ダイヤのエースが飛ぶ理由   作:鉄玉

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なん最近寒くなってきましたね。自分は年末に風邪ひいて喉の調子がすこぶる悪かったんですけど皆さんも気をつけてください。


最後の一押し

モスクワ奪還作戦開始から1ヶ月。モスクワ奪還作戦は膠着状態に陥っていた。モスクワ郊外は比較的簡単に突破できたが市街地に入って以降ネウロイの抵抗は強固なものになった。小さな子機を建物内に潜ませ迎撃するゲリラ戦術。地中に潜った子機が突如爆発し周りを吹き飛ばす地雷型ネウロイ。

圧倒的優勢だった航空ウィッチもネウロイ側のモスクワ中心部からの砲撃で稼働率を大きく下げた。ネウロイは砲弾を子機運搬の為の装置として用いる事で人類の防衛網を突破し後方に大量の子機をばら撒く事で兵站、及び航空支援の為の基地に大損害を与えた。

 

「あと少し、あと少しなのに……!」

 

「ウィッチの稼働率は3割以下。おかげで対ネウロイ用気化爆弾で道をこじ開けようにも護衛がいないから爆撃機が羽虫の如く撃ち落とされる。何か手を打たなければモスクワの奪還は遅々として進まんな」

 

悔しげに呟くエイラにそう言ったのはマンネルヘイム元帥だった。

 

「まさかここに来てネウロイがこうも効果的な抵抗をするなど誰も予想できませんでした。ここから作戦を修正しようにもモスクワの奪還が数ヶ月単位で遅れるのは間違いないでしょう」

 

ブラッドレー中将が言った。

 

「本国の連中がこの戦いの後を見据えて行動を始めているのは周知の事実だと思う。仮にモスクワ奪還に時間がかかるようなら世論も政治家連中もいい顔をしないだろうな」

 

アイゼンハワー元帥がため息混じりに言った。

 

「我がカールスラントでもそれは変わらんでしょうな。皇帝陛下は比較的軍部の行動に関して寛容なお方ですが最優先は国民の生活を戦前に戻す事です。必要以上にこの戦いが長引くようであればいい顔はしないでしょう」

 

「我が国は昨年末にあった選挙で選出された新首相閣下が軍部の予算を減らすことを明言された。今後は戦後を見据え国民の生活を豊かにすべく社会制度の拡充を目指すそうだ」

 

吐き捨てるように言ったのはブリタニアのモントゴメリー元帥だ。

 

「未だネウロイの脅威は現実のものとして残っていると言うのに気が早いことですな」

 

マンネルヘイム元帥が言った。スオムスにおいては隣国であるオラーシャがネウロイの脅威に晒され続けている為油断できる状態にはない。カールスラントも状況は同じではあるがノイエカールスラントという保険とスオムスよりも強大な国力がスオムスほどの警戒を必要としない根拠になっていた。

 

「我がスオムスは他の比べて国力が小さい。今の規模の軍隊はかなり無理をして出しているから長引くようであれば我が国は破綻しかねん」

 

戦争特需とも言うべき好景気でスオムス経済は大いに発展した。しかし元々の人口が500万人程度と少ない中30万人を超える兵力を動員している。それだけではなくこれを支える非戦闘員などを合わせればその数は50万人を超える。人口の1割を超える動員をかけた上で残りの人口を軒並み労働力としたスオムスの経済成長将来的に破綻することは目に見えていた。それがいつになるか、マンネルヘイム元帥にもエイラもわかり得ないがこの状態をできるだけ早く終わらせた方が良いと言うのスオムス首脳部の共通認識だった。

 

「……ここにオラーシャの人間がいないことを幸運に思うべきかもしれんな」

 

アイゼンハワー元帥の呟きに会議室な視線が集まった。

 

「一度戦線を後退させ戦力の再編を図るべきかもしれない」

 

「それはオラーシャを見捨てると言うことでしょうか?」

 

机の下で拳を握り締めながらエイラは尋ねた。

 

「そうではない。再編が終わり次第再度奪還作戦を発令する」

 

「それをするだけの物資が再度集まるとお思いですか?」

 

防衛をするにしても攻勢をするにしても物資を消費するが一度により多くの物資を消費するのは当然攻勢に出る時だ。人の心理として一度大量の金と物資を投入して失敗した以上及び腰になることは必定、ましてやそれが他国のためとなれば金と物資を浪費することに馬鹿馬鹿しさを覚え攻勢計画に必要な物資を政府が出し渋ることは十分に考えられた。

 

「いずれ集まるだろう。いつになるかはわからんがな」

 

そしてそれはアイゼンハワー元帥もよく理解していた。元々ネウロイの脅威を直接受けていたわけではないリベリオンは早々に厭戦機運が高まることは容易に予想ができたことであった。

ネウロイに勝てそうになっている今、自国軍がしたと敗北と受け取れるような行動を起こせばそれ以降の軍事行動に対して疑義を呈し軍事行動に制約を受けることは間違いなかった。

 

「現在人類は優勢ですがそれはいつひっくり返ってもおかしくありません。ましてや東方方面軍にのみ負担を押し付けるようなことになれば益々その可能性は高まるでしょう」

 

サーニャの為にオラーシャをできるだけ早く奪還したいエイラはアイゼンハワー元帥の考えを翻させるべくそう言った。

 

「仮に前線後退し戦力を再編するとなれば我がスオムスは手を引かざるを得ない。先の見えない戦争に協力し続けられるほどスオムスに余裕はない」

 

エイラの発言を後押しするかのようにマンネルヘイム元帥がそう言った。

 

「北方方面軍の主力であるスオムスが抜けてはモスクワ奪還のための戦力が不足しますな」

 

マンシュタイン元帥が言った。

 

「マンネルヘイム元帥の発言は軽率ではないですか? まるで我々を脅しているようだ」

 

モントゴメリー元帥が言った。

 

「私はただ事実を述べたまでです。それにスオムスのような小国の戦力などブリタニアやリベリオンのような大国からすればあってもなくてもあまり変わらんでしょう」

 

仮にここでスオムスが抜けても連合国はその代わりの戦力を用意することはできる。しかしそれには今以上の金と物資がかかる為そんな事はしたくないと言うのが本音だった。

 

「いやいや、スオムスの働きは実に大きい」

 

「アイゼンハワー元帥にそう言われるととは嬉しいですな。しかし現実問題として我がスオムスはその働きを続ける事は困難になりつつあります。できるのであれば戦線の後退などせずに今回の攻勢で決着をつけてしまいたい」

 

オラーシャでの戦いが長引く事はスオムスにとって大きな負担となる。マンネルヘイム元帥はその負担を軽くする為に今回の作戦での決着を望んでいた。

 

「しかし現実問題として戦線は膠着しこのままではいずれ攻勢限界に達する事は目に見えています。無茶をおっしゃらないでください」

 

アイゼンハワー元帥がマンネルヘイム元帥を宥めた。

 

「ふむ、無茶か。どう思うかねユーティライネン少将」

 

突然話を振られた事に内心驚きながらもエイラはマンネルヘイム元帥の意図を考えた。スオムスが苦しい事は事実だがすぐに破綻を迎えるかと言えばそうではない。しかし未来に目を向けた時その破綻具合を少しでもマシなものにする為にもできるだけ早く手を引いた方が良い事は紛れもない事実だった。

 

「どの国にとっても戦争が長期間続く事はデメリットしかありません」

 

違いますかと問いかけると皆一様に頷いた。

 

「である以上は早期決着の為に行動する事が最善でしょう」

 

「現実を見ろユーティライネン少将。ウィッチの稼働率は3割程度。お陰で前線部隊は敵の爆撃を受けた放題、爆撃機も迎撃され放題。最低限ウィッチの稼働率をなんとかしない事にはどうにもならんよ」

 

「この停滞の原因の一つはウィッチ隊司令官である貴官らウィッチが上手くネウロイを迎撃できなかった事にあるんだぞ」

 

モントゴメリー元帥が語気を強めた。

 

「申し訳ありません。そこでわたしに一つ提案があります」

 

エイラの提案は実に単純なものであった。

 

「この際運用するウィッチ隊を統合戦闘航空団及び一部のエースウィッチに絞り集中運用しましょう。その上で戦線の一箇所に集中投入して無理矢理モスクワへの道をこじ開けましょう」

 

「正気か? それが失敗すればただでは済まんぞ。最悪奪還したオラーシャ領を放棄して撤退する事になりかねんぞ」

 

アイゼンハワー元帥が言った。

 

「このまま撤退するくらいならそちらの方がまだマシです。我々の首は飛ぶかもしれませんが代わりに本国にネウロイの脅威を再認識させる事ができます」

 

戦線整理のために後退しても得るものは何もないが無理にでも攻勢にに出ればウィッチや兵士に犠牲は出るだろうがなんらかの成果は得る事ができる。その犠牲さえこのままズルズルと戦争が長引く事に比べれば微々たるものだった。

 

「それにウィッチに関しては失敗はあり得ません」

 

「なぜそう言い切れる」

 

モントゴメリー元帥が尋ねた。

 

「わたしが自ら前線に立って戦うからです。他にもハルトマン、マルセイユと言ったエースウィッチもいます。どうして失敗するなんて思えるんでしょうか?」

 

想定外の言葉に元帥達は顔を見合わせた。エイラの提案は元帥達に後退という考えを撤回してもいいと思わせるに足る提案だった。




ジェットストライカーたいレシプロストライカー。まともにぶつかれば前者が勝つんでしょうけど固有魔法込みだとどうなるんですかね?
エイラの未来予知とか機体性能対して関係なさそうだしマルセイユあたりの固有魔法も関係なさそう。実はストライクウィッチーズの世界、ウィッチによってはあまりユニット性能気にしなくても良いのでは?
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