ダイヤのエースが飛ぶ理由   作:鉄玉

44 / 304
やっと原作に突入です!ここまで長かった


ストライクウィッチーズ
極東の魔女


1944年4月

「この部隊に配属されて一年になるけどサーニャとこうやって昼に飛ぶのって今までなかったから新鮮だな」

 

「エイラもわたしも基本は夜勤だから昼に飛ぶことは少ないからね」

 

「それもこれもネウロイの出現時間を予測できるようになったおかげだな」

 

2月から使われ始めたネウロイの出現予測システムの精度の高さから夜間哨戒の必要性が薄れてていた。そのためサーニャも夜間哨戒の任務から外される事が決定し今日はその初日の飛行だった。

 

「おー、おかえりー」

 

滑走路の隅に置かれたビーチチェアに寝そべり肌を焼いていたシャーリーが気の抜けたような声でそう言った。

それに手を振る事で返事をしてハンガーへと二人は入っていった。

 

魔導エンジンを停止させストライカーユニットを脱ぐと先に脱ぎ終わっていたサーニャが手を差し出す。礼を言ってその手を取りストライカーユニットを脱いで立ち上がる。エイラが退院してからはサーニャがこんな風にエイラの普段の生活の手助けをしてくれる事が増えていた。

 

「帰ってきたばかりと比べるとだいぶ調子が戻ってきたね」

 

「そうだなー。けどやっぱり前みたいに動くのはまだ無理だな」

 

「十分動けてると思うけど」

 

サーニャからすると前と同じようにトップエースに相応しい実力があるように感じるがエイラは違った。

 

「右エンジンに対する反応が少し遅いせいで回避運動が前より大雑把になってるんだよな。ハルトマンやバルクホルンクラスのエースが相手だとこの遅れは致命傷だな」

 

「そんなネウロイそうそういないと思うわ」

 

呆れたようにサーニャが言った。

 

「そういやそうだな。今までそんなに強いネウロイにあった事なんか無いな」

 

エイラがサーニャの指摘に納得したその時、ネウロイの襲来を知らせるサイレンが鳴り響いた。

 

「もうきたのか!?」

 

最近はネウロイ襲来時間予測システムが導入された当初よりも少しずつ外れることが大きくなっていたがそれでもその誤差はせいぜい二、三時間で収まっていた。念のため不測の事態に備えて一個小隊分の人員が戦闘待機しているが基地の人間の多くは予測システムを信用していたことから戦闘待機組以外の機体はエイラとサーニャが帰ってきてから整備をする事になっていた。

 

「少佐出れるか!?」

 

「今帰ってきたばかりだから無理だ。バルクホルンが待機組の連中を指揮してくれ!」

 

さっき帰還したばかりのエイラとサーニャはストライカーユニットに燃料がなく出撃することができない。

 

「了解した」

 

「エイラ少佐が指揮するんじゃないのかよ」

 

軍服を着ながらハンガーに駆け込んできたシャーリーが残念そうに言った。

 

「文句があるのかリベリアン」

 

「別にー。ただ少佐の指揮の方が好きだなって思っただけだ」

 

「それを文句って言うんだろう!」

 

言い争いながらも二人は素早くストライカーユニットを履くと魔導エンジンを始動すると武器を手に取り出撃していった。それに続いてペリーヌ、ルッキーニも出撃して行きハンガー内はエイラとサーニャだけになった。

 

「燃料補給が終わったら出撃する?」

 

「待機でいいんじゃないかな」

 

あの四人なら並大抵のネウロイでは相手にならない。100機以上のネウロイがいたら話が別だがそれならそうとミーナ中佐が伝えるだろうしそうでないのならもしもの際に備えてエイラ達は待機しておくべきだった。

やはり、と言うべきかそれからそう時間がかからずにネウロイ撃破の報告がされた。同時に撃沈された扶桑海軍の船員達の救助と護衛のためしばらくバルクホルン達は現場に留まると連絡が来た。

 

そしてその日の夜、坂本少佐が帰還し扶桑からの補充員として宮藤芳佳軍曹が着任した。

 

「どんな子だったの?」

 

今朝の自己紹介の時ほとんど寝ていたサーニャはエイラに彼女の印象を尋ねた。

 

「変わったやつだな。軍隊に入ったのに拳銃はいらないんだってさ」

 

「大丈夫なの?」

 

「一人で外に出すことは絶対にできないな。誰か一緒じゃないと最悪死んでもおかしくない」

 

ウィッチ襲撃の黒幕が捕まっておらずさらにはたびたびウィッチが襲撃されていたこともあって単独でのウィッチの外出は世界的に自粛されている。そんな状況を知ってか知らずか彼女は拳銃をいらないと言った。ほんの一ヶ月前までただの女学生だったと言うし比較的平和な扶桑出身だからかやや拳銃に忌避感があるようだが軍に入隊した以上は基地外では拳銃を持ち歩いてほしかった。

 

「まぁしばらくは外出する余裕なんかなさそうだけどな」

 

窓の外では阻塞気球を壊しまくる宮藤芳佳の姿があった。

 

「ある意味才能だな」

 

一つ二つならともかく進路上にある全ての気球に向かって突進していく宮藤を見て思わずエイラがそう呟いた。

 

「大丈夫なの?」

 

「まぁ良くはないな。カーディントンの訓練センターからの借り物な上壊したら修理費はこっちもちだしな」

 

「止めなくていいの?」

 

501部隊はブリタニアがあまりお金を渡さないこともあってそこまで裕福ではない。そのためいつもエイラが苦労して資金繰りをしているのを知っているサーニャは心配そうに尋ねた。

 

「別にいいかな。あいつとリーネをだしにして散々ブリタニアから予算をぶんどってきたから阻塞気球の修理費くらいなら問題ないし」

 

ボン!と言う爆発音と悲鳴が聞こえ外が俄に騒がしくなる。

 

「最後の一つが燃えたわ」

 

「…流石に修理は無理だな」

 

初めは問題ないと思っていたエイラもこの壊しっぷりを見ているとだんだんと不安になってきた。

今はまだ気球だけで済んでいるが基地や滑走路を壊されたりしたら流石に不味い。

 

「昨日の戦闘では活躍したって聞いたけど」

 

「訓練では動けて実戦がダメなリーネとは逆のタイプみたいだな」

 

訓練器具もただではないから壊すことの少ないリーネを見習って欲しい。

 

「いっそのこと速度を落として曲がりやすくなるようにユニットをチューニングするのもありか」

 

「あれ以上曲がるようにする必要はないと思うわ」

 

欧州で主流な一撃離脱戦法ではなく格闘戦をメインの戦法とする扶桑では加速力や上昇力よりもいかによく曲がるかを追求してユニットが作られる。宮藤の履く零式艦上戦闘脚はエイラやサーニャの機体よりもよく曲がり本来ならば阻塞気球くらいならば楽に避けられるはずだった。

 

「けどあのぶつかりっぷりを見るとなあ」

 

「曲がりすぎて海に落ちるかもしれないわ」

 

「いや流石にそれは…」

 

あの動きを見ていると否定したくてもできない。強力な治癒魔法とシールドを持つ大きな才能を持ったウィッチ。確かに伝え聞いていた通りの内容だった。けどここまでまともに飛べないとなるとまともに戦力として考えることができない。

501部隊は数こそ充実してきたがうち二人が新人でまともに戦力として考えられずどちらも必ずベテランが一人つかなければならないことを考えるとむしろ戦力は減少したと考えるべきだ。坂本少佐にはできるだけ早く宮藤とリーネを使えるようにしてもらわないとガリア奪還がいつになるか判ったものではなかった。




アフリカ戦線ってほんとよくわからないんですよね。基本的に欧州の連合対枢軸の構図が逆になった配置だとして、そうなるとスーダンとかってどっちのものなのか、あとチュニジアあたりがどうなっているのかが気になるんですよね。モロッコはアウロラさんが行ってるから人類側だとしてもあの広大なアフリカ大陸のどこがネウロイでどこが人類なのか少し気になります。なにより支配領域によってはネウロイの巣は一つどころじゃなくなるって言う。
あとアフリカの魔女で一番好きなのはマイルズ少佐です。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。