ダイヤのエースが飛ぶ理由   作:鉄玉

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もしかしたら前に書いたかもしれませんが、広告スキップ昨日の条件が緩和されました。多分去年末くらいだったと思います。これを機に小説投稿をするのもいいのではないでしょうか。特にストライクウィッチーズとか。
いや、まぁ初心者にオススメなのは艦これ、ウマ娘、東方project辺りのキャラ数が多くてストーリーの自由度もそこそこ高いジャンルなんですけどね。


名参謀

ネウロイとの戦争で幾人ものウィッチが名声を得た。それらの多くはネウロイを撃墜したと言う個人戦果からなるものであり、部隊の指揮や作戦の立案で名声を得たウィッチは数えるほどしかいなかった。エイラは個人の戦果と作戦立案の両方で高い評価を得た数少ないウィッチの一人であった。

戦後になりネウロイとの戦いが終結し、ウィッチの活躍機会が減れば自然とその評価を得る機会はなくなる。個人の武勲と作戦家両方の面で高い評価を少ない機会で得る事は難しく、戦後になって戦闘能力と作戦立案能力の両方が評価されるのは、戦中以上に極めて稀有な事例となった。

そんな極めて稀有な事例にスオムス軍のアレクサンドラ・イワーノブナ・ポクルイーシキンが当てはまった事はスオムスにとって嬉しい誤算だった。

 

「前線のニパさんからカールスラント軍の撤退を確認したと連絡がありました」

 

「おめでとうサーシャ。お前の作戦は無事成功したみたいだな」

 

「ありがとうございます。ですがこれは私の作戦を認めて支援してくれたエイラさんのおかげです。私の功績とはそれを認め実行したエイラさんの功績でもあります」

 

サーシャのらしくない慇懃無礼な言動をエイラは思わず鼻で笑った。

 

「わたしとサーシャの仲だろ。そんな他人行儀なのはよせよ」

 

「他人行儀と言われればそうかもしれません。ですがこれは紛れもない私の本心でもあるんです。亡命者である私がこれほどの功績を上げる事ができたのは私を信頼し用いてくれたエイラさんのおかげです。たとえ友人同士であろうとも、恩があるのならそれに報い感謝を示さないと私の矜持が許しません」

 

「らしくないぞ。それにまだ戦争は終わっていないんだ。そう言う事は全部終わってから言ってくれよな」

 

サーシャは真面目ではあるが、生真面目と言うほど真面目ではない。ここまで頑なな様子を見せる事にはわけがあった。

 

「かつて私は命を助けてもらったにも関わらず、そのお礼を直接言うまでかなりの時間を要してしまいました。こういうことは先に伸ばすとどんどん言い出しにくくなるものです。言える内に言っておくべきでしょう」

 

「……そうか。ならその恩に報いる為にもっと働いてもらうぞ」

 

「任せてください。差し当たっては後退するカールスラント軍に対する追撃と、私が前線で指揮する権限が欲しいのですが……」

 

サーシャはその風貌の性格に似合わず意外と交戦的な人物だ。第502統合戦闘航空団の戦闘隊長を務めたこともあってか、後方で指揮するよりは前線に出て直接作戦を指揮する方が得意だった。

 

「却下する」

 

エイラの言葉はサーシャにとって予想外のものだった。作戦を立案した時点では、追撃戦ではサーシャが24戦隊と28戦隊を指揮下に前線で追撃戦の指揮を取る事が盛り込まれていたからだ。

 

「サーシャ、いやポクルイーシキン魔導軍大佐は本作戦の立案に功績大として昨日付けで准将に昇進。そして本作戦の成功をもってして本日付けで魔導軍少将に昇進。同時にスオムス軍参謀総長の任についてもらう。参謀総長自らが前線で戦闘指揮を取るわけにはいかないだろ?」

 

「聞いていませんよ!」

 

「今言ったからな」

 

ネウロイとの戦争終結後、総司令官及び総参謀長は空席となっていた。バルトランドとの戦争が開始してからは総司令官にはエイラが就任したが、総参謀長は空席のままだった。ネウロイとの戦争後に多くの高級士官が退役した事で適任者がいなくなった事と、総動員後は前線指揮官が多数必要になったため、総参謀長職に相応しい人材を欠いていた事が原因だった。

 

「第一総参謀長は中将以上が就任する役職です。少将では階級が一つ低いのではないですか?」

 

「一つくらいなら問題ないさ」

 

「だとしても、亡命者の私が参謀総長なんて……」

 

「軍の総司令官であり、もうすぐ大統領になるわたしが認めているんだ。何も問題ないさ」

 

何の問題もない。それが嘘である事は言うまでもないが、現在軍の最高指揮官であるエイラと、現政府がそれを認めているは反論の余地がなかった。

 

「まぁ、納得はできないよな」

 

「当然です。この際エイラさんがどんな手段で政府に認めさせたのかは問いません。ですが私を総参謀長などと言う大層な役割を与えた理由だけでも教えていただけないでしょうか」

 

サーシャの質問にエイラは頷くと答えた。

 

「わたしの理由は主に二つある。一つはわたしが大統領になった時、おそらく最高司令官の職を返上しないといけなくなる。仮にも民主主義国家の元首が実働部隊の総司令官を兼ねるのは不味いからな。軍内部に目を光らせる為にも高官に味方がいた方がいい」

 

「なるほど。ですが軍高官でエイラさんの味方となれば、ハンナさんも魔導軍司令官の立場にあります。それで十分ではないでしょうか」

 

「確かにハッセでもいいんだけど、サーシャの方がそう言う事は得意だからな」

 

生粋のウィッチの前線指揮官のハッセと違い、サーシャは清濁併せ持つ柔軟さ事務処理能力、そして何より戦略眼がある。ハッセよりも強力な味方として軍内部を掌握できる事は疑う余地がなかった。

 

「否定はしません。ですが亡命者である私では軍内部に目を光らせるのにも限界があります」

 

「サーシャが特に気にかけなければいけないのは、これから合流するバルトランドと旧オラーシャ領土の兵士達だ」

 

「オラーシャはともかく、バルトランドもですか……」

 

旧オラーシャ領と違い、バルトランドの兵士達は比較的スオムスに対して好意的な反応を示している。それほど警戒しなければならない理由が、サーシャには思いつかなかった。

 

「現状大半のバルトランド兵士は好意的だけど、中には非好意的な奴も必ずいる。そいつらの炙り出しと監視にサーシャはもってこいだからな」

 

「なるほど。オラーシャからの亡命者である私がスオムスに否定的な立場を取れば周りに不安分子が集まってくる。それを一網打尽にしろと言う事ですね」

 

得心がいったと頷くサーシャをエイラは否定した。

 

「何もそこまでする必要はないさ。あくまでも監視だけだ」

 

炙り出しと監視をしろと言いながら、積極的にそれをする必要はないと言うエイラにサーシャは訝しげな様子だった。

 

「二つ目の理由だけど、これはわたしの個人的な気持ちになるんだけど、これまでのサーシャの働きに相応しいモノを用意したかったんだ。何か物でもよかったんだけど、ウィッチとして、軍人として一番分かりやすいモノが階級と役職、それと勲章だからな。すぐに用意できるのが前者二つだったから、それを用意したんだ」

 

「私は亡命者と受け入れられた時点で、エイラさんには返せないモノが一つ増えてしまいました。それを少し返せたくらいでお礼など……」

 

「わたしが感謝して、できればそれを形で示したいと思ったんだ。そんなこと言わないでくれよ」

 

今回の窮地をスオムスが脱したのは紛れもなくサーシャの功績であり、彼女がいなければスオムスはリバウを喪失していただろう。

 

「で、ここまでがわたしの事情だな」

 

しばらくの沈黙の後、エイラは照れ隠しをするかのように大きな声を出した。

 

「エイラさんの事情意外に私が昇進した理由があるんですか?」

 

サーシャの問いかけにエイラはあると断言した。

 

「簡単に言えば、政府側の事情だな。亡命者であるサーシャを昇進させる事で、有望な人材であればたとえ他国の人間であろうと重用するって事を内外に知らしめる目的があったんだ」

 

「カールスラントと違い本国で反乱が起きているオラーシャやガリアであれば、他国に疎開したいと考えるでしょう。その中にいる有望な人材を得る事が狙いですね」

 

「そうだ。まぁ、一番いい人材はリベリオンとか扶桑に取られるだろうけど、それでもスオムスにとっては得難い人材だ」

 

人口の少ないスオムスでは全ての分野で世界トップクラスの人材を得るなどという事は到底不可能だ。足りない人材は外部から求める事になるが、今の欧州情勢はそんなスオムスの思惑に合致していた。

 

「つまりスオムス政府にとって私は優秀な人材を得る為の餌ということですね」

 

「否定はしない。だけどサーシャが優秀だからこそ餌になり得たんだ。それは誇っていい事だぞ」

 

「全くもって嬉しくない評価のされ方ですが、そういう事でしたら昇進と総参謀長就任の件、謹んで受けさせてもらいます」




散々後書きのネタがないと詐欺してきましたけど、とうとう本気で無くなったかもしれない。というか無くなった。何か面白そうなネタがあれば是非教えてください。
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