エイラやサーニャと言った夜勤組以外が寝静まった頃、ブリタニア陸軍予備役少佐ウィリアム・マッカッートニーなる人物がエイラの元を訪ねてきた。断ることもできたがこんな時間に態々訪ねてくるのはおそらくただならぬ事情があるのだろうと思ったエイラは一度会ってみることにした。
執務室のドアがノックされ案内してきた兵士と共にマッカッートニー予備役少佐らしき眼鏡をかけた初老の男性が入室してきた。足が悪いのだろうか、杖をつきながらゆっくりとした足取りでエイラの前に来ると敬礼をした。エイラはもまた立ち上がり返礼しながらみた彼の顔に見覚えがあることに気がついた。
「いきなりの来訪にもかかわらず時間を取っていただきありがとうございます」
「いえ、こんな時間に来るのですから余程の事だろうと思いましたから。違いますか?ブリタニア王国副首相、クレモント・アトリーさん」
エイラがそういうと、彼はニヤリと笑うと眼鏡を外し杖を置いた。
「他の兵士は誰一人気付かなかったのによく気付いたな」
「こんな時間に副首相が来るとは誰も思わないでしょうからね。それで、一体なんの用があってこんな時間に態々ここに来たんですか?」
「ここの人払は済んでいるかね?」
余程人に聞かれたくないことなのだろうか、話すより先に人払いの有無から聞いてきた。
「もちろんです。そもそもここはウィッチしか基本入れませんから今の時間は余程なことがない限り人は来ません」
「ならいい。では単刀直入に言おう、私と手を組まないか?」
「なにを今更、手を組むもなにも現在スオムスとブリタニアは対ネウロイという点で共に戦っているじゃないですか」
多分彼のいう手を組むはブリタニア王国とではなく彼が率いる野党とスオムスが手を組間という事だろう。しかしそんなことはエイラ個人が決めれることではないしなによりもブリタニアの事をエイラはあまり信用していないため一度煙に巻くことにした。
「ユーティライネン少佐、そんな官僚答弁はせずに今夜ばかりは腹を割って話そうではないか」
「そうは言われましてもこちらはなにも事情を知りませんから答えようがありませんよ」
「マロニー大将の件、知らないとは言わせんぞ」
「なんのことですかね」
副首相とはいえ野党の人間、ここで迂闊なことを言ったらまず間違いなくスオムスにとって不利益なことになる。
「少佐がスオムスからネウロイのコアを持ち込んだことぐらい私は知っている。だからそれに着いて追求するつもりはないからそう警戒するな。今はそれよりも大きな問題がある」
「と、いいますと?」
「最近、二人の新人が入ったウィッチ隊が予想に反して着々と戦果をあげている事にマロニー大将は焦っている。だから例の実験を前倒しして実施研究をするつもりのようだ」
「出来るのですか?わたしが聞いた限りだとまだそれが出来るほど研究が進んでいるとは思えなかったのですが」
最後にエイラがこの情報に触れることができたのが約五ヶ月前なためあまり信用できる情報とはいえないがそれでも当時の状況を考えると実戦に出せるほど研究が進んでいるとは思えなかった。
「私もそれはわからん。なにせ奴は情報保全の名目でこれに関する報告書を政府に提出してきていないからな。だからそれを逆手に取る事にした。わかっているだろうがこれは明確な条約違反だ。だから与党の連中はこのことを知っていたが我々野党の閣僚は全く知らなかったとして奴が尻尾を出した瞬間に告発するんだ。そのために少佐個人と手を組みたい」
アトリー副首相の考えは単純だった。しかしそれだけにエイラには迷いが生じた。次の選挙はおよそ一年後だがこの件がうまくいったとして果たして次の選挙に打撃を与えれるのか、そしてもう一つ、個人的にエイラはブリタニアがあまり好きではなかった。
「わたしは襲撃の件にブリタニアが一枚噛んでいると思っています。そんな国を信用できると思いますか?」
「そうだろうな。私も同じ立場なら信用しない。だから手土産を持ってきた」
そう言ってアトリー副首相は紙の束を差し出した。
「これは?」
「明日発表される君の、というよりウィッチ襲撃事件の最終報告書だ。詳しい事は知らんが一部少佐の証言が改竄されているはずだ」
そう言われてエイラの証言に関する記述を読むとエイラ自身が襲撃者を全員射殺したという事になっていてエイラが子供以外を無力化した後に現れた集団に関してはなにも書いていなかった。
「これじゃあわたしが子供を撃つ血も涙もない冷血な人間みたいですね」
そう言いながら死亡者名簿にも目を走らせ子供の名前がジェラルド・ミッチェルだったことを確認をした。
「完全なものを観れるのは軍や政府の一部高官だけだ。おそらくそれが知られる事はないだろうな」
「そうですか」
「信用してもらえたかな?」
「あなたがどれだけ本気かはわかりました。しかしあくまでこれは手土産でしょう。あなたはわたしに一体なにを提供できるのですか?」
「手を組んでいる間は私から君個人に対して私が知り得る最大限の情報の提供をしよう」
「足りませんね。ついでに501部隊に対して予算を増やすよう取り計らってください」
「いいだろう。それで手を打とう。もしもマロニー大将が何かすればすぐに連絡してくれ。連絡手段はこの中に入れてある」
そう言って差し出してきたのはタバコの箱だった。
「わたしはタバコを吸わないんですが…」
「それしかなかったから我慢してくれ。明日閣議があるから私は帰らせてもらう」
そう言ってアトリー副首相は退室していった。
彼の足音が完全に聞こえなくなったことを確認するとエイラはさっき渡された報告書をあらためて読み始めた。
まずエイラ達ウィッチを襲撃したのはリベリオンに本拠を置くネウロイを神の使いとするカルト教団であったことが書かれていた。
この本拠地では信者の家族に魔法力を持つ子供がいた際には悪魔を追い出す儀式と称して一メートル四方程の地下室に魔法力を持つ子供を閉じ込めるなどの虐待行為をしていてそれにより複数のウィッチが死亡していたことと救出された子供は養子に出され今は無事に生活をしていることが書かれていた。
そして肝心な他のウィッチたちの被害状況だがまずガランド少将は十人の教団員に自動小銃を用いた襲撃を受けたが全員を逮捕して被害は護衛が一名負傷しただけであった。
次にプレディ少佐だが彼女は五人の教団員が拳銃による襲撃を行いこちらは一人死亡、四人を逮捕していた。
他にも教団員一人から三人程度の小規模な襲撃が数件あったがこれらは全て犯人逮捕で終了していた。
そしてエイラ自身は十人の大人の教団員と教団員の子供一人の合計十一人からなる襲撃犯が自動小銃と爆弾による襲撃を行い犯人は全員の死亡という結果だった。パンツァーファウストが用いられた事はどこにも書いておらずこれもまた改竄されたようだった。
ガランド少将はその知名度と階級から当然だが明らかにエイラに対する敵意が大きくまた、子供を用いたのはエイラに対してだけだった。それに関してリベリオンの本拠地を制圧した際尋問があったそうだが曰くエイラは神を殺している。だから神の復活のための贄にするべくエイラを襲撃したと証言していた。
取り調べをしたものはただの妄言と処理していてそれ以上の追求をしなかったようだがこの報告書を読んだ感じでは誰かが意図的にエイラに対して大規模な襲撃を行うように誘導したように読み取れた。
武器の出どころは襲撃場所によって多少の差異はあるが基本的に軍人が横流ししたものや軍の倉庫から盗んだものだった。それらに関しては詳しく調べた結果かなり多くの武器が横流しされていて腐敗が明らかとなり憲兵による大規模な捜査が行われたようだ。
この調査報告書はブリタニア、リベリオン、ノイエカールスラントでの襲撃が多かったことからブリタニア、リベリオン、カールスラントの三国が中心となって作られたがブリタニアに限って言えばこの調査報告書は信用できるものではない事は確かだった。
アニメ三期ってワンチャン死人が出るんじゃないかってちょっとドキドキしながら見てました。例えばパットン将軍がV-1みたいなネウロイに攻撃された時戦車も広義では車だからリアルパットン将軍みたいに車関係で死ぬのか!?とか思ったりミーナ中佐もあれワンチャン死にそうだったしなんならサーニャも結構危なかったなって思いながら見てました。(エイラナイス!)