ブレイブ二期とかやって盛り上がらないかなぁ
ペテルブルクでの市街戦に突入してから一週間、スオムスは意外な苦戦の中にいた。
「敵の配置は私が伝えたのと変わりはないみたいですが、これは長期戦を覚悟した方がいいかもしれませんね」
「質的にはスオムスが大きく凌駕しているけど、市街地特有の入り組んだ地形が思いの外、防衛に向いていたな。おまけにブービートラップもあるとくれば、警戒のためにも進軍速度は遅くせざるを得ないか」
「まさか、市街戦というものがこれほどまでに難しいものだとは思いませんでした」
科学技術が発展し兵器が強力になった分、特に力の弱いものを相手にした時の戦争というものは、容易に決着がつきやすくなると言うのが主流の考えだった。
戦車や大砲、機関銃といった強力な火器が大量に使える者が有利であり、持たざる者はただ蹂躙されるのみ。戦場によっては多少苦戦することはあれど、強大な側が圧勝するだろと。しかし、ペテルブルクでの戦闘はそう簡単にはいかなかった。
「森林みたいに見通しが悪くて、防衛側が有利。その上建物内に潜まれれば簡単に背後から攻撃する事ができます。建物一つ一つを慎重に調べないと簡単に敗走する危険があります。かと言って建物を爆破して強引に進むわけにもいきませんしね」
もししようものなら私は全力で止めますけどと、サーシャは小さく呟いた。エイラとしても、無辜の市民を巻き添えにする事は望んでいない。もしそんな提案をされても受け入れるつもりはなかった。
「バルトランドとの戦争でも、ストックホルムで市街戦みたいな事はしたけど、ペテルブルク臨時政府と違って重要施設がどこか分かっていたからな。空挺で簡単に制圧できた」
「ペテルブルク臨時政府は、一応市役所に司令部を置いているようですけど……」
サーシャが監禁されていたのが、ペテルブルクの市役所だった。そこが司令部であることは、脱出する際に探索して分かっていた。しかし今も市役所に司令部機能がある自信はなかった。
「政府なんて名乗っているけど、国としての規模はバルトランドよりもはるかに小さい。政府としての機能も、多分それほど大きくはないだろうし、政府機能の別施設への移転はそれほど難しくないだろうな」
「それにバルトランドの時は、完全な奇襲だったようですし、今みたいにスオムスがペテルブルクに肉薄している状況では、空挺での奇襲なんて尚更難しいでしょうね」
「ペテルブルク臨時政府の航空戦力がいくら小さいとはいえ、戦力を集中すればスオムス空軍を撃退できなくもないからな」
ペテルブルク臨時政府は航空戦力を保有しているが、規模はスオムス以上に小さい。
オラーシャ空軍の基地がペテルブルクの周辺にあったため、その戦力をあてにしていたが、その多くはパイロットが機体ごと本国へと引き上げてしまい、ペテルブルク臨時政府の思惑とは裏腹に、空軍の戦力は殆ど残っていなかった。
「だからこそ、今はペテルブルク周辺の空軍基地制圧のために部隊を派遣しましたし、じきにその効果が現れるはずです」
ペテルブルク臨時政府は保有する戦力の殆どをペテルブルクの防衛に割いている。ペテルブルク以外の支配地域であれば、比較的簡単に獲得できるはずだ。
「プルコヴォの飛行場を無力化しないと意味ないだろ」
プルコヴォはペテルブルクの中心地から程近い場所にあり、そこには飛行場が存在した。いくらペテルブルク周辺の飛行場を無力化しても、一番無力化しなければならない対象を逃しては意味がなかった。
「爆撃も野戦砲も、ウィッチのシールドで防がれてしまいますからね。ペテルブルク臨時政府は、少ないウィッチを重要施設の防衛に使う事で、スオムス相手に効果的な防衛戦を展開しています。ウィッチをどうにかしないと、飛行場の無力化は困難です」
ネウロイのビームすら防ぐ事のできるウィッチのシールドを、通常兵器で破壊するのは容易ではない。現状、シールドは同じウィッチが魔法力を使って突破する以外に方法がなかった。
「大国ならウィッチが疲弊するまで、砲弾と爆弾の雨を降らせるって事もできるんだろうけどな。生憎スオムスの国力じゃあそんな事はできない」
「多少時間はかかりますが、地道に地上から近づいて制圧する。これが一番確実な方法ですね」
「この場合でも、ウィッチによる妨害は考慮に入れる必要はあるけど、専門家の陸戦ウィッチをぶつければなんとかなる」
基地を守るシールドを張るのは航空ウィッチだ。彼女達は空の専門家であり、陸の専門家ではない。当然陸戦用のストライカーユニットを履けば、陸戦もここなすことができるが、本物の陸戦ウィッチの手にかかれば簡単に制圧される。
「問題は陸戦ウィッチが出てきた時ですね。ユニットはスオムスのものよりも良いものが多いですから、まともにぶつかれば負ける可能性は高いです」
スオムスは航空ウィッチのためのストライカー・ユニットは、最新のものを取り揃えているが、陸戦ウィッチに関してはそうでもない。もちろん、最新のものもいくらか存在しているが、主力はネウロイとの戦争後半でよく使われていた各国のストライカー・ユニットだ。戦後に開発されたものはほとんどなかった。
「新型の導入が空と比べて遅れているのは事実だけど、それが必ずしも新型を装備した敵に劣るって訳じゃないぞ」
空と違い、陸で最新型の導入が遅れているのにはアウロラの影響があった。彼女はストライカー・ユニットを履かずに多くのネウロイを葬り、彼女の薫陶を受けたウィッチ達もまた、ストライカー・ユニットを履く事にこだわらなかった。結果として、スオムスの陸戦ウィッチはストライカー・ユニットという外付けエンジンを使わず、自らの身体能力と魔法力を最大限に活かして戦う事を好む事になった。
それはエイラのような航空ウィッチからすれば常軌を逸した行動であり、特に最近の若い航空ウィッチの一部では野蛮人と、面と向かって罵られる事さえある始末だった。しかしこれもまた、アウロラの影響だろうか。罵られても笑ってヴィーナを飲んで許す。そんなおおらかな性格の者がスオムスの陸戦ウィッチには多かった。
「ストライカーを履かずともあれだけの実力があるんだから、ストライカーを履けばもっと強くなれると思うんだけどなぁ」
エイラとしては、様々な恩恵を受けられるストライカー・ユニットは必須と言えるものだが、姉アウロラはそうではなかった。それは、アウロラが物資不足の中、ストライカー・ユニットに頼らず戦い続けた事から来るものだったが、物資不足でありながら比較的優遇されていた航空ウィッチだったエイラからは考えられない思想だった。
「飛ぶためにストライカーが必須ではない、陸戦ウィッチらしい考えですよね」
サーシャも、スオムスの陸戦ウィッチがストライカー・ユニットをあまり好んでいない事は知っている。オラーシャ陸軍にも一定数同じような陸戦ウィッチはいた。ストライカー・ユニットを好まない陸戦ウィッチが大多数を占めるのはスオムスくらいのものだったが、その考え自体は珍しいものではなかった。
「まったくだよ。できればペテルブルク臨時政府のウィッチもその考えだといいんだけどな」
「同じ条件なら、スオムスの陸戦ウィッチの方が強いと思っているんですか?」
「当然だろ。スオムスの陸戦ウィッチはストライカーを履かない事を前提にした訓練も重視してるんだ。ペテルブルク臨時政府っていっても、その根底にあるのはオラーシャ式だからな。ユニットのないもの同士での戦闘なら負けることはないさ」
オラーシャは他の国と比べてると、陸戦ウィッチを重視している国だ。もしもを想定してストライカー・ユニットを履いていない時の戦闘訓練をしている可能性はあるが、わざわざそれに重点を置くことはないだろう。
「それもそうですね。物資が枯渇気味なペテルブルク臨時政府相手なら、本当にユニットを履いていない陸戦ウィッチ同士の戦いが見られるかもしれませんし、その時はスオムス軍の陸戦ウィッチ達の勇戦に期待しましょう」
「姉ちゃん仕込みの陸戦ウィッチがペテルブルクの連中を見事粉砕してくれるはずさ」
ペテルブルクへの攻勢から時間が経つにつれ、ペテルブルク臨時政府の物資は減っていく。補給の見込みのないペテルブルク臨時政府相手なら、ストライカー・ユニットを履いていない陸戦ウィッチ同士の戦いは現実味のある話だった。
今週は二つくらい後書きのネタを思いついたはずなんですよね……これ書く時には全部忘れてたけど。
て事で捻り出しました。ウィッチの魔法力ってなんなんですかね。専用の臓器があって、中身から普通の人と違うのか、それともマジでよくわからない何かから、どうやってか知らないけど魔法力が生まれているのか。はたまた使い魔との契約が重要で、使い魔=魔法力の源泉なのか。個人的に使い魔との契約が重要なのかな、と思ったりしました。
けどそうなると、今度は固有魔法が何由来なのか、使い魔由来なのかそれともウィッチ個人の資質によるものなのか。案外ウィッチって不思議なところが多いですね。