ダイヤのエースが飛ぶ理由   作:鉄玉

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誤字報告してくださった方々ありがとうございます。自分でも少しやったんですが最初の方とかあまりにも文章が拙くて(今もですが)恥ずかしくてなかなか進んでいなかったのですごく助かりました。
さて、今回は前回に続いてなかなかハードな感じになっています。それでもいいよという方はどうぞそのまま下にお進みください。


ティータイム

目に飛び込んできたのは医療用チューブと白い天井だった。

チューブをたどると一方は自分の腕に、もう一方は輸血バックにつながっていることを確認し、ここが病院であることに気付いた。

頭を打ったせいか未だにぼーっとする頭を何とか働かせようとしていると扉が開き看護師が入ってきた。

 

「目を覚まされたんですね。すぐに先生を呼んできますので待っていてください」

 

そう言って足早に去っていった。

大人しくベッドで待っていると直ぐに看護師が年配の男性を連れて戻ってきた。

 

「担当医のジョージ・カーティスです。少佐の怪我の状態について説明させていただきます」

 

カルテだろうか、手元の書類を見ながら話し始めた。

 

「少佐は今からおよそ10時間前に当院に運ばれてきました。怪我の状態は頭部に裂傷、左肩に銃創この二つはそれほど大きなものではありませんでした。ただ右足の出血が酷く、輸血を行いました」

 

カーティス医師が足の方に視線を向けながら告げた。

 

「足の状態ですが…」

 

そこで言葉に詰まり目を泳がしていた。

 

「足がどうかしたんですか」

 

これまでテキパキと傷の状態を伝えていたにもかかわらず、言い淀んだことに不安に思いながら尋ねた。

 

「…爆発に巻き込まれたせいか損傷がひどく、膝より下で切断しました」

 

「…せつだん?」

 

「はい。そのため入院期間は半月から一ヶ月ほどを見込むことになります」

 

これまで容易にできていた歩くという行為をできなくなる、その事に思わず叫びたくなったがそれをグッと堪えて最も大事なことを尋ねた。

 

「わ、わたしは…わたしはまた飛ぶ事はできますか?」

 

「私の専門ではないので確かな事は言えませんが、ストライカーユニットを履く事はできると思います。しかし飛ぶとなるとかなり難しいです。少なくとも私の記憶にある限りで飛べたという事例は聞いたことがありません」

 

それを聞いてエイラは少し安心した。

 

「よかった、それなら出来る限り早く治してください。早く飛ぶ訓練をしたいので」

 

「飛ぶ気ですか?」

 

「何か問題でも?」

 

「問題はありませんが、ただそう簡単には飛ぶ事はできないと思います」

 

問題がないのならいいだろうと思いながらもその理由が気になり続きを促した。

 

「注げる魔法力が違いすぎるのです。正常なウィッチならば両方のストライカーユニットにほぼ均等に魔法力を注ぐことができます。しかし片足が欠損していると欠損した側のユニットに対して同じ時間で半分以下の魔法力しか注げません。訓練により改善できる事はわかっているのですが、この実験をしたウィッチが言うには片足で歩きながらもう片方の足で走っているようなものであり、実戦など到底不可能だと言っていたそうです」

 

「何言ってんだそのウィッチ」

 

ふざけてるとしか思えない例えに思わずそう言っていた。

 

「それだけ難しいという事です。しかし少佐が飛びたいというのならできる限り協力させてもらいます」

 

他にも何か言いたそうなそぶりを見せていたが結局それ以上何か言う事はなかった。

 

「ありがとうございます」

 

その後診察をと輸血チューブを外してカーティス医師は部屋を出ていった。

 

足を見るためにシーツを捲ると膝より下がない包帯を巻かれた右足が出てきた。

 

「クソッ!」

 

実際に右足を見て自分の足がなくなったことの実感が出て思わず悪態をついた。カーティス医師の前では動揺こそしたが悲しんでいるそぶりは見せないように努めた。本当なら泣き叫んでしまいたかった。しかし、スオムス軍の参謀将校としての矜持が14歳の少女に人前で泣き叫ぶことを許さなかった。誰もいなくなった病室で彼女は一人涙した。

 

エイラの目が覚めると事件の捜査関係以外で初めに来たのはスオムス陸軍の駐在武官サーリネン中佐だった。

 

「そのままの体勢で構わないから聞いてくれ。ユーティライネン少佐、君には二つの選択肢がマンネルヘイム元帥より与えられている。一つ目は退院次第本国に帰国し中佐に昇進、カウハバのウィッチ養成学校で校長を務め上がりを迎えると同時に大佐に昇進の上で退役するコース。二つ目はこのまま任務を続行するコースだ」

 

「選択肢を用意してくれるとは元帥にしては親切ですね」

 

閑職に回されるか現状維持か、選ばせてくれるだけ今回の元帥は優しいと言えたがこの二択ならばエイラの答えは一つだった。

 

「このまま任務を続けます」

 

「本気か?それは茨の道だ私は帰国することを勧めるが」

 

エイラの答えが予想外だったのか少し目を見開いていた。

 

「このまま帰国してもわたしの目標が果たせそうにないので」

 

「目的?それは一体」

 

サーリネン中佐の質問を遮ってさらに言葉を続けた。

 

「それに元帥もきっとわかっていたと思います、わたしがこの選択をすると」

 

「少佐と元帥の間に何があるのか知らないがあまり無理はしないことだ。目的とやらを果たす前に死ぬ事になるぞ」

 

「ご忠告感謝します」

 

その程度の忠告で考えを変えるエイラではなかった。

サーリネン中佐も本気で意見を変えさせる気がなかったようでそれ以上は何も言わずに去っていった。

 

次に見舞いに来たのは、いや見舞いというと語弊がある。どちらかと言えば襲来というべきかもしれない。

 

「具合はどうだユーティライネン少佐」

 

その人物はお見舞品を机の上に置きながらそう言った。

 

「さっきまで良かったんですが今はあまり良くありません」

 

見舞いに来た人物、ブリタニア空軍大将トレヴァー・マロニーに言った。

 

「それは良くないな。すぐに医者に診てもらうべきだ」

 

「結構です。要件はなんですか」

 

察しはついているがあえて自分からは言わず尋ねた。

 

「分かっているだろう、例の契約についてだ。今回の少佐の襲撃事件は契約破棄の条件に一致すると我々は考えている。よって、私としては非常に残念だがこれからは今までのような付き合いはできない」

 

「そうですか残念です。その件については後ほど本国に伝えておきます」

 

お互いに残念とは露ほども思っていなそうな口調で言った。もっとも、ブリタニアは情報保持ができて嬉しいがスオムスはそうではない。カールスラントとオラーシャに対して切り札と言えるものがなくなり、両国から見切りをつけられる可能性があるため、ただの強がりだった。

 

「ところでわたしを襲撃した連中について何かわかりましたか?」

 

今のところエイラの襲撃については箝口令が敷かれているのか詳しいことがわかっていなかったため、知っているであろうマロニー大将に尋ねた。

 

「リベリオンのウィッチ排斥を目論む教団が主導していたようだ。それに少佐の襲撃とほぼ同時刻に各国でウィッチが襲われた。ノイエ・カールスラントでアドルフィーネ・ガランド少将が襲撃を受けた。他にもリベリオン陸軍のジーナ・プレディ少佐などが襲われているが二人とも軽傷で済んだようだ」

 

「ウィッチを狙った襲撃ということですか」

 

「そうだ、不幸にも少佐はその標的にされたようだ」

 

「ガランド少将やわたしはスケジュールがある程度上の階級にある人間でなければアクセスできないはずです。内部に裏切り者がいるんじゃないですか」

 

裏切り者、というよりもブリタニアの情報部が教団に情報を流して襲撃させたとエイラは半ば確信していたが証拠がなかった。

 

「おそらくそうだろうな。スオムスは裏切り者を探すことに暫くは注力するといい」

 

「ええ、きっとそうする事になると思います。

そうだ、裏切り者探しの手掛かりになりそうな言葉を襲撃犯が言っていたんですよ」

 

「なんと言っていたんだ」

 

「教授とかいう人物の指令があってわたしを襲ったようです」

 

厳密にいうとエイラを襲ったのは教授の一味ではないがもしこれがブリタニアの人間ならばなんらかの反応をするだろうと期待してエイラはその名を口にした。

 

「教授?大学のかね?ならたくさんいるから私にはわからないな。力になれなくて申し訳ない」

 

本当に知らないのか、それとも隠しているのかその反応からはよくわからなかった。

 

「そうですか、ありがとうございます」

 

「そろそろ次の予定があるから帰らせてもらう。暫くの間ゆっくりと療養してくれ」

 

「そうですか。お越し頂き、ありがとうございました。」

 

少しもありがたくはなかったが一応エイラは礼を言った。

 

「ああ、そうだ一つ伝え忘れていた」

 

ドアノブにかけていた手を離し振り向くとエイラに告げた。

 

「我々ブリタニア人は自分の庭で勝手にティータイムをされるのは許すがティータイム中にコーヒーを飲まれる事だけは許さない。後学のために覚えておくといい」

 

そう言って今度こそマロニー大将は出ていった。




実を言うと前回の話あそこまでの話にする気はなかったんですよね。ただ最近人が死んでなかったのでついついやり過ぎました。よっぽど前書きにその旨書こうかと思いましたがネタバレっぽくて嫌だなと思って書きませんでした。2話続けてハードな内容は流石にお腹いっぱいどころかお腹下す人が続出しそうなんで今回は流石に書きました。

てことで今回はアフリカ方面について少し書きます。
この方面っておそらく純粋にスエズ運河の近辺だけがネウロイの勢力圏なんだと思っていますがそれならどうしてエルサレムとかレバノンの方面とかから攻めないのかちょっと気になるんですよね。単純に戦力が足りていないとしたらスエズ運河解放のためにもう少し戦力を送っていい気もします。スエズ運河奪還のための兵力って明らかに少なすぎませんかね。
イタリアの赤い悪魔ことOTO M35型手榴弾が現実通り猛威を奮っているのかと思ったり思わなかったり。
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