ダイヤのエースが飛ぶ理由   作:鉄玉

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すみません送れました。


いっしょだよ2

雨に濡れたバルクホルンやサーニャ達がシャワーを浴びたりサウナに入り身体を温めたあと、501部隊のメンバーは制服から部屋着や寝間着に着替えブリーフィングルームに集まっていた。

 

「皆さーん、温かいお茶が入りましたよ」

 

リーネがワゴンに全員分のティーセットを乗せて運んできた。

リーネが用意したお茶は皆が自分で持ち寄ったティーカップやマグカップ、湯呑みなどに注がれていた。

 

「ねーリーネ、お菓子は!?」

 

「スコーンを用意していますよ」

 

「やった!」

 

飛び掛からんばかりの勢いで駆け寄るルッキーニにリーネは一言付け加えた。

 

「ルッキーニちゃんは眠れなくなるといけないから紅茶じゃなくてホットミルクにしておきましたよ」

 

リーネの言う通りルッキーニのマグカップにはミルクが注がれていた。

 

「えー、こども扱いしないでよ!」

 

「ならミルクティーにするから私にくれ」

 

「やだよーだ!」

 

そう言って素早くマグカップを手に取ると一気に飲み干そうとした。

 

「うにゃー!?!?!?」

 

ルッキーニの悲鳴が部屋の中に響いた。

 

「あ、ごめんなさい。一応冷ましたんですけどまだ熱かったですか?」

 

「舌がヒリヒリする〜」

 

舌を口の外に出しながら言った。

 

「慌てて飲むからだぞ。まったく、今冷ましてやるからな」

 

そう言ってルッキーニのマグカップを持ったシャーリーはミルクに向けて息を吹きかけて冷まし始めた。

それから暫くの間ティータイムが続き、一息ついたところで坂本少佐が切り出した。

 

「さて、そろそろデブリーフィングを始めるぞ」

 

「すぴー」

 

「あの、ルッキーニちゃんは起こさなくて良いんですか?」

 

眠っているルッキーニを横目に見ながら宮藤が尋ねた。

 

「お前も知っているだろうがルッキーニは一度寝ると簡単には起きない。だから明日シャーリーが伝える」

 

「えっと、それで良いんですか?」

 

「報告が伝わるのなら別に構わんさ。それに今起こしたところでどうせデブリーフィング中に寝るだろうしな」

 

そう言って今夜現れたネウロイに関するデブリーフィングが始まった。

 

「…それじゃあ今回出現したネウロイの姿はサーニャ以外誰も見ていないということか?」

 

一通りの説明が終わるとまず代表してバルクホルンが尋ねた。

 

「ずっと雲の中だったからな」

 

坂本少佐が答えた。

 

「何も反撃してこなかったってそんなことあるのかな?それ本当にネウロイなの?」

 

ソファーの肘掛けにもたれかかりながら気だるそうにハルトマンが質問した。

 

「サーニャも姿を見たわけじゃないんだよな?」

 

ハルトマンに続いてシャーリーも質問した。

 

「…はい、目視はしていません」

 

「因みに言うと基地のレーダーも範囲外だったから映ってないし他の基地のレーダーも範囲外だったからレーダーに頼るのも無駄だぞ」

 

エイラが捕捉した。

 

「恥ずかしがり屋のネウロイ!……なんてことないですよね、ごめんなさい」

 

重い空気に耐えかねたのかリーネが場を和まそうと口を開いたが場の空気が変わることもなくすぐさま謝罪の言葉を口にした。

 

「あら、なら似たもの同士気が…いえ何でもありませんわ!」

 

サーニャに対する悪口を敏感に感じ取ったエイラが睨みを効かせると即座にペリーヌは口をつぐんだ。

 

「べー」

 

追い討ちとばかりにエイラは舌を出した。

 

「とにかく、姿こそ見えなかったが何かがそこにいたのは間違いない。むしろこれがネウロイでなければその方が問題だ」

 

もしもこれが友軍機であれば通信をするであろうし仮に通信機が壊れていたとしても基地に戻り次第その旨抗議してくるだろう。抗議してこないと言うことはネウロイかそれに類するものである事は確定的だった。

 

「ネウロイとは何か、それが明確になっていない以上この先どんなネウロイが現れたとしても不思議ではないわ」

 

ミーナも坂本少佐の意見に同意してそう言った。

 

「ハッキリしているのはどんなネウロイが現れても我々は対処しなければならんと言う事だ」

 

「仕損じたネウロイが連続して現れる可能性は極めて高い」

 

ひとまず納得したのかバルクホルンも話を続けた。

 

「そうね、だから暫くの間夜間戦闘を想定したシフトを敷く事にします」

 

そう言ってミーナ中佐はサーニャに顔を向けた。

 

「サーニャさん」

 

「…はい」

 

静かにサーニャが返事をする。

続いてミーナが別の方に顔を向けた。

 

「それと宮藤さん」

 

「は、はい!?」

 

急に名前を呼ばれて慌てて返事をした。

 

「暫くの間あなた達を夜間専従班に任命します」

 

「はい」

 

「え、私もですか!?」

 

「今回の戦闘の経験者だからな」

 

当然と言うように坂本少佐が言った。

 

「そんな…私見たただけ…ぎゃっ!」

 

宮藤が悲鳴を上げた。

宮藤の背後にいたエイラがその背中に向けて全体重をかけてのしかかったからだ。

 

「はいはいはい、わたしもやる!」

 

そう言って元気よく手を上げた。

 

「貴方は夜間基地司令としての任務があるじゃない。ダメよ」

 

「夜間飛行初めての宮藤を連れて飛ぶなんて流石にサーニャ一人じゃ危ないと思うぞ」

 

「ならトゥルーデかエーリカをつけましょう」

 

エイラの抗議にさらりとミーナ中佐が答えた。

 

「ダメだ」

 

「どうしてよ」

 

「たまにはわたしにもストライカーで飛ばせろ」

 

「そんな理由?」

 

「中佐!わたしが最後に飛んだのはいつだと思っているんだよ!」

 

暫く考えるそぶりを見せた後口を開いた。

 

「ごめんなさい、わからないわ」

 

「四ヶ月前のリーネの初撃墜の日以来だぞ!それからは書類仕事が多すぎて訓練飛行すらまともにできてないんだぞ。たまにはわたしにも飛ばせろよ!」

 

「それは不味いな。いざと言うときにまともに飛べなかったら大問題だ。できれば昼に飛ばしてやりたいところだが流石に戦力が低下しすぎるな」

 

エイラの話を聞いた坂本少佐が口を開いたが。

 

「ちょっと少佐」

 

「よし、私が就寝時間を二時間ほど遅くするからその間だけエイラもサーニャ達と一緒に夜間哨戒に出ると良い!流石に朝までずっとだと翌日に響くからすまないがこれで納得してくれ」

 

「ありがとう少佐!恩に着るよ!」

 

あっさりとはいかなかったが坂本少佐が出した妥協案にエイラが納得した事でデブリーフィングは終了しその場は解散となり、皆各々の部屋に戻っていった。

 

「すみません、わたしがネウロイを取り逃したから」

 

部屋に戻ろうとした宮藤にサーニャが申し訳なさそうに言った。

 

「え?ううん、そんなつもりで言ったんじゃないから」

 

「そうだぞサーニャ、あんまり気にするなよ!」

 

すごく機嫌が良さそうなエイラがそういってサーニャをフォローした。

 

皆が部屋に帰った後もエイラと坂本少佐、そしてミーナ中佐の三人は部屋に残っていた。

 

「あのネウロイ、サーニャさんにしか見つけられなかったと言うことはサーニャさんに見つけて欲しかったなんてことはないかしら」

 

迷うような口ぶりでミーナ中佐が言った。

 

「向こうにも何か考えがあるとでも?馬鹿なことを言うな。まさかネウロイが知的生命体だと言う説を本気にしてるわけじゃないだろうな?」

 

「あながちその説は馬鹿にできないと思うけどな」

 

坂本少佐の否定の言葉にエイラが否定的な意見を示した。

 

「意外だな、エイラはこの説には否定的だと思っていたんだが」

 

「そうでもないさ。ネウロイはコアを破壊するとその場で消滅する。かと言ってコアを破壊せずに拘束するのも不可能だから詳しく調べる術がない。誰も詳しく調べていない以上、ネウロイに思考するため脳のような器官が無いと断定するのは早計だと思うってだけの話だよ」

 

「なるほどな、確かにその通りだ。だが仮に奴らに考える能力があったとしてもせいぜい犬や猫程度のものじゃないか?もしも仮に私達ほどの思考能力があれば初めから攻撃すると言う選択肢を取るわけがないからな」

 

「…そうかもしれないな」




一応中編になっていますが後編で収まらなかったら数字に変えます。
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