ダイヤのエースが飛ぶ理由   作:鉄玉

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読み直してたら思いの外誤字や変な表現が多くて結構なページ数修正をしました。
ただ初めの頃は恥ずかしくて手を出せてません。
それで気付いたんですがリベリアンのことをずっとリベリオンって書いてました。申し訳ありません。


スースーするの

夜間哨戒の時間が終わり坂本少佐に業務の引き継ぎを行ったエイラは眠たそうに目を擦りながら自分の扉の部屋を開けた。

どこかいつもと違う様子の部屋に疑問に思いながらもあまりの眠さにそれを特定する元気もなくベッドに近づいていった。

 

「…サーニャ?」

 

ベットの上には制服を脱いだサーニャがうつ伏せで気持ちよさそうに眠っていた。

 

「ったく、なに部屋間違えてんだよ」

 

さてどうしたものか。他のやつなら叩き起こして追い出すところだったが相手はサーニャだ。起こすのはあまりにもかわいそうだ。

 

「ちぇ〜。今日だけだかんな」

 

よくよく見るとベッドの近くには脱ぎ散らかしたサーニャの制服が転がっていた。

 

「うぇ〜」

 

チラリとサーニャに視線を向けた。

 

「ったく〜。今日だけだかんな〜」

 

そう言いながらも嬉々として膝をつくとサーニャの制服をたたみ始めた。

 

エイラがサーニャと自分の制服をたたみ終わり夜に向けて眠りについた頃、501基地では事件が起こっていた。ルッキーニがペリーヌのズボンと宮藤の服を強奪して逃走したのだ。

逃走したルッキーニを捕らえるため基地内が慌ただしくなるが夜勤明けで疲れているエイラがそれに気付く事はなくサーニャと一緒に仲良くベッドで眠っていた。

ガチャリと扉の開く音に気付いたエイラは目を覚ました。

扉を見るとルッキーニがゆっくりと入ってくるところだった。

 

「しー」

 

人差し指を唇に当てて静かにするようジェスチャーをしてきた。

どうしてノックもなしに部屋に入ったのか、その手に持っている紺色の布はなんだとか色々聞く事はあっただろうがとにかく今は眠かったエイラはただその行動を見ているだけだった。

素早くルッキーニが窓の方に移動したと思うとカーテンを全開にして窓を開け放った。薄暗い中にいたエイラは突然の明かりに思わず目を細めた。

 

「あ、そうだ!」

 

そういうとルッキーニはベッドに近づきエイラのズボンを手に取るとヒラリと窓の外に飛び出した。

 

「あ、こら!わたしの…」

 

義足を外していたエイラが捕まえられるはずもなくエイラが義足をつけて窓にたどり着いた時にはルッキーニは壁についたパイプをエイラのズボンを使って一メートルほど降りたところだった。

何が目的かは知らないが奪われたズボンを取り返すために扉に鍵をかけると制服に着替え始めようとしたエイラはルッキーニにズボンを持って行かれたことに気付いた。

 

「う〜。ごめん!」

 

謝罪の言葉を述べるとエイラはサーニャのズボンに手を伸ばした。

この時もしエイラが夜勤明けで眠くなければおそらくこんな事はしなかっただろう。ここはエイラの部屋なのだから当然そこには予備の制服が入ったクローゼットがありそこから予備のズボンを取り出せば済んだ話なのだから。

着替え終えたエイラが部屋の外に出るとちょうどバルクホルンとシャーリーが来たところだった。

 

「ルッキーニは?」

 

シャーリーが問いかけた。

 

「し、下に逃げた」

 

「追うぞ」

 

バルクホルンがそう言って階段に向かって走り始めシャーリーとエイラがそれに追従して走り出した。

一階に降りるとちょうどルッキーニが窓から廊下に降り立ったところだった。

 

「見つけた!」

 

「逃しませんわよ、泥棒猫!」

 

エイラたちとは反対側から走ってきた宮藤とペリーヌが叫んだ。

 

「いたぞ!」

 

「かえせ!」

 

「こらー!」

 

それとほぼ同時にバルクホルン、エイラ、シャーリーもまた叫んでいた。

 

「あわわわわ!ど、泥棒じゃないよ〜!」

 

T字路だったため唯一の逃げ道である外への道に向かってルッキーニは走り出した。

そんなにたくさんの証拠を持っていてどこが泥棒じゃないとはいえないだろう。

もちろん逃げるルッキーニを許すはずがなく五人は後を追って走り出した。

 

「クソ、一体どこに逃げたんだ!」

 

「ここまでは一本道のはずなのに…」

 

「きっとその辺の草むらに隠れているに違いありませんわ!」

 

「い、いい加減捕まってくれよ〜」

 

エイラが膝に手をついて乱れた息を整えながら思わずそう愚痴をこぼした。

雲隠れしたルッキーニを探して各々が庭を探し回っていると突如ネウロイの襲来を告げる警報が鳴り響いた。

 

「警報!?」

 

「敵襲ですか?」

 

「出撃準備だ!」

 

「また走るのかよ〜」

 

予報よりもかなり早いネウロイの襲撃に驚きこそあれ焦りはなくバルクホルンの号令一下ハンガーに向かって駆け出した。

 

「やっぱり…なんかいつもと違うな」

 

サーニャのズボンに対する違和感に思わず呟いた。

 

「坂本さん!わ、私履いてません!」

 

「わたくしもちょっとスケスケで…」

 

「アッハハハ。問題ない!任務だ任務、空では誰も見ていない!」  

 

「「ええ〜!!」」

 

坂本少佐の問題の本質を理解しているとは言いがたい物言いに宮藤とペリーヌは驚きの声を上げた。

 

「わたしも行きます…」

 

そこに眠そうな顔をしたサーニャが入ってきた。

 

「うわ!サーニャ」

 

まさかのサーニャの出現にたらりと冷や汗が垂れる。

 

「あれ?エイラそれわたしのズボン…」

 

その言葉に全員の視線がエイラに集まった。

エイラが自分のズボンを履いていることに気づいたサーニャはエイラに近づくとズボンに手をかけ脱がそうとした。

 

「脱げって酷いじゃないか!」

 

「だってわたしのだから」

 

「坂本さん、スースーします!」

 

「我慢だ宮藤!」

 

宮藤の訴えは坂本少佐の一言でかき消された。

 

「は、はい」

 

「な、何をしてるんだこいつら…」

 

あまりの混沌ぶりにバルクホルンの顔が引き攣る。

 

「出撃だ、全機続け!」

 

上官二人が頼りにならず自分がどうにかするしかないと判断したバルクホルンが号令を下した。

 

「は〜い」

 

シャーリーが気の抜けたような返事をした。

 

「みんな待って!」

 

「ミーナ中佐!」

 

「中佐敵が!」

 

「敵はいません。警報は間違いです」

 

「「「「「「「ええ!」」」」」」」

 

予想外の言葉に全員が驚きの声を上げた。

 

「出てきなさい」

 

ハンガーの影からハルトマンに背中を押されながらルッキーニが出てきた。

 

「ルッキーニ!?」

 

「ルッキーニちゃん!」

 

「あの警報はルッキーニちゃんが誤って押したみたいで…」

 

リーネが原因を説明した。

 

「「「「「「「ええ!!!」」」」」」」

 

再びハンガーに驚きの声が溢れた。

 

「それと、これも没収しました」

 

ミーナ中佐の手にはルッキーニに盗まれたズボンがあった。

 

「ああ!」

 

「ありましたわ!」

 

「これだこれ」

 

盗まれていた三人が口々に声を上げた。

 

「流石だなミーナ中佐」

 

坂本少佐が称賛の言葉を述べた。

 

「いいえ。今回のお手柄は私ではありません。この混乱の中、素晴らしい冷静さでしたハルトマン中尉」

 

「どうもどうも」

 

「やったなハルトマン!お前こそカールスラント軍人の誇りだ!」

 

「見事だ中尉」

 

「流石ハルトマンだな〜。ミーナ中佐と違って頼りになるよ」

 

皆が口々にハルトマンを褒め称える。

 

「エイラさん、それはどういう意味かしら」

 

その中に混じっていた自分への批判とも取れる一言を聞き逃さず問い返したが皆のハルトマンに対する称賛の声に飲み込まれてかき消された。

 

ハルトマンに対する称賛の嵐が止んだところでどこか不満そうな顔をしたミーナ中佐の手によりハルトマンの表彰式が始まった。

 

「エーリカ・ハルトマン中尉、壇上へ!」

 

「はい!」

 

壇上にいるミーナ中佐と坂本少佐、殆ど寝ていない上に義足で走ることに慣れていないのに走らされ全てが終わってどっと疲れが押し寄せてぐったりして椅子に座っているエイラ、罰則で水の入った重たいバケツを持たされているルッキーニ以外が拍手する中ハルトマンが壇上に登っていき勲章を首にかけられた。

 

「あー!!!」

 

ルッキーニの叫び声にエイラが周りを見渡すと壇上の二人以外の視線がハルトマンに向かっていることに気づきエイラもハルトマンに視線を向けると風を受けて制服が翻ったことによりあらわになった下半身からはルッキーニの縞々のズボンが顔を出していた。

 

「みんな祝福してくれているわ。おめでとう、ハルトマン中尉」

 

何を勘違いしたのかその視線を祝福のものと捉えたミーナ中佐がそう言った。

 

「はい、ありがとうございます!」

 

その言葉に悪戯っぽく笑いながらウィンクをすることでハルトマンは答えた。




最近またネウロイ大戦後の世界情勢について考えていたんですがなかなかしっくりする感じの結論になりません。
主要国としてブリタニア、カールスラント、ガリア、オラーシャ、リベリアン。それぞれが大国故に選択肢が多くてとにかくヤバイ感じになりそうです。
前に冷戦に関して考察を上げたと思いますがあれはほんの一例に過ぎなかったなと今更ながらに実感しました。
例えばリベリアン、扶桑で冷戦が発生した場合高確率でオラーシャと扶桑が手を組むと思っていたんですが仮に扶桑がリベリアンと海で殴り合いながら陸でオラーシャと殴り合えると判断すれば扶桑対リベリアン、オラーシャの構図がアジアで現れる可能性もありますし考えることが多すぎて面倒臭くなってきます。
ただ扶桑とリベリアンは高確率でぶつからない未来はないと考えていてこれはどう足掻いても変えられないと思います。(多少年代が前後する可能性はある)
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