわたしは両親を探して一緒に住むつもりだからそれは無理よ」

 

「そういえばそうだったな。わたしもできる限り手伝うけど流石に戦争が終われば一緒に行動は難しそうだしなぁ」

 

エイラとしては一緒にサーニャの両親を探す旅に出たかったがエイラの立場がそれを許さない。できるとすれば今この戦争中に時間を見つけて探しにいくくらいのものだった。

 

「エイラ、地上部隊が攻撃を開始するみたいよ」

 

エイラの呟きに応える事なくサーニャは魔導針を瞬かせ司令部からの通信を伝えた。

 

「始まったか」

 

「私達がの出番かな?」

 

「スオムス軍の24戦隊を中心とした北方方面軍精鋭部隊による漸減が終わったからだな」

 

ハッセの問いかけからエイラは冷静に答えた。

 

「作戦を伝えられた時にもあったけどさ、それされたら私達が出撃する事なく終わっちゃうって」

 

この作戦を伝えられた時、ハッセは24戦隊の運用方法について見直すよう要求していた。24戦隊を率いた経験のあるハッセはその強さをよく知っていたし507の脆弱さもよく理解していた。しかして

 

「否定はしない。だけどアイツらもこれまで散々ヴァシリーに痛い目見せられてきたからな。できる限り参加させてやりたい」

 

「私だって24戦隊だよ」

 

「指揮官だろ。ちょっとは我慢しろよな」

 

不満そうな表情を浮かべるハッセをエイラは諌めた。

 

「それにそれを言ったらわたしだって24戦隊だ」

 

「だから同じ24戦隊としてちょっとくらい便宜を図ってくれてもいいんじゃないかな?」

 

「仮にもウィッチ隊の総指揮官がそんな事できるわけないだろ! わたしをここに捩じ込むので精一杯だよ!!」

 

そう叫んでからエイラはハッとしたように口に手を当て咳払いをした。

 

「と、とにかく……」

 

「エイラ、不正をしたの?」

 

「じょ、冗談だよサーニャ。それにここにわたしがいないといけないのは事実だし……」

 

サーニャの厳しい視線にエイラはたじろいだ。

 

「よく考えたらエイラが前線に立つ理由はないわ。指揮するだけならわたしの魔導針があれば十分戦場を把握できるしここで指揮能力に影響するような事をする必要はないわ」

 

痛いところをつかれたエイラはサーニャから視線を逸らした。

 

「ところでハッセ」

 

「エイラ!」

 

「だってさぁ、普通にやったらアイツらに勝つのめちゃくちゃ難しいじゃん」

 

サーニャの怒気に縮こまりながらエイラは言った。

 

「エイラが卑怯なことをしないとあの2人に勝てないとは思えないわ」

 

「普通に戦えばな。わたしは指揮官だからどうしても直接戦闘が少なくなる。これくらいの小細工は許してくれてもいいじゃんか」

 

「それはダメだよイッル」

 

エイラの弱音を許さなかったのはハッセだった。

 

「スオムスのトップエースが卑怯な手を使ってハルトマン、マルセイユの2人に勝ったなんて悪評が立てばスオムスのウィッチはイッルを許さないよ。今回の戦いは全ウィッチが注目してるんだからさ」

 

「なんでわたしが勝負してる事知ってんだよね

 

「有名な話だよ。主にマルセイユと501のヴィルケ隊長経由で情報が拡散されたから知らない人の方が少ないよ」

 

エイラは知る由もないがウィッチの間、特にベテランウィッチの間ではこの戦いは賭け事の対象になっている。ナイトウィッチを介して各地のウィッチと連絡をとりオッズまで決めると言う厳格さを持ってウィッチ達は固唾を飲んで見守っている。

一番人気にハルトマン、二番人気に主にバルトランドやスオムス、オラーシャと言った北国のウィッチからの支持でエイラがつき三番人気にマルセイユがつけている。大穴四番人気には参加していないバルクホルンの名が上がり五番人気以降にはその他501部隊のメンバーの名も上がっている。

 

「嘘だろぉ」

 

「ほんとだよ。だから卑怯な手を使って無効勝負にでもなったら大事だよ」

 

ちなみにハッセはエイラに賭けているため無効になったら困る立場にある。

 

「ラプラなんかもきっと怒るよ」

 

ちなみにラプラはかなりの額をエイラに賭けている。

 

「ラプラ怒ると超怖いんだよなぁ」

 

エイラ自身一度ニパと一緒になってラプラにちょっかいをかけ怒られた事があるがそれ以来二度とラプラを怒らすまいと心に誓っている。

 

「だけどもうここまで来た以上は仕方ないだろ」

 

「そうだけど指揮官であるイッルは後ろで控えていてよね。507の指揮官は私なんだからさ」

 

「はいはい。近くに来たやつだけ相手することにするよ」

 

仕方なくエイラはそう言った。

 

「じゃあそろそろいい頃合いだし、行ってくるね」

 

「頑張ってスコア伸ばしてこいよ〜」

 

そう言ってヴァシリーに突入するハッセにエイラは手を振った。




507、ハッセ以外も出そうかと思ったんですけどやっぱりイマイチキャラが掴みかねていたんで今回は見送りました。プリクエルだけだとキャラが掴みきれなかったので。
ですがそのうち出したいなとは思っています。
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