今回については後で見直して大幅改稿する可能性があります。
長年北方方面軍を苦しめ続けていたヴァシリーが破壊された意義は大きかった。以前、エイラ達がモスクワを奪還すべく作戦行動を起こした際にはこのヴァシリーを迂回すると言う手段をとった。これは当時はまだネウロイの巣を破壊する手段がなかった事に起因する。それと同時にある程度の戦力があればネウロイの巣からの攻撃は防御できると上層部が考えたため迂回という選択肢を取ったがそれは間違いだった。
ネウロイの攻撃に対応する部隊が突破されるまてそう長い時間はかからず前進していたモスクワ奪還作戦の主力部隊は分断された。この事から北方方面軍がモスクワを奪還するには絶対にこのヴァシリーを破壊する事が絶対条件となっていたが今回それが達成された事で北方方面軍がモスクワに向かって進軍する事ができるようになった。
「ようやくミンスクに辿り着いたわね。北方方面軍は既に一つネウロイの巣を破壊したというのに随分と遅れてるんじゃないかしら」
ミーナ大佐が不甲斐なさを嘆いた。
「そうでもないさ。ワルシャワからミンスクとペテルブルクからノヴゴロドじゃあ倍以上距離の差がある」
「そうだけど……」
「最初から北方方面軍の方が先に巣を破壊するのは分かりきってた事だろ。距離的にモスクワに近いのは北方方面軍の方だったし数は少ないけど精鋭揃いの北方方面軍が北からモスクワに圧をかけて主力の西方方面軍の作戦活動を支援する。北方方面軍が順調なのはいいことじゃないか」
だいぶマシになったとは言えスオムスに100万人を超える軍隊を維持するだけのインフラはまだ整っていない。もし整っていたら連合軍はスオムスから主力を送り込む事を企図していただろう。かと言ってスオムスよりもインフラの整ったペテルブルクというのもあまりにもネウロイに近く準備段階で物資を焼き払われでもしたら目も当てられない事から万全を期して北方が主力となる事は見送られたという経緯があった。
「ミンスクにあるネウロイの巣。あれもヴァシリー同様迂回するのよね?」
「当然だろ。そういう作戦なんだから」
「破壊するための戦力は……」
「506になるかな」
ミンスクにあるネウロイの巣はただの通過点に過ぎない。こんなところで統合戦闘航空団の中でも特に精鋭である501と502を消耗させるわけにはいかなかった。
「マルセイユさんが怒りそうね」
ゲンナリとした様子を隠そうともせずにミーナ大佐は言った。
「そうだな。だけど作戦上仕方のない事だろ」
「……エイラさん貴女やっぱりこれがわかっててヴァシリーの攻略に参加したんじゃないの? 自分だけスコアを伸ばすために」
「参加したけどスコアが伸びてない時点でその説は破綻してるだろ」
確かにエイラは自分だけが参加した利用してスコアを伸ばそうと試みたがそれはサーニャによって阻止されていた。
「サーニャさんに何か言われたんじゃないの?」
図星だった。エイラと親しい人物ならばエイラがサーニャに頭が上がらないのはよく知られている。そして意外とエイラがちゃっかりしているのもエイラと親しければよく知られている。
「そ、そんなわけないだろ!」
明らかにサーニャに何か言われたとわかるエイラの反応にミーナ大佐はため息を吐いた。
「そんなわかりやすい反応されてはいそうですかってなるわけないでしょ。サーニャさんにはなんて言われたの?」
「サーニャには正々堂々戦ってほしいって言われた」
「私からもお願いするわ。卑怯な事をしたらマルセイユさんがうるさいから」
ミーナ大佐はホッとしたように息を吐いた。
「心配しなくても当分はそんな事しないよ」
「そうしてちょうだい。そもそもエイラさんなら卑怯な事をしなくても勝つ見込みは十分あるでしょう」
「わたしは指揮官だからあの2人より戦闘機会が少ないから勝率は下がるぞ」
元々3人の実力に大きな差はない。仮に全員が最前線でスコアを競い合った場合ネウロイとの遭遇率が悪かった誰かが負ける事になる。
そして今回、エイラはその機会を減らされるという大きなハンデを背負う事になるためそれを少しでも軽くするために卑怯な手法を使うつもりだったのだ。
「元々五分五分くらいだったのが少し下がったくらい誤差の範囲じゃない」
「その少しが大きいんじゃないか」
「そもそもマルセイユさんにそれを抗議したら公平な案を出してくれそうだけど……」
「敵相手にそんなカッコ悪い真似できるかよ」
ミーナ大佐から顔を背けるとエイラは吐き捨てるように言った。
「敵って……同じウィッチなんだから味方同士でしょ」
「今回はマルセイユもハルトマンも競争相手、つまり敵だ」
「そんな極端な考え方しなくてもいいじゃない」
「極端なもんか。アイツら、いやマルセイユだってそう思ってるはずだろ」
「それは……そうかもしれないわね」
ハルトマンはその限りではないがマルセイユに関しては今回のエイラ同様勝負ごとには戦力を出す傾向にある。
エイラ自身元々それほど勝負事に必死になるタイプではないがマルセイユの挑発になった結果普段よりもかなり好戦的になっていた。
「生憎わたしはハルトマンみたいにアイツの戯言を見逃せるほど大人じゃないからな」
「エーリカはめんどくさがってらだけだと思うけど」
「それでも受け流せてるのには変わらないだろ」
「あれは受け流せてるとは違う気がするわ」
3人とも何かしら欠点はあるがミーナ大佐自身は3人の中だとエイラが一番人としてできていると思っていた
「階級的にも立場的にも一番上のエイラさんが自重しないとあの2人は自重なんて知らないから好き放題するわよ」
「別にいいだろ。なんなら3人の中じゃ1番年下だしな。多少子供っぽいくらいでいいんだよ」
「それはそうだけど立場っていうのは年齢よりも優先されるべきじゃないかしら」
「坂本少佐の扶桑には年功序列って言葉があるらしいぞ。つまり年齢こそ至高、年齢は何よりも優先される。つまりわたしが3人の中で一番子供っぽくても当然だろ」
意外かもしれないが3人の中だとハルトマンが一番年上でマルセイユとは8ヶ月ほど生まれに差がありマルセイユとエイラだと2ヶ月程しか差がない。
「それはそうかもしれないけどエイラさんとマルセイユさんって誕生日が2ヶ月くらいしか変わらなかったわよね」
当然隊長であるミーナ大佐が知らないはずもなくエイラとマルセイユとだと歳の離れ具合は誤差だと指摘した。
「それでもわたしの方が年下なのには変わらないだろ」
「それはそうだけどマルセイユさんの子供っぽさは折り紙つきよ。それにエイラさんの方が軍歴自体は長いじゃない」
「軍歴と年齢は関係ないだろ。そんな事より今一番の懸念事項はこのままだとわたしが負けるって事だ」
内心どうでもいいと思いながらもミーナ大佐は務めて深刻そうな表情を作った。
「そうね。なら3人全員が参加できている戦場でのみスコアをカウントするようにすればいいんじゃないかしら」
「それだとわたしが逃げたみたいじゃないか。ダメだな」
今度はめんどくさいと露骨に表情に出た。
「逃げてもいいじゃない。無理なことは無理なんだから」
「そんなわけにはいくかよ。アイツに笑われるだろ」
普段は飄々としているのにこんな時に限ってプライドの高さを発揮するエイラにミーナ大佐はとうとう露骨に大きなため息を吐いた。
「ため息吐く事はないだろ。エースウィッチなら多かれ少なかれプライドってのは持ってるもんだろ」
「そうだけど今回はそれほど必死になることなのかしら」
「……スオムスのウィッチが期待してるんだよ。もしわたしが負けるような事があればどんな目に遭わされるかわかったもんじゃないんだよ」
恐怖から肩を振るわせるエイラにミーナ大佐は哀れみの視線を送った。
「エイラさんも大変なのね」
「そうだぞ。なんせスオムスのトップエース、英雄的な扱いを受けてるからな」
胸を張るエイラにミーナ大佐エイラのスコア自体は世界でも有数のエースウィッチであるという事を思い出すと同時に相応にプライドを持っていた事に内心驚いていた。
普段のエイラは飄々としていてプライドなど感じさせなかった。しかし今のエイラはエースウィッチの多くがそうであるように己のプライドを全面に押し出し相手をねじ伏せるべく行動していた。
「エイラさんの考えはわかったわ。だけど貴女は連合軍のウィッチ全ての指揮官、相応しい行動が求められるわ」
「安心しろよな。ちゃんと他の奴らの前では相応しい振る舞いをするから」
内心疑いながらもミーナ大佐はその言葉にそれならいあのだけどと言い頷いた。
原作におけるエースウィッチについて。
実はバルクホルンとハルトマンの間に大きな実力差があるのではないかと思っているんですけど皆さんはどうですか?
ハルトマンがサボってる時は当然バルクホルンが上ですけどハルトマンが真剣だとバルクホルンを圧倒できるのではないかと思っています。固有魔法的にもハルトマンの方が優秀ですしね。同じようにエイラ、マルセイユあたりも固有魔法的にバルクホルンよりも強そうですよね。