ダイヤのエースが飛ぶ理由   作:鉄玉

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確か今のパソコンを買ったのが2017年の四月とかでした。流石にi3のノートパソコンを7年も使えば買い替え時ですよね。
ほんのちょっとの調べ物にも使えなくなってきました。年末か決算セールかを狙ってちょっと安く手に入れたいですね。できればi7くらいが嬉しいんですけど……
ちなみに執筆作業はスマホを使っているので特に影響はありません。


司令部直撃

順調に進んでいたペテルブルク臨時政府との戦闘は、翌日にペテルブルクへの総攻撃を控えたその日、急展開を迎えた。突如ペテルブルクより一人のウィッチが飛び立った。そのウィッチは、ニパが率いる第28戦隊の担当区域に侵入すると、同戦隊の第二中隊の追撃を受けたがそれを振り切った。そのまま司令部までの防衛戦を突破すると、司令部があるミッケリまで一直線に迫ってきた。

 

「スクランブルだ! 上がれ!!」

 

司令部は阿鼻叫喚の様相を呈していた。ペテルブルク臨時政府にはそれほど多くのウィッチが所属しているわけではない。ましてや、スオムスの精鋭部隊を突破できるほどのウィッチなど存在していないだろうというのが、スオムス軍の予想だった。そのため、司令部近辺に配置された防空部隊は旧式のレシプロ戦闘機を装備した空軍の戦闘機と、上がりを迎えたウィッチにより編成された一個中隊しかなかった。

唯一の救いは、このウィッチ隊がジェットストライカーを装備していることだが、ここまで無傷で突破してくるウィッチを迎撃できるとは到底思えなかった。

 

「わたしのストライカーを持ってきてくれ!」

 

この場で、いやスオムスで最も強いウィッチがエイラだ。エイラ自身はいまだにジェットストライカーを装備していなかったが、レシプロストライカーでも固有魔法を使えば大抵のウィッチ相手に打ち勝つ事ができる。

 

「無理だよイッル! 間に合わない!!」

 

司令部まで一直線に向かってきたと言っても、行動全てを監視できていたわけではない。数度、見失いながらも点在するレーダーによりミッケリに近づいている事を確信できたのは、つい先程のことだった。

 

「全員退避!」

 

ハッセの言葉に、エイラは決断を下した。このままでは防空部隊が上がる前にウィッチは到達するだろう。ウィッチ一人が持てる対地兵器の量など知れている。ミッケリはネウロイとの戦争でも司令部として利用されたため、防空壕などの施設も整っている。この際全員避難して攻撃を耐えた方が被害が少なく済む可能性があった。だがその判断は遅すぎた。

 

「視認できる距離にいるウィッチから、それもジェットストライカーを履いたウィッチから逃れるなんてこの距離だと時間が足りない!!」

 

エイラ達軍の首脳陣が集まり、翌日に攻勢計画を控えていたタイミングでの司令部強襲は被害の程度によってはスオムスの敗北に繋がる。

そして、それは現実のものになりつつあった。

 

「イッル危ない!」

 

滑走路の脇、ハンガーの前にいるエイラに、敵のウィッチが真っ直ぐ突っ込んで来るのを見てハッセが警告を発するが、エイラは動かなかった。いや、動く必要がなかった。

真っ直ぐに突っ込んできたウィッチは、轟音と共に金髪を靡かせながらエイラの目の前に停止した。

 

「久しぶりですね」

 

そう言ったのはエイラもよく知る人物、第502統合戦闘航空団の戦闘隊長を務めていたサーシャだった。

 

「会えて嬉しいよ」

 

ウィッチの姿を目視で捉えた時、エイラはその姿がサーシャであるとはっきり認識していた。それ故、ハッセからの警告に従う事なく、その場に立ち尽くしたのだ。もっとも、その姿が見えた時には避けようがないという事情もあったが。

 

「取り敢えずこれつけてくれ」

 

そう言ってエイラが出したものは、二つの鉄の輪が鎖で繋がれたものだった。

 

「まさかそういう趣味が?」

 

エイラは初め、何を言われているのか理解できなかった。少しの間を置いてその意味を理解すると、ため息を吐いて彼女の名前を読んだ。

 

「サーシャ、わたしとお前は友人関係にあるけど、現在においては敵の領土から飛んできた推定敵のウィッチだ。拘束するのは当然だろ」

 

「そんな真面目に言わなくてもわかってますよ。冗談です」

 

苦笑を浮かべながら言うサーシャに再びエイラはため息を吐いた。

 

「お前はラルと違って真面目だからな。冗談かどうか分かりにくいんだよ」

 

「ラル隊長と比べたら誰でも真面目になりますよ」

 

そう言いながらサーシャは両手を差し出した。

 

「それもそうだな」

 

差し出された両手首に手錠をかけると、エイラはハッセに声をかけ空いている部屋へとサーシャを誘った。

 

「それでサーシャはどうしてあんな事をしたんだ」

 

サーシャを部屋に連れ込んだ後にもたらされた報告によると、スオムス側の被害は殆どないことが分かった。そしてその被害の大半は、スクランブルなどで慌てた結果起きた人災であった。

 

「おかげでニパの奴はまたストライカーを壊したんだぞ」

 

そして案の定と言うべきか、ニパはまたもやストライカーユニットを破壊していた。ニパ自身はサーシャの通った飛行航路から離れた場所に配置されていたが、応援として駆けつけるために出撃しようとした。しかしニパが離陸しようとした瞬間、何故かストライカーユニットが爆発してニパは大怪我を負う事になった。ニパ自身は固有魔法で簡単に治るが、ストライカーユニットは今のスオムスにとって貴重だ。オラーシャからの供給はなく、ブリタニアやリベリオンから購入しようにも外海に繋がる道は全て閉ざされている。唯一、バルトランドを経由すれば可能だがストライカーユニットのような高価なものを、ほんの少し前まで敵だったバルトランドを経由して輸送するのはリスクが大きすぎた。

 

「ニパさんがストライカーを壊すのはいつもの事じゃないですか」

 

「それはそうだけどさぁ」

 

ニパがストライカーユニットを壊すのがいつも通りと言うのにエイラも異論はない。だからと言って、今回の件にサーシャの責任がないとは言えないが。

 

「私の履いてきたストライカーをニパさんにあげてください。MiG-15ですから役に立つと思いますよ」

 

「一度こっちで調査してから、ニパに送るよ。まだお前が味方と決まったわけじゃないからな」

 

そう言いながらも、エイラはサーシャが敵対するためにきたのではないだろうと思っていた。敵対するつもりであれば、わざわざミッケリまで来て何もせずに捕まる事はないだろう。形式上、取り調べはしなければならないが、形だけで終わらせるつもりだった。

 

「さて、私がどうしてこんなことをしたのかでしたね。それを話すにはまず今まで私が何をしていたのかを話さないといけませんね」

 

それは、エイラにとって驚きの内容だった。

 

「お前が甘んじて監禁される事を受け入れるなんてな。見たところ、報道されてたみたいに魔法力を失ったわけじゃないんだろ。どうして隠してたんだよ」

 

「簡単に言うなら、私が引退する条件だったんですよ。この他にも国外渡航の禁止や、国内の移動もペテルブルクから離れる時は行き先を報告する義務がありました」

 

サーシャの言葉に、エイラは納得したとばかりな頷いた。

 

「スオムスに来なかったのもそれが理由か。原因はお前の固有魔法か?」

 

「そうです。オラーシャは私の故郷ですし裏切るつもりなんて毛頭なかったんですけどね」

 

「ふーん。なら、今私がオラーシャに関する事を聞いても答えないんだな」

 

スオムスとしてはサーシャが持つ知識を、オラーシャの機密情報は是非とも手に入れたいものだった。だが、サーシャ本人が拒むのであれば、ペテルブルク臨時政府に関する情報だけでも仕方がないとエイラは思った。

 

「いえ、オラーシャだろうがペテルブルク臨時政府だろうが、エイラさんが望む情報であればなんでも話しますよ」

 

「……オラーシャを裏切る事になるぞ」

 

サーシャが味方し、情報を提供してくれるのであれば心強い。だが友人として、サーシャが故郷を失う事になるのは望んでいない。

 

「構いません。スオムスに亡命をするというのに、なんの代償も無しというのは無理な話でしょうから」

 

「亡命してくれるのか!?」

 

サーシャがここに来たのは、この内乱が終わるまでの間、スオムスに保護を求めているのだとエイラは考えていた。サーシャがオラーシャ、厳密にはペテルブルクに愛着を持っている事は彼女と親しい人物であれば誰もが知ることであったからだ。

それでもサーシャにスオムスに来るよう伝え続けていたのは、ひとえに彼女の身を案じていたからこそだった。

 

「ペテルブルクは、502のみんなで取り返したあの地は、祖母の家だけでなく502やエイラさん、サーニャさん達たくさんのウィッチ達との思い出もあります。今後スオムスにペテルブルクが帰属するのであれば、私は喜んでスオムスに味方しますよ」

 

「……まだペテルブルクがスオムスになると決まったわけじゃない」

 

「私にまで隠し事をしないでください。ムルマンスクとペテルブルクを手に入れればスオムスは他の列強に左右されないくらいの力を手に入れることができます。だからこそエイラさんはオラーシャ侵攻を計画したんでしょ?」

 

何故かオラーシャ侵攻がエイラの意思で決行されたかのように思われていた事に、エイラは頭を抱えた。サーニャの時もそうだったが、自分はそんなにも悪辣な人間だと思われているのだろうかと少し落ち込んだ。

 

「あのな、オラーシャ侵攻はわたしの意思じゃない。スオムス政府からの命令があったからだ」

 

エイラの言葉に、サーシャは怒ったような表情を浮かべた。

 

「エイラさん、さっきもいいましたけど私に隠し事はしなくていいんですよ」

 

エイラはサーシャの誤解を解くのに意外と長い時間を要することになるのだった。




ブレイブ2期とかしてくれないかなぁ。
それはともかく、ふと思った事が医療系ウィッチって後天的になれるんですかね。何かでペリーヌの実家が魔法医で、ペリーヌもそれを継ぐつもりだったとか。
あとそれともう一つ、意外と治癒魔法使えるウィッチ多くないですか。すぐに思いつくだけでも宮藤、ジョゼ、フェルと三人もいますし、固有魔法の中では多い方なんでしょうか。
ちなみに記憶が確かなら空間把握が二人(ミーナとゴロプ)なんかもう一人いた気がしなくもないけど、記憶違いかも?
偏差射撃も二人ですね(ラルとマルセイユ)ハッセもそうだと思ってたけど違いました。
強弱はあれど、使える人が意外と多いのが治癒魔法かもしれないですね。
ちなみにナイトウィッチはさらに多く確認されていますけど、医療ウィッチと言うものがあるあたり医療ウィッチの総数はナイトウィッチに負けず劣らず多そうですね。
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