ダイヤのエースが飛ぶ理由   作:鉄玉

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ネウロイって結局何なんだ?


ネウロイとは

ネウロイは果たして生物なのか否か。それは遥か未来においても評価の分かれる事である。しかし当時モスクワにいた人々の多くはネウロイが生物か否かという問いかけに対して生物であると答えている。

モスクワにある強大なネウロイの巣の陥落を前に黙って見る事なくまるでスズメバチに襲われるミツバチの如く必死に抵抗するその姿を見た彼ら彼女らはその姿に必死に生きようとする生物の片鱗を見た。そして同時にその質問には生物ではないのならば一体何なのだという質問が返ってくる為多くの学者はそれで口をつぐんだ。

 

「ねぇエイラ、結局ネウロイってなんだったのかしら」

 

目の前で次々と数を減らしていくネウロイを見ながらサーニャが尋ねた。

 

「人類の憎むべき敵、なんて言葉が聞きたいわけじゃないんだろ?」

 

エイラの問いかけにサーニャは頷いた。

 

「ネウロイについて正確に分かってる奴なていないんじゃないかな。どこからともなく現れてわたし達に大きな被害を与えた正体不明の生物。それ以上の評価はできないな」

 

一体この時代の誰がネウロイについて正確に評価できるというのか。実際に戦うことの多いウィッチ達でさえネウロイが何で何処から来たのか分かっていない。後方でネウロイの事を研究する学者達はそれ以上に酷い。彼らがネウロイを実際に見る機会は一切なく机上論で話を進めるだけ。

元々は生物学者や物理学者と言った理系分野が中心となった集まりだったネウロイの研究も今では社会学者達が中心となって議論を続けている。理系の学者達は早々にネウロイが生物か否かの議論を切り上げネウロイのビームや装甲、飛行能力などを有効活用する事を考える方向に切り替えたからだ。

 

「時々研究者がわたしに意見を聞きにきたりするけどそんなのわたしが聞きたいくらいだよ。というかそもそもそれを知るのが役目のくせに何言ってんだよっ感じだよ」

 

「人類の中で一番ネウロイの事をよくわかっているのはウィッチだと思うわ。だからその中で一番偉いエイラに話を聞くのは不思議じゃないわ」

 

サーニャは知らないがエイラはスオムスにいた頃、ネウロイのコアを手に入れるべく1週間ほどネウロイの勢力圏で単独行動をした事がある。

サーニャには生物かどうかという質問のわからないと答えたがスオムスでの経験からエイラは一部のネウロイには人と同じような思考能力があるのではないかと考えていたがほとんどのネウロイはおよそ生物らしくない行動をする事が多い。その為エイラ自身一部のネウロイに対して生物であると考えながらもその一部をどう分けるべきなのか決めかねていた。

 

「そうかもしれないけどさ。そもそもわたし達にネウロイが生物かどうかなんて関係のない話だし正直聞かれても困るんだよな」

 

エイラ自身ネウロイが生物なのか、それともそれ以外の何かなのか興味がないわけではないがそれはネウロイに勝った後でも考えられる事であり今すぐに知りたいことではなかった。

 

「サーニャはどう思うんだよ」

 

「考えた事ないわ。ネウロイが生物かと言われるとそれは多分違うと思うしだからと言ってネウロイが何なのかと聞かれてもうまく答えられないわ」

 

「わたしもそうだよ。もしかしたらネウロイは生物とかそれ以外の何かとかじゃなくネウロイって一つの括りにまとめた方がいいのかもな」

 

実のところエイラのこのセリフは的を得ていた。遥か未来においてはネウロイは生物ではなく便宜上ネウロイと一纏めにされ一つの学問として成り立っている。もちろん中にはネウロイを生物という者も存在するが大抵の場合ネウロイとは生物ではなくネウロイという新たな概念として扱われている。

余談だがネウロイ打倒後にもネウロイ以外にも現在では俗に怪異と呼ばれているものはいるがあまりにもネウロイが有名になりすぎるたため誰1人として怪異と呼ばずそれらはネウロイと呼ばれる事になる。

 

「まぁ、そんな事はこの戦いが終わってから考えよう。差し当たってわたしに必要なのはそのネウロイの撃墜スコアだ」

 

「前線はサーシャさんが指揮していわ。今エイラが出ていけば指揮系統が混乱するわ」

 

「どうせモスクワは1日や2日じゃ奪取できやしないんだ。そのうちわたしと交代するはずだよ」

 

モスクワはベルリンの時とは違い巨大な巣が一つしか無い。しかしその代わりその規模に相応しい数のネウロイが存在していていくら人類側がベルリンの時以上の戦力を用意していたとしてもモスクワの奪還には数日がかかると予想された。

 

「そんな話は聞いてないわ」

 

「直前にした偵察した航空写真を精査したら思ったよりもネウロイの数が多かったんだ」

 

事前に漸減作戦を実施していた為ネウロイの数は減っているはずだった。しかしモスクワに元々いたネウロイの数が想定よりも多かった、あるいはネウロイの生成速度が速いようで現在モスクワ周辺のネウロイの数はそれほど減っていなかった。

 

「多分統合戦闘航空団含む作戦参加予定のウィッチ全てを使って少しずつ戦線を押し上げる事になると思う。地上のネウロイも強力なのが防空陣地を作ってのが確認できたから地上攻撃のスペシャリストを呼ぶ事になったよ」

 

「対地攻撃……最近は対ネウロイ用気化爆弾が主流になっていたわよね?」

 

「それで倒せれば良かったんだけど奴ら、どうも気化爆弾を無力化するために半分くらい地下に潜ってコアに攻撃が届かないようにしてるみたいなんだ」

 

対ネウロイ用気化爆弾は広範囲にネウロイに効果的な特殊な化学物質をばら撒くがそれらはネウロイ全体に降りかかる事による面制圧でコアを破壊する。その為コアが完全に地中に埋まっていると気化爆弾の効果が薄く防空のために地上に出している部分以外を破壊する事が困難になっていた。また地上に出ている部分も比較的すぐに回復して再び対空戦闘能力を取り戻すため気化爆弾の効果は薄かった。

 

「ウィッチによる対地攻撃なら多少地下に埋まっていてもコアを吹き飛ばす事ができる。ましてやそれが対地攻撃のスペシャリストであれば是非とも一緒に飛んでみたいな」

 

「そんなにすごい人達なの?」

 

サーニャがウィッチとして戦って始めた頃、すでにガリア北部は陥落していて対地攻撃を仕事とするウィッチはほとんどいなかった。ドーバー海峡を渡ネウロイには対地攻撃ではなくサーニャやエイラと同様のウィッチが対応したため対地攻撃の必要性は薄れたからだ。同じようにオラーシャでもウラル山脈のおかげで地上を移動するネウロイは少なくスオムスにおいては専門職ではなくエイラやサーニャと同様のウィッチが必要に応じて対地攻撃をするという形をとっていたためサーニャは尚更対地攻撃を仕事とするウィッチにあった事がなく噂で伝え聞くくらいのものしかしらなかった。

 

「わたしもそんなによく知ってるわけじゃ無いけど地上のネウロイに対してビームを避けたりシールドでガードしながら突っ込まないといけないからわたし達以上に被弾しやすいらしいぞ。実際世界最高って言われる対地攻撃のスペシャリストは全身傷だらけらしいぞ」

 

「治したりしないのかしら。そんなにすごい人なら芳佳ちゃんくらいの治癒魔法の使い手を近くに置いていてもおかしくなさそうだけど……」

 

対地攻撃を専門に行うウィッチは年々減少傾向にある。しかし熟練で実力の高い対地攻撃ウィッチは作戦の要所要所で求められるため重宝される。サーニャの言う通り最近の彼女には近くに強力な治癒魔法の使い手がいるとされているがカールスラント軍の内部事情であるためエイラも詳しくは知らなかった。

 

「まぁいずれにせよ近々合流予定だしその時に詳しい実力は見せてもらおう」




対ネウロイ用兵器が主流になれば地上攻撃を主任務とするウィッチって仕事無くしそうだなと思ったので今回の話は書きました。
まぁ、実際のところはコストとの兼ね合いになりそうな気がしますけどどうなんでしょうかね。普通にある程度の数を確保しとく気もしますし気化爆弾とかを重視するなら護衛ウィッチをたくさん用意したいから対地攻撃は減らしてその分護衛の育成に回すとかしそうな気もする。どっちなんでしょうか。
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