ダイヤのエースが飛ぶ理由   作:鉄玉

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この間家で豚しゃぶ作ってゴマだれで食べたら全身蕁麻疹でました。
前々から豚しゃぶ食べた後に体が痒いなぁと思う事はあったんですけど今回ではっきりしました。多分ゴマアレルギーですね。


すれ違い

同じ目的を持っていても、それを達成するための過程と言うものが複数ある時に見解を統一する事は難しい。どんな方法にもメリットとデメリットがあり、それらがどれも同じくらいの時、人は最後に自分の好みで選択する事になる。

これまで協力してきた二人の関係にヒビを入れるのに、今回のド・ゴールの訪問は十分すぎる威力があった。ド・ゴールがペリーヌの屋敷を去り、ペリーヌが自室で一息ついた時のことだった。

 

「ド・ゴールさんはどんな条件を提示してきたんですか?」

 

リーネの問いかけはペリーヌにとって予想外のものだった。基本的にリーネは人が触れて欲しくない事に対して不躾に触れてくるような人柄ではない。

今回に限っては意外な積極性を見せたリーネに対して、ペリーヌはすぐに答えを返す事ができず、目線を逸らして沈黙する事で答えた。

 

「次の選挙への出馬と、当選したら閣僚ポジションを用意するとでも言われましたか?」

 

リーネの指摘は正鵠を射ていた。違いと言えば選挙前からド・ゴールの秘書として顔を売る事を提案されたくらいのもので、リーネの指摘したのと殆ど同じ条件を提示されていた。

 

「隠し事なんてやめてください。私とペリーヌさんの仲じゃないですか」

 

尚も沈黙を続けるペリーヌにリーネは語気を強めると、ペリーヌは再びリーネに視線を向け問いかけた。

 

「貴女なりの考えがあるようですわね」

 

士官でこそなかったが、リーネの頭は決して悪くはない。ペリーヌがド・ゴールから受けた提案を正確に予期できた事からもそれは明らかだ。そして同時にリーネがその提案に対して彼女なりの考えを持っているとペリーヌは信じて疑わなかった。

 

「……このまま現状を維持し続けていも破綻する事は目に見えています」

 

そしてリーネがまた考えが、ペリーヌのそれとは相容れないものである事は、彼女が積極的にその考えを示さなかった事からペリーヌには察しが付いていた。

 

「受けるべきだといいんですわね」

 

「ペリーヌさんは嫌でしょうけど、そうしなければ私達を頼ってここまできた子供達を見捨てる選択をしなければならないかもしれません」

 

リーネの言う事はペリーヌも承知していた。最初は数人だった子供達数は今では数十人にまで増えている。屋敷の大きさ的にはまだまだ余裕はあるが、財政面での余裕は日に日に無くなっていた。

 

「世界中から寄付は集まっていますけど、カールスラントやオラーシャに注目が向けられて減少しつつあります。初期の復興が終わってこれからと言う今こそ寄付や人手は欲しいものなのに……」

 

「ガリアは解放されて数年経ちますし関心も薄れているのでしょう。解放されてそう時間の経っていないカールスラントやオラーシャに注目が向けられるのは仕方のない事ですわ」

 

人類が初めてネウロイから領土を奪還した土地であるガリアは、人類の勝利の象徴であり、当初は数々の支援が各国からほどこされた。しかしカールスラント、オラーシャと開放された場所が増えるごとにその関心は薄れ支援も減少していった。

 

「それにどう足掻いても私達だけで全ての子供達の面倒を見る事はできません。遅かれ早かれ不本意な選択をしなければならない事は目に見えていた事ですわ」

 

ペリーヌは気不味そうな様子でリーナから目を逸らすと言った。

 

「子供達は他に頼るものがなく必死の思いいでここまでくるんですよ。その子供達を見捨てるんですか!?」

 

ペリーヌがたとえ入ったばかりの子供相手だとしても平等に愛情をもって接している事は疑いようがない。そんなペリーヌから見捨てるような発言が飛び出した事はリーネには信じられなかった。

 

「見捨てるわけではありません。他の余裕のある孤児院を紹介したり、連れていったりするだけですわ」

 

「私達を頼ってきているのに、他のところを紹介される子供達の気持ちも考えてください」

 

「考えた上での決断ですわ。寧ろ人が多くなりすぎて子供達一人一人にかける時間が減ってしまいかねない方が問題だとは思いません事?」

 

屋敷にはペリーヌ、リーネ、ルーデル、ニールマンの他にクロステルマン家に代々使えていた使用人が数名在籍している。そのうち子供達の面倒を積極的に見るのはペリーヌ、リーネ、ニールマンの三人だ。ルーデル以外は屋敷の管理などの業務があり、ルーデルは子供達に誘われれば子供達の遊び相手などをするが、基本的には好き勝手過ごしている、

 

「人を雇えばいいじゃないですか。幸い屋敷に空き部屋はたくさんありますし」

 

「手っ取り早く解決するのならそれもいいかもしれませんわね」

 

そんな簡単な事をペリーヌが思いつかないはずがなかった。思いついた上でそれをしたくないと思った事は、不満そうなペリーヌの様子からも明らかだった。

 

「不本意な事に私は知名度がありすぎますわ。邪な考えを持った人が私を害する為に子供達を利用しないとも限りません。人選はかなり慎重にしなければなりません」

 

端的に言うのであれば信用できる相手でなければ雇う事ができないと言う事だが、信用というものは会ってすぐに形作られるものではない。

 

「アメリーさんのように、現役時代の知人に協力してもらう手もありますが、皆さん今の生活がありますもの。簡単にはいきませんわ」

 

「だからと言って頼ってきた子供達を見捨てるなんて……」

 

「心苦しいですが、私達だけで全ての身寄りのない子供達を助ける事はできませんのよ」

 

ペリーヌだって全ての子供達に救いの手を差し伸べられるのであればそうしたい。だが現実問題として、それが難しい事なのはペリーヌ自身がよく理解していた。

 

「らしくないですね、ペリーヌさん。貴女の尊敬する人はウィッチに不可能はないと言っていたじゃないですか」

 

それは元第501統合戦闘航空団戦闘隊長、坂本美緒の言葉だった。

リーネの言葉にペリーヌは昔を懐かしむと、悲しげな笑みを浮かべた。

 

「あの頃はその言葉が持つ意味も、その熱量も正確に把握できていませんでしたわ」

 

「今はあの言葉を信じていないんですか?」

 

「そうではありませんわ。ただその言葉を口にする事を躊躇いを覚えてしまうだけですの」

 

躊躇いを覚える。坂本をの事となるとなんでも肯定していたペリーヌらしからぬ言葉だった。彼女が今も尚坂本を尊敬しているのは一緒に暮らしているリーネ早く知っている。それだけにその言葉から受けた衝撃は大きかった。

 

「もしかしたら、あるいは本当にウィッチに不可能はないのかもしれません。ですが、少なくとも今の私には全ての子供達を救うことはできませんのよ」

 

「だからこそ、ド・ゴールさんの要請を受けて国単位で子供達の救済に動けばいいじゃないですか!」

 

「……あまり国というものに幻想を抱きすぎない方がよろしいですわよ。国が関わるという事はその事業に関わる人間は膨大な数に登ります。さっき言った私にを害そうと企むものや、その機に乗じて必要以上に利益を得ようとする人も出てくるでしょう」

 

国が関わる事で汚職などの様々な不正が行われる事は想像に難くない。復興途中のガリアにはそれを排除する余裕もなければ、許容する余裕もない。現状ペリーヌ個人の力で孤児院同士を繋ぎ合わせ、より多くの子供達を救済する輪を広げる事が不可能ではない事から、国が関わる事を避けたいとペリーヌは考えていた。

 

「だとしても、より多くの子供達を救う為にそれは受け入れるしかないじゃないですか!」

 

「リーネさんの言い分は理解できますが、国に所属すれば救うべき対象は子供達だけで無くなってしまいます。今でささえ私の器量では過分な規模の事をしていますのに、これ以上は流石に不可能と言わざるを得ませんわ」

 

「不可能事を乗り越えてきたからこそ、今の世の中があるんですよ。私達はそれを成し遂げてきた側の人間なんです。今更不可能だなんて言わないでください」

 

不可能に思われたガリアの奪還を成し遂げたのが、かつてペリーヌ達の所属した501部隊だ。今回の困難くらいなら乗り越えられるとリーネは信じていた。

 

「……私が最も偉大だと思うウィッチは、ウィッチにも不可能はあると言っていましたわ」

 

「最も偉大なウィッチですか?」

 

どこかで聞いた事のある言葉だった。それが誰の言葉だったのか、リーネは直ぐに思い出す事ができなかった。

 

「ええ。ネウロイとの戦争で、最も多くの領土を取り返したウィッチです。私はこの言葉を直接聞いたわけではありませんけど、あの人らしい言葉だと思いますわ」

 

そう言われてリーネはこの言葉が誰の物なのか思い出すと共に、彼女のことをペリーヌが評価していた事に内心驚いた。

 

「エイラさんですね。たしか芳佳ちゃんが服部さんをエイラさんに紹介した時にそんな話をしたと聞いた気がします」

 

ウィッチとは不可能を可能にするものだと信じてやまなかった宮藤には余程の衝撃だったのだろう。当時501部隊に所属していた多くに宮藤はこの事を語って聞かせていた。

 

「だけどそれには続きがあるはずです。不可能はないと思う事で自分を鼓舞し、モチベーションを維持する為にもそう思う事は大事と続いたはずですよ」

 

「……そうですわね。ですが人が鰓呼吸をできないように、不可能な事は必ず存在しますわ。多分エイラさんのこの話も、宮藤さんと服部さんのモチベーションを下げない為に敢えてそう言ったんだと思いますわ」

 

「エイラさんがそう言っていたんですか?」

 

ペリーヌは直接聞いたわけではないと言った。なのに訳知り顔で話されては思わずそう尋ねずにいられなかった。

 

「いいえ。ですがその方が普段はともかく、軍事に限ってはクールなエイラさんらしいと思いません事?」

 

その問いかけに、リーネは何も返せなかった。確かにエイラらしいと思わないでもなかったし、なによりベルリン奪還前かつ宮藤の魔法力が不安定な状態にあった時期に、モチベーションを下げるような事をエイラが言うはずがないと半ば確信していたからだ。

 

「子供達の件も、ド・ゴールさんの件も結論を早くに出すに越した事はありませんが、幸いどちらもまだ余裕があります。リーネさんの意見も参考にしつつ、結論を出す事にしますわ」

 

話は終わりとばかりにペリーヌは強引に話を切り上げ、リーネに退室を促した。これ以上議論が進む事はないだろうし、何より子供達の面倒を見なければならない事もあり、リーネは渋々部屋を辞するのだった。




ふと思ったんですけど、魔法と聞いて思い浮かぶメジャーなのがストライクウィッチーズって少ないですよね。
例えば炎を操る系の魔法とかないですし、それ系だとペリーヌとハルトマンくらいでしょうか。
後は念動力系。サイコキネシスとか、テレパシーとか。

というか、そもそも偏差射撃とか射撃弾道安定とか現代風の魔法が多いあたり、固有魔法も現代に即してる物が残った、あるいは進化しているのかもしれませんね。
多分この二つは元々は弓矢とかに関係してた能力でしょうし、現代において使い勝手のいい物が残ってるのかなぁ
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